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[膝をついたなりにその手を離さず、紅玉の瞳見上げ]
ご謙遜を。
どれほど時を経ようと贄殿の姫の輝きが色褪せることなどあり得べからざる事。
否、時代が過ぎたというのならば、過ぎた時の方が悪い。
[嘯いて、如何なる時も笑みを刻んだままの唇綻ばせた。]
とは申せ、姫御前が任せると仰せなら従いましょう。
尤も、私も客分故、蛇殿梟殿の差配に従う所存ではありますが。
[急速に休眠に落ちゆく白銀の乙女を見守って。
完全に眠りにつくまで傍らに侍った。]
[やがて眠りの深きに落ちたと見るや、くつり、と北叟笑む。
真白き繊手に頬擦りし、
…………
[玉の
[つぷりと牙の先端を押し当て、柔肌を破り。
染み出た甘露を
嗜欲に任せて貪る真似はせぬのは、得難き稀酒と心得ているからで]
――あれはまだ未完の器、
[舐啜の合間に陶然と語るは、最新の血子にして最愛の
他の者なら数年で音を上げて、
真から心酔するようになるか、狂うかするものを。
人として生きた歳月と同じ、29の年を過ぎても未だに耐えて、
心の裡に聖域を抱えて踏み入らせぬ。
故に徹底的に壊したい。
身も心も魂も打ち砕いて、我がものとしたい。
[晴れやかにして艶なる微笑、]
蛇殿、梟殿におかれては、
遊戯の最中には、如何様にもお愉しみいただきたい。
あれが極上の饗しをいたしましょう。
ただ――
[一転、血塗れの唇から溢れるは、うっそりと牙。*]
どれほどの値積まれても、譲れませぬな。
― 湯殿 ―
[浴槽の中で体の向きを変え、縁に頬杖をつく。
婉麗を保ちながら薄く発達した背筋、薄くまとう皓肌の上を、髪から滴る雫が伝う。
湯靄へと濡れた翼を広げた。長駆よりも更に大きい両翼へ、両脇の侍従が手を伸ばす]
私達が良いというまで、念入りにしなさい
[侍従達は羽毛の一つ一つから水を切り、薔薇の香を含ませて羽を揃えていく。
そうして羽繕いを始めながら、梟はとろりと笑んだ]
鴉公…
[どこか嗜めるような口調は、それよりも陶然とした甘さを花開く]
困るな、私達は争事を厭う平和者だというのに
貴方のおはなしは
仔を持たぬ私達には耳に毒だよ
[憧憬を語りながら、口許を片手で隠した>>+22]
そのように美しい愛着のありようを見せられては
羨ましくて…
──その仔から貴方を奪いたくなってしまうだろう?
だからそのように、私達を惑わせてくださるな
愛らしく心配せずとも、アルビンを譲れと強請ったりはすまいよ
[楽しめ、と言いおいて
羽繕いに梟が耽るのと同じ刻、
古城の一角に羽音なく同じ姿が舞い降りた。血を捧げ、宴に華を添える者>>+15を手招いて]
― 倉庫>>71>>72>>73 ―
御機嫌よう、ジャン
[うわべの微笑みに、情感を込めて笑みを返す。
静寂のまま伸ばした腕から見事逃れてみせた仔狐へ偽りなき賛辞を送った]
貴方の父殿も誇りに思われることだ、賢き若者
なに、これもちょっとした演出だよ
ゲームには偶発的事故がつきものだろう?
[狐火が増えていくのを待ちながら、たおやかな指を顎へ宛てがい優しげに笑んだ]
[麗しの贄姫の手を舌と唇で蹂躙しつつ軽やかに微笑]
ふふ。
戯れと承知しても尚、あれを「奪いたくなる」と仰る梟殿の舌を切り取りたくなりますな。
[半ばは本気、半ばは冗句、
物騒な言の葉をさらりと嘯く]
[閃光。かぎ爪が疾り、
床に転がる仔狐は、再び降りた薄闇の帳の下]
…腕から啜れと?
