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――……、まあいい。
死人の惚気を延々と聞かされるのも、面白くもなかろう。
[そう、話題を転じて]
どうだね――私は見ての通り、死んでいるが。
生きた人々の目には映らずに、諸々のことを聞き取れる。
この船を襲う陰謀の全貌を知ることだって、いまなら容易い。
私の言葉を世間に伝えてくれるのなら、
私はそれを調べて、きみに協力するだろう。
[どうかな――と、訊ねた。
それが無意味な問いとは、俯く彼の反応からは、まだ察せず*]
ーNルームー
[低温保存されたアデルの身体の残留思念には、多くの者の想いと、優しい声が感じられる。
自分の遺体を運んでくれたカレルは、ペンダントを元の雫に直してくれた。根拠はないけれど、彼は恐らく寄生されていない人間。彼とまた会うことがないことを祈り、お別れの挨拶をする。]
――“襲撃”のとき――
[いざ“人狼”と対峙してみると、
そこにあったのは、諦観であった。
本能的な警戒心が、最初表に出たものの、それも直ぐに消え失せて。
人を呼べなかったのも、最期に言ったことも、そこには諦観があった。
ああ、死ぬんだな、と、どこか他人事のように思った。
あっけない最期だったなとも、思った。
あの寒空の下から流れ着いた先のこの船で、やっぱりあっけなく、死ぬんだな、と。
諦観故の無感情。元々薄かった感情は、急速に冷えていく。
結局、何も守れなかった。
この手に乗せていたものは、自身の力が抜けると同時に、重力に従って落ちていく。
枷を失くした心で、素直にそうも思えたけれど。
無感情な心では、そこに何の感情も、生まれてこないまま。
ああ、でも、その大切な人>>3:383を守れるのならば、良いのだろうか。
その大切な人のことなど知らなかったけれど、
そんな自嘲の入った昏い想いも、頭の中を流れていった。
揺れた視界。
それに頭を抑えて、思わず立ち止まる。
気がつけば、もう“人狼”は目の前にいた。
振り下ろされる鋭い爪>>3:394を、虚ろな目で、見ていた。]
[だから頭の中、響いてきた声に、“言った”。
「 」と。
貴方を残して逝くことを。
生きることを、諦めてしまったことを。]
[衝撃で床に叩きつけられた身体は、急速に冷えていく。
熱は、降り注ぐように首から広がり逃げていく。
薄れゆく視界の中で、背を向ける“人狼”の姿が見えた>>3:395。
だんだん視界が霞んでいく。その中で頭に思い浮かべたのは、一匹とそして、一人の姿。]
“ごめんなさい、ミル”
“どこかで、幸せに”
[頭の中で思ったこと、それはクリーム色のもこもこに伝わっただろうか。
結局、“契約”を―――“約束”、を、最後まで守ることが出来なかった。
あのとき、助けられたときから、唯一の拠り所であった生物。
唯一の“つながり”だと思っていた生物。
きっとまだ自身の近くにいるだろうそれへ、病をあげられなくなってしまってごめんと、言った。
その別れにあったのは恐怖。その手に何もなくなった自分はどうなってしまうのかと。
感情を無くした心に、広がるのは恐怖。]
[そのとき頭の中に聞こえてきた“声”。
普段聞こえる“ミル”とは別の声。
それが伝えるのは感謝の言葉。
どうして、そんなに感謝をされているのか、わからなかった。
自身が、彼に何かできていただろうか。
しかしそれは、とても暖かで、優しい感情を、心にもたらした。
――本当は死にたくなかった。
ただアキレアとの“約束”を守るためだけに生きていた日々だったけれど。
今は、彼ともっと話がしたいと、彼のそばにいたいと。
そのために生きたいと、そう思っていたから。
その言葉に潜む走馬灯のような意味は理解できず
そしてもうひとつ、届いた言葉も]
―――――……
[もう声はでなかった。
驚いてそれから笑うように。
一人でないと、そう思った安堵は恐怖を払って。
―――それの意味するところも、その胸に湧く感情が昏いものであることもそのときは気づかずに。
寒空の下の独りの“少女”は一片の暖かさを抱えて、目を閉じた。*]
――死後の世界――
[―――赤に染まって、そこに倒れているのは、誰だろうか。
いや、知らないはずがない。鏡に映したようなその姿は。
これはそう――己自身だ。
