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[振り下ろされた双剣はソマリの両肩から胸を駆け下り十字の軌道を取る。
射程距離は最大威力を発揮するに申し分ない。
しかしそれは相手にも言えることだった]
がぁ……っ!!
[双剣が駆け下りるのと己が身に灼熱が奔るのは、同時。
真白が到達した箇所から華開くように紅が飛び散った]
[もう選べない、そう言い切る視線は何処までも冷たく、反論しようとするこちらの意思まで凍りつかせるようで]
…ぐっ…ぁ…
[腹を踏みつけられて息が止まる、風が、止まる。
それでも睨もうとする視線は、揺らいですでに効果はないだろう。
指が鳴ると共に纏わり付くかに降りる銀、唇は動くけれど声は成せず。
拘束が解けたのに気付き身を捩っても、しっかりと押さえつける足は逃れることを許さない。
或いは、もう逃れられないと察していたのかもしれないが]
やめ、ろ…
[拒絶が銀に届くはずもなく、やがて銀は男に舞い降りて、その内側へと溶け込むように「浸食」していく。
その体を、そして、精神を。
それでも、苦しげに顔を歪め、抵抗をしようとする姿は、「貴人」にどう映っただろうか]
……は。
ここ、まで、深く、斬られたのは、久しぶり、だよ。
……10年前に、『シルヴィオが殺された時』、以来、だねぇ。
[さらり、と。
本当にさらり、と物騒な言葉を紡いで]
……本当に、愉しませてくれる、な、君、は……!
[浮かべるのは、月を思わせる、笑み。
十字の刻まれた傷からは、さらさら、はらはら、と銀の粒子が零れ落ちる]
[左腕、水晶の手首を狙いぐと跳ね退けようとするも。]
―――っ!
[先に折れた肋に痛みが走る。
間に合わない。
咄嗟に左腕で身体の中心を守るも、振るわれた爪は胸元を裂いていく。]
[吹き飛んだ身体は、すぐ側の壁にぶち当たり。
身体がバラバラになりそうな痛みに、そのままずるりと崩れ落ちていく。]
……っ、ァ―――。
[それでも、銃だけは放す事なく*。]
[背へと到達した真白の刃>>+3は、これまでとは比にならない程ディークの身を食い破り、骨をも掠め行く]
──…っつぅ……
あ゛ー……神経逝ってるかもしんねぇ。
[下半身の感覚が薄れて、膝から崩れ落ち、双剣を地面へと突き刺し支えにしながら座り込んだ。
背からは相変わらず流れ落ちる紅。
その割りに、紡がれる口調は軽いものだったが]
……10年前に殺された?
詳しく聞きたいものだな。
[愉しませてくれると言うソマリ>>+4に対して、へらりとした笑みを浮かべる。
ソマリから零れ落ちる銀の粒子。
ひかりの子を見るように、ディークは瞳を細めた**]
[身体から体温が奪われる感覚にその傷の深さを知る。]
は、は……。
[ざまぁないと、力ない笑い声が漏れた。
それでも壁に持たれたまま、水晶を見つめる。
アレの核はどこ?
止めを差しに来るなら、きっとそのときが最後のチャンス。
誰かが助けにでもこない限り、死は避けられそうにないから。]
[腹の上から重さが消えて、「貴人」が離れたのを知る。
だが、もはやそんな事はどうでもよかった。
苦しい、浸食に抗おうとすればするほど、精神が侵されて行くようで。
自我を手放すまいと、それでも耐えようとして、唐突に、気付く
受け入れてしまえば、自分は保っていられる、と。
それは、銀が摩り替えていった感情なのかもしれないが]
[やがて、波が去る。受けていた傷はいつの間にか癒えていた。
ゆるり、開く瞳は琥珀ではなく、金色の]
「はじめまして?」
[そう問いかける『同胞』に、笑みを一つ、落として]
はじめ、まして?
[それだけを、返した*]
―――――っ!!
[踏みにじられる右手、痛みに身体が跳ねる。]
っは……、あ………。
[仰け反る喉元、声を出すのも億劫で、瞳だけで肯定を返す。
首筋に触れた手は、常なら冷たく感じたろうが、体温が落ちていく彼女にはそれすらわからない。
見上げる。
翠眼が水晶の首元を飾るチョーカーを捕らえた。]
(あの時、も...)
[ 彼は、苦痛の中、半年前を思い出す。埋め込まれた「種」の呪いに、自我を奪われそうになった、あの時...思い出したのは、彼女の事 ]
nein...
[ 触れた手の温もりを、その笑顔を...そう、最初からただそれだけを失いたく無かったが為に ]
[それは、くるり巡る走馬灯。
今この場所で、倒れているのはこのチョーカーをした憑依体。
それが、現実だったのか、幻想だかも彼女には区別がつかない。]
は……
な、ら……祝福の、抱擁……くれない……?
[チョーカーを見つめたまま、掠れた声が途切れ途切れに呟いた。
勿論、それは本心ではない。
あの銀に囚われるくらいなら、自死を望むけども。
けども、その前にしなくちゃいけないことが残ってると。
彼女を生に引き止めているのはその思いだけ。]
ふ......
[ 震える指先が、彼女が口付けを落としていった唇に触れる ]
シュテ、ラ...Ich liebe Sie ewig
[ 零れ落ちるのは、声無き声** ]
いい名前……ね……。
あた、しは……。
[伸びてくる手。
もし銀にとらわれなければ、この手は誰かを傷つけることもなく、ジェフロイの手を優しく包んでいたのだろうか?
ぼんやりそんなことを頭の片隅に思う。]
……ガートルード。
[水晶の手が彼女に触れたなら、最後の力を振り絞って、ほんのわずか右手の銃を持ち上げ、引き金を*引いた。*]
[先程まで『敵』だった相手は、こちらへの態度を変えることはなかっただろう。
勢いをつけて起き上がって、体の状態を確認するのは、「人」だった頃と変わらず…或いは、より軽い表情で]
あんま、外見変化しなかったなぁ。
どんな力が付いたかは、ま、追々確かめるさ。
んで、あんたはどうする?
[『同胞』となった「貴人」に問い掛け一つ。
如何様な返事が返ろうと、その場で分かれる旨を告げる]
ん?俺?
まだ「為りたて」だから、さ…ちっとその辺でなんか取り込んでくるわ。
ついでに、まだ居るだろ……俺と一緒に来た奴らが、さ。
[落とす言葉は既に『融合体』としての意識を持ったもの。
「貴人」と離れ、軽く空を見上げ、とん、と地面を蹴る。
ふわり、翼も持たぬその体が浮遊する]
さて、何処に行くかねぇ……
[空中で、酷く楽しげに笑いながら、ゆるりと辺りを見回した**]
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