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[起きている意識と別のもうひとつの意識がある。
赤い世界を独り見渡す、赫い双眸。
重なる二つの平行世界を、同時に渡り歩いてるみたいな、そんな錯覚]
なにこれぱねぇ!!
ほんと魔法ってなんでもありだね!
ミラクルだね!!神秘!!!!
[現実世界と、自分一人だけほんのちょっぴりずれた赤い世界。
現実世界と、似て異なるこの赤い世界とを、同時に、そして別々に、動き回る二人の自分を繋ぐ一つの意識。
否、あちらの自分は余りここの自分を意識していないように思う。
ならばこちらが自身にとっての現実か…?
もしかしたらこの赤い世界が現に見る夢幻なのかもしれないし、
その境目は酷く曖昧だったけれど、そんな事は如何でも良かった]
[赤い意識で眺め直す>>#1画面の下に、更にもう一言、隠れたメッセージを見つける]
『君の役割はとっても重要だからね、やり方を教えてあげよう。
まずは私の元へおいで。
楽しいゲームにする為に、どうか手を貸して欲しい』
[夢でも良い、彼に期待されるのが嬉しくて、はにかむように微笑んだ。
スマホにキスをして、現実とは異なる場所へと身体が向かう。
ただ真っ赤な事が異なるだけで、あちらの世界と変わらず過ぎて行く時間と人の流れ。
けれど、あちらの世界の皆は、赤い世界を渡り歩く赫い目をした方の自身とすれ違ってもどうやら見えていないみたいで、ぶつかると思っても気にせずこの身をすり抜けて行く。
みんなが亡霊にでもなったみたいでなんだか面白かったけれど、なんとなく独りを感じて、少しだけ寂しさが胸に滲んだ*]
[甲板で笑い合う何時もの世界との平行線上で、ローゼンさんの部屋を目指す赤い世界の赫い目の自身。
すれ違う人はみんな赤い景色の一部として赤く染まり、自身だけが赤以外の色を持つ独りぼっちの廊下を駆ける。
気ばかり急くから、廊下が酷く長く思えた。
ローゼンさんも、もしかしたらみんなみたいに景色の一部みたいになって、本当にこの世界には僕一人になってしまったんじゃないか。
…なんて、そんな、不安がひしひしと胸に降り積もって、心の内で軋んだ音を響かせる]
[やっとのことで辿り着いたローゼンの部屋の前、扉を開けるのが怖くて、冷えきって感覚の無くなった指がノブに絡んだ侭、悩む。
彼も、居るのに居なかったら、どうしよう。
ほんとうに独りきりなんじゃないだろうか。
不安と恐怖に押しつぶされそうになったその時、
――扉の向こうから、呼ぶ声が、聞こえた]
[弾かれるように顔を上げて、扉を開け放つ。
其処に居たのは、予想通りの赤い景色の一部と化した、彼。
けれど他のこの身をすり抜けて行った乗客とは異なり、自分を認識し、手を差し伸べて来た。
恐る恐るその手を取る。暖かな掌に強く握り返される。
たったそれだけのことに酷く安堵して、とうとう大声を上げて泣き出した]
[抱き寄せられる侭彼の胸に飛び込んで、わんわん子供の様に泣きじゃくる。
八つ当たりの様に何か文句を言ったかもしれないけれど、嗚咽で殆ど言葉には成らなかっただろう。
あやす様に頭を撫でる掌に心に積み重なっていた重石が、解けて、疲労となって圧し掛かる。安堵に誘われる様訪れた眠気に抗う事無く、次第に重くなる瞼を閉じた。
彼の声が聞こえる。
…それは何かの説明にも聞こえたし、子守唄の様にも聞こえた。
もしかしたら何かの呪文だったのかもしれない。
――ぷつり、途切れる意識。
その先の事は、覚えて、いない…]
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