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――…。そうか。
……ニコラスは。何か、最期に……、いや。
――…何でも無い。
[今更、常と変わらぬ声色を聞いたところで、ああ変わりがないなと思うくらいには慣れてしまっていた。
口篭もり、…ややあって。]
……我慢し過ぎなきゃあそれでいいさ。
[それだけ伝えて黙りこくった。]
――…置き忘れ…とはらしくねえなあ。
[流れてきた涼やかな聲には返事らしき返事を返さずに、ナイフ片手に囁く聲は不機嫌極まりない。]
…幾らでも、誤魔化しようは、ある。
[それでも足す言葉は一言。]
置き忘れか……。なるほど確かに、我ながら、らしくない。
[返ってきた聲に、ただそう返す。]
まぁ、僕は望まれなければ動けない。特に望まれなければ、今日どうするかは君に任せるよ。
[と、「誤魔化しようはある」との聲に対してはそう返した。]
――…望みを完璧に叶える…のは、失敗ってワケだなァ?
[淡々と返ってくる聲に怒りを募らせる男は。]
――…望まれなければ?
ああ、そりゃ結構。それなら次の獲物でも見定めておきゃあいいさ。
[吐き捨てるように言ったけれど、言いながらに浮かべた表情は伝わらなかっただろう。]
[命の際、虫の羽音にも負けずおとらず小さく]
ごめん
[二回、呟けば同胞へは届いただろうか。
返事は返らぬまま。求められようと、きっと風の音が返るだけ。]*
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