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……。
[こういうときどんな顔をすればいいんだろう。
こんな、胸のどこかがむずむずするような、くすぐったい悪戯を仕掛けられたのは生まれて初めてだった。
綺麗な、青色のドロップを一つ摘んで口に運ぶ。]
…甘い。
[喉がすうっと冷えるこの甘さは、先にヒンメルがくれたキャラメルと同じ効果を持っていることは直ぐにわかった。キャラメルをくれた時、咳き込んでいた自分に気づかないふりをしてくれていた彼のことだから、きっとこの飴も自分の喉を慮ってのことかもしれない。
その気遣いと優しさに泣きそうになりながら、缶に描かれた鈴蘭の絵を撫でた。]
[いつか四葉のクローバーが描かれた缶を手に入れたいと思った。そしてそこに、彼が好きな菓子を沢山詰めようと思う。
彼が驚くような悪戯をきっと思いついて、上手い仕返しをしてやるんだと、自分にしては珍しく好戦的なことを思ったりした]
[その「いつか」は、永遠にこなかったけれど。]
―回想・海―
[>>0:525 リエヴルの不満げな声に困ったように笑う]
僕も最初知った時は驚いたんですけど…飲む人が美味しいと感じるのが一番じゃないかなって思うようになったんです。
[砂糖入りアイスティーを作り終え、ヒンメルに差し出した]
実は僕は砂糖を入れただけなんですけどね。紅茶は、全部ステファンが淹れてくれて。
その分、味は間違いないです。
[ヒンメルがおいしそうにアイスティーを飲むのを見れば、嬉しそうに笑った]
『いきなり引っ繰り返るのは、あちらの図体のでかい男だけで沢山だからな。』
[彼が指す先には、ダーフィトがいる。言葉とは裏腹に視線は優しげで、ヒンメルが本当にダーフィトのことを大切に思っている事が分かって、目を細めた]
[ヒンメルの永久水晶の話を興味深く聞いたり、休憩を終えて再び泳ぎに行く友人達を見つめながら、自分もそろそろ泳いでこようかとテントから出ようとすると]
――…っ!?
[突然、頭上から眩しい光がふりそそぎ、思わず目を瞑った]
……え…・・・
皆…? どこに…
[先ほどまでの眩しい夏の海は消え、今度は懐かしい風景が広がっていた]
…ここは…学校…?
[呆然と呟く。気がつけば服装も先ほどまでの水着ではなく、軍服になっていた。
一体何が起きているんだろうと辺りを見回すと、中庭の方に人影が見え、そちらのほうへ歩いて行く。近づくにつれ、その人物の姿が明らかになっていき…]
…っ、
[背の高い青年と、もう一人…
自分と同じ背格好の金髪の姿に、どきりと胸が鳴る]
……ステファン…。
何故、ここに…。
それに…バウムガルテン中尉?
補給の任についていたはずでは…
それに、その足…
[彼らの顔と、見えないカークの片足を交互に見比べる。
そして、自分が辿ってきた道程、自分の最期の瞬間を思い返して]
………まさか。
貴方達も…。
[今の状況を理解しながらも彼らが自分と同じだと認めたくなくて、複雑な表情を浮かべた]
[カークに椅子を勧めようとして、途中で何かに気付く]
……あっ、ちょっと待って下さい。
ただの幻影だといけない。
[椅子を引いて、手で座面を押さえてみる。
それから自分が座って、ちょっと揺すってみた]
大丈夫ですね。いきなり消えたりはしなさそうで……
[立ち上がって体の向きを変えたとき、中庭に誰かがやってきたのが見えた>>+32]
…………あれは。
[自分と同じくらいの背丈に、金の髪。
首都防衛隊の自分とは少しデザインが違うけれど、同じ公国の軍服。
出会ったことを素直に喜べない表情も、たぶんお揃いだ]
シェットラント。
……君も、来てしまったんだね。
僕は、父と一緒にいるときに、何者かに襲撃されて……
[襲撃者の正体は知っている。
間近に姿を見て、声を聞いている。
それでも、彼の名を、「襲撃者」として口にすることができなかった]
撃たれたんだ。
父が無事だといいんだけど……何か、知ってる?
[問うてから、相手の顔を、少し不思議そうに眺めた]
……どうしてだろう、あの時、撃たれてから何も聞こえなくなったのに。
どこかで君の声を聞いたような気がするよ、シェットラント。
……それに。
ディーク先輩や、トール先輩の声も……
勝てよ、って。
また一緒に紅茶を飲みたいって……
あれは……
[どこで耳にしたのか、覚えていない。
ただその暖かな声を思い出せば、胸が締め付けられた]
…やっぱりそう、か。
…君も…。
[>>+34ステファンの言葉に、眉根を寄せる。彼が、彼自身の顛末を言葉にすれば>>+35]
…一報を聞いたときは驚いたよ。まさか君が、って。信じられなかった。
君は何となく…一番、こういうことから縁遠いように思ってたから…。
…お父上はご無事だよ。同乗されていたベルンシュタイン大佐の兄上も…軽傷を負われたようだけれど、ご無事だった。
[ステファンの視線に、罪悪感から目を伏せる。
戦場での死を望み、戦争が激化すれば良いと思っていた自分は、彼の父親の死を願った事があったから。]
…声?
