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[腕の中、小さく震える存在を
大切そうに抱き締め、柔らかな唇を甘く食んだ。
衣服を掴む指先が、先を求めているのか、
駄目だと嗜めているのか…、都合のいいように考えてしまうのは
――自分が、「もっと触れたい」と感じているからだろう]
部屋、……戻ろうか。
……なるほど。
お疲れ様を兼ねて、乾杯せよ、って事かな。
[ローゼンハイムの気持ちは有難く受け取る事にしよう。
栓をナプキンで包み、静かに開栓しながら、
この船に乗って直ぐに、シャンパンではしゃいで遊んだ事を思い出す。
そういえば結局、獣狼人は存在したのだろうか。
否、正しくはその配役を宛がわれた人物…か。
思案しながらトールグラス二個を金色の液体で満たしていけば
渇いていた喉が、こくりと鳴った。
イェンスへグラスを差し出し]
無事、戻ってこれたことでも祝おうか。
あと、…クリスマスに好きな人と一緒に居られる事を。
[なんちゃって、と舌を出しつつ乾杯の所作を交わし、
グラスの縁へ口付けた]
[ジークの方は何だったのだろうと見れば、シャンパンのようで]
まとも、だな…。
[なんて、気が付いたら口にしていた。
シャンパンを開けて、グラスに注いでいるジークを「様になるな…」なんてぼんやりと見ていると、差し出されたグラス。受け取ってお礼を言った]
ありがとう。
そうだな、無事戻ってこれて良かった。
……あ、あぁ。随分サラリと言うな……。
[好きな人と、の言葉に照れてしまい、乾杯を交わしてすぐ、赤くなった顔を誤魔化すように慌ててグラスを傾けた]
[彼宛の小箱の中身は解らなかった。
ローゼンハイムがイェンスを策に嵌めた、という発想はなく
きっと、彼にとって良いプレゼントが入っていたのだろうと思案しつつ
「まとも」の言葉に首を傾いで]
イェンスは何を、貰ったの?
[彼からの眼差しに、何処か愉しそうに双眸を細めつつ。
頬を染めシャンパンを煽る彼に気づけば、開いたグラスへとくり、更に酒を足す悪戯を。
余り飲めない事は理解しているのだけれど]
ん? だって本当の事だもん。
――あ、いいものあったよ。
ね、……結んで?
[箱を包んでいた赤いリボンを手に取り、彼へ差し出す。
バーテンらしく見えるから結った方が良い、とのアドバイスを思い出し
寝台の縁に腰を下ろし、彼へ背中を委ねる形で「結って」と強請り]
― 襲撃前 ―
[>>*4何やら深刻そうな顔をするから、何を言い出すかと思えば、>>5可笑しな事を問うノトカ―に、思わず、ドロシーと目を合せて……吹き出した。
真面目に尋ねているのに申し訳ないと思いながらも、止らなくて、腹を抱えてけらけらと]
ふふっ、可笑しな事を言う子だねぇ。
君が、そう思ってくれるならそうだし、違うなら君にとっては違うんだろきっと。
君が僕らを如何思うかは、君が決める事さ、……違うかい?
まぁ、君が何と応えようと、僕は勝手に友達だと思って居るけどね。
……それとも、友達以外の関係をご所望かい?
[彼の不安を笑い過ぎた息苦しさに涙が滲む程に盛大に笑い飛ばして、やっと顔を見せた彼をまじまじと覗き込む悪戯っぽい笑み。
何処か試すような響きで訊ねた言葉を、彼は如何受け取るだろうか?*]
[聞かれた言葉に、慌てて手の中にある紙屑をポケットへ隠した]
いや、ああ、うん、魔法薬に関する物だった。
少し扱いが難しい物だから、俺の家の方へ直接送ってくれているらしい。
[嘘は言ってない、筈だ]
[グラスが開きそうになる度に注いでくれるジークに、よく見てるなぁ、なんて思いつつ。
甘い匂いと炭酸の爽やかさに誤魔化されて、自分が飲んでいるのはアルコールだというのをすっかり忘れていた]
ん?髪とか、結んだこと無いんだが…。
[リボンを渡され、髪を結んでと強請られて。
櫛なんて物は持ってきて無かったから、慣れない手付きで指を通した]
本当に、長いな…。……邪魔じゃないのか?
