その年ならまだまだこれからだろう?
望むままに精進して、実力を磨けばいい。
[>>*12素直に見るのならば、目の前の少年は自分よりも年少か。
一人前になると言っていたか、と思い出しながら。
腕を組みながらそう話す姿は偉そうに見えるかもしれない。]
…気付いていなかったのか。
衣服を新調する魔法でも覚えた方がいいんじゃないのか。
[自分の行動で起こる事は理解しているだろうから、この火蜥蜴は主人にまだ懐いていないのかもしれない。
自分の使い魔は反抗期めいたものをした事がないので、興味深く。
しげしげと肩で眠る彼の使い魔に視線を送ったか。]
あぁ、頑張れ。
[>>*15元気な返事には目を細め。
扱う魔法の事について聞けば―自分の扱える魔法について無防備に晒すのも、少年が擦れていない証拠か―]
そうなのか。
―…。
[左の人差し指を彼の衣服の焦げた部分に向けながら呪文を紡ぐ。
そよ風程度の風が彼の周りを吹き抜け、修復の魔法で彼の衣服は元通りになっただろう。
何か言われれば、気が向いただけだ、とのみ答える。
火蜥蜴の様子には薄らと笑みを浮かべて、肩を竦めた。*]
[>>*16自分の使い魔の失態を見て、今年の会場提供者が浮かべる仄かな笑み。
気分を害してはいないようだが、面白がっている様子には心の裡で唸って。]
―広いお心に感謝します。
[薄く笑みを浮かべると、頭を下げる。
去年よりはマシだったと言えるだろう。]
…そう考えると今年は割と平和でしたね。
[何せあのカスパルでさえ、いい方を引いたようなのだから。
しかし、あれの場合は幸福を引いたとしても必ずしもいい結果を呼び込むとも限らない。]
[魚を頭に乗っけた使い魔と同じ顔をした、「主」が丁重に頭を下げている。>>*19
その物腰の優雅さはかなり高い家柄の出を確信させるもの。
立ち上がり音もなく彼に寄ると、薄ら、好も邪もない笑みで、]
のう、あれらは多少緩いくらいが良い。
吾やそちくらいの術者なら、さほど優秀さを追う必要も無かろうの。
[とグラスをくいと掲げた。
彼女にしては珍しい、慰めにもにた発言だ。]
物足りなさそうな面をしとるの。
[その側にいたギィには含んだほほ笑みを見せて問う。]
……ここも騒ぐか?
……。
[>>*20ギィの笑みは残念そうで。
自分は大過なく過ごせればそれでいい―カスパルを使い魔とする以上、それこそが難しいのであるが―と、思っていた。
レナルドはギィ程に長く生きてはいない。
退屈で身を焦がすような気持ちは未だ理解しづらいのだ。]
[>>*21音も立てずに近づいてきた少女は、かなりの実力者なのだろう。
薄らと浮かべられた笑顔には悪意は感じられない。]
…まぁ、それはそうなのですが。
[ワインの入ったグラスを傾ける、悠久の時を生きる少女。
一応、慰められているのだろうと思う。
けれどパーティーで強く残る印象がカスパルのやらかすポカというのは勘弁して欲しいものだが。
ここも騒ぐか、と言ったのが聞こえれば、僅かに目を見開くだろう。
ホストの反応をそっと窺った。*]
あ、……。
[他の参加者たちが覗きこむ水盤――別室で執り行われている
彼等の使い魔たちの宴――の様子は、やはり気になるもので。]
わ、 私も失礼してよろしいでしょうか?
[一言断りを入れて、自らも覗きこむ。
本能で動く、人の姿をした動物たちの宴は実に面白い。
くすっ、と笑みが漏れた。]
[好戦的に聞こえたか、側にいた者がぴくりと反応するのを愉しむと、ギィが応えるのを待たず、]
なに、ほんの戯れだの。
[と左の手を差し上げた。
小さな指先からぽろぽろ溢れるように体が崩れ、無数の蝙蝠に変じたかと思うと、それらは瞬く間に集まり、大きな金の塊を作り上げた。
のさりとそれが頭をもたげる。
金の体毛に金の目をした、大狼だ。
つまりは彼女の使い魔の姿。]
このようなのも、悪くなかろ?