いけないね、興を削ぐような振る舞いは
[差し出された手をとって、爪先にくちづけながら襟を緩めない意図を質す。
答えを聞けば、猛禽の瞳をアーモンド型に丸めた]
おやおや…特別な人? ――愛いことだ
妬けてしまう
ふふ、健気に守ろうとする操を破って泣かせてみたいけれど
[本当に泣くのならやったに違いないが、その程度で折れるほど脆くはあるまい]
では首以外からなら 構わぬのだな?
譲歩するのだから拒絶は許さないよ、ジャン
― 湯殿 ―
[湯に半身を浸かって寛ぐ梟は艶笑を滴らせる。
微睡むように半ば閉ざした瞳を、贄殿の室の方へ向けた]
…ふ。私達の繊細な心が傷つくことだよ?愛の告白をそのように軽やかに躱されては
それとも──誘っておられると理解して良いのか、鴉公
[脅しめかして響いた言の葉>>+27に惹かれずにはいられない。
垣間見せられる執着の純粋さ]
『貴方』を、『その仔』から、奪いたい
冗句ではないと申せば…この舌を引き抜いて、召し上がってくださるか?
[それこそ戯れ言そのものの口調に、甘く霞む媚を含めて]
― 廊下>>129 ―
[走るセルウィンの前に現れたは、黒羽根のドミノマスクで顔を覆い隠し、揃いの侍従の装いを纏った漆黒の一団。]
“話が主がお待ちかねです”
[一言のみ告げて、瞬く間に雛仔を取り囲む。
光通さぬ黒布が、素早く獲物の両眼に巻かれ、視界を奪った。
哀れな贄花は暴れるのも構わず引き摺るようにして運ばれ]
― 玄室 ―
[かりり、と繊手に愛おしげに新たな傷をつけ]
梟殿の舌ならば、今すぐにでも戴きたいもの、
[鮮赤の舌閃かせ、わざと水音立てて血蜜を舐める]
深く口接けて噛み千切り、貴方の血潮とともに呑み下したい。
[クク、と喉鳴らした]
――と申せ。
梟殿が我が
まことに光栄の至り。
[はぐらかすよに、ほがらかな笑声を上げた]
― 倉庫>>84 ―
[告げた通り、首筋には指すら触れなかった。
仔狐を汚す朱と周囲へ散った飛沫とを瞬き一つで拭い去り、
ぐったりと伏す背へ衣服を投げ渡す。
人型を保てる程度には残した。起きれば自ら整えるだろう]
…根源の渇きは、本質を照らす
貴方も見せてくれるな
[曝させた膚を辿り、胸の柘榴を牙で暴き、肢体の芯から直に血を奪った。
急ぐ狩りではないからと、時間かけて反応を引き出し、血肉を荒らした共喰らい。
去り際、
とても美味しかった、と囁く声は慈しみすら覗かせて**]
― 城上階の小広間>>129>>138 ―
[病犬のごと鎖で四肢を繋がれ、暴れる贄の雛は誠に愛らしく。
健気にも虚空に罵声を放つ様も、無残に手折りたい欲情を誘わずにはおかぬ。
暫くは闇影に紛れ、気配を断って周囲を巡っては可憐な姿を堪能する。
勝ち気な瞳を屈辱の涙で濡らしたい、
それとも最期まできっと睨み据えて抗うだろうか、と
思うさま夢想を味わった後で、
おもむろに背後から忍び寄り、
鮮やかに目を引く首筋に牙を打ち込んだ。]
[巨きな牙を根元まで深々と埋め込んで。
血蜜が瞬く間に口中に溢れ出て満たすのを、喉鳴らし飲み下す。
蜜を奪われた花が叫びもがく、それすら妙なる調べと聞き入って]
活きの良い獲物は私の好物だよ、
[悦にいった濡れた囁きは、雛仔の耳には届くまい。
きっかり獲物の飢えを誘う程度の量だけ蜜を奪うと]
物足りぬが……
遊戯の規則とあっては仕方あるまい。
[血の酔いに仄かに目元を染め、
やさしさの欠片もない眼差しで血贄となった雛仔を眺める。
かなり消耗しているようであったが、雛が上位の者に
— 湯殿 —
[口許を覆っていた手の平の間から、低く声が漏れた]
ふ…。私達の血潮などは、とても贄殿には及ぶまい?