生者には見えぬ体となった女は、血溜まりの中で死んでいる自身の姿を、虚ろな目で見下ろしていた。
何もかも失くしてしまった、その喪失感とともに。
“人狼”への憎悪は、不思議と生まれてこなかった。
ただ死んだことへの虚無が広がって、ただぼんやりと立ち尽くすのみ。]
――――……
[とさり、力が抜けてその場に崩れ落ちた。
自身の死体との距離が近づいたがそれも構わずに。
病も、アキレアも、持たぬ身体は軽く、
そしてとても、不思議な気分であった。
アキレアはそこにいて。ただ女と同じく女の死体を見つめていたけれど。
それに女が目をやることはなかった。]
[そしてようやく、皆は無事だろうかと、そんな考えが浮かんだ。
もう誰かが冷凍睡眠装置に運ばれている時間ではあるから、
全員無事ということなど、有り得ないのかもしれない。
メインサロン近くで起こった騒動を女は知らなかったから、せめて、穏便にいっていることを、女は願う。
それから思ったのは彼――アレクシスのこと。
彼は無事だろうか、守ると決めたのにもうそれも叶わないと、思ったところで]
…………っ、
あ……
[目を見開いた。
最期の、最期に聞こえた“声”。
それは、どういう訳なのかはわからないけれど、彼が自身と時を同じくして死んだことを意味している、と思って。
身体が震える。生きていてほしいと願った、その人の死を知って。
そしてそれは恐らく自身のせいだ。あの“声”にひどく安堵したことへの後悔が浮かぶ。
ぼろりと、こぼれ落ちたのは大粒の涙。
一度溢れ出たそれは、諦観に抑えられていた感情全てを溢れさせる。]
あ…あああああああああ
う、あああああああああああああ!!
[守れなかった。何も守れなかった。
大切にしていたものは、力を無くした手から零れていった。
ただ人狼に利用されるままに殺された。何も助けなど来なかった。
こんな惨めな姿で、結局あの日と変わらぬままに死んだ。
そして、一番死んでほしくなかった人も、殺した。
そんなこの船の世界全てが、“大切だった”と気づいてももう遅い。
頭に過ぎる様々な想い。それを抱え切れぬまま。
処理できない感情は、ただ涙と、叫びとなって、吐き出されるだけ。**]
[カサンドラからは、花を手向けられる。
その花束に縛られていたのは、白いアイリスとハレルの草。その2つは、昔 人を信じる心を失ってしまった少年、意思が折れ、心を閉ざしてしまった少女を救った花。
植物の力には人間の力を大きく超えるものがある。それは侮ることなかれ、いくら進歩した科学の力よりも遥かなる可能性を秘めているのだ。
植物を扱う彼女に、”人狼”の手が及んでいないことを祈って。]
[ソマリの話は、死後にイェンスからきいた。
昔人狼と人類が共存したほしがあるのなら、何故今それが出来ないのだろう。本当は根の優しい、”汚れた人”によって苦しめられた人狼が、少しでも報われればいいなあと切に願う。]
ーー本当に人狼が悪者で、人狼を滅ぼせばHappy endなの?
[先生の言葉>>+30には、俯く事しか出来なくて。
そうしてるうちに、青い髪の青年は先生達の繭から離れて>>164]
――そっちは僕の…?
[青年の方に駆けていくと、やはり行き先は自分の繭で。
彼が亡骸の顔を覗き込んだとき、なぜだか悲しそうな表情をしたように見えた。
亡骸の左胸が紅く滲んでいたのを見て、思わず自分の左胸に手を当てる。指先の感触で、パーカーと中のシャツがぱっくり割れているのが解った。
――確かに刺されたんだ。
血は滲んでいないようだったが、改めて自分の死を突きつけられたようだった。
青年は自分の繭の前で、手を組んで懇ろに弔ってくれた。
特に面識も無かったはずなのに、何故この人はこんなにも自分に祈りを捧げてくれるんだろう?
まさか彼―セルウィンが、ガルーに希望を見い出し、人狼の力になりたい等と思っていいるなんて知る由もなく。
ひとしきり祈りを捧げた後、青年はNルームを後にした。
僕は自分の繭の前で暫く突っ立っていた。
もし先生が僕のところまで来て繭の中を覗いたなら、やっと僕も死んでるって事が分かるだろう*]
[セルウィンが去り、やがてカサンドラも誰かと通信の後Nルームを去っていった>>200。今やここに居るのは死者の魂のみ。
それから数分もしないうちだったろうか。
通路の方から何かが弾けるような小さな音>>194]
…なんだろう…?
