情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
── 死の淵が見える時 ──
[遺書を確認する。確かに、それはフィオンが罪を憂いたように受け取れる文章で]
おおきに。
[満足そうに見つめる間、彼が引き出しから何かを放り投げた仕草には気づかずに。]
ほな、これでお別れですわ。
なんや言い残すこと…あります?
[せめてもの手向け、と思いながら、若くして外務長官に上り詰めたその実力から
あまり時間を与えたくないと警戒は緩めぬまま。]
ー死神に魅入られた、その時ー
言い残す事…か。
特に無いな。貴様に向けてしか届かない言葉に意味はない。
[放り出したのは、フリントロックピストル。
使える隙があったなら、それを使ってこの男を始末することを考えて。]
ほな……
[そういうとくるり、ナイフを逆手に回すとそのまま袖の中へしまい、胸元から取り出すのは小瓶。]
[その時机の下からちらりと銃身が覗いていたか。
ほらやっぱりな。
油断ならない。
顔を机に押さえつけて]
おいたは困ります。
大人しゅうしてんか。
[鼻をつまみ小瓶をそのまま口に突っ込む。
劇薬であることに違いはないが、その当時、即効性とはいえ効き目が現れるまで、押さえて置かなければならないのが、服毒の難点ではあった*]
[…期待通りにはいかないか。
銃にも気付かれたようで、為す術なく顔を机に叩きつけられる。
声も出せないまま、無理矢理小瓶を口に放り込まれる。]
げほっ…うぐ……
…かは…っ……
[この手際の良さ。暗殺にも慣れていそうだ。
陛下も、こいつがやったのかもな…と回らない頭では他人事のように考えて。]
[もう手も足も動かなくなった。
…こんなに呆気なく終わるのか。
この男…レグザの行動は…誰かしらが気づく。そう信じよう。
…そういえば、王子との約束は果たせなかったな。あっちで陛下にも叱られそうだ。
ああ…
こんな所で死ぬはずじゃ、なかったんだがな。]
[…実にあっけなくその灯火は消えた。
暁の国の外交を司る…いわば盾となると言えたその男の死は、恐らく他国に伝わるのも時間の問題だったのだろうか。
だが。
彼の頭に、その後レグザまでも命を落とすなどという考えは全くなかっただろう。*]
え、何これ。
なんで俺死んでんのん?
[己の死に気づいたのは、ガタガタと震える官吏の指差す先に、血塗れの男自身が倒れていたから。それはどう考えても助からない失血の量だった。
すぐに辺りは騒がしくなり見知った顔も駆け込んできたようだ。]
な、なぁ、オルくん起きてんか。
なんやのこれ。
俺死んでもぉてる!
[事態を把握せんとする者たちの中で、一人推測を広げる者の方に意識を向ける。シュナウザーだ>>65]
好き勝手言うてくれるわー……。
俺はそんなヘマせぇへんっちゅーの。
[しかし、であれば自分は誰に殺されたのだろう。
軍部の人間のように思えたが、誰の依頼であったのか。
記憶(というのも不思議な話だが)の糸がブツリと途切れたその瞬間を手繰る。
そうだ、確かに。>>3:270]
フェリクス王子の命令とか言うてたな……。
なんで俺は王子に殺されなならんねやろ。
俺はこんなに国のために頑張ってんけどなー……。
[己のやり方が間違っていたとは微塵も思わず。]
ー虚空・暁ー
[ーここは…どこだ。
私は確か…殺されたはずだ。あの男に。レグザに。
それは間違いない。
なるほど、これが死後の世界、というわけか。
これまでとは少々異なる、どことなく不安定な感覚。
当然だろう、今の私に体はないのだから。
感覚に慣れるまで多少時間はかかった。だが慣れてみると、案外悪いものでもないかもしれない。
尤も、視界はまだはっきりとしないが。]
[不意に聞こえた声>+6。]
…は?
[それを聞いて、私は…いや、俺は。生前の立場も忘れてこう言った。]
…なんでお前までこっちにいるんだ!?
あーあ、あほらし。
俺が望んでたんはただただ国が強うあることやってんけどなぁ。
なんや死んでもぉたら、そんなんも馬鹿馬鹿しいなってきたわ。生きてる間にもっと好きなことしたら良かったなぁ。
白狼館に忍び込む、とか。アイリちゃんの部屋に侵入するとか。
[死人に口なしという言葉は、生者に都合の良い言葉と思っていたけれど、案外死者にとっても都合の良い言葉なのかもしれない。こんな話は今を生き抜く者達には到底聞かせられない。]
[己が仆した相手の声に>>+8]
ほんまごめんやで。
オルくんの死は無駄にせぇへん、思たけど
どなたさんかに殺されてもぉてん。
ほんまかなんわあ。
[その声は、自棄というよりは愉悦の色だったか。]
[執務室に集まって来ていたシュナウザーやリヒャルト。そして…ウェルシュ様を見る。]
…はぁ。情けないな。年上のくせして先に死ぬとは。
…なぁ。こっちはたまったもんじゃないよ。せめてあんたは死んじゃダメだろ。レグザさん。
[明らかに、生前の態度とは異なる接し方を彼>>+10に見せて。]
死ぬなら、俺に殺されてもよかったんじゃないか?
