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『…』
悪魔認定、という言葉を聞いて僅か 哀しそうにする
浅く息を吐いた
光を捧げる腕に、赤黒い染みが浮かび上がっていく
模様のように見えるそれは、
強く掴んで引き回された指の形の痕
手首の皮膚は赤く擦り切れ 血が滲み出す
大小の内出血の痣
盗賊達の、欲望という人の業をこの身で贖って出来たもの
怪我を覆って薄めていたのは人ならざる力
淡い緑のそれを注ぎ出すことで、
人に似た肉体は外傷の痕跡を顕に晒す
渡そうとするのはエーテル体の天使には活力であり
生命そのもの
属性を帯びない純粋なエネルギーの塊ならば
何者であれ、糧となり助けとなるだろうと考えて
…そ、そちらも大変でしたのね……。
[演技>>+13に気付くことがなかったのは、フェリクスの上手さとシメオンの深刻そうな様子>>+18を見てしまったからだ。
何だか触れてはいけない気がしたのもあるだろう。
シェイにせがまれ、悩むシメオンの一連の動作>>+22>>+23を黙って、探るように見つめた。
そしてある言葉を聴いたその時、首を傾げて。天使長とはその名の通り、天使たちの頂点に立つ者のこと。
長い間地上にいたとしても、天使長の顔を知らない者がいるのだろうか。]
…ああ、そうだ。貴方に名乗って頂いたのですから、私も名乗らなければいけませんわね。
私はシルキーと申しますの。
[天使長ということを言わなかったのは態とだ。
笑顔の裏に巡らせるのは強い警戒。優しい笑顔を見つめていると、何故か落ち着かない気分になる。]
ええ、協力していただけるのでしたら力添えくらい――……?
[言いかけて、シェイの行動に気付く。
けれど無暗に止めることも出来ないまま、その行く末をとりあえずは見守ることに決めた。
…勿論向こうが少しでも怪しい動きをしたなら、すぐに攻撃できるよう準備をしながら。]
― 地上・空中 ―
[暫くの間、羽を細めた状態で真直ぐに降下。
事故や襲撃があっての転落を想定した場合、行き来する道からはあまり外れないと計算してのこと。
姿はゆっくり、空へと溶け込み、天上世界からは見えなくなる。]
――この辺りでいいか。
[空気が完全に入れ替わり、視界に広がるの風景は地上界。
羽をばさりと大きく広げ、天使の気配を探る。]
[天使長を探している、という事実は
極一部の者しかしらない秘匿事項。
その為、あえて声なき声を用いて居場所を探ろうとする。]
[シェイが行方不明である事実は知らない為、自分の羽が反応を返す可能性にまでは思い至ってない。]
……。
[唐突に、シェイへ向けていた視線をあちこちへ向けやがて空へ移す。
自分の元へ届いた声なき声に反応したのだろう、少しすると彼に同じ方法を用いて居場所を伝える声を届けた。]
―――!!!
よかった……こちらに、居た……
[言葉が返ってきた。
これで、場所が特定できる。
体の向きを変え、全速力で草原を目指す。]
― 草原 ―
[気配を辿り、まっすぐに草原の上空まで到達。
大型の鳥のような姿が、緑の草原に影を落とす。
速度を優先させていた為、姿を隠す事はなく、誰もが視認できる状態。純白の翼を持つ人型は、どこから見ても天使以外の何者にも見えない姿。]
[周囲の様子を伺う様に、上空を大きく旋回した。]
能天使に渡された白い羽
そこから伝う声は聞こえてはいた
朧げに 響く聲
やがて草原に落ちた大きな翼の影
旋回するそれへ
天を仰ぎ見れば 眩しい光が網膜を焼いた
ふらつく
痛み
目の前のシメオンへ微笑んだ
両手で抱いた光を差し出すまま
歩み寄ろうと踏み出して
よろめく
膝から崩れ
沈むように 頽れていく
[目が覚めると、膝に重みを感じた。
それが此方へ無理やり連れてきた馬の頭だと知ると、ため息をつく。
起こさぬよう持ち上げてから立ち上がり、辺りを見渡した。]
一体此処は何処なのかしら。
[自分の前にいなくなった者が居るとは知らないが、流石に何人もが居る前から忽然と姿を消したら探しに来るだろうと考える。]
[動物の気配は感じられず、葉の音がこすれ合う音のみが届いてくる。
近くを散策して使えそうな木や葉、つるを集めながら思う。]
地上の生活も悪くないけれど、私はこっちでは殉教者…
死人、だからね。
[自らの死に際を、今でも目を閉じれば鮮明に思い出すことができる。
だがすぐに思考を切り替えて、集めたものを泉のほとりへと持ち帰った。]
まあ、これだけあればできるわよね。
[枯れ木の中でも幅が広いものを選び、そして頑丈かつ長くて細い枝を一本。
枯草をかき集めて山盛りにし、その上に幅広の木を置いた。
そして棒状の枝を押しつけて―]
……どりゃああああああああ!!!!!!!!!!
うりゃあああああああああ!!!!!!!!
こんちくしょーめーえええええ!!!!!!!
―ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ!!
