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[敵の増援に対すると告げる声。
それがいつもより抑揚なく聞こえるのは、油断のならない敵艦の数ゆえではないとわかっている。]
任せた。
[変わらぬ言葉を短く、送る。]
巡洋艦三隻の横合いを、か。
[船の性能を頼みに勝算をありと踏んだか。
どちらにせよ、その思い切りの良さ、それを支え続けた思いの強さまでが遠く、透けて見えるようで]
…。今頃は、恋人と再会してるかも知れんな。
[過去の欠片を悼むように、ひとつ、置いた*]
恋人?
[ ゲオルグの落とした呟きに、男は遂に知ることのなかった、ファミルとゲオルグの間にあった心の刺の一端を感じ取る ]
......そうだと、いいですね。
[ 彼女を殺した自分が願うことではないのかもしれない。けれど、ゲオルグにだけは、それを告げてもいい気がして、静かにそう返した** ]
そろそろ弾薬も心もとない。
天気も崩れそうだ。
引く頃合だろうな。
ということで、提督に挨拶に行ってくる。
可能なら、シコンに同道願うつもりだ。
[他の者なら脈絡を掴みかねるだろう計画を、さらりと投げた。]
─── トール。
[張りつめた心に、さっと日が当たる。
そんな感覚で、声が心に触れていった。]
…そうですね。
気持ちよく勝利、とはいきませんでしたが、
初戦はこんなものでしょう。
………… はい?
[さらりと言われた言葉に、一拍固まる。
自分でさえ即座には脈絡が見えなかったが]
……ああ。
わかりました。
逆にお誘いし損ねて、あちらの首都にご一緒することにはならないでくださいね。
[苦笑まじりに行ってらっしゃいと告げた。]
[自分が、敵を数で凌駕する圧倒的勝利の光景に囚われていたように、ルートヴィヒもまた暗い情念に囚われているようだ、と感じる。
演習や模擬戦は何度も重ねて来た。が、彼にとってこれは戦死者を伴う初の実戦だ。
そして、帝国兵に留まらず──散った花がある。
ルートヴィヒは冷徹なようでいて感情の起伏が激しい。出会いの時にそう思ったし、それが好ましくもあったが、
今、彼の心は実際の海より荒れているはずだ。
それには直接触れずに、アレクトールはルートヴィヒの揶揄まじりの承諾に答えた。]
俺らしくやると決めたら、ふっ、と視界がクリアになった。
どれだけ狭窄視野になっていたか、その瞬間にわかった。
[だからおまえも、自力で立て直せ。
俺がそう願っているのだから。]
ああ、首都入りするときは「俺が決める」
[実際、ゲオルグが皇帝を斃せば決着がつくと狙撃兵でも用意していたら危険なことこの上ないのだが、そうはすまいという信がある。]
シコンへ戻る際は、おまえに殿軍を任せるぞ。
[普段から顔には出さないようにしているが、
自分が感情に流されやすいのは自覚している。
自分を良く知る人間にはそれを見抜かれているだろうし、
トールは、自分を良く知る人間の筆頭だ。
見透かされている。
触れてくる声の温度がそう告げる。]
── だからあなたには敵わないんですよ。
トール。あなたは自ら輝く星で、
私は、闇夜は飛べない翼です。
[わずか、自嘲のいろが漏れたが]
……ですが、
あなたが道を照らしている限りは、
私はどこまでも飛べます。
照らす人が無軌道すぎて、
追いかけるのも一苦労ですけれどもね。
[小さく笑う声に、影はない。]
あなたに置いてけぼりでは格好がつきません。
ちゃんと追いついて、追い越しますよ。
[自分にはできるはずだ。
信じてくれる人がいるのだから。]
ええ、お任せください。
うるさい連中は全部追い返してやりましょう。
[殿軍を請け負って、大口を叩いてみせた。]
巡洋艦二艦、そちらに抜けます。
[短く報告を入れたあと、溜息の調子で付け加える。]
ほんとうに、戦場では何が起こるかわかりませんね。
私も、まだまだのようです。
承知した。 巡洋艦2隻くらいで覆させはせん。
ふ、ウルケルにもヤンチャなのがいるのか?
[ルートヴィヒか抑え切れぬとは。
溜め息の気配に、特異な動きで撹乱されたのだろうと察して問う。]
突発事項に慣れたいなら、手伝うぞ。
[俺といれば鍛えられる、と自覚的に。]
ヤンチャというか…
あれが単なる間抜けならいいのですが。
[読み切れぬのがもどかしい。]
……突発事項は、あなただけで十分なんですよ。
[トールの言動には慣らされてきたんだと主張しておいた。]
やはり、扶翼官殿は一筋縄ではいきませんね、腕比べにはまだ少し時間がかかりそうですが、新造巡洋艦ヴァイスメーヴェとヴァイが、先に、そちらに向かってます。
ヴァイスメーベは、トーリア...スキュレステノ中尉に操舵を任せてますが...
