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ーーっ。
[汚されていたあの時。その姿を見ていた、見られていたのかと知らされればカッと頬に赤みがさす。
しかし続けられる言葉。
お前だけだ、と求められる言葉に止まっていた涙が溢れてくるのがわかる。
しかし、それならば]
……私との契約は、生涯のものになるでしょう。
貴方の命が尽きるまで護ると、そう誓います。
だから。
……貴方の最も近しい場所にいるのは私であると。そう、誓って……ください?
[硬く目を閉ざす相手に顔を近づける。
叶うならばそのまま、そっと唇を重ねようとーー]
[緋色の蛇を乗せて、天使は真昼の星となる。
暖かな光を曳いた流星は追い縋る魔物たちをはるかに引き離し、黒くそびえる結界へと到達した。
天使の翼の間で蛇もまた皮翼を広げ、尾を激しく打ち鳴らす。]
(あそこだ。わかるか?
少し右の上のほう、薄い場所がある。)
[天界のほころびを見つけたのと同じように、蛇の目は結界の弱い場所を見出して天使を導いた。
心を添わせ気を通わせ、己と伴侶の力を一つにするべく意識を研ぎ澄ます。]
[ギィが背中から指示をして導いてくれた。
結界の綻び。
風を薙ぐ対の皮翼が鯨波の声のごとく唸る。
すい、と槍を構えて、螺旋の気の通り道を作った。]
── ゆこう。
[伴侶に呼びかける。]
( ゆこう。
オレたちの場所へ )
[帰るのだという意思が蛇に赤い気迫を纏わせる。
翼の間から槍持つ腕へと移動した蛇は、そのまま槍に巻き付いて鎌首を持ち上げた。
牙を剥き、首をしならせ、背から首筋へと力を伝わらせて、獲物に飛びかかるように気を吐き出す。
深い赤色は陽光の色と混ざり合い、闇を射る曙光の輝きとなって真っ直ぐに結界へとぶつかり、弾けた。
短いが眩い小さな爆光が収まったあとには、結界の一部が吹き飛んで穴が開いている。]
[蠢き揺らぐ結界が穴を修復するよりも早く天使と蛇は細い通路を潜り抜けて、広い広い大空へと飛び出した。]
( よし!
このまま南へ行こう!
オレの国まで、ひとっとびだ! )
[笑いの波動を響かせて、蛇は明るく思念を放つ。
この先、なにが前に立ちはだかろうとも、全て砕いてみせよう。
愛しき天使と共に、どこまでも飛んでいくのだ]***
[共に力を合わせて未来への道を切り拓く。
そのまま果てのない空へと羽搏いた。
背に歓喜の声が踊る。翼が光りさざめく。
南へ、と明るい思念が促した。
愛は翼を速く軽くする。
ふたたび接吻けを交わすまでの時間を縮めたいと。]
[人間と魔族は、契約しないと共に居られないのだろうか、それを、少女は知らない。
契約せずとも、最も近しい場所に居られるならばそれで良いではないか。
いつか
別れの時は来る。
その時に老いた相手と共に逝っても悔いは無い。
ただ、共にいてくれるなら。最も近しい場所にいさせてくれるなら。
それ以上を望まない、と。
ーーきっと、誓えるだろう]
…?!……ああ、誓おう。
この命つきるまで、お前と共にあると。
そして、生涯愛するのはシュテラ…お前だけだ
[目を閉じていたところに相手の息遣いを感じ。そのまま、柔らかなものが唇に押し当てられると、思わず目を開いていた!
柔らかなそれが相手の唇であることに気づけば再び目を閉じ、そして唇がやがて離れたなら一抹の名残惜しさと共に誓っていた。
契約。それは、今の男にとって婚姻と同義だった。
相手が契約にこだわらないといったなら、自分とは契約したくないのかと少々拗ねた口調で告げることだろう。
それでも、一番重要なのは側にいることだったから強要はしないだろうが。]
……………………えっ。
[少し長めの口付けの後に交わされた誓いの言葉。
その、まさか願っても手に入れる事が出来ないと諦めていた言葉に、自分の言葉を失っていた。
数秒の後、ボッと燃えるように頬が熱くなり]
えええええっと、シェットラントさま?
…そのっ、嬉しい、です、その、………。
[しかし今までの相手との違いっぷりに、思わず熱を疑い相手の額に手を置いた。その時]
[さあ、と空気が風が変わった。
いつの間にか、ここは禍々しい湯が溜まる場所ではなく、最初に訪れた渓谷の姿になっている。目を見開きあたりを見渡しては]
ーーシェットラント様!