[僅かに気にはなったが、不思議と現場を見に行こうという気は起きなかった。
ここに居たい。自らの亡骸が眠るこの繭の側を、今はまだ離れたくないと思った。]
――そう言えば、幽霊ってことは…
[誰も見ていないのを見計らって、繭の蓋に手を置く。そのまま意識的に手に力を込めると、]
うわっ!?…と
[手は繭の蓋をすり抜けた。自身の亡骸の肩口も貫通して、カプセル内部のシートに手が届いていた。手がすり抜けた勢いで思わず体勢を崩し、ハッと顔を上げると、
自分の顔がすぐそこにあった。]
………!!
[思わず跳ね起き、繭から数歩離れる。
遠目から見ると安らかな表情だと思っていたが、間近で見る自分の顔は、血の抜けた薄気味悪い土気色をしていた。
顔の筋肉が全て脱力しており、だらしなく開きそうになった唇の奥に、口から血が漏れるのを防ぐための綿が詰め込まれているのが見えた。
よく見ると右目もうっすら開いていて、僅かに黒目が覗くが、その瞳は最早何も映さない。]
――気持ち悪い…
[率直に口を突いて出た感想だった。
しかし、これまで数多の人間を喰らい殺して来た人狼が口にする言葉としては、あまりにも滑稽な響きだった。
思えば沢山殺しすぎて、一人ひとりの屍体をじっくり見た事等無かった。
しかも初めてまじまじと観察した屍体が、よりにもよって自分の亡骸だったなんて。
気付けば壁にへたり込んで、肩で息をしていた。
――恐い。
既に命散らした今更になって、ようやく『死』への恐怖を理解したのだった。*]
[無理やり叫んだ誤魔化し。
それは半分可笑しいぐらいのものだったと思う。
だがようやく相手の声が普通の音量になれば>>3:336、
こちらもほっと、安堵の息を吐いた。]
…………。
[相手の念押しには何も言えずに黙る。
さすがにここまで心配されると、本当のことを言わなかったのは、罪悪感があった。
そして]
えっ。
[言われた言葉>>3:368に、思考が停止した。
そこでようやく、自身が本当に心配されていることを、理解する。
それを意識すれば、かあっと頬に熱が上るのがわかった。
自身を心配してくれた人。それは数える程のひとしかいない。と女は思っている。
だから心配してくれたことが、想ってくれたことが、
こんな状況ではあるが、嬉しくて。
そして相手を想う気持ちが自分だけではないことが、とても。]
…そ…
そんなこと、ないっす。
ありがとう、ございます、っす。
[一瞬の沈黙のあと、なんとか繕ったのは感謝の言葉だった。]
[だが残ったのは、どうしてそこまで、という疑問。
それは吐かれたため息のあとに出てきた。]
…声?
[不可解だと口にする相手にらしいなと思いつつ。
それにはさすがに首を傾げた。
だがこうまでして言うのだ。きっと相手の言っていることは本当だろう。
思い当たることと言えば、先ほど倒れたときのこと。
幼い頃を、思い出していたから、その弱音が、
頼りたいと思った人に、届いてしまったのかもしれない。
そう考えると―――とても、恥ずかしかった。
まさか恋天使の仕業であると知らぬ女は、また顔を赤くしつつ、些か動揺の乗った声で応える。]
それは……なんか、ごめんなさい、っす…
実は、その、ちょっと持病で…倒れてたっす…。
あ、でも、今は全然大丈夫っす。誰かに、襲われたりも、してないっすよ。
[バレてるのならば誤魔化しても無駄だろうと思ったから。
観念したように本当のことを言った。
今は大丈夫だと言うことは忘れずに。
それは強がりだったけれど。]
燃料、今からお届けするっすねー。
[そう言って、通話を切ったのだったか。
相手の今の所在も、聞かずに。
少しの嬉しさと、身体への不安を抱えながら。*]
[その後スノウへの投票を済ませれば、
迫る影。
自身の身体のことを、アキレアに聞く暇もないままに。
結局、何もわからずに。
ただ喪失と虚無に抱かれて泣いている。*]
うわああああああああああ…!!
ああああああああああああ…!
