情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
何かあれば、いつでも仰ってくださいね。
…たとえこの身は離れていても、心だけはお傍に。
[かける言葉は以前と同じもの。
――部下としてお慕いしている。それでいい。]**
ああ。
お前の能力と、情報収集力は貴重なものだ。
頼りにしている。
[ イングリッドの方は見ずに、そう言った。 ]
……俺の幸せか。
[ ベリアンの去った馬車内で、ふとつぶやく。 ]
何だろうな。
[ すぐに思い浮かぶのは、両親が共にいた幼少時代、
そして、イングリッドと過ごした穏やかな日々のことだ。 ]
……リッド。
[ 彼女が今、ここにいなくて良かったと思った。
魔王の顔をしていられなさそうだ。
弱い姿は見せたくなかった。 ]
ヤコブ。
[カレンへの帰路、ヤコブへ向け声を投げた]
準備を終えた。カレンへと戻る。
あと…客人を一人、連れて帰る。
[ほんの僅か、中途半端な間を置いて]
話を、してみて欲しい。
[これもまた、ひとつの”鍵”なのかも知れない。
そんな思いを心に沈めて、頼みの形で来訪者の意を告げた]
―ペンホールズを発つ前に―
[随分と長いこと、報告を上げていない。
いつもと同じように…努めて平静に、呼び掛ける。]
テオドール様。
報告が遅くなってしまったことを、お許しください。
ペンホールズに数日おりましたが、彼の生死を知ることはできず…
確認のため、一度カレンへ向かいます。
……ヤコブの件についても。
私自身の目で、どんな状態か確かめてこようと思います。
[…嘘は、ついていない。
ベッドに横たわるソマリアードの生死は、確かめていない。
ヤコブに会いに行くことも、それとなく伝えた。
嘘ではない。嘘では……]*
お。久しぶり。早かったな。
客? 俺に?
誰だ?
[遠く離れた相手から声が届く
準備完了との知らせに声は弾んだが、客と言われれば疑問符が並んだ。]
ん…。
話するのはかまわねーよ。
おまえがわざわざ言うんだから、大事なんだろ、それ。
[相変わらず心の声は雄弁だ。
ちらと思ったことまで全部"声"に出た。]
[ 少し時間差があって、 ]
そうか。
[ いつものそっけない返事を返す。
遅れたことを咎めるでもなく、先を促して。 ]
実際にアランの手であれば、
そう簡単に掴ませるような愚策はとらぬだろうな。
[ 思考をめぐらせる時間を置く。
チェスの差し手同士の、先読みに慣れたテオドールには、
まさかそれが、テオドールではなく、駒そのものを狙った小細工であるとは気付かず、
ただ、いない勝負相手の思考を読み解こうとして。 ]
カレンか。
そうだな。お前が探して見つからなかったのならば、
ペンホールズにはもうおらぬのかもしれんな。
良かろう。
カレンの騎士団状況確認及び、カレンの駐屯基地の報告をせよ。
魔軍の馬鹿共が手抜きをしているようなら、叱咤して来い。
……別なルートから、カレン基地建造は順調だと報告が来てはいるが、
その報告も当てにならぬ。
[ イングリッドが言うなら信じるが、
という一言は言葉にせずとも察しろと。 ]
ヤコブ、
[彼女を案内するより前に、呼び掛ける]
今から連れていく客は、
テオドールの手先…かつてのソマリアラン兄さんの恋人だ。
[何故そのような者を連れてきたのか。
その理由を声に響かせる]
先日俺が戦った精霊魔法の遣い手は、
ソマリアラン兄さんの多分……友人だった。
その死を心から悲しんでいた。
俺に向かって、俺が死んだら悲しむ誰かのために投降しろと、
その為に他人を殺せと呼びかけて来た。
今日の客…イングリッド・ミランは、かつて騎士団にいた。
だが騎士団は彼女の兄を助けられず、裏切られたと彼女は感じた。
ソマリアラン兄さんに見捨てられたと感じたらしい。
その為にアラン兄さんの元を離れて魔の元へ走った…、と。
彼らの話の全て頷けるわけじゃない。
けれど彼らの悲しみは本物だと…俺は思う。
お前、覚えているか?
3年前にアラン兄さんが語って聞かせてくれた伝承>>0:307を。
気付いているか?
あの男の語った台詞>>0:537との違いと類似に。
お前の持つ”鍵”は確かに鍵だろう。
ただもしかしたら、もうひとつの鍵はここにあるかも知れない。
それを探ってみるのも悪くないと、そう思った。
[甘いのかも知れない。
ふと過ぎった想いは、苦笑と共に裡に沈める。
多分、自分が見たかったのだ……聞きたいと思った。
ヤコブが何を思い、何を口にするのかを]
───。武器は取り上げてある。
何かしたら斬り捨てるから、心配はするな。
[ただ、音にしたのは常の素っ気無い内容だ。
そうして、事前の説明は終えたとばかりに口を閉ざした]
テオドールの手先?
アランの、恋人!?
[手先、という部分で声が高くなり、恋人というところでさらに跳ねる。
なんだよそれという疑問は、続いた言葉を前に呑みこんだ。]
………。
[話を聞いてしばらく、沈黙が落ちる。
言われた言葉を理解し、噛み砕く間。]
……わかった。
会って話せば、なんかわかるかもしれねーってことだな。
[噛み砕いた結果が、それだった。]
おれたちの知らないことが、なんかある。
そいつを見つけ出さなきゃ、めでたしめでたしにはならねえってことだろ?
なら話してみるさ。
―――いや、心配はしてねーよ。
おまえ、その辺は抜け目ねえからな。
[締めくくる言葉には、さらりと笑った。]
[暫くして返ってきた言葉に、ちくりと胸が痛む。
…これは、裏切りに当たるのだろうか。
嗚呼、そうでなくて何であろう。
――"痛い"というのは、きっとそういうことだ。
それでも、今一度、模索したかった。
大切なものを…テオドールを、救う道を。]*
― 回想:三周目 ―
[ 23歳。ヤコブのひとつ年上になったテオドールは、
その時は前回の失敗を生かして、ヤコブの従兄弟を名乗っていた。 ]
リッド、今日は早く帰れそうだ。
今夜は、魚が食べたいな。
ほら、リッドの故郷の料理。ティレルじゃ食べれないからさ。
[ 年上の妻にそう伝えて、いってきますのキス。 ]
味付け間違えても俺は全部食べるけど、
焦げすぎだけは勘弁だぜ?
[ 笑顔で拳が振って来るのを、テオドールは軽々と避けた。 ]
[ そんな時間もあった。 ]*
[ まさか、と思ってから、
あり得ない、と否定する。
どの時間軸であっても、彼女は自分の味方だった。
最後まで傍に居てくれた。 ]
[ だが、だが……。
ここは、「類稀な未来」だ。
だから……。 ]
[ テオドールがイングリッドに求婚せず、別な娘と政略結婚した4周目のように。
あるいは、
テオドールとイングリッドが出会わず、彼女が騎士団についていた6周目のように。
だから、そんなことも、
もしかしたら。 ]
…テオドール様、
ごめんなさい、私…
私は、貴方のために、
貴方を救いたくて、それで、
[テオドールの声が頭に響く。
…上手く、言葉を紡げない。]
貴方のためなんです。
…貴方を愛しているから、だから……!
[事情も説明せず、何のことか彼にはわからないだろう。]
今、そちらへ向かっていますので…
だから、そこで直接会って、全てを……
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新