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―処刑場―
……あ?
[何故か、目を醒ました。…目の前には吊るされたロープと木箱。]
まさか、化けて出るとはなぁ…。
[参ったな、と頭を掻く。恐怖心は抑え込んだつもりだった…リーザの言葉を採用するなら、一人で死んだわけじゃなかったから…。それでも本能的に、そして深層意識のどこかでは死に対する葛藤は拭いきれなかったんだろうなと。]
まったく、最後の最後でしくじっちまったか…?
[昔にモーリッツ爺さんから聞いた話には、生きているものと死んでいるものが人狼であるか見抜ける力を持つ人間がいると聞いた…当時憧れたヒーローには程遠い姿に、殆どを聞き流してしまったが。もし、俺の声が聞こえたヤツが居るとするなら…せめてそいつだけにでも伝わるよう、もっと念じていればよかったのか、と。何が正解かはわからないし、およそそんなものは存在しないのだろう。]
─ 村内 ─
[ くろい
くろいはねが降り積もる。
疑惑、信念、ちから、憎悪。
そして……飢餓。
閉じられた村は、それでも、
じわり、じわりとうごめいて。 ]
―村のどこか―
[宿の中では今日も誰かが命を落とすのだろう…いっそ自分が人狼だったならよかったのだろうか、と答えの出ない考えを展開しながら、静かな村を歩いていた。]
…あ?爺さん……?
[誰もいないはずの視界の先に見えた黒服…どこかで見たことあるはずだと考えること数秒、それがモーリッツであると気付く。だが、その姿は記憶のあるどの爺さんの姿よりも、若かった。面影がなければ気付かなかったかもしれない。]
――昨夜のこと――
……早く、眠ってしまったほうがいいですよ。
俺と二人で眠ったとか、あらぬことを言われるのも、あなただって面白くないでしょ――
[毛布をかけて眠りを促そうと、椅子を立ち、クララの元へ向かう。
それが最後で、最期だった。
腕を回されて、心臓が跳ねたのがなんと甘い考えだったことか。
すぐにそこは跳ねる間もないほどに脅かされることとなった。
みしり、めき、と背が嫌な音を立てた。痛い、というよりも圧迫で呼吸ができないほうが苦しい。
クララの声は聞こえてはいたが、反応するには酸素が足りなかった。]
っ、あ"――
[低い呻きが、喉を震わせる。
全身が悲鳴を上げるのが聞こえて、その力に抗うことすらできずに、耳朶に触れる歯の感触に眉を寄せた。
お腹が空いた。ああ、そうか。狼の食欲の前に、ただ無力な餌でしかないのだ。
いまなお頭の芯だけが妙に冷静で、自分のミスを探していた。
部屋に入れたことか。いや、部屋の位置を教えたことか。クララに添い起こしたことか。
――よもや、この村に来たこととは、思いたくない。]
――それから――
[ずっと、眠っていた。
目覚め方を忘れてしまったように、ただ、ずっと。
その眠りを覚ましたのは、"声"だった。]
(――ヨアヒム?)
[そんなばかな。自分はあの時間違いなく死んで、彼も。
夢だ。そう思い込んで、また眠ろうとしたが、しかし。]
(夢も、悪くない、か)
[どうせ夢なら、と思わないでもない。
ゆっくりと立ち上がって、青年の姿を探し始める。]
人狼…?処刑…?
なんで殺し合わなきゃならないの…?
[ペーターを追ってたどり着いた宿屋で待ち受けていたのは見慣れた村人たちの疑い合いと殺し合い。]
なんで…なんで…
みんな、いい人なのに…
[自分が死んだことすらまだ受け入れられていない少女にとって耐えがたい現実。]
…やだよ…やめてよぉ…
――、 。
[誰、と問われて、いつも通り答えるはずだった。
見慣れない子だったから、また警戒されないようにと――すでに遅い気もしたが――しゃがみ込み、目線を合わせて、ニコラス、と答えるつもりだったのに。]
[それで、ようやく気づいた。
声を出すことが叶わない、という現状に。
死者なのだから、と言われれば当然かもしれない。
けれど目の前の少女は、話しかけてきた。
それは意思の疎通を図れるということで――自分だけが、制限されているらしいということに、つながる。]
……?
[しかし、いくら待っても言葉は帰ってこない。
男自身も驚いているような表情だった。
一瞬疑いもよぎった。
隙を見せるふりをして、何かを企んでいるのではないかと。
しかし、それ以上に、今の男の目が、牧場の動物たちの目にどこか似ていると思った。
心はあるのに、言葉を持たない彼らが、何かを訴えたがっているときの目。
伝えたいのに、伝える術がない、そんな表情。
警戒しつつも、尋ねてみる]
…声、出ないの…?**
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