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誰かの人形で居続ける呪いは喰らってやる。
お前は、紛れもなく人間だ。
この可能性が広がる世界で絶望に沈まないことを願っている。
……エレオノーレ?
[そういえば、あれから同胞の声が聞こえない。]
おい、エレオノーレ?返事位したら……
[そこまで言って、ふとあることに気づく。
気配が感じられない。ここにはもう、自分しか居ないことに。]
――…………はは。
[目を閉じて、まだ少し痛む左胸を押さえる。]
こんな、呪いしかかけられない奴が生き残るより
君のように純粋に魔女に戻れた子が残った方が……よかったのに……
[ああ、もう自分は戻れない。
運命を引く者には帰れない。自分は呪いを詠うものになってしまったのだから。]
――――もう、後戻りはできない。
[あの日、白いヘビが自分を唆した瞬間から。
もう、あの世界に帰れないことは知っていた。
書斎へ続く扉を開く手は重く――]
― 少年が堕とされた日 ―
「少年よ――――お前の全てを奪ったものに復讐したくはないか?」
[ヘビが笑いながらそう言った。]
「フィオン!聞いちゃ駄目だよ!!
復讐なんてしちゃ駄目だ!そんなことしたって意味はない!」
[契約者である小鳥は叫ぶ。
自らの契約者を堕落させまいと守るように必死に]
………………。
[けれど、肝心の魔女は口を閉ざしたまま俯く。
小鳥も、ヘビも見たくはないと言わんばかりに]
「なあ――――フィオンと呼ばれた少年よ?
家族になりたかった者に存在を否定された哀れな少年よ。
こんな運命は残酷だと思わんか?」
[――ピクリ、身体が反応する。
そうだ、自分は弟だと思ってた子に家族じゃないと否定された。
ようやくあの痛みを忘れられると思ったのに、否定されたのだ。]
あれは――……気が立っていただけだよ。
本当はとても……優しい子で……
「では何故そんな優しい子がお前を否定する?
生きる希望を奪われたお前を突き放すのだ?」
[ヘビは笑う。
少年の否定の言葉を論破しながら、嘲笑う。]
「本当に優しい者は、痛みを知ることができるものだ。
そいつはお前のために涙を流したか?
そいつはお前のために怒ったことがあるか?
――――否、ないだろう?」
「黙れ!それ以上フィオンに変なことを吹き込むな!」
[ヘビの言葉を遮ろうと小鳥は叫ぶ
心が折れかけている魔女に、この甘言を聞かせてはならないと。]
「ふははははははは!何を言っても無駄なことだろう?
いいか少年。お前を受け入れてくれる存在は!認めてくれる存在は!
もうこの世の何処にもいない!
お前を狂愛し、嫉妬し、憎悪した者に奪われたのだ!」
「違う!!フィオンにはまだフィオンを愛してくれる人が居る!」
[ああ、小鳥が叫んでる――
自分のために叫んでくれるというのに――何故だろう。
あの子の言葉が、自分に響いてこない。]
…………れ、ば……
[沈黙を貫いていた少年が、唇を開く]
どう、すれば……僕は、取り戻せる?
[目からは、ぽろぽろと大粒の涙を零し]
運命を従えるだけの力を手に入れるだけじゃ駄目なの……?
[すっぽりと手が隠れた袖で涙を拭いながら]
どうすれば……僕を、必要としてくれる人が現れるの……?
[縋るような声に、ヘビの口は狐を描いた]
「ならば、我を受け入れろ!
そして奪略者どもを呪うのだ!!
運命を従えるには力?何を言っている!
運命を破壊するには何時だって怨嗟の力なのだ!」
[ああ、そうなんだ――――
心が壊れかけた、折れかけた、沈みかけた少年は――]
「手始めに――そうだな、その契約者を俺に喰わせろ。
そうすればお前が復讐すべき相手を教えてやる。
そして、死ぬよりも辛い罰を与えるのだ!」
[それが、あの世界へ帰るものだと信じてしまったから]
「フィオン、あんな奴の言葉を…………」
[小鳥へ、手を伸ばす。
そしてそのまま、小鳥を握り締め――――]
はい。これで――……僕は僕の世界へ帰れるんでしょ?
[契約者をディアボロスへと差し出した]
「フィオン!?嘘でしょ?冗談だよね!?
そんなことしちゃ駄目だ!帰れなくなっちゃう!
駄目、フィオン、フィオンやめて!!」
[しゅるり、自分の手に巻きついたヘビ
くつくつと楽しげな笑みを浮かべたまま]
「イタダキマス」
[小鳥を、飲み込んだ――]
[自らの契約者を喰わせた魔女はヘビを見つめる。
その目は虚ろで、希望を見出せなくなってしまったような顔]
「少年よ――お前の居場所は、心の安寧の地は訪れない。」
「さあ、全てを呪え!!」
「この世界にお前を受け入れてくれるものなどいないのだから!」
「はははははははははははははは!!!!」
[ヘビの声に従うまま、自分は
自分の全てを――手始めに、母を奪った男を一人――呪い殺した
そこからの記憶はもう曖昧で、きっとそこが自分が堕ちた最初の記憶。
もう元に戻れない――後悔の記憶**]
『(なあ、夏南…………
お前、どうしてあのタイミングで呪いの代償が来たのか本当に分らないのか。)』
[契約者は静かに目を閉じる。
人狼で在り続ける事を望む自分の2番目の魔女へその言葉をかけることはなく]
『(お前は、昔のお前に戻りつつあるんだよ。
だから呪いがお前を拒絶したんだ。)』
[なのに、どうしてそれに彼は気づかないのか。]
『(後はお前が――魔女となりやり直したいと願えばいいんだよ。
ただ、それだけなんだ――……)』
[自分から、言ってもこいつは否定してしまう。
だから狼は押し黙り全ての結末まで見届けようとまた、目を開いた]
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