[棒を両手で挟むと勢いよく前後へ回転させる。
気合をいれないと掌が痛くてたまらない位の強さと速さだ。
そこには聖女の面影などなく、ただ自然環境の中生き延びようとする一人の女の姿があった。]
あのいけすかねークソ天使め!
私の話聞けっての!
人が下手に出てれば調子づきやがってー!
乙女の肌に痣つけるたぁいい度胸だわ!
今度会ったら牢にぶちこんでやるー!!
[堪ってた鬱憤を晴らすべく叫びながらも手は休めない。
むしろ板は敵だ。敵なんだ。敵に穴を開けるのは道理に敵うんだ。]
っはぁ…
[最初はただ板が削れるだけだったが、暫くして黒く染まり始める。
そして僅かな煙が立つのを見逃さず、それを枯草のほうに落とした。
削りかすに枯草をかけ手で覆い、丁寧に丁寧に息を吹きかける―]
―パチ、
―ぱちぱち……
[火が、点る。]
[後はあらかじめ組んでおいた枯れ枝と枯れ葉の山に突っ込むだけだ。
細く長い煙が、天へと昇っていく。
そして焚き火の周囲はほんのり明るく、そして暖かくなった。
人は灯りがあるだけでかなりの精神的安楽を得ることができる。
それと同時に煙を頼りに迎えの天使が来ることも期待できた。]
はー、汗かいた。
[そこまで終えるとおもむろに服を脱ぐ。泉の綺麗な水で揉み洗いをすると、近くの木の枝に掛けた。
そのまま泉の中へと身を沈めた。
少しくらい離れても火は途絶えないだろう。]
[リボンを解き長い髪の先が浸る程の深さがある場所まで進むと、水面へと視線を落とす。
木の葉の間から僅かに顔を出している月が、浮かんでいた。]
ああ、だから静かだったのね…。
[天界では時間の概念がなく、眠りたいときに眠っていたから。感覚が掴めなかった。
両手で月を掬う。
けれど指を広げたら、泉の水面へと零れてしまった。]
[真っ直ぐにこちらへ降りてくる彼>>+44に、ほっとしたのか瞳に涙の膜が張る。
その刹那、視界の隅に捉えたのは膝から頽れていくシェイの姿>>+43。]
……シェイ…っ!?
[咄嗟に伸ばした手は届いたか。先ほどまで具合が悪そうには――違う、気付けなかっただけかもしれない。
何か悪しき術を使ったような気配も感じなかったが、もしや彼らが何かしたのかという疑惑が芽生える。
警戒が高まるのと同調するように、痛むことも気にせずに翼を出して。
そうした瞬間、シェイが両手で抱いている光に気付いて内心で首を傾げながら]
…どう、しましたの?
[手が届いても届かなくとも、不安げな顔でそう問いかけるだろう。]
[オクタヴィアが幼い頃に体験した一連の出来事は、信仰心のみならず彼女の在り方まで影響を及ぼした。
村人に助けられてから彼女が学んだのは、一人でも生きて行く術だった。
孤児はこの時代珍しくもなく、教会である程度大人になるまで養育されるものであるが、それから先は自分の力で生きていかねばならない。
主に祈りを捧げるだけでは腹は膨れない。自らの手で、主から恵まれし品々を糧とし生きていかねばならない。
だから修道女に止められても、彼女たちの手伝いを率先して行い、生活の知恵のみならずさまざまな知識を得た。
先程の火起こしも、道具に頼らず生き抜く術として学んだうちの一つ。
いつまた戦火に巻き込まれ、身体ひとつで野に投げ出されるかわからない。
また運よく生き延びられるとは限らない。
―オクタヴィアの幼少期は、常に死のイメージが背中に張り付いた鬱々としたものだったが、そのおかげか心も体も逞しく育った。]
懐かしいわね…。
いじめっこをお手製の弓矢で追い払った時は、偉く怒られたものだわ…。
[自分を不幸だと思ったことはなかった。
親に愛され、恵まれた生活をする子供をうらやむことはなかった。
むしろ私は様々な機会に恵まれたのだ。
そして主の意志を、愛を、身近に感じることができた。
いっそ誇らしく思ったものだ。]
[そうして少女時代を終えたオクタヴィアは、教会から出て一人旅を始めた。
得た信仰心や知識を行く先々で伝え、あるいは新たな知識を身に着けていった。
無知は決して罪ではない。
知る喜びを、自らの手で未来を切り開く素晴らしさをもっと広めたいと考えた。
荒んだ人々の心に豊かさを取り戻させ、主の愛を身近に感じさせる。
あの日生き延びた自分がすべきことを見つけた彼女は、活き活きとしながら大陸中を旅して回った。]
[いつしか彼女は聖女と呼ばれるようになった。
いくら金を積まれても、どこの国にも軍にも属することなく。
救いが必要な者すべてに、分け隔てなく接し、不埒な者には毅然とした態度で立ち向かった。
野生味あふれる本性を隠す穏やかな笑みは、旅の中で身に着けた。
女に母性を求める者は少なくなく、オクタヴィア自身も亡き母に自らを重ねた部分もあったかもしれない。]
…ま、誰も見てないし…。
[ざっぱーんと水しぶきを上げながら泉に潜ってはしゃぐ。
…つまるところ、こちらが素であった。*]
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