[届いた水音>>+32に重ねるよう、浴槽から立ち上がる。
古城の倉庫へ蛇の血子を置いて去ったのと同じ刻]
お前達、もう良い。下がれ
[侍従へ告げて、美しく整えられた翼を幾度か空撃ちした]
折角の宴だ
私達も存分に楽しもう
[滑らかな彫刻のような裸身を晒すまま、湯殿のカウチへしなだれる。
指の間に薄いガーネットのグラスを生み出して、そこへ血の紅を注いだ*]
[主の無言の意を汲み取り、魂のない木偶の下僕が弱った雛仔を部屋から引き摺り出して連れて行く。
離れた廊下に放り出して捨てるだろうが、男にはどうでもよい些事。 ]
瑞々しい味わいだが……欲を言えば深みがもう少し欲しい。
――そう、慚愧や頽廃といったような。
[一撫で、唇を拭った指先を舐めて。** ]
― 鏡の間 ―
[白なる吸血鬼がいるのは、大小様々な鏡が置かれた部屋。
部屋の主を映さぬそれらは燭台のぼんやりとした光を受け、今ここではない場所を映し出す。
例えば兎や金糸雀の変調を。
例えば三者の血が流れた廊下の一隅を。
例えば湯へ投げ込まれた無垢なるものを。
例えば、同属の血を啜るものらの姿を。]
みな、大いに楽しんでいるようで何よりだ。
[カウチに身体を投げ出して、聊か行儀悪くそれらを眺める金の眼は愉悦に輝いている。]
— 湯殿 —
なかなかに、美しい物語が見えるね
[期待した通りに。
カウチに寝そべる紅は、湯煙に投影されて移り変わる朧な映像を眺めてグラスの血を舐める]
しかしあの滑り台は実に素晴らしい
思いついたのは誰だね?まったく、才能であるよ
― 湯殿 ―
[鳥の名を冠した彼らがそれぞれに享楽の相手を見繕っていた間も、蛇は地下で静かにとぐろを巻いていた。
滑らかに忍びやかに動き出すのは、彼らが、正確には梟が饗宴を終えた頃。
湯殿に満ちる霧がひときわ濃くなり、滲み出るように白い姿を形作る。]
寛いでいるところを、失礼するよ。
是非、感想を聞かせてもらいたくてね。
[白の衣は、場所に合わせて湯衣一枚に変わっている。
ごく薄い白絹の長衣からは、身体の線がよく透けていた。**]
— 湯殿 —
[霧が濃密さを増し>>+42、そこに映っていた映像を滲ませて現れた姿。
紅はゆるゆる眉を上げた]
えも言われぬ佳景よ、蛇の
[白のうすぎぬを指して囁く。
カウチに寝そべる紅が着るのは、浴湯に混ぜた淡い香油の薫のみ]
感想?…つぶさに見ておられたのではないのかな?
言うまでもなく──素晴らしかったが
[揶揄う声も柔らかい。
手にしたガーネットのグラス、底に僅か溜まった仔狐の血を口へ含んだ]
― 玄室 ―
旨酒の妙味はそれぞれに異なりましょう。
歳月に嘉された古酒は確かに天上の味わいではありましょうが、
艷麗にして勁烈なる醸酒もまた格別。
[口説の最中も名残惜しげに細指を含んで舐り。
徐ろに贄姫の手を放し、眠れる胸元で組むように整えるは、我慢ではなくの愉しみの先延ばし。
待ちいたる時の長いほど悦びもまた増すが故。]
[立ち上がり、胸に手を添え、微睡む贄姫に一礼。
羽撃きの音とともに黒羽根散らせ――床に舞い落ちた羽根が雪のように溶け去る頃には、漆黒の姿はない。
玄室の外、遥か離れた仄暗い通路を大股で、
楽隊引き連れた指揮者の如く闊歩する。
晴れやかに愉悦のリズム刻んで杖を上下させ、
口遊む旋律は交響曲の一節。]
[白の波がさざ寄せて、紅との輪郭を蒙昧とする]
直に確かめたいか
…それは賭けの代として?
それとも──お願いなのかな
[愉悦含む唇は、言葉に導かれるまま
狐と交わした熱を思い返して、あかく艶を増す]
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