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――"もっと、たくさん、会いにいらしてね"
――"わたし きっと 寂しくて戻っていってしまうから"
[かつて、生きていた誰かと
交わした言葉を思い出していた**]
[ころころ、ころころ]
[おへそからとれた ボタンがひとつ ころがって]
[ころころ、ころころ ぽちゃん]
[おいけのなかに おちてった]
[それからもうひとつ おちてった]
[それからずっと そのままで]
[ボタンはいったい どこにある?]
[おいけのボタンは]
[さかながつついて]
[さかなのおなかに ぽちゃんとおちた]
[おなかのボタンは]
[つりびとひとり]
[おいけのそばで さかながはねた]
[──ひとりでに動く調理器具。
柔らかな月光の下でも陽光の下でも。
眩く面映い記憶の欠片。
'往年'の姿を象った理由は分からず。
訪れる者達を迎える。]
残して捨てるくらいならね。
捨てるくらいなら俺が食べるよ。
[さめるものだとしても]
…………。
[視線を逸らして黙り込む、肯定。]
[――そういえば]
わたし、まだ食べてない
わたしのぶん、食べちゃだめだから
[まだ、手をつけていなかった。
早めに食べなくては、と思う]
……ジュリエットには、
ロミオがいるから
彼女たちは、結局
川の上でいっしょにになれたわね。
……素敵よね。
[ともに老いることすらできぬ夢の様な誰かを、思い出しつつ。
そして自分のその人は、もうここにはきっと来ないのだ]
何時か共になろうとも、
ジュリエットには、長く生きて幸せにあって欲しいとも思えるがね。
・・・・・・。
[素敵よねと紡ぐ言葉に思うところがあるのか踏み込みはせずに。]
そうだね。
俺は、荷物を降ろしながらゆっくりと来て欲しいと思っている。
[眩しそうにジルを盗み見た。
透き通るような微笑みを浮かべて。]
荷物―――
きっとあのひとには、荷物がいっぱい過ぎたのね。
[ヴェルナーの笑みを見て、自分も薄く微笑んだ]
[どれくらい昔だったか。この洋館に迷い込み、訪れてくれたひとのことを思い出す。心を奪われたのは自分だけで、いつかその人は来なくなってしまった]
[たんに、渡り鳥の休むひとつの梢だったにすぎなくて――]
…ふふ。
きっとジルはだいじょうぶ。
順番を間違えたりは、しないわ。
・・・・・・。
[ベルの言う通りジルが間違えることはない。
だから、返す言葉は要らなかった。]
ああ、そうだね。
君も、君の想う人とも、
何時か大きな流れのなかで逢えると良い。
[遠い時を見るように笑みは限りなく透き通る。]
[ヴェルナーにただうなずきを返した後、
おどけて]
…大丈夫。
―――――わたし、切り替えは早いの?
[暗に、それはすでに過去と言わんばかりにウインクした**]
流石はお姫様その2というか。
やれやれ。
俺は君には敵わないだろうな。
[話を切り上げるように肩を竦めくすりと微笑んだ。*]
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