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―真夜中―
[娘はゆっくりと目を覚ますと身体を起こした。
未だ疲れているのか、ぼーっとしている。
何も映していないその目は、血のように赤い色。]
……
[昔聞いた『赤ずきん』の裏話。
誰に聞いたのか忘れてしまったけど、そんな話があったはず。
ぼーっとしたまま娘は、ノイズ混じりの声で呟く。]
……オ腹、スイタァ……
[外へ出ようと立ち上がり、扉に手を掛ける。
しかし昨夜、嵐対策にと自らが扉に板を打った。
ガチャガチャとドアノブを動かすが、開くことはなく。
やがて諦めるように手を離せば、再びベッドの中へ。]
……オ腹、スイタナァ……
[寝てしまえば空腹を忘れられるだろうか。
そう思った娘は再び眠りの中へ……――。]
[日々、失っていく視力。
代わりに他の感覚は鋭くなった。
ほら、目を綴じれば声が聴こえてくる。
人ならざるものの本能が騒ぎ出すのを感じ取った。]
/*
どうも、弾かれ狂人です()
設定の擦り合わせをお願いしたく、
少しだけPLにて失礼致します。
クララが声を聴こえ始めたのは最近の予定です。
パメラと出会った頃はパメラが他の人と違う、と分かったぐらいでしょう。
パメラがクララが狂人だと気付く時期はどうぞご自由に。
もしも、赤ずきんの話しをした誰かに拘りがなければ、
その誰か、クララ立候補しても良いですか?
設定があるのなら断って下さって構いません。
/* あ、3年前は会ってないですねwあかんw
ううん、ちょっと時系列を調整は難しいので諦めます。ごめんなさい!
代わりに絵本などを使ってパメラちゃんのストーリーに絡めたらいいな、と思います。
パメラちゃんの設定は了解しました。
それでは改めて宜しくお願いします。
[食べながら昔話を思い出す。
確かあれは小さい頃に聞いたお話。
それまで童話や昔話などを聞いたことがなかった娘にとって、聞かされたその話とても新鮮に感じたのを覚えている。
でも誰に聞いたのだっけ?
両親なら小さい頃にもっと聞いたことがあるはず。
しかし娘の幼い頃の記憶の中には、赤ずきんの話しか聞いた覚えがなかった。]
[娘は覚えていなかった。
人狼は"外"ではなく"中"にいたことを。
打ち付けてあった板のお陰で、"中"にいた人狼が外へ出なかったことを。
遥か昔に母親の手によって掛けられた封印のお陰で。
自分が化物≪人狼≫であることに気付いていない。]
―真夜中―
[ぱちりと赤い目を覚ますと、ゆっくりと起き上がる。]
…………オ腹、スイタア……
[嵐が来る前に取った"食事"。
浜辺に捨てた漁師の味は今まで感じたことがないと思えるほど美味だった。]
オ腹、スイタヨォ……
[またあの味を。
そう欲した娘は扉に手をかける。
今日は昨日と違い、すんなり扉は開いた。
そのまま外へ出る。
行く先は娘の家から一番近い、ゲルトの家。]
「……パメラ? どうしたのこんな夜遅くに……」
[そう言いながらゲルトは1つ、大きな欠伸をした。]
オ腹、スイタノ……
[娘は一言そう言った。]
「そりゃ難儀。でもわざわざぼくの所に来なくても……」
[そう答えたゲルトは此方を見ると目を大きく見開いた。
次の瞬間、叫びながら娘を突飛ばし、林の方へ逃げ出した。]
待ッテ……
[娘はその後を追う。]
ネエ、待ッテ。
[ぼーっとした顔で必死に逃げるゲルトの後を追う。
ゲルトは此方を振り向く。その顔には恐怖の色が宿っていたか。]
逃ゲナイデ
[来るな!と叫ぶゲルト。
するとゲルトは木の根に躓いた。
起き上がろうともたついている間に距離を縮め、やがてゲルトの目の前に立つ。
此方を見たゲルトは恐怖に目を見開いていた。
娘は右手を振り上げる。
するとその手は人の手から、その身体にはおよそ似つかわしくない大きな、獣の手へと変貌する。]
「ひっ……あ、う、うわああああああああ!!!」
[叫ぶゲルトの頭へ、娘は右手を力強く降り下ろした。]
[倒れたたゲルト≪獲物≫をぼーっと見つめ、動かなくなったのを確認すると、娘は四つん這いになり口をゲルトの喉元へ。
口を開き、首筋に犬歯を立てると、そのまま食事を始めた。
やがてお腹が満たされると立ち上がり、フラフラと家の方へ歩き出した。]
―10年前:人狼視点―
[緑の服を着た男は海の側で待っていた。
嵐は過ぎたとはいえ、未だ雨風は強い。
だが飛ばされない程度だ。何とかなるだろう。
そう思って呼び出したのだ。]
「お待たせしました、何かご用でしょうか?アルビンさん」
[後ろから声が聞こえ、振り返ると小さな同胞の母親の姿。]
「…まさか、本当に来るとは思いませんでた」
[そう言いながらフッと鼻で笑った。
まあ、呼び出したのは自分なのだが。
訝しげに此方を見る女の視線に気付くと、アルビンは真っ直ぐ見詰めた。]
「騒ぎを起こしたくありません。単刀直入に言いましょう。
娘さんを迎えに来ました」
[何のことだかわかりますよね?
女の顔は恐怖でひきつっていた。が、それに構わずアルビンは続ける。]
「迎えに来たのはいいんですがねえ…。
誰かさんが術をかけてしまったらしく、今のままでは同胞として迎えられないんですよねぇ…」
[そこまで言うと、アルビンはにっこり笑って女に尋ねた。]
「あの術、解いてもらえませんかね?」
[術さえ解いてくれれば危害は加えません。そう付け加えて。
しかし返ってきた返事はNOだった。]
「うちの娘を人狼として引き渡す訳にはいかない」
[そう気丈に答えて見せた。
アルビンは真顔に戻ると溜め息を吐き、右手を横に伸ばした。]
「……仕方ありませんね」
[右手は段々変化していき、やがて大きな獣の手へ。
それを見た女が息を飲むのとアルビンが間を詰めるの。
どちらが早かっただろうか。
アルビンはその手を女の心臓目掛けて突き刺した。
温かい液体が手を染める。
足で身体を押さえ、手を引っこ抜くと女はそのまま後ろへ倒れ、荒れ狂う波に浚われた。]
「大人しく頷けば、死なずに済んだものを…」
[そう呟くと、もう一人が迎えに行っているだろう同胞の元へと足を進めた。]
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