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[男は修道騎士であった頃の彼を知らない。
擦れ違っただけで、言葉すら交わさなかった。
その瞳すら、見ようとしなかった。
世界は敵であるかどうかだけで回っていて、それが当然であったのだ。
誰かへ情を向けるのは、自身に痛みを齎すのと同義だったから。]
……っ、
[彼>>118の心が悲鳴をあげているのに、その苦しみを心から理解することができない。
後悔はしていないけれど、今この瞬間だけは、過去の自分を憎みそうになった。]
それでも、貴方が吸血鬼にならなければ良かったとは、どうしても思えないのです。
[己が血を糧として分け与え、願いを託し、未来を願った、唯一の。
バルタザールが人であったなら、永遠に交わることのなかった世界。
それは、彼が相対するソマリとの関係によく似ていた。]
ふたりは少し、似ている気がします。
[出逢ったことを、後悔も否定もしたくない。
だから今の彼も"バルタザール"であると、そう思うのだ。
心が軋む痛みを堪えながら、震える身体でそっと微笑む。]
貴方の親は、きっとそれを望んだのではないのでしょうけれど。
[バルタザールの身を顧みず、ギィを生かすための道具のように熱かった己とは違い、ギィは彼自身を見つめ、ただ求めた。
だからせめて、彼と血の親の間に、心通わす時間があることを願う。
頭の中には、彼の精神が軋む音が響いていた。]
嗚呼、どうか、少しでも苦しまないで。
[そんな資格などないけれど、今だけはバルタザールという存在そのものの為に祈る。
叫び>>120に呼応するように瞼が震え、そして彼を見つめ続けた。
決して目は逸らさない。
たとえ終わりが来ようとも、その姿を目に焼き付けようと、黒はすべてを映す。]
[ソマリ>>143の心が葛藤し、それでも尚前を向く姿に、悲哀と安堵に満ちた表情を浮かべた。]
命尽きる前に、貴方と言葉を交わせたことを誇りに思います。
ソマリ――貴方は間違いなく、優しい方ですよ。
[人間だとか魔族だとか、そういったことをすべて取っ払って、彼そのものを賞賛する。
心の揺れは届いても、細かい言葉や彼らの過去は分からない。
それでも、二人の間にある絆は、間違いなく美しいものだと思えたから。]
……。
[届かないとしても、二人に今、かける言葉はなかった。必要ないと思った。
だからただ胸に手を当て、静かに祈る。
神など信じない。誰も信じない。
だから、己の心に願う。
二人の傷が、彼らの心をどうか、壊さぬように。]
[鼓動を止めた左胸に触れた手は、今は姿の見えぬギィ>>139の動きと重なった。
その瞬間、彼の声>>140が届く。]
私は、私の思うままに行動しました。
貴方への恩返しといいながら、結局は自己満足なのでしょう。
だから貴方が責を負う必要はどこにもない。
[届かぬ言葉、無駄だと思っても唇は音色を紡ぐ。]
貴方は貴方の為に生きればいいのです。
枷をつけたのは …――私、なのでしょうか。
[似たような言葉をギィ>>4:+38が零したとは知らず、悲しげに目を伏せた。
止めたくとも、届かない。手も、声も、何もかも。]
分かっていたはずなのに、目を逸らしていた私が愚かなのでしょうね。
……本当に、兄弟そろってお馬鹿さん、です。
[ギィとヴィンセント>>154、二人の熱が掌に重なったような気がして拳を握りしめるも、感触も体温も返ってこない。
彼らと己の世界は、完全に別のものだと知らしめるように。]
"あなた、お花が好きなの?"
[届かぬ声、聞こえるだけの心、触れられぬ掌。
悲しみに塗りつぶされそうな心へ、柔らかな声が降り注いだ。]
"これはねー、元気の出る魔法なんだよ!"
[記憶にない少女。
けれど受け継いできた血が、ざわりと騒いだ。]
"怪我しても、お花が咲いたら楽しい気持ちになるでしょ?"
[遠い昔交わした、小さな友人との約束。
知らないはずなのに、理解できてしまった。]
"いつか大切な人ができたときに、喜んで貰えたらいいなって!"
[ただ、幸せな夢を抱いて生まれた、お
― 空洞 ―
ん?
[ゆっくりと見上げれば、光が見えた。
命の光が今もまだ戦を行っている。思ったより時間は経っていないと思えばよいのだろう。]
長居はしたくはないものだ。
[あの光に惹かれてしまう。生きたい。とともに願ったものと友に在りたくなってしまう]
貴方も、彼も、彼女も――そして、私も。
揃いも揃って、大馬鹿者ばかりですねぇ。
[この城に集った皆の顔を思い浮かべ、乾いた笑いを漏らした。
今現在の景色が、走馬灯のように流れる。
傷ついて、傷ついて、己の信じるもののために戦っているというのに、誰もが皆、悲しい顔をしていた。]
笑って欲しいと願うのは、既に去った者のエゴなのでしょう。
[右腕を失った聖将と灰に消える騎士。
二人を見下ろしながらぽつり、宙から雨が一粒落ちた。]
[願うばかりではなく、自身も笑ってはみたが、ぎこちない表情しか浮かべられなかった。
傷のなくなった両の手で頬に触れ、ぐにぐにと筋肉をほぐす。]
無理な笑顔は逆によくありませんね。
それも願いに付け加えておきましょう。
[殻が消えたからといって、性格が180°変わる訳ではない。
普段通り自分勝手な理論を振り翳して、後はただ、何を言わずに見守るだけだ。]
―回想:ジークムントと―
『あれは苦くて苦手だが
君の血は甘く好ましいものだった。』
[>>41ジークムントにそう聞かされれば、虚を突かれた男は思わず目を剥いた。
好ましいと真顔で言ってみせるこの男は、ひどく恥ずかしい奴だと思った。
惨事を送られた血親と反応が違うのは性差だろうか。
――いや、俺は仮に女だったとしも顔を蕩けさせたりはしない。]
――…っ!
