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― 街角 ―
[薔薇の湯を堪能しよう、と思っていた矢先に、招集されてしまった。
マジかよ…まあ、仕事なら仕方ないな…と思っていれば、
指揮官の飼い猫が行方不明になったから探してくれって!?
そんなことで()招集するなよ…と思いつつ、
探し猫はあっさりと見付かった。
指揮官は「ありがとう」なんて言ってポチ袋をくれたけど]
あーぁ…もっと温泉入りたかったなぁ……。
お土産も買えなかったし。
お土産……そういえば、引換券を引き換えるのも忘れてた!
[上着のポケットに入れていたチケットを取り出して眺める。
ふと、裏を見ると]
アンダー・ザ……ローズ?
……へえ、姉妹施設があるのか。
[地図もあり、見るとここから近そうだった。]
温泉グッズとか、お土産みたいなもの買えるかな。
[運気を上げるために、油紙でできたものとか、ghostwhiteのアイテムをゲットしたい、と、カフェへと向かった。]
― アンダー・ザ・ローズ ―
[カラン。
カフェの扉を開けると、ドアベルが小気味良い音を立てた。
中に見知った顔はあっただろうか。]
― 宴会場 ―
[ちょっとしたごたごたもありつつ、宴会場の夜は更ける。
新しく来た方の男は最後までこちらに警戒を解かなかったが、半分は自業自得なので文句を言うつもりもない。
鼻歌魔神の方は、なんというか、ああ見えて相当の子煩悩らしい。
そんなふうに時間を楽しんでいたら、いつの間にか戻って来ていた黒もふが、うるるぅ、と低く鳴いた。]
ん。そうか。
じゃあ戻るか。
[またな、と同席の相手に告げて、席を立つ。]
[宴会場を出た先、廊下を半ば過ぎたところで、こちらに向けられる視線に気づく。
けれどもそれは害意を感じさせるようなものではなく、呼び止めようというほどの意思も感じなかった。
だから振り返ることもせず、そのまま歩みを進める。
傍らを歩む黒もふだけが一瞬耳を、視線を背後に向けて、るるるぅぅ、と楽しげに唸った。]
[自分たちを知らぬ土地へと導いた歪み。
それと同じ違和感を辿って、宿の出口を通り抜ける。]
何人か、連れて帰りたい奴はいたけどなぁ。
[さすがに難しいか、と、彼ら自身に結び付けられた絆の強さを思い返しながら扉を潜り、すでに慣れた気もする眩暈のような感覚を越えて出た先は―――]
― アンダー・ザ・ローズ ―
邪魔するぜ。
[小洒落た内装の店内に、相変わらず黒もふを伴って入っていったのだった。]
[温泉や扶翼とは 程遠いながらも、ティーカップにひとときの温もりを感じていたところ、立て続けにドアベルが鳴って、浴槽で見知った顔+けだものが現われた。>>+2>>+6]
最初の出会いは偶然。
二度目からは運だという。
[微笑して、眼差しで差し招いた。]
[カフェの中は、小洒落た感じでありながら、
どこかほっとするような、そんな素朴な雰囲気も兼ね備えていて、
ついつい長居をしてしまいそうな、そんな落ち着いた雰囲気だった。
見回すと、ショップスペースのような場所があり、
何やらグッズが売られているようだった。
このカフェのグッズの他に、温泉関連のものもあるのだろうか。
そんなことを思っていると、立て続けに聞き慣れた声がした。>>+6>>+7]
オズワルド!…と、アレクトールも!
わーわー!すっごい偶然…いや、運命か!
こんなところで会うなんてな。
…ていうか、ふたりももう旅館を立ってたんだな。
いろいろ堪能できたか?
俺は突然の呼び出しを食らってさぁー!
もう、不完全燃焼!!
もっとゆっくりしていたかったぜー!
[心底残念、という顔をしながら、アレクトールの近くに座り、
なんだ、おまえたちか。
[気分的にはさっきまで一緒にいた連中の顔を見て一瞬あっけにとられる。
けれども、だからこそここに来たんだろうと思えば納得だ。
それこそ、運命というやつだろう。]
それじゃ、失礼させてもらうぜ。
なんだ、シルキーは堪能し足りなかったのか?
そいつは残念だったな。
けど、またの機会ってのもあるんだろ?
[盛大に嘆いているシルキーに声を掛けつつ、自分も席について置かれているメニューを見る。]
こっちにアップルパイひとつくれ。
いや、ふたつだ。
[店員を呼んで、実に嬉しげに注文する。
足元に寝そべる黒もふも、ゆるりと尾を振っていた。]
[盛大に嘆いてみせつつも順応の早そうなシルキーと、動じないオズワルドが、それぞれの注文をとおして席につく。
頼んだ品にもそれぞれの個性が見えるようだ。]
温泉でゆっくりできなくて残念だったな。
だが、ここも美味しい店だ。来る機会に恵まれて良かった。
まあ、まずは食べてみるといい。
そういやおまえ、宴会場じゃ見かけなかったな。
ひと足先に宿出てたのか?