[叫んで、泣いた。
涙は途切れることはなく、もう頭の中もぐちゃぐちゃだった。
すると、誰かが自身の死体に近づいてくるのがわかって。
顔を上げればそれは、自身とよく似た金色の髪を持つ男性だった。>>43
自身の死体を検分する男性をただ見ていた。そのときもあとからあとから、涙が流れてくる。
男性の言った人狼という言葉も何もかも、ただただ、悲しさを煽るもので。
やがてそれが終われば、自身の身体はNルームへと運ばれていく。
そのとき、ストレッチャーに乗せられる、クリーム色のもこもこの姿が見えた。]
……っ、あ…
……いか、ないで、よ…
いかないで、ミル…
[いつも一緒にいたもこもこ。今までどうしてそこにいたのに気付かなかったのか。
いや、無意識に、そこにいることは認識していたのだろう。
だから離れていってしまうのが、とても、身を着られるような心地がしたのだった。
縋るように手を伸ばす。でもそこから動くことはできなかった。
どこかへ行ってしまうその姿に、いかないでと、呟くことしかできなくて。
その喪失感から、また、泣いてしまうのだった。]
[――思えば僕らが見てきた屍体ってのは、真っ赤でバラバラで切り刻まれていて。
こんな、…こんな風に、綺麗にしてもらった遺体を見るのは初めてで、しかも――]
――僕は、僕なんかが、本当はこんなに綺麗にして貰う資格なんて…
[膝を抱えて震えていた。
僕は人狼だ。
己の腹を満たす為だけに、数多の街で殺しを繰り返してきた犯罪者だ。司法に掛かれば死刑は確実だし、そうでなくとも死ぬ時は野垂れ死んでドブ川に捨てられるのがお似合いだと、『僕ら』はそう思っていた。
僕には家族が居ない。自分で食べちゃったから。
僕には友達も居ない。ボスがそうなる様に仕向けていたから。
僕が死んで悲しむ人なんて、ましてや弔ってくれる人なんて、この世のどこにも居るはずがないと思っていたから。]
僕は… 『僕』は…っ!
[色んな感情がないまぜになって、頭の中がぐちゃぐちゃする。
やがて心が落ち着いて、溢れる涙が尽きるまで、しばしうずくまって居ることだろう*]
[その後Nルームに運ばれたもこもこは、
女のいるコクーンの上、じっと離れずにその様子を見ていることだろう。**]
[どれくらい泣いていただろう。
どれくらい、叫んでいただろう。
身のない体は、されど涙が枯れることも知らず、
永遠と、泣いていられるような気がした。
しかし泣いても泣いても、心が収まることはなく。
吐きだそうとした不快な思いは、流れることなく、さらに溜まっていく。
やがて叫びつかれたならば、通路の端で膝を抱えて座りながら、泣いているだろう。
自身の行く末も、確認したかったけれど、
未だNルームに行く気力も湧かなかった。
ここからNルームに向かうまでの間。
メインサロン付近で起きた騒動も、
今Nルーム付近で起きている騒動も、
恋天使の正体もまだ知らぬまま。
今はただ。**]
……どういう……、
アキレアが人に懐くなど、聞いたことが……、
[首を傾げながらも、そのもこもこに]
――すまないね。
おまえの主人を守るのに、私は、なにも出来なかった。
せめても、同じ場所にいれば、何か出来たかもしれないのになあ……、
[悔恨、ひとつ。指先を、もこもこに伸ばす]
――おまえたちは、傷や病気を喰らうのだろう?
時間がかかっても、どうか。
アリーセの傷を喰らっては――やれないの、だろうな。
[諦めたように、溜息を吐いたか]
……、おまえのご主人様は、どこにいるのだね?
[コクーンの上、もこもこのアキレアに、問い掛ける]
私や、そこのかれが――まあ、死して、こうなっているんだ。
彼女も、アリーセも、同じようにどこかにいるのだろうと――期待したって、バチは当たるまい?
[そう問いかけたが、さて、どうだっただろうか――*]
――パァンッ
[――何処かでまた破裂音がする>>246
聞き耳を立てようと顔を上げた。泣きじゃくって赤くなった鼻をスンと鳴らせば、僅かに――きっと『人狼』でなければ感知出来ないほどかすかな――火薬の臭いがした]
銃撃戦――誰かと誰かが殺し合ってる…
――今日もまた、誰かが死ぬんだな。
[音と臭いから、何処かで起きている騒動を察して。
(流石に仲間の引き起こす所業までは把握できなかったが)
抱える膝に再び顔を埋めて、新たな犠牲者を待った。
その間にローシェンが黙祷に来ていたこと>>261には気付かぬまま*]
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