[髪を撫でながら、そういえば最初会ったとき、シャンパンでベタついていたことを思い出す。
もうシャンパンの香りは無いはずなのに、何故だかぼんやりと、甘い香りがまだ残ってる気がして。
そのまま誘われるように、目の前の銀色に顔をうずめた]
[彼の言葉に「そうなのか」と納得を示す。
遂にローゼンがイェンス実家の薬を認めて出世したりするのかな、なんてぼんやりと。
それは至極喜ばしいことだ。
金色に立つ気泡ごと喉を潤し彼の肌を、
首筋から頬を横目に見遣る。
ほんのりと色付いた皮膚が扇情的に映り…
高鳴る鼓動を鎮めるように、男もまた酒を煽った]
――…ふふ、……くすぐったいね。
[髪へと触れられ、肩を震わせた。
シャンパンでついた香は洗い流してしまったけれど、シャンプーの残り香くらいは残っているのかもしれない。
不意、髪へ温かな呼気を感じ、斜めに振り返る形で彼の蟀谷へ軽くキスを落とし]
……、……酔った?
それとも、……もっと酔いたい…?
[シャンパンを口腔へと含み、彼の唇へくちづける。
あの時彼にされたように、口移しでシャンパンを与えようと
試みた。
抵抗されただろうか?
されてしまっても完全に振り返り、彼の背を
ベッドへ押し倒そうとするはずで]
[こめかみに降ってきたキスに、目を細める。それと同時に視界がくらりと、揺らいだ気がした]
……酔った、かもしれない。
[まるで下手な誘い文句のようだと、内心自嘲して。
近く唇に気付き、自分も顔を上げて応えた。
流れ込んできたシャンパンを小さく喉を鳴らして飲み込んで、もっと味わいたい、と舌を絡める。
気が付けば、ジークの向こうに天井が見えていて。
誘い文句のよう、じゃなくて正真正銘誘い文句だなと笑って、ジークの首へと回した]
[シャンパンで濡れた舌を探すよう、擽るよう口付けを灯せば
酒で冷えた筈の口腔に熱を覚え始める。
腕の中の彼の指先が首裏へと回れば、
仄かな驚きを凌駕する悦びに焦がれゆく躯。
グラスをベッドサイドへ置き、彼の躯を自身の身で覆い]
……意外と手馴れてる感じがするから、…怖いなあ。
[なんて。
意地悪な囁きで鼓膜を震わせ、指先は彼のシャツの上を這う。
肌蹴た合わせから肌が覗けばその滑らかな胸元へくちづけ、胸の頂きをちろちろと舐めたてた。…わざと水音を立てて。
「邪魔じゃないのか?」と問われた髪は、結局結ばれなかった為に、彼の肌を擽る悪戯な玩具と化していて]
邪魔どころか、……便利だよね。――ほら。
[毛束で反対側の尖りを擽りつつ、もう一方を甘く噛んで微かな痛みと引き換えに快感を与え、彼の官能を煽ろうと]
[囁きに、ピクリと反応して]
手慣れてる訳無いだろ…!これで、精一杯なんだ…!
[ジークの方こそ手慣れてる癖に、後で腹いせに何処かに噛み付いてやろうか、なんて思いながら睨んでいた。
胸元に感じた舌の何とも言えない感覚にぎゅっと眉を寄せて。
聞こえだした水音に、羞恥心が増して身体の熱が上がった気がした。
は、と荒くなりそうな息を抑えていると、急に感じた違和感に目をはじめとする見開いた]
やめ…、っ、はっ、…
[くすぐったさの奥に何かを感じて、自分の中でこれ以上は駄目だと警報が鳴り響く。それと同時に、感じた痛みに身体が跳ねた]
いっ…!?
