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―― Berthilde Nykvist――
[ ――13年前のあの日。
月と星の光を浴び、輝く鈍色の獣となった父の姿を、最初の最後に見た時。
私の中に最初に芽生えた感想は「きれい」だったのです。
人狼の恐ろしさなど何も知らなかった無邪気な子供だった私は、お父さん――きれいな狼に近寄ろうとしたのです。]
お父さん、そんなこと出来るんだね。すごい!
[一方、隣にいた母は何も知らない私に「逃げなさい!」と金切り声を上げ。
目の前のお父さんを、まるで化け物を見るような目つきで睨んでいたのです。
しかも、包丁を持って。]
(どうして包丁を持ってるの? どうしてそんな怖い顔してるの?
あの狼、お父さんなんでしょう?
――あれ? お母さん、もしかして、泣いてる……?)
[母は既に父に全てを宣告されていたのです>>+38。
既に人としての意識を失い、血肉を求める獣と化した父は興味を示した私の方を向くや否や、信じられない速さで私の目の前まで距離を詰め、月光に照らされ輝く爪を振りかざしたのです。
私は、何が起こったのか全く理解できなかったのです。
月下に舞う狼の姿はまるでCGを見ているように美しく。
気が付くと、目の前に母が居て。
私の視界は、父により噛み切られた母の深緋と欠片、母が包丁で切りつけた父の深緋で染め上げられました。
声を出す間もなく、次の瞬間には狼が、自らの首筋を刃のような爪で切り裂き、更には深部にまで食い込ませていたのです。]
[事件が起こる数日前に父が言っていたことが、記憶の底から蘇りました。]
「ベル……。俺は、また仕事でしばらく居なくなる。
俺が居ない間、母さんと強く生きていけよ。
……偶にで良い。俺のような父親が居たことを、思い出してくれれば嬉しい。
何もしてやれなかった父親だったが。
俺は、母さんとベルと一緒に居られて、幸せだったぞ。
母さんやベルも、そう思っていてくれたのなら、嬉しい。」
[父はこの後、私を痛いほどの力で抱きしめたのです。
何も知らなかった私は「お父さん、痛い、やめて」と言っていたことを覚えています。
父が仕事で長期間不在にするのは寂しいですが、お仕事なら仕方ない。そう思っていました。
大好きな父が不在なのは寂しかったですが、母が居てくれるから大丈夫、と。
この時、父が何故今生の別れのような言い回しをしていたのか。
その意味に気付くのはもう少し先のことでした。]
[――父は、真実を知ってから一人で死ぬ覚悟を決めていたのです。
本当は、自覚した段階で早々に死ぬべきだと思っていた。
同時に少しでも長い間家族共に在りたい、今ある幸せを失いたくないという葛藤に苛まれ。
眼前の幸せ――欲望――を追求した結果、父は母と共に命を散らせ、残された幼い一人娘は、十年以上経っても消えない大きな心の傷を植えつけられたのです。*]
―― Berthilde Östholm――
[この後、私は母の姉である伯母さん夫妻に引き取られ、姓がニークヴェストからエストホルムへと変わったのです。
私は事件後当然のように鬱ぎ込み、暫く引き篭っていました。
――父も母も死んだなんて認めたくない。
でも父も母も、当然私の前に姿を現すことは二度と無かったのです。
エストホルム夫妻は、父と母の詳しい死因は知りません。父が人狼だったということも。
私ですら、誰があの凄惨な現場を誰が発見したのか覚えていないのですから。
ただ、「私達に何かあったらベルを頼む」と母から伝えていただけ。
――母も、覚悟を決めていたのです。
伯母さん夫妻には子どもが無く、私は実の娘のように可愛がられ育てられました。
本当に亀の歩みでしたが、徐々に私も普通の生活を送れるまでに回復できるようにはなれました。]
[月と星が綺麗な夜空を見ると、父を思い出すのです。
長い出向から帰ってきて、話を聞かせてくれたこと。
その時交わした約束。
「今度、ベルを船に乗せてやろう。
羊や兎や猫もいるから、きっと楽しめると思うぞ。」
[私の夢は、かつて父が勤務していたシルバー・メリー号で働くことでした。
願わくば、父が所属していた第一エリア管理部門開発部の所属となること。
20歳になり、私の夢は一部ですが叶ったのです。>>0:7
しかも父が滞在したネオ・カナンへ向かうと聞き、夢の一部がまたしても叶うこととなったのです。
あまりにも嬉しすぎる奇跡の連鎖。
あの時の私は、夢と希望に満ち溢れていました。]
──── 資料室 ────(5d)
[笑顔も、仕草も、全部作り物。
何となくそんな気がしていた。
────これが、本性。誤解?私が?人狼とタイガさんが別だと考えたかったと?………そんな事はない!私は、あなたが許せない……!
