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― 玄関 ―
『いたいた、めりーさん。』
『でもどうする? 人間がいるよ。』
『綿飴とでもすり替えておけばいいよ。』
『人間たちがめりーさんから目を離した隙に……』
妖精さん、何やら悪巧みをしている模様。
その背後で天使が慌てているけれど、妖精さんを止めるには、力が弱すぎるみたい。
たいへんたいへん、たいへんだ。
夜が訪れると同時、玄関で寝ていたはずのめりーさんが、綿飴細工の羊にすり替えられてしまった!
しかもかなり精巧に作られており、一見すると綿飴とはわからない。
― お菓子の森 ―
『うまくいったね。』
『めりーさんに触れないと、人間たちは元の世界に帰れない。』
『だからずーっとここに居てもらえるよ!』
未だすやすや眠り続けるめりーさんを、妖精は家から離れた森の中へと隠す。
ここはロールケーキの幹とアイスクリーム・コーンの枝、ドーナツやキャンディの実からなる木々が茂るお菓子の樹海。
たとえめりーさんが目覚めても、そう簡単に家には戻れない。
また、人の足で探し当てる事も難しいだろう。
『じゃあ、人間たちと遊びに行こうか。』
『何して遊ぼうか?』
『楽しみだなぁ。』
妖精たちは無茶ぶりする気満々。
お菓子の家へ戻っていく妖精たちの後ろ姿を、天使たちはどうしようどうしようと慌てるばかり。
『人間に助けを求めるしかないよ。』
『でも、気づいてもらえないよ。』
『一度にたくさんの人間に呼びかけても、僕らの声は散ってしまって届かない。だから、一人だけに声をかけよう。』
そうしよう、そうしよう。
眠り続けるめりーさんの真上で、天使たちは頷き合う。
『めりーさん、ごめんね。少しだけ待ってて。』
必ず助けるから、そう告げて天使たちは妖精たちの後を追うようにお菓子の家へ向かった**
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