[痛みだけでは無かった。一瞬感じた、痺れるような何か。その正体を知るのが怖いと感じて、身体が勝手に上へと逃げようとする。
しかし、もっと知りたいという欲望が、頭の中にあって。ジークから離れないように、回した腕に少し力を込めた]
[挑むような眼差しが心地良くて、思わず口角が持ち上がってしまう。
誘惑の仕草は己を欲するが故の精一杯の背伸びなのか、
そう考えると躯の奥底が熱を帯びていくようで。
ぴくり。
電流が流れた魚のような彼の躯に、胸の尖りに吸い付いてその眸を見上げ]
されたことない? こんなこと、今まで。
……女の子とかにも、さ。
[逃げようと無意識に動く躯を搔き抱きながら、己の下肢を彼の腿へと押し当てる。
硬度を持ち、熱を帯びた其処を示すことで、己の興奮が伝われば良いと思った。
仮令、嫌がられてしまっても…否。
彼は、己を受け入れてくれる。根拠のない自信に包まれながら
彼のベルトラインをするりと撫でて、前立てを寛げていく。
己と同じように興奮を兆していたならば、直接そっと触れて
頬擦りしながら、茎へと舌を這わせてゆくだろう]
[きっと捨ててしまえれば楽になるのに、まだ自分の中に残る理性が、上がる熱を何とか抑えようと抵抗していた]
さ、あな…!
[ジークは今まで、どれくらい経験があるのだろうかと考えて。仕方がないとは分かっていてもそれが何だか悔しくて、答えをはぐらかす。
態度で不慣れであることなんて、きっとバレているだろうけど。
息を吐くことに集中して、熱を逃がそうとしていると太股に感じた硬く熱い存在。
押し当てられた其れに、自分だけでは無かったのかと嬉しくなって。はっと笑いをこぼして応えるように自分からも、当たる其れを刺激するように脚を擦り当てた。
下へと伸ばされる手に、期待するように、はぁ、と甘く息を吐いて。ついにズボンの中、窮屈そうにしていた其れが外気に晒される。
触れられ、ピクリと反応を示した其れを愛おしそうに頬擦りされて。
淫猥な光景に見とれて、荒くなった息を抑えようとしていたことなんて、もうすっかり忘れていた。だから、]
ん、あっ、……っ!?……っ!
[自分の口から甘い声が漏れた事に気が付いて、口を両手で抑えてブンブンと左右に頭を振って、唇を噛んだ。
這わされた舌に、溶かされてしまいそうだった]
>>*5
[ドロシーと目を合わせて、おもむろに吹き出してしまったアイリ。
何かおかしな事を言ってしまったのだろうか。図々しい事を言ったのを笑われたのだろうかと少し不安になる。
だけど、アイリの言葉を聞けば胸に安堵が広がって行って・・・]
・・・そっか。さんきゅ。
んや、アイリが友達だって、そう思ってくれているなら、「今は」それで十分さ。
[ひとしきり笑われた後、からかう様なアイリの問いかけには、お返しとばかりに小さじ一杯の含みを持たせて返答する。
望んでいた反応とは違ったかもしれないが、それが今の本音だった。
ドロシーはなんと答えたのだろうか。友達だと答えてくれたのならば、同じようにお礼を言って、嫌がられなければ頭をクシャリと撫でてやったかもしれない。
違うと言われたら、「そっか・・・いきなり図々しい事言って、ごめんな。」なんて精一杯の作り笑いを浮かべながら謝っただろう。]
>>*1>>*2>>*3
[どうやら、今回の襲撃はドロシーが行う事になったようだ。
一人になるのが嫌だからとアイリに請われ、自分は二人でお留守番。
・・・だけど、なんとなくわかっていた。近々、自分はここに居られなくなるという事を。]
(・・・ごめんな。最後まで見届ける事が出来なくて。
ごめんな。一緒に居てやる事すら出来なくて。)
[こちらに背を向けて、ドロシーの事を気にするアイリ。
彼女に心の中で謝って、せめてここに居られるうちは一緒にいてあげようと、安心させるようにアイリの手を取るため一歩踏み出して――]
あ・・・っ
[突如、身体が浮遊感に包まれる。目の前の景色が歪み、アイリの遠のく。
まさか、こんな早く時間になるとは思わなかった。]
――・・・アイリ!ありがとう!オレ、二人と会えて・・・!――
[せめて一言だけでもお礼が言いたくて、叫んだ言葉は果たして彼女に届いたのか。
それを確かめる前に、意識が途切れ――]
[それから間もなく、参加者全員にノトカーが船倉に送られた事、そしてゲームが終了した事を知らせる通知が届いた。]**
[ふと、思い出して。まだ彼女に自分の声は届くだろうか、と]
シュテラ…?聞こえる?
