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そりゃあありがたい。
[薬が役に立つ>>+21と聞けば、ホッとしたような声で言う。
治癒が早まるならそれに越したことはないのだ。
雷を喰らったと聞いて驚く様子には、また苦笑を浮かべて]
ああ、あいつが雷を使うとは知らなくてな。
向こうも雷撃が効くのに気付いたみたいで、何発も良いのを喰らっちまった。
[大きな溜息を一つついた。
尚、喩え雷属性だったと知っていても挑んでいたというのは置いておく]
ま、こっちがフルメイルだったからな。
刀じゃ効果が見込めないってんで、向こうも必死だったみたいだ。
俺も、あいつの攻撃を躱しながら当てるのは難しくてな。
[それで左手を盾にした、と言うのは負傷の偏り具合から見ても気付けよう]
無茶しないで勝てる相手じゃなかったよ。
[くぐもった声>>+22での言葉にはそんな風に返した。
10年前よりもついた筋肉、身体についた古傷。
戦い抜いて築き上げたものがヴェルナーの身体にはあった。
左腕から薬を塗られていく。
自分の手ではもう感じられぬ、柔らかい指の感触がそこにはあった。
右手が握り締められ、軋むような小さな音が鳴る]
[問いかけた言葉に返ったのは、肯定と、ゾフィヤ自身に対する驚き>>+23。
その言葉の意味は、何となく知れた]
そうか……。
俺も、取り乱されたりしなくて、正直ホッとしてる。
[薬を塗られながら、小さく笑う。
問い返された>>+24ものには少しだけ考えてから言葉を紡ぐ]
俺の気が治まるというか……。
ゾフィが、思い詰めたりしていなければいいと、そう思っていた。
俺がこんな姿になったのは自分のせいだ、なんて思ってなければいいと。
[この姿になった原因が、”あの日”にあるのは明確だったから*]
[もう子供ではないゾフィヤにとって、
戦いはもはやどこかスクリーンを隔てた遠くのできごとではない。
一体どんな戦いを繰り広げたのかヴェルから聞けば、>>+30
生返事でなく相槌をうつことができた。
相手も必死だったのだろう、とか、
躱しながら当てるなんてわたしには無理だよねえ、とか思いもした]
そっか、
無茶しなきゃってくらい、……頑張ってるんだ。
[この領域に足を踏み入れてからの話ってわけじゃなく、
10年前に引き裂かれてからずっと、必死に頑張ってる。
それだけの時の重みを、返された言葉>>+31からなんとなく感じ取りながら、
10年分成長した身体と向き合っていた]
[もし取り乱していたならどこかへ去ろうとしていたし、>>+32
それこそ願いをかなえてもらうべく勝手に家出した時の二の舞だ。
だから取り乱さなくてよかったとは思っている。
ヴェルも「ホッとしてる」と言ってくれたし。
あとは……そう。
してほしいことがあるというならやってしまってもいい、
何の足しにもならないかもしれなくとも。
そのことすらも落ち着き払って、できれば笑って伝えられればいい、とも思っていたが]
…………わたしが、
そんな風に思ってなければいい、って、
[ヴェルからすれば背中越しにそんな穏やかならぬ声が聞こえたことだろう。
やがて彼の背にそっと手を当てると、声を聞かせる]
どうして? どうしてそんな風に言えるの?
こんな姿になってそれでもよかったの?