嫌いな相手に殺される、悪い話ではないだろ。
[相手が自分を殺したという事実があるからだろうか。
皮肉のような、嫌味のような。容赦無く思ったことを全て言葉にぶつけて。]
[彼の言う「年上」とは仲良しこよしで画策していた文官の中の話なのだろう。
が。]
……君、ほんまヤラシイなあ。
俺の方が年上やんか。そういう言い方イケズやわ。
[やっぱりこの人物は好きになれない、と
憎らしそうにして]
断るわ。
オルくんみたいな奴に殺されるくらいなら
別嬪さんの隣で腹上死した方がましやな。
それにしても……
これからどうなんねやろ。
こんな事になってもーて、ほんまに侵攻されてまうで。
[と、己の所業を棚に上げ、国の行く末を憂う。
男はこの後王宮門前にて、暴動が起こることをまだ知らない。]
…はは、そうか。
あんたらしいな。
[彼は出来る。そこに間違いはない。
そしてこんな返答>>+12もまた彼らしい。]
…まあ、死んでから言い合いしても大して意味ないんでね。ここら辺にしておこう。
…にしても滑稽だ。俺が殺されたってのに、血だらけになってるのは俺じゃないとは。
[この状況になってしまえば、見る者が見れば何が起きたかの大筋はわかってしまうだろう。なぜ彼が死ななければならないのか、理由は見当もつかないが。
[そして、この国の行く先を憂う声>>+13を聞けば。]
…さあ。必死に対策してた外務官さんは誰かさんのせいでもういないみたいですし。
ほんと、どうしてくれるんですか…。
[軍と文官の代表に近い2人が同時に死ぬとなれば、狙われるのは自明の理。
国の滅亡だけは避けて欲しいが…]
……せやな。
悔しいけど、そこは同意するわ。
[死んでから言い合っても。
もう果たすべき野望も心に秘めた野心もなくなれば、己の行為に何の意味があったのか、と虚しさしか残らない。]
……オルくん、大人やな。
俺やったら自分殺した相手とこんな風に話されへんわ。
[死して冷静な──いや、死したからこそ冷静なのか──彼の振る舞いに、内心敬意を評しながら。声は呆れるような色を含めて告げる。だって嫌いな人認めるとか嫌]
この血は──、俺のだけやあれへんよ。
今まで俺が踏み台にした人間の血。
………敵さん、上官、故郷の人々、家族、国王。
……真に生きるべきやった人。
[ふ、と亡骸を見て
そんな風に言葉を落としたか。
男の犯した罪の告白は、フィオンにも思い当たることだろう。ことに最後の人物に関しては。]
[それから不気味な程、明るく笑い飛ばす。]
ははは、そう言いなや。
まぁ、この国は相当前から傾いとったんや。
腹の黒い参謀のみならず、根腐れおこした文官殿やら、宮中の中にも何人か他所の回しモンがおったみたいやし。
言わば、必然、やな。
[真に国を思う彼>>+15に対して、祖国愛など微塵もない男は、死して国を案ずるというよりはむしろ傍観者のような気持ちであった。]
── 騒ぎの場にて ──
[身体がないというのは落ち着かないけれど
どこにでも行けるというのは便利である。
──が、元より仕事を抜け出して、どこでも行けていたので
やっぱり実体がなく落ち着かない気持ちの方が強い男であった。
城門の向こうの兵の塊。その先頭にで息巻く女性。
何やら誤解があるようだが、陰謀渦巻く宮中で
一体どれだけの真実が伝わっているのだろう。
歴史は常に勝者が作るのだ。
都合の悪い真実は書き換えられ、史実となる。]
あらあら。アイリちゃんめっちゃ怒ってるやん。
もしかして、俺が死んだんがそないに悲しんやろか。
嬉しなあ。めっちゃ嬉しいわあ。
………そないなこと、絶対あれへん思うけど。
リーくんどこ行ってんやろ。
こういう時は旦那自ら修正したらな。
…………アイリちゃん、見るからにプライド高そうやから。
リーくんそんなんしたら返り討ちに合いそうやな。
まぁ、でも死を覚悟して、一発がつーんと抱いたったらええねや。
[死者とは全く無責任な者である。]
ー王宮・正門前ー
これまた大変な事になってるな…。
[白狼騎士団が…ざっと7.800程の兵士を連れて正門にいる。当然先頭にいるのはアイリ・フォールデン。]
こんな事したら内乱だと思われるだろう…なんでこんな事になってるんだ。
[…ここまで荒れる物なのか。
正直、想定外だ。こうなってしまってはもう間違いなく穏便に済ます事は出来ない。そして何より私が居ないのだ。私の補佐もじきに戻るだろうが、彼にはまだ…荷が重いだろう。]
…こりゃ本当に国が無くなってもおかしくないか。
[まるで他人事のように呟く。]
[王宮、いや王国中が混乱に陥っているだろうか。
このままでは、死ぬのは私達だけでは済まないな。]
…はぁ。こちらが賑やかになるのはあまり望ましいことではないんだがなぁ。
[できれば誰もこちらに来ないことを願うばかりで。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新