[助かった、それは何故かは分からない。
だが、そのまま相手に抱きついていた事だろう]
[口付けは、ゆったりと行われた。唇を合わせるだけの行為が、こんなにも自分を癒し、また鼓動を速めるものだとは知らなかった。
口付けが解かれ告げた言葉に、少女は湯気が立ち上りそうなほどに赤くなる。
その様子を微笑ましげに見つめていたのだが。]
……………どうして額に手を当てる。
熱にうなされて出たざれ言だとでも思ってるのか?
[前言撤回してやろうか、等といいながら相手の両頬を両手て引き伸ばした。せっかくの甘い気分を台無しにされた少々怒っているようだ。]
ん…?これは……助かった、のか……
……うわっ!?
[辺りの空気が一変し、空を見上げる。どこか重苦しい感じがした空も、村を出たとき同様の綺麗なものに戻っていた。
どこか呆然と呟いて、少女こら意識が完全に離れていたとき。
急に抱きつかれ、未だ回復しきっていない男は、少女と共に後ろに倒れた、かもしれない。倒れたといっても座り込んでいるため、上体が倒れるだけだけれど。]
う、うううー!
……だ、だって、そんな事を望んじゃいけないって、思ってまひたから……。
[頬を伸ばされれば抗議の意味を込めて見つめた。だが、ヒリヒリと痛む頬。夢ではないらしい、と気付かされ]
……できるだけ長生きしてくださいね。私が護りますから。
[倒れこんだ相手の上でしがみ付いたまま笑う。しかし、体を起こし相手の上に馬乗りの姿勢になり、絶句する姿がある。
半ば自分のせいなのだが、白骨温泉の湯が服に散ったせいで互いの衣服はボロボロだ。かろうじてボロ布を纏っているだけの状態に過ぎない。
相手からばっと離れ、両腕で自分を庇うように抱きしめて]
う、ううっ、このまま村に帰……っ!
[そんな時だ。遠くから救援隊の駆けてくる気配が届いたのは。
相手にも、誰かしらの声が届いたかもしれない。
びくりと身を竦ませ、相手の手を取り起こそうとしつつ]
シェットラント様、ど、どうしましょう…、救援隊、です、けど!
[助けてほしいような見られたくないような。相変わらず彼以外の男性がダメなもので、少々パニックに陥りかけていた]
だからって、熱を疑うことはないだろう。
これでも精一杯甘い言葉を考えたのに。
[怒るというよりはすねるようなその口調は、思いが通じたからこそだろうか。早々に相手の頬から手を離し、片手を地についていたのだが。
やはり、それだけでは二人分の体重は支えきれなかった。倒れ混みながらも笑う相手に毒気を抜かれ、男もまた微笑み返す。]
ああ、当然だ。天寿以外で死ぬ気はない。
途中で僕に飽きたと言っても離さないからな。
[と、和やかに話せたのはほんの僅かな時間だった。互いの服がボロボロであることを今さらのように思いだし頬を赤く染める。
体を離す相手から視線を外し、漂わせ。]
ど、うするか…このままではさすがに…シュテラ…!
[助け起こされ、立ち上がったと同時。思わず相手の名前を読んで抱きしめた。少しでもその肌が隠れるように、と。そう、男もまた救助が来たことに気づき、その声を耳にしていた。
端からみたら、半裸の女性を抱き締めている半裸の男。
こんな非常時に何をしていると二人共に怒られるか、どさくさに紛れて女性を襲うとはと男のみが怒られるのか。
そんな可能性があることは、男の頭にはまったくなかった。]
だって、普段は…優しかったですけど、一言だってそんな事を。
でも嬉しかったですよ?
[拗ねるような口調の相手に精一杯それを告げる。
パニックになりそうだったものの、抱き寄せられれば少しは落ち着き、そのまま救援隊を迎える事となる。
何事か何があった何をしているのか。
身を寄せ合う二人に掛け布を渡しては叱らないまでも矢継ぎ早に救援隊は問いを向けてくる。
そんな時、誰かが気付いた。
そして少女も気がついた。
その右目が闇の色に変化していること。
少女自身は、右目が見えなくなっている事に。
それに気付いたとほぼ時を同じくして、シェットラントに身を凭れかかるようにしてーー少女は気を失っていた]**
[ 瞼の裏にさしこんだ白光に、眠たげな黄色い眼がまたたいた。
懐かしい土の匂いがするこの場所で、いつの間にか眠っていたらしい。
触れた指先の温かさも、ある日聴いた振動も全て覚えている。
しかし身体にふれるのは、ただただ冷たい木の幹だけ。
肩の長さにまで短くなった髪の毛が明朝の風に揺れる。]
………今、行く。
[遠くで呼ばれた名前に、変わらない声で返事をした。]
…側にいるんでしょ、ずっと、"ぼくら"は。
[心臓のあたりを握り締める。
腰をあげれば、携えた剣が軽い音を立てた。
花が咲き誇る庭から足を踏み出した。*]
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