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[最後の、なかなかはまらないパーツを直接触れて押し込むように、内側から魔力を注ぎ込んで融合を促す。]
これで、完成だ。
[納得いくまで調整してから、手を引き抜いた。
仕上がりを確認し、立て、と命じる。
人形が立ち上がったなら、ふと手を伸ばして空中より剣を呼び出し、人形へ向かって振り下ろした。]
[双子は息子の友人、と語るヨセフの声に隠し事の気配はない。]
そうか。
密偵であったなら、いろいろ視界が開けるような気はしたんだが。
彼らは、俺とユーリエ姫の旅の道連れでもあった。
あの時、何があったのか聞ければ、あるいは──…
[いささか歯切れ悪く言葉を泳がせた。]
ともかく、二人してどこにでも顔を突っ込みたがる。
目を離さないことだ。
[双子との繋がりを完全に閉ざしていたわけではなかったから、呼びかける声は届いていた。
謝罪などに応える必要はなかったから放置しておいたが、おずおずと差し出された情報には耳を傾ける。]
なるほど。
[感心したような声一つ。]
なにをすれば我を喜ばせられるか、
おまえたちはちゃんと知っているな?
[具体的な指図は無い。
ただ、優し気な声を響かせる。]
我も、おまえたちをもっと褒めてやりたいのだ。
わかるだろう?
確かに彼らは行動力もあり、機転も利くが…。
密偵をさせるとは考えてもいなかった。
[それは偏に男にとって彼らが保護の対象であるからだろう]
……旅の道連れ?
[歯切れ悪いディークの言葉のうち、引っ掛かりを覚えた単語を繰り返す。
彼とローレル達の間に繋がりがあったことも驚きだが、ユーリエを攫ったはずの男が”旅の道連れ”と何気なく言ったことが男の中で強く引っ掛かった。
ディークの手腕や彼のロー・シェンへの想いは認めつつあるが、ユーリエの件はまだ許してはいない]
[けれど彼の忠告は尤もだとも思う。
何せローレル達は砦に撤退せず戻って来ていたのだ。
心配だからとは言われたが、今後も似たようなことが無いとも限らない]
…承知した。
常に傍に、とは行かないが、なるべく目を離さないようにしよう。
[世話や護衛名目で兵を傍につけるという手もある。
男の縁者だと言えば、多少の無理も通ろう。
そう考え、ディークの忠告には是を返した]
[押さえ込まれた仰臥の背が浮き上がるほど、ヒトガタの体躯が反った。
喉の構造を痙攣させるだけの悲鳴が、長く細く続く]
ああ、これならば快い
お前を感じるのはいつも私の喜びだ、忘れてくれるな
[素体の記憶が融合していく様を、核は知覚はしない。
魔力注ぐべく胸の中をかき回す感触だけを愛おしく把握しながら、調整が済むを行儀よく待った]
「う…、 」
[床を転がり、胸を押さえ蹲ったヒトガタの下、涙と混じり、唇からも粘液が床へ伝う。
立て、と命じられれば緩慢に頭を揺らし、
やがて、立ち上がった]
「………」
[苦痛の余韻に染められたままの銀の瞳が瞬き、振り下ろされる剣の軌跡を追視する。
飛び退り距離をとる回避行動の代わり──発現する狂猛]
[つんのめるように前方へ身を投げ出し、刃の下を潜る。
床についた片手を前肢の蹴りのごとく弾かせ、跳ねた。
生き物ならば須らく急所である、王の顎を目掛けて掌底を突き上げるまでの獰猛な一連*]
[振り下ろした剣は、空気のみを裂いた。
目覚めたばかりの鈍い動きから一転、人形の身体が獣のように跳ねる。]
好い。
[突き上げられた手を直前でつかみ、軽く上体をひねって人形をそのまま背後に投げ飛ばす。]
好いぞ。素晴らしい。
これで、簡単には壊れなくなるな。
[発現した資質に、まずは満足を示した。]
[ヨセフが、ディークの発言の中の何かにひっかかった様子を見せた。
意識していない部分だったから、少し身構えてしまう。
ユーリエの名が両者の間に苦いものを蘇らせたのはしょうがなかった。]
あの双子の見張りをきっちりできるヤツがいたら、それこそ密偵に抜擢してやるといい。
[自分から求めておいて、小憎らしい口を叩くのは相変わらずだ。
警告を入れてもらえて嬉しいものを。*]
[宙を飛んだ人形は壁の魔導管に衝突して床へ落ちる。
弱き人間の記憶だけを参照するならば、背部への強打で咳き込みもしたところ。
ヒトガタはすぐさま立ち上がり、オークのそれを思わせる低い姿勢で身構え、]
「……く、そ」
[眉を顰めて片手で顔を覆った]
成功か?