わたしは、痛かったよ。……痛くて怖かった。
どこかで、……どこか、で、ヴェルがわたしのことを責めて、羨んでるんじゃないかって。
ヴェルのことはよく知ってるくせにそんなこと思ってたんだよ。
わたしが、弱かったから、そうされたがってた……。
[脳裏をよぎるのは「ゾフィが羨ましい」と、そう言ったときのヴェルだ。
その時とも今の彼は、違う。
彼が抱えた時の重みは、行先が見つからず同じところを行ったり来たりの蓄積ではなく、
ちゃんとどこかに向けて進んでいるからこそのものだと、今さらになって思い至った]
会えてからも別のことが怖かった。
傭兵だし、わたしの知らないところだって出てくるし、
なんとなく遠くに感じてた……、遠くに行っちゃったら追いつけなさそうだって。
[今だ背中の後ろに隠れるような形で、右手を伸ばしてヴェルの右手にそっと触れた]
会えてよかった。
いっしょに戦おうって言ってくれて、嬉しかった。
……未来のことを考えなきゃいけないってわかってる。
でも、今だってどうしても思っちゃうんだよ、
願いが叶うなら…… わたしは、戻りたかったって……、
戦争が起こる前の父さん母さんもいて幸せだった頃に……ふたりで……、
[できることなら切ない涙は流したくなかったのに、止まらない。
だがどうしようもない。
帰り道がわからず夜の中で泣いた時みたいな、
途方に暮れたような眼差しを浮かべたまま**]
[ 温もりとはまた別種の香る風>>17が体の疲労を癒してゆく。
先ほどの仕合を夢に帰すかのようだ。
小さな人影が降りてきて、神魔の意図の一端を語る。>>61
鈴を鳴らすような可憐な声であった。
その無垢さはどこかクレステッドに通じるものがあると思った。
魁に天から授かった花とは異なり、少女の姿は留まることなく消えてしまう。
それもまた夢のような出来事だったが、
クレステッドの悲痛な叫びは、逃避を許さない認識を突きつけた。>>+27
彼が己を鞭打つ言葉を、頭を垂れて聞く。]
[ 彼がそんな自己評価をすることに胸を痛めつつも、
自らを傷つけて落ち込むばかりでないクレステッドの覚悟により一層惹かれた。
己が無力で無謀であるという気づきは、成長の証であろう。]
存分に悔しがり、自省した上で、
なおも折れることなきあなたを私は誇りに思います。
[ 差し出された手を取り、押しいただく。]
──私のすべてはあなたに捧げております。
そなたのまなざしは、私の支えだ。
思えばずっとそうだった。
成功も失敗も、そなたと分かち合ってきたな。
[彼に預けた手から震えが消えていく。
荒れた心が静まっていく。
幼いころから彼はいつも傍にいてくれた。
彼という鏡があればこそ、自分は自分を保てたのだ。
彼こそ、欠くべからざる己の一部なのだ。]
そうだ。
そなたを取り戻した時点で、私の願いは半ば叶ったようなもの。
残りは私自身の手で実現せねばならぬ。
そういうことなのだな。
私たちがここに導かれたのも、ここで敗れたことも、
すべては意味のあることであった。
貴重な機会を与えてくれたすべてに、感謝を。
[そなたにも、と視線に思いを込める。*]
[いくばくかの後、ローランドとリュカがやってくる。>>*20>>*22
二人とも服は汚れて傷も負っているようだが、大きな怪我はなさそうだ。]
二人とも見事な技だった。
私たちの完敗だったな。
そなたたちの戦い方には、大いに学ぶべきものがあった。
試練という形ではあったが、戦う機会を得たことに感謝しよう。
そして、二度の機会は来ないことを願っている。
そなたらとの対戦は骨が折れるからな。
私にとってもこの戦いは忘れ得ぬものであったし、こたびの出会いをこれきりのものとするのは惜しいと思っている。
次は是非、もっと穏やかな場所で会いたいものだ。
[二人の言葉に、晴れやかな笑顔で応じる。]
翡翠の巫女より祝福を頂けるとは、望外の幸運だ。
感謝する。
そなたらの願いが叶うことを、微力ながら私も祈ろう。
[巫女の祝福は、神妙に首を垂れて受ける。
しかしながら、二人からの薬は丁重に辞退した。]
私たちの試練はここで終わりだ。
幸いなことに私も彼も重篤な損傷はないから、少し休めば動ける程度にはなるだろう。
そなたらは、あと何度戦うかもわからぬのだ。
それは、そなたら自身のために使ってほしい。
[そうして、彼らが湖畔で他の対戦者を待つつもりと察すれば、退避させた馬を呼び戻し、その場を離れるようにゆっくりと移動を開始した。**]
[背に回ったゾフィヤの表情は見えない。
だから、その声>>+34が聞こえた時、どんな表情をしているかは分からなくて]
ゾフィ?
