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では彼も元気でいましょうな。
確かテッド…クレステッドと言いましたか。
ダンクラード様と同じ年の頃合の。
[昔話の響きでもうひとつの名を上げて]
こちらも残念ながら、物別れです。
彼が折れてくれれば話は早かったのですがなあ。
[だがそうなれば、随分と自分は失望をしただろうが。]
兵力はおよそ1200強
ウェストマールからの援軍はなしと、
カークより伝書が参りましてな。
誰に似たのか、良く気のつく息子だ。
[敵兵力の情報を端的に伝えながらも、
言葉の最後は仄かに、クマをからかうような笑みを含んだ。]
吉報、
[声なき声は、現実の喚声に重なり響く。]
──── お待ちしておりますぞ。
[それまで敵を留める岩たらんと。
誓う男の唇の端に淡い笑みがのぼった*]
がっはっは。
鮭は美味いからの。
兄者も塩鮭は好きだろ?
[>>*25 呆れたような口調、しかしその声音を聞けば本気で咎めていないことは分かる。
だからこそマーティンは兄将に、そんな風に冗談混じりの言葉を返す。
ちなみに鮭はマーティンの好物である。また、クマのようだと笑われてしまうだろうか。]
オクタヴィアス・ノイアー……
そりゃあまた大物が掛かったなぁ、兄者。
[>>*26 その名前はマーティンでも当然知っている。
他ならぬ、先日打ち取ったアルブレヒト・ノイアーの一人息子だ。
大将自らが赴くとは、向こうもまた、我等が盟主と気質はそう変わらないのかもしれない。]
気ィ付けろよ。
[弟分に言われずとも、聡明なチャールズなら充分に解っているだろうけれども。そう声を掛けずにはいられなかった。]
若、
[本隊に合流しようとするディーンに、声を掛ける。]
儂が先に、切り込んで行っていいか?
――――儂が、若の道を作ろう。
[殿は、兄将が護っているのだ。
ならば自分が出来ることは、先に立ち、盟主の通るべき道を拓くことだ。]
オクタヴィアス…!
やっぱり来たか。
[平原を挟んでしらせが届く。
やっぱりというような、嬉しいような、残念なような、
なんとも複雑な色が声に乗った。
来なかったならば残念に思っただろうし、
来た以上は、命の遣り取りになる。
心中は複雑怪奇だ。]
[チャールズの口からもう一つの名前>>*27が出れば、さらにもつれる心の糸が増えた。]
兵は、見たと言ってる。
先の戦いで、マーティンと戦ってた、…って?
[確かめるような響きに、マーティンの声が重なった。>>*33]
[小さな溜息に似た響きの揺らぎをひとつ。
淡く笑み漂うチャールズの声の向こう>>*29、戦陣の空気を感じて心を引き締める。]
任せろ。
[もつれた糸を断つがごとく。]
[巌のごとき宿将が背後を守り、森の王者が前を切り開く。
これ以上、心強いことがあるだろうか。]
この先に俺の往く道がある。
頼むぞ。
[全幅の信頼を、声に響かせた。]
若、気を付けろ。
なんか小賢しそうなのが居るな。
――――いざとなったら、エディに言え。
アイツなら何とかしてくれるだろ。
― 7年前・回想 ―
子どもなあ…。
そりゃあ、望まなかったといえば嘘になるが、
[ある時、マーティン相手に話をしたことがある。
7年ほども前のことだ。
カークの話から、何とはなしに兄貴に子どもはいないのかとか、そんな話になった時であったか。
男は酒を傾けながら、火を眺めつつ語ったものだ。]
……充分な「息子」を得ているからなあ。
[微かに笑み浮かべて、頬に示すのはディークのことだ。
少年期を抜けて青年に向かいつつある彼も、今はまだ男たちの目にはまだまだ子どもだ。
昼に存分に身体を動かし疲れたのか、火の傍に居眠りをするディークの姿に、男は目を細めて酒を煽った。]
贅沢なもんさ。
[ゆっくりと立ち上がって、ディークの元に赴く。
彼は主である。……が、同時に男の自慢の息子であった。
そのように思い、だから慈しみ、時には存分に叱りもした。
甘やかしてはこなかったつもりである。
けれど、寝顔を見下ろす男の横顔はただ愛情に満ちている。]
風邪をひく。寝るならば寝床で休まれい。
[ぽん。と、眠るディークの肩を叩いた。
寝ぼけ眼と目が合えば、軽く眉など上げてみせる。]
明朝は夜明けとともに森を出る。
寝坊したら置いていきますからな。
[明日の遠出の予定を改めて伝え、ディークの顔を見る。
まだ少しぼうっとした様子の彼の髪を、自然と出たといった風の掌でくしゃりと撫で、また目尻に深い皺を刻んだ───*]
― 2年前・回想 ―
ディーク様。
ウォーレン・コリドラス将軍を覚えておいでですかな?