[ そこで、ふ、と言葉が切れた ]
ウェルシュ殿も乗艦してます。
[ ある意味、これも砲撃に近い ]
ウェルシュを、……、どこに乗せたって?
こちらに向かっている新造巡洋艦ヴァイスメーヴェとヴァイ?
それに乗っているのか?何のためだ?
[静かな声。それが一度途切れて、]
あなただけでいい、という台詞は普通、もっと甘い響きを伴うものだと思っていたが。
っと、旗艦の艦橋が破壊されてしまった。
俺は無事だが。
帰路は後部艦橋からおまえの殿軍を眺めるとしよう。
[ 予想通りの雷が落ちた。ああ随分久しぶりな気がするなあ、などと、懐かしむ暇もなく ]
お叱りは、後でたっぷり受けます。
[ 溜め息混じりに、そう言って、僅かに声を和らげ ]
ウェルシュ殿も、もう子供ではありませんよ。ここが戦場だということは、ちゃんと理解されてます。
押し切られた俺が悪いのは確かですが...俺を押し切るだけの強さを持ってる。
[ だから、出来れば彼の事は叱らないでやってくれ、と、そう告げた ]
私から甘い言葉を聞いて嬉しいですか?
[反問は氷点下の響きを帯びたが、続く言葉には息を呑んだ。]
………。
まったく、あなたは。
ええ、ご無事ならなによりですよ。
[取り乱しかけたのを、取り繕う。]
こちらは、巡洋艦と戦っていると思ったら、
一隻、戦艦が混ざっていたようです。
あちらも、なかなかに意表をついてくれますね。
…〜〜 、分かった。話はあとで聞こう。
[こちらも息を落とす調子で低く返した。
分かっているのだ、タクマが何の考えもなしに彼を戦場に送り込んだはずのないことくらいは。それでもまさか、よりによって最前線とは流石に予想を超えすぎている。]
……………、善処する。
[和らげられた声、それに返ったのは押し出すような厳しい声だった。対処は話を聞いてからだと、声が端的に告げている。とはいえいきなり怒鳴りつける羽目にはならずに済みそうだった。その後の保障はないが。]
ところで、タクマ。
[予想が出来ない相手は目の前にもいる。
ちかちかとカンテラの明かりの瞬く光を目に映しながら、息をついた。まったく、ここはいつからピクニック会場になったのだ。]
皇帝から、──…会見の申し入れが来た。
[そのままを、どこか呆れたような響きで告げた*]
会見って...
[ ここ以外ないだろう、と、内心思いつつ、問い返さずに居られないのは、仕方が無い。肯定が返れば、戸惑ったように息を吐く ]
今、扶翼官殿と交戦中なんですが...
[ どうしましょう? と、滅多に迷わぬこの男が、心底迷った様子で、そう尋ねた ]
ここで、だな。
もっとも、皇帝陛下がヴァンダーファルケでは嫌だと仰せになれば成らん話だが。
[恐らくは成るだろう。
でなくば、あのような手を打ってはこないだろうと思えた。]
───、タクマ。停戦は成っていない。
扶翼官がお前に応じているならば、停戦は帝国の総意ではない。
だが──…、
[僅か、考える間が落ちる。]
撃ちあって離脱出来るなら試みろ。
難しいようならば手を休めるな。
[迷いは戦場では人を殺す。
もう幾度も繰り返し口にしていること、彼自身とて良く知っているはずのことだ。けれど今再びそれを思い]
…───まだ、戦いは終わってはいない。
[これより皇帝との会見に臨む自身も、と。
響きにこめて口を結んだ*]
了解、まあ、あの扶翼官殿が逃がしてくれるかどうかは疑問ですがね。
[ 多分無理だろう、と、男は笑って ]
ただ皇帝陛下に今直接向かうのは無理なようですし、策は建て直します。
提督も無茶せんでくださいよ?
[ 迷いは振り払える。そう証明するように軽い調子で声が届いた* ]
無茶はせんが、
[軽く返る調子に、音にならぬ程の息が零れる。
安堵にも似た思いに、先に同じ言葉を、これは音として伝えた彼の養い子の面影も、瞬時脳裏を過ぎるが]
……ありゃあ、下は苦労すんだろうなあ。
[しみじみと皇帝評を*落とした*]
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