[くつくつと笑うと、鼻先を主催者に向けた。]
貴女が騒ぐとなれば、真剣に館の再建を考えねばならなくなるな。
[騒ぐか、などと嘯く幼形の永世者に視線をやり、
彼女が体を金の狼に作り替えるのを見れば、喉奥で笑った。]
―――ああ。それも悪くない。
[応じた言葉が空気に溶けるよりも早く、
体が薄れ、揺らいで薄闇の霧に変じる。
渦を巻いたそれが収縮し、現れるのは漆黒の翼広げた鴉の形。]
ここが定位置だったか。
[ばさり。
羽音を一つ鳴らして、金狼の頭に舞い降りる。]
[ギィとドロシーがそれぞれの使い魔…黒い烏と金の狼の姿を取るのを見れば目を細めて喉を鳴らし。]
−これは壮観。
[グラスを傾けて鑑賞する。
気が向けば、自分も変化してみようか。
気は2(6x1)
奇・偶:向かない・向いた]
[酔いの勢いでか、レナルドは使い魔の飛竜の姿を取る事にした。
身体が陽炎のように歪み、一陣の風が吹き抜けば、そこに現れるのは貴族の青年ではなく若い雄の飛竜。
体色が銀朱の飛竜は悠々と長い首を巡らし、挨拶代わりに咆哮を上げた。
この青年には珍しい、ちょっとしたはめ外し。*]
ふわぁ……
[金色の狼、漆黒の烏、銀朱の竜。
変り身をした荘厳なる光景に息を飲み、畏敬の視線を向けていた。
ただし水盤の影にしっかり隠れている。*]
[ばさ、とひとつの羽音と共に、頭の上に艶やかな漆黒の翼を持つ大狼が舞い降りる。]
ふむ。存外、重いの。
[独りごちたら、一陣の風が吹き抜けた。
ぴくりと耳を動かし風の来る方向へ向けば、銀朱の鱗を輝かせる飛竜。
挨拶だろうか、長い首を巡らせ咆哮をあげる姿はなかなか間近では見られぬ姿だ。
ゆったりとした空間だったが、手狭い状態になっている。
ぐる、と喉を鳴らしそちらに近づけば、水盤の影に隠れる若き魔女が視界に入って、]
そちは変わらぬのか?
[などと顔を近づけてみる。]
[どこか幻想的な光景に見惚れていると、
水盤へと近づいてきた金狼と視線が合ってしまった。]
わ、私、はっ!?
その……ま、まだうまくできなく、て。
いつも失敗しては怒られるの…です。
[緊張にどもりながら返した。
変化の術は大の苦手で。
生まれた時から共にいる大蛇への変化すらうまくいかずに、
1mにも満たない子蛇になってしまうのだった。]
−ふむ。存外悪くはないな。
[…などと呟く何処か満足げな響きを感じさせる声は、竜のものだっただろうか。
この際だと尻尾や羽を動かしてみる様子は好奇心に満ちていた。*]
[うまくできない、と言う少女に鼻先を押し付ける。]
失敗など気にせぬことよ。
――良き師がいるようだの。
[初々しさは新鮮だ。目を細めていると、突風が体を打った。
飛竜がどこか珍しげに羽や尾を動かしている。
ひとつ動かす度に大風が起きる。]
この部屋も荒れおるの。
[自らも調度品をころんと転がしながら、愉快げに笑い声をあげた。]
……は、はいっ。
がんばります。
[押し付けられた鼻先は温かかった。
かけられた言葉にこくこくと頷く。
それから部屋で起きる騒動については、
水盤を盾にしながらも少しは楽しむ気持ちが持てただろうか。*]
− 宴の終わり −
[時計がパーティーの終わりが近い事を示す頃、変化を解いたレナルドはグラスに残っていたワインを呷り。]
ふむ、もうそろそろか…。
[今年は平和だったような気がする。
…途中までは。
自分も羽目を外してしまったのは使い魔には内緒だ。
うっかり調度品を倒してしまった事についての謝罪は変化を解いた際に済ませていた。]
それでは、これで失礼致します。また来年に。
[流れるような動作で一礼すれば、使い魔達の会場の方へと足を向ける。
あれはきっと時間ぎりぎりまでそこにいるだろうから。]
[重い鐘の音が鳴る。]
おぉ、終いか。
つい長居してもうたの。
[暇を告げると、その姿のまま集っていた間を後にし、使い魔のパーティ会場に現れた。
そのまま端で眠りこけているスコルを咥えて、屋敷を出る。
口を離すと同時に、その姿は少女のものから、金の狼に戻った。]
[そろそろ今年のハロウィンも終わりが近づいていた。]
ギィさん、本日はお招きいただきありがとうございました。
[主催であるギィに恭しく一礼をし、
他の参加者にも軽く挨拶を済ませる。
ツィスカを迎えに別室を覗けば、
そこでは未だ騒がしいパーティが繰り広げられていただろうか。]
……ふふっ。
随分と楽しそうね。
でも、そろそろ魔法が解ける時間よ?
[別室に居る自分の姿をした使い魔は、はっとしたようにこちらを見た。]
時間も忘れちゃった?
[その様子に、くすくす、と可笑しそうに笑って。
使い魔たちにも会釈をして会場を後にするのだった**]
わたしの
よほど好い経験をしたようだな。
[宴がひけて現れた主は、ジー・クムン・トと同じ貌でありながら、冷たく透き通る声をしていた。]
ここに残りたいか?
[ジー・クムン・トが首を横に振って寄り添えば、凍り付くほどの美貌をほのかに綻ばせる。]
紅卿、 よい余興であったよ。
そなたの心が許すならば、我が居城へ来るといい。
歓待しようほどに。
[囁き、銀の裾を翻した。**]