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天上の苗床は、穏やかな陽光に包まれ、常に吹く風は柔らかなそよ風のみ、故にそこに育つ花苗は、冷たき風も闇夜の恐ろしさも知る事はない。
その穏やかな時の中、数千年を眠りの内に過ごす花苗がひとつ。
ある時、天の陽気が一際強く花苗に届き、長き眠りの終わりを促した。
ゆるりと目覚めの前の伸びをするように、花が蕾をもたげた、その、刹那
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天地を治める天帝の座す天上宮。
その宮の花園には、常時、美しくまた珍しい天の花々が咲き乱れ、その香りの途切れる事は無い。
その花園に献上される花苗は、花仙と花守人によって天上宮に程近い清らかな苗床で育てられていたが、ある日、その苗床から天帝にひとつの奏上が為された。
「天星仙花に開花の兆し有り」
かくて、数千年に一度しか咲かぬ吉兆の花の開花に合わせ、祝宴と祭儀を執り行うとの報せが天上宮より四神四瑞を含む神仙の元へと届けられ、天の都は久方の祝祭の華やぎに包まれる。
しかし......
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