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( ………ごめん なさい、 )
[謝罪は、かつてこの場で斃れた
( ごめんなさい、 )
( ごめんなさい、 …、ごめん なさい )
[あれから、何度こうして一人きりの悪夢を過ごしただろう。
一人、寝つけぬ夜の闇に泣いて謝っても謝っても。
だいじょうぶ>>1:=11、と。声かけてくれる人の声は亡く。]
― あれから ―
[わたしがゾネス要塞の総督代理となった後、存命が叶えば要塞を乗っ取り、内側から開けて北からの軍を通す予定だった。
国境近くまで進んだ軍は、わたしからの合図を待っていた。
しかし、そこへ齎されたのは、わたしの任務失敗の報(=訃報)だった]
[指揮官は考える。
元々貧しい国の軍隊は、兵糧にあまり余裕がない。
王都から国境まで進軍するにあたっても、決してタダではないコストが掛かっている。
このまま何もせずに戻ったら、何ら成果が挙げられなかったと、死んだ間者の分も含めて責任を問われることになるだろう。
待ち受けているのは降格か、左遷か。
世間の笑いものにもなるだろう]
[指揮官は決断する。
引き返さずに、ゾネスを強行突破すると。
幸いにも兵士たちの士気も高まっていた。
無血開城はかなわずとも、こちらには相手国の王子により伝えられた、要塞の内部図面がある。
図面をもとに、要塞攻めのシミュレートを何度も行ってきた。
かつてないほどの好条件に、勝利の可能性がチラつく。
難攻不落の要塞を陥落せしめんとす。名声と戦功を挙げる絶好の機会だと、その場にいる誰もが功に逸った]
[侵略はあくまで人道的に、と謳われていたのもはじめの内。
事前に入念な準備を整えてきたものの、それでも激しい抵抗にあった。
戦いが過酷になり、味方の兵士が次々と斃され、厳しい状況へ追いやられると、もはや相手を気遣う余裕は奪われてしまった。
憎しみと怒りに駆られ、虐殺と強奪を重ねる。血しぶきをまき散らし、女騎士たちの屍を築き上げる。
そして、激しい戦いの末に、どうにか要塞を掌握したものの、軍にはこれ以上先へ進む力は残されていなかった。
元々はゾネスでの戦闘は、想定外だった。
兵力を著しく減らした軍は、要塞で援軍の到着を待つ事になる。
しかし、要塞へ向かう軍は、北からだけではなかった。
要塞の南側(ラメールの王都)からも、軍が押し寄せてくる。
そこに翻る旗は、ラメールのものではなく、さらに南国にあるアリューシュのもの。
やがて、ゾネス要塞が再び戦火に包まれる。
ラメールを挟んだ北と南の、初めての衝突だった。*]
― Etoile ―
国境から王都へ繋がる街道以外は、未開拓の大地が広がった。
夏は短く、一年中をほとんど氷で覆われた大地は作物が育たない。
ここは元々、人が住まう土地ではなかった。
過去の戦で逃れた人々が移り住んだか、あるいは罪人の流刑地とされていたか。
隣接する諸国に国境を築かれ、切り離されるようにして生まれた国だとも言われている。
厳しい寒さに凍える人々は、温暖で肥沃な国土を持つ
手つかずの森林や鉱山は、未曾有の財が眠っているとされているが、それを得るための投資が追い付かず、その恩恵はまだ得られていない。
それらに手を伸ばそうと、近隣諸国の動きも活発になってきているが、一度見捨てられた立場である以上、彼らを再び受け入れるのは、矜持がそれを許さなかった。
[脆く消えて終いそうな小さな小さな光は何かを求めて彷徨い続けていた。
何かに誘われる様に向かった先は、弟が眠る部屋>>=0。
悪夢に魘されているのか、涙を流す弟に此方は気付く事も宥める事も出来ないけれど。
消えそうな光は、柔い髪に触れ撫でる様に何度も近くを飛び回る。]
[魂は側に居る事すらも出来ない。]
[魘される弟を、裏切り憎悪をぶつけた兄はどうして会えるものだろうか。]
[今更どんな顔をし、弟の前に立てば良いのか。そもそも会う資格すら持ち得ないのに。]
[だけども、だけど。]
[愛していたのは紛れも無い事実。]
[死しても尚、残された
[それが、弟に伝わらなくとも、想いなど知られなくても構いはしない。]
[決して見えぬ所にも想いはある、希望がある。
それに気付くのは相手次第だろうが、確かに
[その答えを残しながら、淡い光は弟の元を離れまた何処かへと飛んでいく。]
[消えそうなその光は決して消える事は無く、辿り着いた先は父と母、そして弟と己の名が刻まれている墓へと辿り着き、何かを待つ様に小さな光は留まり続けていた。]
― いつかの夢に ―
[
かつて
ウェルは今も時折うなされる。
そんな時は、きっと共にある彼を心配させていることだろう。
それでも、ふと、うなされる顔が安らぐような時がある。
見えない手が>>=1、ふわりと頭を撫でてくれたように。]
あにうえー!
[かつて、兄は良く弟の頭を撫でてくれた。>>5:-74
そんな優しい兄がウェルシュは大好きで、ころころとその後をついてまわった。
あにうえが、わたしを撫でてほめてくれました!
そんな風に報告すると、母は嬉しそうに優しく笑った。
幸せだった。胸温めてくれる記憶は、今も宝物のように消えることなく。]
( ………、あにうえ、)
[ふわりと、揺らぐ意識が兄を呼ぶ。
淡い光はその呼び声に応えたか。
ひかりは暖かな気持ちとなって、胸に沁みゆく。]
( あにうえ、 )
[だから、ただ呼びかけるだけの声はかつてと同じに。
微笑みと親しみの色をもって、ひたすらに呼ぶのだ。大切な人を。]
…─── あにうえ、だいすきです!!
[満面の笑顔で告げた幼い日、兄はどんな顔をしていただろう。
思い起こされるのは、きらきらと輝いていた翠の瞳。
今はもう遠く、けれど確かにあった * 暖かな時の記憶だ。*]
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