…見舞いに行ったからかな…?
トールせ…、ラウツェニング准将は分からないけれど。ベルンシュタイン大佐は来られていたようだよ。君のお母上が仰っていたし、それに…枕元に、カードが置いてあった。多分、大佐が君を思って置いていかれたんだと思う。
[>>+36彼の言葉に、目を伏せたまま答えた]
……ん、そうだね。
我ながら、まさかあんなことになるとは……。
[>>+37縁遠い、との言葉に、どこかしみじみと呟く。
軍人になった以上、戦いで命を落とす覚悟はできていた。
ただ、仕官してすぐ首都防衛隊に配属されたこともあり、本当に具体的に覚悟できていたのかは、怪しい]
父も、ユリシーズさんも……無事なんだね。
よかった、ありがとう……!
[それでも、あの時躊躇いなく父の身代わりになることを選べた。
そして、大切な人々を護ることができた。
目を伏せるのは、自分と彼自身の死を悔いるものだとしか思わずに。
知らされた事実に、明るい声で応えた]
見舞いに……そうか。
[>>+38なるほど、と納得したように頷く]
じゃあ僕は、あれからすぐにここに来たわけじゃなさそうだね。
……ありがとう。心配かけて、ごめん。
カード……とても大切にしてた、あれを。
そっか……。
…………。
[ここへ来てしまったことは、仕方ないと思えていた。
でも、回復を祈ってくれた彼らを、悲しませてしまったことが辛い]
……ごめん、
[そしてこの事実は、
自分を撃ったあの人に、きっと深い傷となって残るのだろう。
軍服の袖で、目元をぐいと拭った]
[しばしの後]
……また、誰か来た?
[視線を感じて、きょろきょろと首を動かす。
けれど、新しい人影は見えない]
何だろう、すごく大勢の人に、見られてるような。
『…………』
『…………す』
『……士官学……』
何か……聞こえないか?
[不安げに、ふたりの顔をみつめた]
『現在、士官学校跡地は双方の軍の停留が見られぬ緩衝地帯になっています』
『けれど実に効果的だ』
『河川上流から毒を流せば』
『士官学校跡地に篭る一軍を個別撃破する』
[どこか遠くから聞こえる、いくつもの声]
……知ってる、声だ。
[かつて同じ学び舎にあった者たちが、帝国と公国に分かれ、それぞれの国のために戦っている。
それを知ってはいるけれど、まだ、目の当たりにしたことはない]
ここで、戦おうとしてる……。
[声が震えた。
昔のままに見えるこの「学校」と、現実の「士官学校跡地」は、重なっているのだろうか**]
…事実を言ったまでだ。礼なんか…
[>>+40ステファンの明るい声に眉根を寄せ、ぎゅ、と唇を噛んで首を振る。
が、彼が目元を拭うのに気付けば驚いて顔を上げる]
何故謝るんだ。
君が謝る事なんて何も…。
[ごめん、に込められた意味が理解出来ずに顔を歪める]
…謝るのは、僕のほう、で…。
……君の報せを聞いたとき…君が無事だったら良かったのにって思ったんだ。
…君ではなく、君のお父上が…撃たれていればと…。
[苦しげに心情を吐露し]
…ごめん。
こんな事、今更謝るのも…卑怯だな…。
…………。
[>>+46苦しげに絞り出されるような言葉に、じっと耳を傾けた]
……そう思ってたのは、君だけじゃない。
父やベルンシュタイン侯を邪魔だと思ってた人は、多かったと思う。
売国奴なんて呼ばれたことも、一度や二度じゃ無いし。
……僕だって、戦争を始めようとする人たちがいなくなればいいのにって……考えてしまったことは、ある。
でも彼らは彼らで目指すものがあって、それはたまたま、僕が願うものとは違ってた。
……君には、叶えたい望みがあっただけ。
卑怯なんかじゃないよ。
[強張って見える肩に、そっと手を置いた**]
……君は、どうしてそんなに優しいんだ……。
[>>+47ステファンの紡ぐ言葉に、自嘲の笑みを浮かべる]
…やっぱり、僕は卑怯者だよ。
僕の望みは…国の為だとか、理想だとか…そういうものではなかったから。
今だって、こうなれたことに…どこかほっとしてもいるんだ。
…軍人失格なんだよ。
[肩に置かれた手に、少し困ったように笑った]
[>>+43 誰か、という言葉に胸が冷えた。もしあの人が死んでいたら、ここにいる可能性があるのだということに思い至ったから。
会いたかったけれど、ここでは会いたくない。矛盾した思いと不安を抱きながら辺りを見回すが、人影は見えず]
……何だろう。誰かが…話し合ってるような…。
…もしかして、現実のシュヴァルベの…? だとしたら…なんでここは昔のままなんだろう。
[首を傾げ、傍にあった木に手を触れてみた。すると木の根元の草むらががさがさと動く]
…?
わっ。
ラヴィとスノウ?
[草むらを覗き込むと、ラヴィに良く似たウサギと、スノウに良く似た猫がぴょんと飛び出し、駆けて行った**]
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