[背に手を添えての声にほんの少し、首を後ろへと巡らせた。
後ろが見えるように翼をぐっと下げる]
[どうして、と。
腕や足についてを問う声>>+35。
口に上る言葉は、ゾフィヤ自身を責めるような言葉だった]
俺にゾフィを責める理由なんてないぞ。
[そこだけは揺らがない、と言うように言い放つ]
この手足になって苦労はしたが、後悔はしていない。
ゾフィの身に何かあった方が、後悔しただろうよ。
[”あの日”を思い出しながら紡ぐ言葉。
ふ、と短く息を吐く]
手足を失ったのが俺で良かったと、そう思った。
あちこちを巡る夢を持っているお前が俺のようにならずに済んで良かった、と。
夢が奪われずに済んだことが、嬉しかった。
[勿論、あの後どうなったか分からなかったから、そう思えたのは再会してからだけれど。
心底感じたことを言葉にしていく]
失った手足も、見ての通りこうして自在に動かせる。
初めてこの義肢を動かした時、ようやく機鋼の属で良かったと思うことが出来たよ。
以前のままなら、きっとどこかで靄を抱えたままだったろうな。
[視線を一度自分の腕へと落とす。
温もりは一切消え、与えることも得ることも出来ないそれ。
それが寂しくはあるが、一度手足を失った身からすれば、自由に動かせるだけありがたいことなのだ。
再び顔を上げ、少しだけ後ろを振り返る]
俺はもう、自分を卑下して羨むことはしない。
だから、もう自分を責めるな、ゾフィ。
[願うように言葉を向けた]
[ゾフィヤが恐れていたのは、ヴェルナーが彼女を責めているかもしれないという不安だけではないらしい>>+36。
後ろからゾフィヤの右手が伸びてきて、ヴェルナーの右手へと触れる。
握り締めていた手を、少しだけ緩めた]
昔のように、か………。
[語られる願い>>+37に困ったような表情をする。
心はそう願っていても、現実では不可能であることを知っているからこその嘆きだった]
……ゾフィ……
[腰を少し上げ、身体を反転させてゾフィヤへと向き直る。
座った体勢のまま、身体を伸ばしてゾフィヤを腕の中へと引き寄せた。
再会した時と同じように、正面から抱き締める形。
右手をゾフィヤの背から頭へと伸ばし、何度か軽くぽんぽんと叩く]
戻れるものなら戻りたい、けど。
そうだろう?
[そのことは妹が一番よく知っているはずだ。
その身に宿す属故に]
………一つだけ、約束しよう。
必ず、ゾフィの下へ帰る、と。
いつになるかは、まだ分からないけど……。
[己にはまだ、やり遂げたいことが残っているから*]
[名を呼ぶ声にほんの僅か、背に触れる手に力がこもった。>>+45
背の翼は力なく下がって動いていない。
顔を見られたくないときに翼で隠す……というのは考えたこともなかった。
一方で後ろを振り向いて見るには少々邪魔な翼。
それをぐっと下げてからこっちを見ようとするしぐさには、
間違いなくかつての面影があった。そういうところは変わっていない、と思いもした]
(……そういえば、)
[少し前に見た、嬉しそうに表情を緩めたところにも、やっぱりかつての面影を重ねていた。
そうやって変わっていないところを探すのはそんなに難しいことじゃないのに、
どうしたって変わったところを嘆く気持ちの方が大きかった。
自分を責めたくなるる気持ちだって]
夢。わたしの、ゆめ……。
[語った夢も交わした約束も彼の中で色褪せてはいなくて。
だから、今、こうして心底喜んでいる。それが伝わってくる。
失った手足の代わりの鋼鉄の四肢を帯びることになっても、
ちゃんと、心から生きている、ことも、伝わる。
「機鋼の属で良かった」という言葉が聞こえれば小さく息を呑んだ。
かつては聞くことのなかった言葉だとはよく知っていた]
[だけど、ゾフィヤの中には後悔だけでなく未練もあった。
この手足になって、結果的に未来にも等しい何かを掴んだのだと、
最初からそう知らされていたとしても、
きっと、この未練ばっかりはどうにもならなかっただろう。
彼の表情は見えない。ただ声だけを聴いていた。>>+50
思わず「ごめん」と謝ろうとした時、彼がふと腰を浮かしたものだから反射的に固まった。
それからの出来事はゾフィヤにとっては一瞬だった。
抵抗することを選ぶ間もなく正面から抱きしめられる。
あやすような手つきで頭を撫でられ。
それでも涙は止まることがなかった]
っそ…… そんなことわかってるよお……。
[だから応える声もぐずりながらのものになった。>>+51
過ぎ去った刻の中に相手を導くことはできる。
戦いの中でそうしたように。
だが、それだって所詮は白昼夢のようなものだ。いずれは過ぎ去る。ただの過去に戻る]
本当に、……もどってくるんだよね?
[抱きしめられた体勢のまま顔を上げようとする。
泣きぬれた顔のまま、それでも笑っていた]
…………じゃあ、 わたしも、約束するよ。
もう……自分のことを責めたりしないって。
[彼が願った>>+49ままに、そうするのだ、と]
ありがとう、ね。……ヴェル。
[敗北した以上願いを叶える権利は互いにない。
それでも行く先を選ぶことはできそうな気がした
後悔と幼い頃に語った夢のカケラを抱えて、
振り子のように行きつ戻りつするのではなく――交わした約束を抱え、光射す方へ*]
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