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[様々な者が、様々な表情で、カサンドラを見送っている]
あとは、頼んだ……よ。
[幾分かましになった顔色で。
すまない、と言いかけた代わりに引っ張り出してきたのはそんな言葉。
色とりどりの花弁に包まれながら、ジークムントの言葉を反芻して思いを馳せる。>>11
端的な言葉だったけれど、朱雀神が内に秘めし思いは同じ、なのだろう。
誰も命を落とさないのが一番と告げた、あの時の自分と。
ならば尚更休息に専念すべき――と決心を固めたところで、
ふわりと舞う陽気に意識をさらわれる]
― 天上宮・庭園 ―
[既に束の間の眠りの内、垣間見た空の蒼は目蓋の裏。
転移の術用の陣の上に横たわった状態で発見されることになるだろう**]
[ 人一人、両腕に抱えて歩き出しても些かの揺るぎもない玄武神の歩みは、最小の揺れしかカサンドラの身には与えず、その漆黒の内に満ちる浄化と治癒の力を備えた水気は、緩やかに、 彼女の消耗した気を補い、疲弊した身体を癒していく ]
[ カサンドラが次に目覚めるのは、その玄武神の腕の中だったか、それとも運び込まれた治療院の寝台の上だったか...どちらにせよ、友に頼まれた教え子のこと、目覚めるまでは、傍で様子を見ようと、男は決めていたから、カサンドラが目を開き、最初に見るのは、漆黒の武神の顔ということになっただろう** ]
― 天上宮・治療院 ―
[目を開けた。
目蓋の裏の蒼は消え、どこか気の抜けたような己の吐息が耳に届く。
勝手に閉じていくのを半ば無理やりこじ開ける風なまばたきを繰り返している間にも、
周囲の状況は少しずつだが確実に知覚されていく。
寝かせられている寝台の感触、わずかに届く薬草の香、
寝台の傍に身を置く、漆黒の―――]
………、 あ、 っ、あなたは、
[その人影が誰か、頭の中でしっかり弾き出された瞬間、>>+7]
リエヴル様!?
そ、その、―――何故ここに?
[およそ静けさとは縁遠い声が、響く。
天上宮の護りを固めに来たのだとは分かっている。
つまり訊きたいことはそっちではなく、何故先程まで眠っていたカサンドラの傍にいるのか。
――そう、眠っていた。
ジークムントの手で天上宮に送られている時に意識を失ってからさっきのさっきまで]
ま、 ままままさか……。
[慌てている。二の句が告げぬほどにめっさ慌てている。
この狼狽っぷりを玄武神の腕の中でやらかさなかったのは、
おそらく双方にとって僥倖だと言えるだろう]
― 天上宮・楼閣 ―
……ん?
この木気……蒼龍殿、か?
[庭園の方から感じた木気は、自身にとっても馴染み深いもの。
討伐に向かったはずのそれが感じられる、という事は]
……向こうで、何かあったかな。
[小さく呟き、腰から提げた朱色の羽と銀の鈴で作られた護符に手を触れる。
朱色鮮やかなそれは、朱雀神自身の羽。
これを介する事で、距離を隔てても言葉を交わすのが叶うのだが]
……いや。
今は、止めておくか。
[羽に手を触れた瞬間に感じたのは、高まる火気。
それが伝えるのは、主の力と、それから意気の昂揚。
……に、しても。
待ってる方の身にも、なっていただければ、なぁ……。
[つい、そんな言葉が口を突く。
長き眠りより目覚めた朱雀神に対する眷属の想いは、強い。
長く不安定な状態にあった反動と言えばそうなのだが。
だがその反面、朱雀神が先陣を切り続ける理由もまた、わかっている。
己が目覚めと健在を、広く知らしめる事。
二度と墜ちぬと示す事。
そうする事で、眷属の抱く不安を拭おうとしているのだと。
わかっているからこそ、そして、そんな主に信を抱くからこそ。
託されたものに全力で臨むのが、自分の在り方と見なしていて。
だから、ぼやくような言葉は心の内にのみ落とす。*]
一応は神気を注いでおいたが、傷の治療や病の治癒は、蒼龍や我が妻の術には及ばぬ故、痛みがあれば遠慮なく言ってくれ。
[ どこまでも真摯に告げる言葉が、却って対する者に緊張を招くこともしばしばあるのだが、その加減を計る事は男には永遠に無理なようだった ]
…………。
[冷静な様子で投げかけられた玄武神の問いに、
布団の端を握ったままぶんぶんと首を横に振る。>>+14
落ち着かない感情はまだ根強く、ゆえにとっさに声を発することもかなわなかったというありさまだったが]
………、へ、あの、あのですね、
むしろ私の方こそリエヴル様にお手間をかけさせてしまって、その……っ
[続く言葉を聞いて、さすがに声が出た。
まさか玄武神に運んでもらったのか――という推測は立っていたから、
実際受けた衝撃は案外少なめだったが。
首は縦に振られる。それはもう、ぺこぺこと]
………、ぜ、善処します。
[遠慮なくと言われても、だ。>>+15
既に玄武神のお手を煩わせた自覚がある以上、これ以上を要するわけにはいかないと、
返す言葉は殻にこもった風となる。
実際、痛みらしきはない。
鳴蛇との一戦において、風による無理矢理な回避を試みた際に、
どこかの筋でも痛めてしまったのではないかと、今さら心配してみるも]
あ―――ありがとうございます……。
[翳される手、ふわりと広がり巡る水気。>>+18
最初はただ目をぱちくりさせていたが、
やがて水気を身の内に取り込み始めれば心地よさに目を細める]
そういえば、先程。
――蒼龍様に頼まれたとおっしゃられていましたが、
何らかの術用いて、お話をされておられるのですか?
