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これが今の俺に言えるすべてだ。
俺の言葉がどれだけブラバンドの人間に受け入れられるかはわからないが、伝えたいことは全部伝えた。
後は、行動あるのみだな。
― 間奏曲 ―
[北国生まれの二人にとって、マチュザレムでの生活は時に気温に当てられてしまう日があった。
そんな時は何らかの方法を講じて涼をとる。
その日はボートで湖に繰り出し、涼やかな空気に身を晒していた]
涼しいなぁ…。
[湖面に手を伸ばして浸したりと、あれやこれや試してみたりもする]
[そんな中で、不意にボートが揺れた]
うわぁっ!?
[波も無い湖。
他のボートとぶつかったかとも思ったが、ぶつかる音は聞こえていない。
視線を巡らせば、カナンが自分達の乗るボートを揺らす姿が見えた]
カナン、止めろって!
− 間奏曲 −
ただでは止めん!
だって、おまえ、「どうして湖の上は涼しいのか」とか、そういうこと考えてそう。
もっと元気に遊ぼうぜ?
[ケラケラと笑いながら揺れるボートの上で立ち上がり──、そのまま後ろ向きに湖へドボン。]
― 間奏曲 ―
[思考を言い当てるカナンに、ぐぬ、となりながら]
この世の事象には須らく理由がある。
それを考えて何がわ───
わぁ!! カナン!!
[反論したところでカナンが湖へと水飛沫を上げながら落ちていく。
不用意に立ったがために落ちたと思い込み、慌てた声を上げた]
おい、カナン!!
[船縁に身を預け、カナンが落ちた場所へと手を伸ばす]
― 間奏曲 ―
[泳げないわけではなかった。
だが、見えない流れがあるのか、湖に落ちたカナンは底へ底へと引きずられる。
胸が潰れそうになって、肺の空気がコポリと溢れた。
泡は砕けて散って逃げてゆく。
覗き込むシメオンの顔が歪んで見えた。
繋がりそうで 届かない 運命の糸は 半ば ]
― 間奏曲 ―
[落ちたカナンが浮いて来ない。
伸ばした手を掴んでこない。
泳げるはずなのに、金色は湖底へと沈んで行く]
───んなろっ!!
[悪態をついて、シメオンは大きく息を吸い込んだ。
少しでも動きやすいように上着をボートに脱ぎ捨て、頭から湖へと飛び込む]
天の岩戸は開くかな。
何事もなく、太陽が出てきてくれれば助かるんだが。
[どこかの昔話を引いてきて呟く]
打ち砕くには、ちょっと硬い石扉だからなぁ。
[投げかけた”声”がしっかりと響いていることがわかる。
読心術ではなく、骨伝導でもなく、不思議と──話せるのだ。]
ひとりじゃない… なら、 死んでたまるか。
[伸ばした指先にシメオンの手が、想いが絡む。
ふ、と身体が軽くなった。]
[空気無き水の中、振動で伝わる音ではない声。
あり得ない事象。
あり得た事実。
この事象に理由をつけるならば、それは”絆”と呼ばれるのだろう]
死なせて、たまるか。
[絡んだ指を、手を、想いを。
しっかりと握り締める。
心なしか軽くなったカナンの身体を自分の身へ引き寄せ、抱えるようにしながら湖面へと浮上した]
ぷはっ!
[顔だけを湖上へと出し、呼吸を確保する。
ゆらり漂っていたボートを捕まえて、その船縁にカナンの手を掛けさせた]
カナン……ッ
[切羽詰った声で呼びかける]
― 間奏曲 ―
[シメオンの腕が身体を支え、水を掻く。
重い束縛が剥がれてゆくようだった。
ほどなく頭が水面に出る。
シメオンの手で引き寄せられたボートの縁につかまって日差しの温かさを背に受けた。]
はははは…! あはははは!
ありがとう、シメオン、 やったな! 嬉しい。
[溺れかけたばかりだというのに、弾けるように笑う。
生きている、そして、生きてゆく上でとても大切なものを得た実感が身体を駆け巡っていた。]
― 間奏曲 ―
[至近距離で笑い声が上がった。
溺れかけたカナンのもの]
お、っまえ、 どんだけ心配したと……!
[笑う声に呆気に取られた後、激しかけた声が上がる]
………ふ、 あはははははははは!
[けれどそれも、直ぐにつられるような笑い声に取って代わった]
まさか、繋がれるなんて。
俺も嬉しいよ。
[湖面に浮きながらカナンの身体を抱き締める。
繋ぎ止めた絆は、唯一無二のかけがえのないもの。
失わずに良かったと、心底思った]
― 間奏曲 ―
[日差しとは異なるシメオンの肌の温もりが伝わる。
笑いに転じた声が水面をキラキラと波立たせた。
ひとしきりじゃれあってから、
よいせ、と手を貸し合ってボートに上がり、脱いだ服を絞って水を切る。]
おれは生まれた時に、予言されたそうだ。
「この子はすぐ近くと 果てしなく遠くに かけがえのない宝を見出すだろう」って。
なんとでも解釈できそうな予言だけど──
こうして血よりも強い絆を得たんだから、信じてもいいな。
― 間奏曲 ―
予言?
[お互いの力を合わせボートによじ登り、服の水を絞っている時に語られたカナンの運命。
宝、と示されると赤い瞳を何度も瞬かせた]
すぐ近く、が俺ってこと?
へへ、そっか。
それなら、もう一つもいつか見つかるだろうな。
ここに予言の証明者が居るんだから。
[何だか誇らしく思えてきて、ついつい偉そうな物言いになる。
自分を示す単語には、それ女性に対して使うんじゃ、なんてことも思ったが、大切な人と言う意味では使い方は間違っていない、のだろう]
ああ、よろしくな。
[ずっと添うであろう、己の
でも、多分。
これで良かったんですよね―――… アレクシス。
[貴方が今、傍にいないこと。
それが心辛くは、あるけれど]
ふふ。 どうか、見ていてくださいね?
黄昏のように金に輝く明日を、皆と共に、紡いで。
ナミュールの黎明を、迎えてみせます――――。必ず。
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