今私の目の前にいるのは、無表情な男性。(>>+9)
凍りつくような冷たい視線に怖気付きそうになる。
ぐっと奥歯を噛み締め自分を奮い立たせた。
その視線から逃れるように目を伏せる。]
………いいえ、もういいです。
あなたは、人じゃない。それはよくわかりました。
気持ちがないなら謝らなくていいです。
そんなんで謝っても誤った内に入りませんから。
………その目、誰にも向けて欲しくない…です。
["誰にも会わないでほしい"と言ったところで人狼は聞かないだろう。
だからせめてその目を見せるなと言いたくて。
悔しいかった。
よくわからないけどとても悔しくて、腹が立って泣いてしまいそう。
────どうしても目の前の人狼が発する言葉に自虐的な意味を見てしまって。
いや、そんな筈はない。
彼はそのまま本心を言っているのだから。
そう、私は期待なんて、最初からしていない。]
[私の問いに人狼は"さぁ?"と。
その仕草にさえ腹が立った。]
そう、ですか。
[苛立ちを隠すため、静かに言い放ってその場を離れた。]
―第二エリア:イレックス―
[店の看板を見ながらはあ、と大げさに溜息を吐いた後、道具を一切持っていなかった男は一先ずの修理道具を手に入れるために自分の店に足を踏み入れた。
さすがに壊れたドロイド>>1:35は処分されたらしい。
なくなったドロイドの影を探すように見ていると、一体が体をすり抜けた。
ドロイドが幽霊である自分を認知するはずなどない。
そうはわかってはいたが、実際やられると少し寂しさを感じる。]
だーから、さっさと消えたかったのになー……。
[ぽつりと、呟いたこの言葉も。
きっと生きてる人には届かないんだろう。
さっさと未練をなくして消えてしまおう。
奥にある作業机へと進み、引き出しを見つめる。
もし、これが本当に未練ならば工具が引き出せるはず。謎の確信と共に引き出しの中へと手を突っ込んだ。
机をすり抜け、出て来たのは……――。]
……え?
[目的としていた工具ではなく、見覚えのある1冊のノートだった。]
……これじゃ、修理できねーっての。
[くしゃり、と顔を歪める。
ぺらりとページを捲り、中を見てみる。
予想通り、昔生物関連の話を書き留めていた、特に植物関連のものをまとめたノートだった。
ぱらぱらと懐かしむように、あるいは切なそうに捲っていた手を、ふと止めた。
開いたページにまとめられていたのは“モチノキ”]
『時の流れ』、か
[用は終わった、と言わんばかりにノートを閉じる。
“時の流れ”は過ぎれば決して元には戻らない。
唯一しか流れない“時(命)”を、時計で計ることによって大切にして欲しい。自分の思う通りに生きて欲しい。
そう願って
……あーあ。
[目元を片手で隠し、ゆっくりと床に座り込みながら溜息を吐いた。
信じたい、信じたいと願いながら、他人は愚か友人やシステム。
挙げ句の果てには自分自身すら信じることができなかった。
結局、店主自身が大切にできていない。]
― 回想・医務室 ―
(>>6:120、>>6:137の続き)
[立って話していると、カークとは随分な体格差があるとわかる。
身長差はざっと12センチ。
...のほうが大柄な相手を見上げる格好になった。
「こういうことを訊かれるのが嫌だったらすまんけど…」>>6:120
と気遣うカークに、
...は大丈夫ですという気持ちを伝えるべく微笑み、
両手を開いて爪を見せた。]
私もよくできていると思います。
センサー付きの義手の開発は地球時代の、
20世紀末にはかなり進められていましたが、
難しかったのは人工皮膚のほうで……。
いえ、ドクターなら貴方のほうがお詳しいでしょうね。
でも、私のこの外見にはモデルがあるのです。
この船に残った方はご存知なかったようですが……、
アンドロイドのジークムント・モデル、
別名アングラメル・モデルをご存知でしょうか。
私の外見はそれに似せて作られました。
そうですね、貴方はとんでもない
お人よしなのでしょう。
お人よしが過ぎると身を滅ぼしますよ。
……きっと君、すぐ"こっち"にきますね。
[ そうすれば、先ほど会話した女性と同じように
この青年とも話をすることができるのだろう。
ふと、そんなことを思い至る。
まだ「この人と話をしてみたい」なんて
そんな人らしい気持ちが残っているとは。]
[第2エリアにある資料館から第1エリアのNルームまでの道のりはそこそこある。
Nルームへと続く通路を進むノトカーの歩みは相変わらずゆっくりとしたもので、追うだけの己は他に何ができるわけでもない。
届かない返事をするのは、暇つぶしも兼ねてのことだった。]
何日前でしたっけ、随分前の事に感じますね。
もう数カ月、数年も昔のようですよ。
[まだ『人間』だった時、ほんの数日前を思うと不思議な気持ちになる。
"記憶"としては確かに残っているのに、自分が違う生き物になってしまった感覚。]
[『ガルー』に寄生されなければ、もしかしたら己も彼のように(>>5:80)人間らしくいられたのだろうか。
「そんなのは夢物語だよ(>>5:+26)」と言った彼女の言葉を思い出して、首を横に振る。]
この顔も、身体も、私のものではありません。
そのせいかもしれませんね、
自分の過去を全部忘れてしまったのは……。
ダンカン様は、私によく仰いました。
お前は騙されている、もっとしっかり確認しろ、と。
でも、私、ちゃんとインフォームド・コンセントを受けて
いますよ?
