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― 昔の話 ―
とにかく、あいつはとんでもなく頭の回転が速くて...それに勘もいいし、魔法の実力だって人並み以上で。
[ 軍学校に入ってからも、時々王宮には出入りしていた。姉姫から顔を出して欲しいと願われていたし、自分も王族としての自覚は薄くとも、肉親の顔を見たいという気持ちはあったのだ。
殊に、ヨセフが所用で尋ねて来ていると知ると、少々無理矢理にでも顔を出しに行った。
大体が僅かにでも時間があれば手合わせを願い、その技を目と身体に焼き付けるようにして学び取ろうとするのが常だったが、その合間に、軍学校の様子を尋ねられる事もあった。
いつの頃からか、そんな時に決まって口に昇るようになったのは、1人の学友の話題 ]
俺には無いものを、あいつは持ってる。
いえ、羨ましいとは思うけど、嫉妬とかじゃないんです、ほんとに。
ただ......俺は、あいつの信頼を得られるような男になりたい。
今はまだ、全然足りてないと思うんですけど。
いつか、俺が、貴方のような一人前の将になれたら......
[ 例えば、兄とヨセフその人のように、互いを認め合う真の友に、なれるといい、と。そんなもうひとつの夢を、男が語ったのをヨセフは覚えているだろうか?
その学友の名は、結局伝える事の無いままだったけれど** ]
怪我を...?
[ その動きに常とは違うものを見て、けれど兵達にそれを報せることを憚って、コエを使う。ヨセフに、動きに支障が出るような怪我を与えることの出来る者が、一見して数頼み、力任せの雑魚ばかりの魔軍の中に居たのか?と、その声には、いくらか不思議そうな色が乗る ]
― 昔の話 ―
[所用でレオヴィル王国へと訪れた折は、よくロー・シェンの訪問を受けた。
頻繁に訪れることも出来ないため、男もそれを快く受け入れ、主に手合わせの相手をする]
最近はどうだ?
[その合間に問うのは軍学校へと通い始めた彼の生活について。
最初こそ色々な話を耳にしていたが、いつしか必ず話に出てくる学友が現れた]
随分優秀なのだな。
[ロー・シェンはその学友を大層気に入り、認めているようだった。
話しぶりから容易にそれが窺える]
自分に無いものを持つ友、か。
認め合う相手が居るのは素晴らしいことだ。
互いを高めて行くことが出来る。
大切にすると良い。
[名前こそ聞かなかったが、ロー・シェンにそのような存在が現れたことを嬉しく思う。
己と親友を例に出されれば、少し照れくさそうに笑った]
[この時名を知っていれば、あの事件の時も少しは対応が変わっていただろうか。
知らぬ故にそう考えることもなく、男の認識は偽りを信じたままにある**]
大鎌に、紅い装束...の、娘...
[ ヨセフが相見えた敵兵の特徴に、男が息を呑む気配はコエを通じても伝わったろう。
クレステッド皇太子を彼女が刈ったのだと、聞いていたヨセフならば、その反応は、兄の死に様にまつわるものと受け取られたかもしれない ]
...それ、で...
[ ヨセフほどの将とまともにやり合ったなら、相手も無傷ではないだろう。いや、ヨセフが生きている以上、負けて命を落としたのかもしれない、と、揺れる心情のままに、敵兵であるはずの娘の安否を問いかけようとして...続いた言葉に、かろうじて、その先を呑み込む事に成功する。
...用心せよ、と、我が身を案じて落とされたコエに一番に感じたのは、全く別の安堵で ]
はい、気をつけます。
ヨセフ、貴方も充分に用心を。
[ 彼を傷付けた敵手...ましてや兄の仇ですらある相手の無事に安堵したなどと、口には出来ず、口に出来ない申し訳なさに、コエは僅かに震えていた ]
[特徴を伝えたロー・シェンの反応>>*7は硬いものだった。
兄の死に関わる相手であることに気付いたのだろう。
相手のその後を聞く様子も、仇を取れたのかを確認するものと取った]
あぁ、気をつける。
……そう言えばあの娘、君の声を聞いた途端に動きを鈍らせていたな。
[震えるコエに含まれるものを察せはしないが、用心を返されて>>*8諾を示す。
直後、ふと思い出したことをコエに乗せた]
あの女性はどうやら誰かの下、指示を受けて動いているようだ。
マスターと呼んでいたようだが…どうも、命すらもそのマスターとやらの手の内らしい。
勝手に首はやれんと言われた。
ただの部下、と言うわけではないのかもしれない。
[男の推測と言われたことも告げておく]
いえ、なんでもありません。
すみません......