は、それはあれこれ口にしてない所為だろう。
色々と口にしてみれば分かる。
俺のも他のと同じだ。
[髪を再び引けば、「禿げる」と不満を零され、男は声を立てて笑った。
流麗な顔立ちの彼の口からそんな言葉がもたらされるなんて予想していなくて。
――その時には、自分が彼との間に壁も作っていなかった事に男は気付かないまま。]
―現在―
[聖なる炎は未だ激しく燃えさかっていただろうか。
それとも魔の者を一人道連れにし、鎮火に至っていただろうか。
男は黙って部屋の方を見やる。
恐らく幼馴染の身体は影も形もなくなってしまったのだろう。
触れる事は出来ないと知ったのに、それが酷く惜しい。]
……。
[男は目を閉じて気配を探る。
自分と同じく彷徨っている者は他にいるのだろうかと。]
[だが]
もっと…高くて広いとこに立って、美味い空気でも吸って一緒にいてみたかったな。
[魔に対して、吸血鬼に対しての憎しみをもっていたオズワルド
闘争こそが全てとでもいうクレステッド。
教会の教えに忠実に準じているバルタザール
貴族の責務を全うしようとその型の中で生きるソマリ。
聖女として生きる以外の道を作られなかったユーリエ。
暗幕に包まれたまま神の子として育てられていたアデル。
どいつもこいつも、一つのことに縛られていた低く狭い場所にいた。]
[こんな出会いではなければどうなったのだろうな。
己の仲間だったものたちも。
仲間がいるのを羨ましいといった吸血鬼や、血子を駒と称したら表情をゆがめていたあの女吸血鬼も。
幼馴染ではなく、想像するしかない存在との関係をうまく言葉として言い表すことはできそうにない]
俺と、リエと…後は誰だ?
こうなっちまったからか、どっちだかも分からねぇ。
少しはあっちの戦力も削れてりゃいいんだが。
……。
[そこまで言って、男は口を閉ざす。]
…あー…、俺は
[両手で白銀の頭をくしゃりとかき混ぜ、
すっかり吸血鬼側の思考に立っている自分に苦い笑みが浮かぶ。
吸血鬼と、人間。
共に在れぬのならばこの戦いはまだ続くのだろう。そして他にも犠牲が出る。
――その間に血親が失われない事を祈る。]
[二つの気配が、こちら側で目覚め始めたことに気づく。
もう一つ気配はあるようだが、その姿はどこにあるか分からない。
魔力も
しかし城を見通して、まだ目にしていない、見知った影は三つ。]
前庭の彼とシメオン、レディ・シュトラウス。
レディはきっと、彼が守ったでしょうね。
あれは、心を許したからこそ向けられる目だと思いますから。
[既に遠い過去になりつつある日常の一片>>0:237を思い出して、小さく笑みを零す。
今はただ、新たにやってくる命を、あの時と同じ形容し難い感情と共に待っていた。]
[同時に距離を詰める悪魔の像のような形をする影。振り下ろす拳を半身を反らして避けた。]
はは…馬鹿力だな
[伸ばされた腕に刃を突き立てる。それを軸にして逸らした半身を今度は逆にして捻りながら、顔面めがけてガントレットから生える刃できりあげる]
[もう一つの行方知れぬ気配が、もう一人だとしたら、そんな不安に襲われていたところに、踊る赤>>205が映る。]
ギィ。
[阻むもののなくなった唇は、ただ彼の名を呼ぶ。
責める響きは欠片もなく、柔らかく見守るような声で。]
[斬り、突き。裂いて。
それをするほどに、飢えが満たされていくのを覚える。なくしていたものを取り戻す。
死して活力を覚えるという不可思議さを覚えながら]
[命を捨てた男にはもう、敵は存在しない。
残ったのはただ、生者への――己の心に生きている者たちへの祈りだけだ。]
……くそ。
[血親の姿を見て向き合う事になった気持ちに戸惑う。
そう出来るようになったのは、男が死んだからか。
それとも他人には聞こえぬ聲で幼馴染と束の間語らったからか。]
……反抗期かっつーの。26にもなって。
[憎しみのみだと思っていた血親に対する感情は、いつしか別の感情も混じっていて。
――それらを分かつことは不可能で。]
…死ぬな。
死ぬんじゃねぇぞ。
[守る事が出来ないのが悔しい。]
[幾重にも突き立て斬り重ねた刃は、影を浸食しつくす。]
どうせもう終わりなんだ。最後ぐらいは仲良く……なんて柄じゃないな。
[貫かれたのはソマリではなく、彼の剣だった。
黒の瞳が見開かれ、そしてそっと伏せられる。]
最期まで違わぬ姿勢に敬意を表します。
[命の灯火が消え行く様子が見えた。
これ以上憎しみの連鎖が生まれぬよう、音を止めた胸元を強く握り締める。]
もう誰にも、死んで欲しくはないのです。
[誰が為でもなく、己がそう思うから。
声は誰にも届くことなく、意識の世界へ溶けて行く。]
是も非もなく。滅しろ
[横薙ぎに振るった刃は、首を斬り落とし、振り上げた刃で胴体を真っ二つにする。
祈りではない十字をきって――自身に絡みついていた因縁を中に入れ込んだ]
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