自分のことですから。
日々のメンテナンスは自分でしなければいけませんから…。
自分にどういう脳内物質が必要で、
脳に何を補給されているか、ちゃんと知っています。
だって、自走機能の付いた戦車にバグのありそうな危ないAIを搭載するわけがないでしょう?
私は安定していました。
行動の管理も確認も、記録装置を持たない一般の人よりはずっと細かくなされていたと思います。
このシルバー・メリー号に乗るまでは……。
だから、『ガルー』の寄生はこの船内で、だと考えているのです。
[微笑みながら説明する...に、カークからはどんな反応が返ってきただろう?]**
──── 医務室 ────
[ダーフィトを探してふわりふわり。
次は、医務室を覗いてみようと。
思えばこの姿になってからたくさんの時間が過ぎた。
だんだんと増えていく人。
同時に実体を持った人間は減って行った。
この世界が何なのか未だにわからない。
私が作ったのかもしれないという疑念は晴らせない。
────この世界に、終わりがないのなら。私はこの先もずっと世界を彷徨い続けるのかな?
医務室に入る。
もうそこには誰もいなかっただろう。少なくとも、実体のある人間は。
────ここでカークとハダリーさんと3人でいたんだよなぁ…
数日前の事だけど、大昔のようだ。
ベッドに横たわるように体を横にする。]
[どれだけその場に居ただろう。
半透明の躰が煙草に飽きる頃、
ダーフィトはふと、思い立って
自室の外へと咥え煙草で踏み出す。
何処へ行こうかというアテはないが、唯。
置いてきた彼らはどうなっただろうかと、
脳裡に過ぎったのだ。
自室から出れば、
自分を呼ぶ知らぬ声>>+64が聞こえて
ぽろりと口から煙草を落とす羽目になったが。]
[落とした煙草は床へ焦げ目をつけることもなく
空気の中へ溶け消えるように静かに形を失くし
自分の身が虚ろのものであることを
今一度再確認させたのだったが、
辺りを見渡しても、声の主は見つけられず
もう一度新しい煙草を口に咥えて眉を寄せた。]
なんだったんだ…?
[訝しむ声を投げても、返事はない。
自分を探しているものがいるとは
気づけないまま、ダーフィトは先へと歩を進めた。]
―メイン・サロン―
[恐らくは久しぶりに訪れたその場所で
ダーフィトは自らを殺したと口にする
人狼――シメオン>>132の告白を聞いた。
自らを殺したと宣う相手に対して
今となっては何の感傷も持つことはできず
メイン・サロンの中の椅子の一つに腰掛けて
何を口にするでもなく、行動するでもなく。
唯、サロン内の様子を見遣りながら
気を揉むように、時折奥歯を固く噛み締めていた。
シメオンが出て行った>>141のを見れば
後を追おうと立ち上がって、そこで。]
― 5d/Nルーム ―
そう、ですね。
ここまでありがとうございました。
[人工睡眠装置に横たわる己の死骸を見下ろし、
ノトカ―へと感謝の言葉を告げる。
もっとも、己の言葉など相手には伝わらないが。]
人を襲って、人に撃ち殺されて
『人狼』として死んだ俺ですが、
貴方のおかげで『人間』らしく終われますよ。
[こうして『人狼』としての意識がある以上、
やはり俺は『人間』には戻れないのだろうが
それでも人と同じように眠る己の亡骸を見ると
確かに、俺も『人間』だったのだと、感じた。]
あれ……なんか眠くなってきた…………
あはは、この姿でも眠くなるんだ……………
[ゆっくりと目を閉じる。
ここで起こったことを思い出しながら。
いつの間にか意識は────]*
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