ボーナスはもらえそう?
[答えをはぐらかすイェンスの様子に、双眸を細める。
「じゃ、身体に聞いてみようか」なんて、お決まりの台詞を口に出してみたけれど、意欲的に動こうとする彼の仕草はぎこちない。
それが顕著に現れたのが、屹立へ舌を這わした時だった]
――…、我慢しなくて良いんだよ。
[劣情を、嬌声を堪えようとする仕草を制すよう、口許の手を取りキスを落とす。限界近くまで快楽を与えるよう、熱い肉茎へ吸い付いては舌先を尖らせ、先端に浮く雫を舐め取り其処を抉る。
そうして、直接的な快感の波へ浸らせるまま、唾液を纏う指先は双珠の下、菊門をゆるゆると刺激し、他者へ触れられた事など無いかも知れぬ箇所へ、指を飲み込ませて拡げていこうとするだろう。
きっと、生理的な不快感を感じているかもしれない。
けれど、苦悶に頬を染める彼の愛らしさに、加速する想いを止められず]
――…ね、…力を、抜いて。
[彼が絶頂に達する前に、その躯をうつ伏せ背後から覆い被さる。
彼の尻尾を撫ぜつつ自己の下肢を寛げ、臀部の隙間へ熱い塊を宛がった。
――何をされるのか、初心な仔でも理解は出来るだろう。
白く長い猫尾が、ぴんと立ってゆらり、揺れていた]
[口元を抑えていた手を取り払われて、指先に感じた吐息にすら身体が震える。
与えられる刺激に慣れるより前に、次から次へと与えられる強い快楽に、息が上がって。腰が後ろへ引きそうになるも、そこには逃げ場なんてなくて。
閉じた唇ではもう、満足に酸素を取り入れることなんてできなかった。そして、酸素を吸おうと口を開いたとき、それがもう限界だった]
ふっ、う、あ…っ!
ジークっ!先、それ…!駄目、だって、ひ…っ、あぁ!
[硬く尖らせた舌先で窪みを抉られた瞬間、頭が真っ白になった。一度開けた口はもう閉じることが出来なくなって、刺激を受ける度甘い嬌声が飛び出す。
熱に浮かされ、快楽に集中していた意識は、いつの間にか後ろへ這わせられていた指先に気付かず。突然の異物感を感じて目を見開いた]
うっ、く…!?
はぁ…、凄い、変な感じ、する、な、…っ!ぁ、ん…!?
[今までに感じたことの無い違和感に息が詰まる。少しずつ進んで行く指の動きを邪魔しないよう、息を吐いて。
異物感しか無かったそこに、一瞬、甘い痺れを感じた。そして、違和感にしか行かなかった意識が一度快楽を拾った途端に其方へ集中し始める]
[込み上げてくるモノに、駄目だと頭を左右に振って、ジーク、と切ない声で男を呼んだ。瞬間、止まる刺激。
乱れた息を調えようともせず、力の抜けきった身体はされるが儘に転がされて。尻尾を撫でられ、ぁ、と再び身体を震わせた]
ジー、ク…?
[背後に多い被さる男へ視線を向けて。
力を抜いてとの言葉に遂に、と身体が一瞬強張った。
しかし、宛てがわれたモノを感じて、すっかり快楽に正直になっていた身体は期待から、はぁ、と息を吐いた。その瞬間、侵入する熱。奥へ奥へと進むそれは、指とは比べ物にならない異物感だった]
はぁ、はっ、は…、ん、
[息を吐いて、シーツをぎゅっと握り締めて。受け入れる事だけに集中した]
イェンスの"駄目"はさ、"もっとして"だよね……
[先端を刺激した瞬間の強張りを、覚えておく。
いっそこのまま射精させてしまおうかとも過ぎるものの
より受け入れ辛いモノを挿入した痛みと引き換えに快楽を与えた方が、彼の負担も軽減出来るし、何よりも――]
……俺の躯が、…たまらなく好きになる…、だろ…?