[その報を受け、男はディークにこう話を持ちかけた。
不審げな表情が過ぎるならば、彼について客観的な一通りの話をし、最後に自らの知る彼の人となりなど付け加える。]
かの政変の折には、クリーク砦を守り抜いた男です。
己の信を貫く男でしてな。
指揮は冷静沈着。
将の中でも、その判断力は群を抜いていた男です。
此度はノイアーに遂に弾かれたとも見えますが、
……恐らくは本人が引き時と見たのでしょう。
彼は恐らく、ノイアーに忠誠を誓ったのではない。
彼が誠を誓い守り抜かんとしたのは、
ラモーラルそのものなのだと儂は見ます。
故に引いた。落ち着いたと、見たのでしょうな。
[実際、ラモーラルは落ち着きつつある。
幾つかの不満は燻ってはいるものの、表面的には平穏なものである。
将軍が引き際と考えても、おかしくはない。]
だが、もしも乱が起きれば───
[乱は起きる。そう遠くない未来にだ。
そうなることを…そうすること未来を、自分たちは見据えている。]
……再び戻ることもあるでしょうが、
[だからこれも、ほぼ起こりうる未来の一つとして描かれる。]
彼が真に守らんとするのは、この国、ラモーラルです。
だからダンクラード様、もし彼にこちらこそがラモーラルを再び安定させ守り得ると思わせられるならば、引き込める可能性のないではない。
…少なくとも話をする余地は、あり得ると考えます。
[話が通じない相手ではない。
だがそのような相手であるが為に、逆に事前に味方に引き入れる如き細工は些か危険を思わせ難しいと思われるがと添えながら]
お心に留めておかれませ。
[ひとつ、名を彼の心に置いた*]
見えている。
[マーティンの忠告に、短く返す。
あの騎馬隊の動きは、いささか脅威だ。]
そうだな。エディになら任せられるか。
やってみよう。
― 7年前・回想 ―
兄者は子供欲しくねぇのかい?
[ある夜の日のことである。
いつものようにチャールズと共に、酒を飲み交わしていたときだ。
確か、小熊―――カークの話をしていた時である。
「カークはお前に似ずに、頭がいいな」とか。
「カークはお前と違って、気が利くな」とか。
そんな風に、チャールズがからかっていたときであったか。
自分の話ばかりでは居心地が悪いと、此方が彼に聞き返したのである。
>>*42 チャールズは暖炉に燃え盛る炎を眺めながら、どこか遠くを見つめていた。
炎の煌めきの向こう、彼は何を見つめていたか。
視線を追うと、暖炉の傍には、眠りこけているディーンの姿がある。]
がっはっは、違いねぇ。
[>>*43「充分な息子を得ている」との言葉には、深く頷いた。
目を細めて酒を煽るチャールズの言葉は、穏やかなものであった。
ディーンは自分にとっても息子のようなものであった。
血を分けた実の息子、カークと分け隔てなく愛情を注いでいる。
実際、年も近いことだし、自分からしたら可愛い息子が二人居るようなものだ。
命を捧げるべき盟主であり、護るべき息子のような存在なのだ。
その想いは、自分もチャールズも、変わる事はないだろう。]
おう、子供はさっさとベッドに行きな。
……儂も眠いし、そろそろ寝るとするかぁ。
[>>*44 寝床へと促す兄将の様子を見ながら、欠伸を噛み殺した。大きく伸びをし、クマも寝床へと戻ることにする。
傍ら、二人の様子を見やれば、
――――それはまるで、本物の親子のように思えた。]
がっはっは!
兄者なら本気で置いていきかねんからな!
若、寝坊すんじゃねぇぞ!
[───七年前の、優しい記憶。*]
[昔のことなんて持ち出されたら、絶対機嫌を悪くするに決まっているのだけれども───]
― 回想 ―
[その頃は、日々あちらこちらを駆けまわっていたから、暗くなれば素直に眠くなっていたものだった。
草原を馬で駆け、同じ年頃の平原の子供らと打ち合いや取っ組み合いをし、馬の世話を手伝い家畜を呼び集め、毎日を充実したものとして過ごしていた。
父を失い城を追われた身であれども、暗い情念に心を侵されることもなく過ごしていられたのは、迎え入れてくれた平原の民の存在と、なによりも側近くで見守り支えてくれたものの存在が大きい。
感謝している、と伝えたことはないように思う。
叱られれば、不機嫌を返すこともたびたびだった。
けれども、それは甘えていただけなのかもしれない。
父に、そうしていたように。]
[幸せな眠りの園から呼び戻されて、暫くはぼんやりと火を眺めていた。
くしゃりと撫でる掌の温かさに、夢の続きを見る。
まだ、城にいた頃の、何不自由なく暮らしていたころの夢。
そこへ、豪快な笑い声が聞こえて、目を瞬いた。]
ん …。
わかったよ 。
[寝床へとの声に促され、少し頭を振って目覚めさせる。
夢の城は消えて、森の中にいる自分を改めて意識した。
けれど、辛くはなかった。
自分のことを、本気で大切にしてくれる人たちがいる。
彼らと、心の深いところで繋がっていられる。
そんな今の自分は、十分に恵まれていると。
───そんなこと、絶対口にはしなかったけれど、
たまには心のどこかから漏れていたかもしれない]*
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