[ いずれ、クレステッドの幽霊の噂がヨセフの耳に届いたなら、途切れたコエの意味も伝わったかもしれない** ]
[思案する最中に躊躇うようなコエが届く。
それは途中で途切れ、何でもない、と締め括られた]
……ロシェ、
[躊躇いを抱くロー・シェンもまた、例の噂を聞いたのだろう。
そう考えて、そっとコエを送る]
仮に本当に、彼が現れたのだとしたら、今現れたことに何かしらの意味があるはずだ。
君に伝えたい何かが。
[生きていたにしても、化けて出たにしても、何かある、と]
私は、真偽を確かめる心算だ。
[はきとしたコエで宣した*]
[ 兄の残してくれたものは大きい、と、男は自覚している。そして、今も自分が、ただ兄の影を追っているのではないかとも時折自問していた。
だから幽霊の話を聞いた時も、そこに拘るのは自身の弱さ故ではないか、と、浮かんだ想いが、思考を先に進める事を躊躇わせたのだが ]
ヨセフ。
[ 確かめれば良い、と、揺れず響いたコエに、はっと胸を衝かれる ]
そうですね。自分の目で、確かめなければ。
[ 噛み締めるように繰り返す。何を逃げる事があるのか、と、死者であれ、生者であれ ]
はい、俺も、そのつもりです。
[ 真偽を確かめる、と、きっぱりと告げる言葉に頷く ]
...ヨセフ、俺は...例え、魔の作った幻であったとしても...兄上に会いたい。
本当は、そう、思ってしまっているんです。
[ 最後に落とした正直なコエは、僅かな寂寥を滲ませながら、けれど、想いに引き摺られるではない、どこか柔らかい響きを帯びていた** ]
[男の宣を聞き、ロー・シェンも想いを同じくしたようだ。
次いで紡がれた正直なコエからは、噂に縋るようなものではなく、純粋に兄に会いたいのだと言う想いが伝わってきた]
…そうか。
良いんじゃないか、家族なのだからな。
ただし、己を見失ってはならないぞ。
[コエを聞く限りは心配ないと思えど、案ずるコエは紡がれる。
年長の癖だと思ってくれれば良い**]
ロシェ、魔軍が動いた。
セミヨン川を越えて進軍している。
前衛は交戦中だ。
[探すよりも早い、と。
コエでロー・シェンへと状況を伝達。
敵の兵種なども伝え、全軍に出立の準備をさせていることも伝えた]
どこに居る?
[一度合流せんと問いかける*]
...来ましたか。
[ 聞こえたコエに、ぐ、と拳を握る ]
俺は、捕らえた傭兵と...「話し合い」をしてました。
すぐ、そちらに行きます。すでに川を越えられたというなら、砦までの一時撤退も考えなければ。
「話し合い」?
[伝えられた内容に疑問を含むコエを返す。
自軍へ引き込む話なのであれば、やや難色を示してしまうのは致し方ないこと。
捕まえた連中はモンテリー国の地下牢から逃げ出した者達なのだ]
そうか…そうだな。
引くのもまた戦略、だが。
例の攻城兵器も動いているようだ。
何か手を打ちたいところなのだが…。
[果たして手段はあるのかどうか]
[ 「話し合い」についての詳細を伝えるのはさすがに憚られた。多分放っておいても、後で従者か見ていた兵士から勝手に伝わるだろうと、半ば強引に見ない振りをして ]
攻城兵器が......
[ あれが動けば、少なくとも、ここに在る部隊の壊滅は避けられまい...だが ]
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