[もう既に皮膚を纏う被毛は元に戻っていたのに
獣のような性急さで、彼を欲する。
切なげに己を呼ぶ声に胸の奥を鷲掴まれ、堪らなくなって小さな窄まりを貫いた。
狭い肉筒はきゅう、と己を拒むように引き絞り、それが強い快感となって全身を巡る]
――…ァ 、……イェンス…
[痛みを凌駕する快楽で、彼の躯を緩めるべく、その身を背後からゆっくりと貫くまま、彼の肉茎を扱いて先端の鈴口を爪先で弾いていった。
肩越しのくちづけを強請る。
応えてくれたなら、互いの荒い息遣いごと喰らうような貪るようなくちづけを、交わし]
すきだ、……イェンス。好きだよ、ねえ、もっと……、
["俺だけを感じて"]
[爛れるように甘く熱い彼の中で、指先で触れてみつけた秘密の箇所を一心不乱に擦り上げていた腰の動きがより深さを増し――
最後に深く突き上げ、せり上がる衝動のままに彼の中へと飛沫を満たしていった。
彼も絶頂を迎えただろうか。
表情を覗き込む男の表情は暫し、悦びと嬉しさでふやけた微笑を浮かべていたけれど]
ね、……もっとしたい…、
[治まらぬ欲望を知らしめるよう、未だ硬度を灯したままの箇所を示すよう腰を揺らめかせる。
細く白い尾を左右へと悪戯に振って、二度目の官能の刻を彼に強請るのだ――*]
[ゲームの終わりを知らぬ侭、孤独を怖れ駆け出した廊下]
―――――っ、ぅわ!!??
[曲がり角を曲がった所で、誰かにぶつかった。
もうドロシーしか居ない筈なのに、けれどドロシーでは無い。
強かに顔を打つような高さに少女が居る筈はない。
傾いた身体を抱き留められる真っ赤な景色に溶け込んだ侭の、腕。
抱き寄せられて香るコロンの香りは、酷く落ち着く、良く知った――…]
『廊下を走り回るのは、感心しないね、
[仕方ない子だ、そう呆れ交じりに笑う、穏やかな声。
ローゼンさん、呼び返した名は声にはならず、無我夢中で縋る様に抱き締めた]
『何をそんなに泣いているんだい。
迷子になった時の魔法の呪文は、昔も今も変わらないと、あの時ちゃんと教えてあげただろう?
…思い出せないなら、”ドロシー”に聞いてご覧?と。』
[”ドロシー”と、此処には居ない少女の名を呼びながら、悪戯っぽく笑う彼の視線は、足元に。
めをぱちくりさせて、足元を見る。此処に来た時の侭の衣装の自分と
…同時に、もう一人の自分も一緒に]
[お気に入りの魔法使いの出てくるあの絵本。
あの頃から、憧れていた『魔法使い』はただ一人きりだけれど]
……踵を三回鳴らすやつ?
幾つの頃の話さ、それ。僕もう子供じゃあないよ。
やだよ、おうちになんて帰らないんだから。
酷いな、折角ローゼンさんに逢いに来たのに…。
[拗ねたように唇を尖らせて、甘えて縋る手を解けば、彼がクローゼットに用意していた髪の色に似たワンピースの裾をふわり広げて一回転して、お披露目を]
クリスマスらしくおめかししたんだから、今夜は一緒に過ごしてくれたっていいでしょ?
ねぇ、僕の魔法使い様。僕のお願い、叶えてよ。
[上目がちに彼の顔を覗き込む、子供の頃から変わらないおねだりのし方に、二度目の、仕方ない子だ、を零しながらも優しく笑うその腕に抱き付いて]
[……彼の腕を引いて、けれどふと、動きを止める。
もう一人の、それは元の世界の自分を指した心算だった。
けれど頭に浮かんだのは、幼い少女の横顔だった。
寂しさを心の底に隠して笑う、昔の自分のような。
幼い日の自分はローゼンさんに出逢えて、
「寂しい」と手を伸ばす事を教えて貰った。
けれど、彼女は、未だ、きっと……]
……ローゼンさんは僕を迎えに行ってね!
絶対!絶対だからね!!
[縋った腕を自ら解いて、駆け出した。
赤い世界に独りぼっちの少女を探すために]
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