壊れずに餌を集め来やるか
新しい遊びも出来ようか──
[弾む波動、我が王が示す満足にこそ、ツィーアの喜びは募る]
[ユーリエの件は、今はそれ以上言わないことにした。
今やるべきは別にある]
……違いない。
[双子の見張りについてを言われて思わず納得するコエを零す。
少しだけ、笑う気配が乗ったのは至極納得したことの現われだった*]
[投げ飛ばされたあとの人形の動きも、直後の嘆きも、どちらも満足いくものだった。]
これは好い。
完璧ではないか。
おまえは、我の望み通りに仕上がった。
[手を伸ばし、人形の頬に触れ、愛でる。]
成功だとも。
これがあれば、おまえは好きな餌を取りにいけるぞ。
そうだな。新しい遊びもできるだろう。
おまえの"手"で、命を刈り取る楽しみもな。
おまえを早く戦わせてみたくてならない。
[興奮した面持ちで言葉を綴る。
早く次の戦場へ行こう、と心が弾んだ。]
[近づく手へ瞼震わせて怯えを滲ませる表情、
顔を歪めながらも、触れられるに従順であろうと努める葛藤も、最初の素体の特性が色濃いもの]
…ゆこう
私が私の餌を獲れば、私もお前も嬉しいな?
[興奮は兵器にも伝播する。
科された枷を甘く鳴らし、魔導の波がうねった]
― 回想 ―
[軍学校に入って間もなくの頃だ。
上級生たちがロー・シェンを学舎の裏手に呼びつけた。
”菓子代”を貢がないのが気に食わぬ。皆と異なるその肌の色が目につく。人気があるのが許せない──
ともかく目障りだというので、ヤキをいれておく目的である。
「特別に課外訓練をしてやる。10対1だが、実戦ではそんなことはいくらでもあるからな」
威圧的な笑みを浮かべて包囲を狭めるリーダー格の上級生の顔に、
横合いからバケツ一杯の水がぶっかけられた。]
10対1の状況にしてしまうのは、基本的に指揮官の怠慢というものだけども、
今回の場合、愚行をおかしたのは先輩たちですよ。
とりあえず、10対2に訂正してもらいましょう。
[空になったバケツとモップを携えて歩み寄ったディークに、ロー・シェンは屈託のない眼差しを向ける。
「どうしてモップとバケツ?」と笑い出しそうなロー・シェンに、
間に合うように一生懸命走ってきたのだとか、途中でそれしか入手できなかったのだとか、おまえが心配だったとか、言えるわけないだろ ]
[魔軍の進軍が始まる前、砦での指示が一段落した頃。
男はあることを確かめるため、ローレル達へとコエを向ける]
…ローレル、ローズマリー。
君達は、ディーク・オラクルと…ユーリエ姫と共に旅をしていたと言うのは、本当か?
もし本当であるならば……
彼が、ユーリエ姫が、どんな様子で旅をしていたのか、教えてはくれまいか。
[ディークは双子も旅の道連れだったと言った。
それならば旅の様子も知っているだろうと。
それを教えて欲しいと男は願う*]
― 回想 ―
[何度か双子を屋敷へと招くようになった頃。
ローズマリーは妻と、ローレルは男と長男と共に時間を過ごすようになることが度々あった。
ある時、普段は服の中に隠してあるカメオが襟元から零れてしまい、ローレルや長男から、なんだなんだ、と覗き込まれたことがある>>1:117]
ヴェルザンディを象ったカメオだよ。
私は度々屋敷を留守にすることがある。
それが長期に渡ることも少なくない。
だから、彼女と結婚する時に互いのカメオを作ったんだ。
いつでも共に在るという誓いを形にするために。
離れることが寂しくないわけではないが…彼女が待っていると思えば私も頑張れる気がしてね。
……なんだか恥ずかしいな。
[照れながらも話す男の表情には柔らかい笑み。
惚気と言われてもおかしくない姿だった]
今はロヴィンも居るし、君達も居る。
ヴェルザンディも寂しくはないだろう。
[感謝している、と双子に告げる。
以前よりは安心して屋敷を空けることが出来ている、と。
双子に信頼を置く言葉をローレルへと向けた]
ここを君達の家だと思ってくれて構わない。
私達は君達を歓迎する。
[双子らは時折姿を消すことがある。
それは彼らの自由、止めることはしない。
けれど戻って来た時にはいつでも訪れてくれと、そんな想いを告げた**]
先生を失望させてごめんなさい!
『次は、次こそはちゃんとやります…!』
[王国軍の柱となる頭は、あの皇子サマだった。
けれどそれはシメオンが獲った。
ならば……次の頭を狙わなければ。
彼らの様子を見ていれば
次に信頼が集まっている先は赤子でもわかる]
[双子たちの声が聞こえてくる。
それは純粋でいとけなく、愛すべき無垢なる狂信。]
期待していよう。
おまえたちは、本当は良くできる子だからな。
きっと我を喜ばせてくれるだろう?
[約束だ、と囁いて、胸の印に指で触れるような圧を一瞬残した。]
[指先が触れるような感触。
胸の印が…悦びでじんわりと熱い]
『はい、もちろん』
先生の望みのままに。
[早く――… お傍にいきたい。
しばらく“お仕事”で会うことすら出来ていない。
その手で直接、労うように頭を撫でてもらってもいない。
もっと誉めてほしい。
もっと認めてほしい。
もっと…アナタの必要なものでありたい。
それが双子の切なる願い―――――]
ヨセフ、そっちは大丈夫かい? 今どこに。
『上空からも魔軍が攻めてきたの』
[嘘の報告を混ぜつつ、ヨセフの居場所を探ろうとする]
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