花ですか……貰いました。
今は手元に置いておりませんが。
[今は水浮かぶ鉢の中にある野牡丹。
あの花にこのような使い道があろうとは。
同時、自分がジークムントの教え子という立場にあることを知られていると思うと、
ますます身が引き締まるというか遠慮が先に立ちそうな心境に陥りもしつつ]
……羨ましい、ですわ。
[ふと口をついて出たのはそんな言葉]
時間というものは……長きにわたればわたるほど人々を、
人と神すらも引き裂いてしまう。
けれどあなた方にとっては、違う……ように見えますから。
[きっとここが
玄武神はこんな戯言めいた話も、さほど顔色も変えずに聞いてくれる気がしたから、
底で渦巻く思いのたけを、浮かべて言葉にできたのだろう。
けれどもジークムントに送りたい言葉は、まだ。
ともかく。
遠くにいても話せる手段が分かっただけでも安堵を顔に浮かべ、
程なくしてもう少しだけ休息をとることを選ぶのだった**]
だが...我らは、全てを忘れはしない。
[ 天の記憶、地の記憶、そして交わされる想いと絆、それら全てを男は手放さず持っている。地に彼を覚える者が尽きようと変わりなく ]
其方とこうして出逢ったこともな。カサンドラ。
[ 彼女を教え子と呼び、その身を玄武神に託した蒼龍神もまた、同じはず、と、言葉にせぬ思いまでは伝わるか ...漆黒の男の瞳はただ優しげにカサンドラを見つめるのみ]
[ 名乗られぬ名を知るのは、男が本当に、触れた全てを余さず記憶している証拠だが、それを告げるは余計だろう、と、漆黒の神はそれ以上は言わず寝台の脇から立ち上がる ]
...どうやら、そろそろ外が騒がしくなりそうだ。私は天上宮の護りに戻る。
其方はゆっくり休むと良い。
[ 言ってから身を翻そうとして、足を止めた ]
十分に回復したなら、空の護りを引き受けている朱雀のいとし子に気を送ってやってはくれないか。
アレも朱雀同様、己の身は顧みず無茶をする性質なのでな。
[ 彼の朱雀の守護者の父母が、まさに天地に生を分けながら、想いを通して絆を結んだ一対であったことも、やはり告げはしないまま、そう願いを口にして、返事がどんなものであったとしても、ただ頷いて、その場を後にした** ]
― 少し前/天上宮・庭園 ―
[庭園の陣に現れたのは、木気の使い手である女性の姿。
金気の使い手の手出しは逆効果と、その場は玄武神へ任せ、自身はより一層護りへ力を注ぐ。
玄武神>>+2と蒼龍神>>*1の会話にも口を挟まず、耳に届くを拾うのみ]
『……訊かなくて良かったのか?』
[言葉伝える風が止んだ後。
霊亀神に向けられた問いへ、その憑代は首を振った]
無事、ということなのでしょう。
それ以上を訊く必要はありませんよ。
『ならばよいが、な。
……我らも向こうも、そろそろ正念場であろう』
ええ。
[腰に差した剣へ手を掛ける。
二重に施した地の護り、そこに揺らぎは未だなくとも。
近付きつつある妖しき気配を、地脈操る神は肌に触れるが如く感じ取っていた*]
………。
[漆黒の瞳をひたと見つめ返して玄武神の言葉に耳を傾ける。>>+23
真面目さ帯びていた表情は、
「全てを忘れはしない」――その言葉を拾った瞬間にふっ、と緩んで>>+24]
それ、は、……僥倖ですわ、私にとって。
[嬉しい、と言うのではなんだか子供じみすぎていて。
向けられた言葉に信を向ける真っ直ぐさを瞳に宿して、告げる]
は、………はいっ。
[再び天上宮の護りに戻るという玄武神。>>+25
去り際請われたことに対してはしっかり返事を返すものの、
ひょっとしなくてもこれって大役では――と思うと同時、なんとも言えない真顔とともに目をそらして、]
その、……私も一緒になって無茶してしまう可能性があるとはお考えになら、ないんですかっ…?
[それは、多少なりとも無理をした自覚があるが故の言葉。
答えを求めたつもりはないから声は控えめで。
落ちつかなく、瞳ばかりが揺れていた]
[胸の奥が、なんだかこそばゆい。>>+30
背を向けた玄武神にこちらの表情は見えないはずなのに、
顔を半分以上隠す勢いで布団を引き上げて、]
……… あ、ありがとうございます。
[でも結局元に戻して、さっきよりはっきりした声でお礼の言葉を告げて、その背を見送る]
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