あの飯食い損ねたんなら、ご愁傷様だ。
[アレクトールへと、食事の数々を思い出しながら「美味かったぞー」と至福の表情で言う。
そこへちょうど、注文の品がやってきた。]
ほう、こいつもなかなか。
[出てきたのは薔薇の花を模したようなパイだった。
この店らしい華やかな逸品を前に、さっそくとばかりフォークを握る。
焼き色も上品な薄いパイ生地で形作られた花弁にフォークの先を立てれば、耳にも心地いい音を立てて散る。
花の奥からは黄金色にとろけた林檎のフィリングが溢れて、爽やかに甘い香りを周囲に漂わせた。]
うまいなこれ。
たまんねえ。
[食べる芸術品のようなそれをせっせと腹に収める一方で、半分に割ったもう一つのパイを皿ごと床に置いてやる。
黒もふは目の前に降りてきたパイに鼻を近づけて、しばらく匂いを嗅いでいた。]
[黒モフはアップルパイにがっついたりはしていなかった。
さほど飢えてはいないようだ。
獣に人用のスイーツを与えて大丈夫なのかはおいといて、常に当たり前のように連れを構ってやっている様子は、男の繕わぬ地を感じさせる。]
ご愁傷様というわりに嬉しそうだ。
食い物で幸せになれるのは健全だな。
思い出すだけで笑顔になるような食事なら、確かに惜しいことをした。
それなら、扶翼が料理人にレシピを聞いてきてくれるかもしれない。
[有能な扶翼を思って、こちらも笑みを浮かべる。]
はは。幸せってやつの基本は食いもんだ。
人間、飢えてなきゃ大抵はどうにかなる。
レシピで再現できるかどうかは料理人の腕次第だな。
その扶翼ってのは、おまえの連れか?
[聞いてから、宴会場での一件を思い出して顔をしかめた。]
まさか、あの鼻歌大魔神じゃないだろうな?
いや、違うか。
あいつ、おまえのことをえらく褒めてたけど、連れって感じじゃなかったもんな。
そういやおまえ、あいつと戦争したんだって?
どうだった?
[テーブルに手をついて身を乗り出す。
豪華な食事を前にしたときよりも、ずっと目が輝いていた。]
―その後―
[部下からの電話に出たのはいつだったか。
実は…と申し訳なさそうに告げられた内容は、「弟が風邪を引いて寝込んでいる」というもの。
俺はすぐに宿に発つ旨を伝え、臨時便を使う。
その足で弟のマンションへと向かった。*]
―アンダー・ザ・ローズ―
[そうして手が空いた頃、喫茶店のドアを潜ったのは引換券をどうしようかと思ったからだ。
それに急いでいた所為で土産も買っていない。
同じ人物が経営している店なら、関連する商品でも扱っているのではないかと。
店内に旅館でも見た顔を見て、おやと思う。]
――どうも。奇遇ですね。
[ヴォルフにも何やらあげているのを見て、
犬(狼)用の品でもあるのか、と思いながら、空いている席に腰かける。]
…ええと、
ローズティーと、本日のケーキを一つ。
[弟の部屋を掃除してからソファーで仮眠を取ったが、やはり少し眠い。
一目でゴミと分かるものは捨ててきたが、片付けは今だに苦手らしい。
惨状と言えた部屋の様子を思い出せば、笑みが零れてしまった。**]
おう、おまえもこっちに来たのか。
縁があるな。
[扉が開く音に振りかえれば、またもや知った顔だ。>>+18
疲れているようだったが表情はどこか穏やかに見える。
なにかわだかまりをひとつ解消できたのなら良かったなと、同じ時間を共有した相手へ胸の内で祝福を送った。]
[食べ物のことを話すオズワルドは本当に楽しそうだ。
食うのに苦労したこともありそうだと思った。]
ああ、わたしの扶翼は銀の髪をした──
はは、そっちの男じゃない。
しかし、鼻歌大魔神とは、よくつけたな。実際、伝説級だ。
当人に自覚がないだけに、いつまでたっても治らない。
だが、アレ込みでも得難い男さ。ファンも多いぞ。
[知己になるのはいいが、ヘッドハンティングは無理だから、と見てきたような顔で笑う。]
[身を乗り出してきたオズワルドは、戦記マニアというわけではないだろう。]
彼が総指揮を執っていたワケではないが、芯のある軍だった。
虎のように果敢で、犬のように忠実な、あの将らしい用兵だったな。
傭兵大国として、経験を積みながらも自国を戦場にして来なかった強みも充分に味わされた。
かの国が最初から妥協してくれれば失わずに済んだものも多いが、敵としても尊敬できた男だ。
[彼と、その背後にいる者を思って、頷く。]
おまえにも、そのような敵が、あるいは味方がいるのだろう? ウォレン。
[シルキーとベネディクトの元に注文の品が届けば、軽くカップを持ち上げて、エア乾杯。]
誰か、電気ウナギの湯に入った者がいるかな?
結局、入らぬままで来てしまったよ。
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