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……フレイ、そっち、どんな感じ?
[動き回りつつ、ふと、気にかかるのは解放班の方。
大丈夫だ、と信じてはいるけれど。
案じてしまう気持ちが浮かぶのは赦されてほしい]
こっちは、今んとこうまく行ってる。
思ってたよりも向こうの動き、鈍い感じだし……これなら行ける。
[こちらの立ち回りは、向こうからも見えてはいるだろうけれど。
声を向けるのは、無事を確認するのに一番手っ取り早い方法がこれだから、という認識があるから。
その辺りは、過去の自分のやらかしからの気づきではあるのだけれど]
[未だ、直接出会う前。
声だけで繋がっていた頃。
一月ほど、話しかけられても全く返事をしなかった――できなかった時期があった。
それは、実母が病に伏してから、永眠するまでの間。
当時10歳、この頃は魔法の才の発現は片鱗程度にとどまっていて、未だ、下町で慎ましく暮らしていた。
そんな状況での母の病は混乱を引き起こして。
当時は伯母だった養母や、隣近所からの援助もあったが、先の見えない母の看病は少年の身には堪えていて。
声が聞けて嬉しいのに、どう返していいのかわからなくて。
案ずる声に心配させている、と自覚したらそれもそれで苦しくなって。
結果として、実母が眠りにつくまでの間、上手く声を返せずにいた]
[ようやく落ち着いて、黙り込んでてごめん、と短く返せはしたものの、その時の反応は違う意味で堪えて。
同時に、ちゃんと声が聞こえると安心できるんだ、とそんな当たり前の事を改めて認識できた。
だから、それ以降は何かあると呼びかける事も多く、逆にうるさい時期もあったかも――というのは余談として]
(……なんだかんだで、甘えてんのかもなぁ、俺)
[そんな自覚もぼんやりとあるが、言葉にした事はなかった。*]
[包帯はあっけなく引きちぎられ、その下に隠されていた傷が露わになる。
小さな刃物での刺突痕と、周辺の肌にうっすらと浮かぶ文字。何らかの術式だということは、ドロシーにはわかるだろう。
発動していない今は、判別まではつかないかもしれないが。]
学長だ。
死んだよ。兵が確認してる。
[悪さが見つかったという顔で、やはりそっぽを向きながら答える。*]
[ 術者がもうこの世にいないならば、当人に解かせることはできない。
どんな呪いかすら判別がつかない。]
あなたにこんな醜いものを与えるなんて。
[ 抉って消せるものならとばかりに、指先を震わせた。*]
[震えるドロシーの指先を、今度はこちらから握る。
彼の感情の昂ぶりにうろたえるような手つきで。]
油断した私が悪い。
街に帰ったら、削るなり焼くなりするさ。
[それで消えるとも思っていないが、そう口にする。]
だから、 …怒るなよ。
[相手が何の感情を抱いているかわからないまま、ただ絆の響きが乱れていることだけを感じて、落ち着かせようと試みているのだ。*]
これは怒って当然なんです。
[ ファミルが口にした受傷の原因も解呪の方法も、納得できるものではなかったが
彼が宥めようとしている、そのことだけはわかる。
だがら、落ち着かなくてはならないのだろう。]
…とりあえず、私の血を飲んでください。
[ 唇を噛みながら手首を差し出し、太腿のナイフベルトから刃を引き出す。*]
[ドロシーは、やはり怒っていたらしい。
間違ってはいなかったと妙な安堵をするが、差し出されたナイフはなにも終わったわけではないと突きつけられるかのよう。]
あのときのように?
私は、死に掛けているわけでは……
[彼の血を口にしたあのとき、絆の路が完全に開いたのだ。
だが今は過去に思いを馳せるどころではなく。]
―――…わかった。
[ドロシーに差し出されたものを、断ったことなどない。
自分に刃を突き立てるよりもよほど神妙な顔で彼の手を取り、手首に刃を滑らせて、唇をつけた。
流れる熱を舐め取り、呑み込む。
体の奥から力が湧き上がってくるのは、ウルを飲んだ時と同じ。
絆の赤いいろが目蓋の裏に広がって、体を巡る。]
[別々に動くと決めたからといって、意識まで切り離す必要はない。
――と気付いたのは、リヒャルトからの呼び掛け>>=6があったからだった]
そ、っか。
……良かった。
[案ずる気持ちはこちらも同じで。
相手の方がより攻撃にさらされる役目だから、というのもあったけれど、今のところ不測の事態は起きていないようだ]
こっちも大丈夫。
塀があるからか、そこまで見張りは張り付いていないみたい。
[そう、問題なく進行していることを報告する]
[初めて声が繋がったばかりの頃。
完全に子供と言っていい年齢だった自分は、その不思議な関係に無邪気にも喜んで、必要もないのに何回も声を送ったりした。
相手の方も――少し年上とはいえまだ子供のようで、大抵の場合は楽しそうに反応してくれていた、と思う]
[そんな声が、ぱったりと聞こえなくなった>>=7。
どうしたの、なにかあったのと。
問い掛ける声は次第に焦りに、そして案ずるものに変わっていった]
[嫌われちゃったのかもしれない。
真っ先に思ったのはそのことで、でも段々とそれ以外の不安も大きくなっていって]
リト。
……そこにいるって言って?
[色々と悩んだ結果の、たった一つ相手に願ったこと。
――それが叶ったのは、声が届かなくなって一月くらい経ってからだった]
リト?
……リト、だよね?
[ようやく聞こえた声>>=8。
短い謝罪からは相手方の状況はわからなかったけれど、返事が返ってきただけで胸が一杯で、そんなことには思いが至らなかった]
よか、った……。
リト、リトだ……。
[ただ、繋がっていると、それが実感できただけで嬉しかったのだ。
まだ幼かったがゆえに、色々言葉にはならず、相手へ気遣う余裕もなくて。
ひたすら名前を呼んでは泣きじゃくっていたことが、相手にどう思われたかはわからない]
[その後、彼からの呼び掛けが増えたことには純粋に喜んでいたのだけれど。
歳月が経って落ち着いた頃合いに当時の事情を知って、恥ずかしいさやら何やらで頭を抱える羽目になったのは余談である**]
[ ファミルが血を飲むのを見守る。
ウルで満たされた血は元気のもとだと幼いドロシーに教えたのは彼だ。
今もそれを信じている。
押さえてくれた切り口をちぎれた包帯で結んで止血し、小さく頷いた。]
この程度でヘタったりしたら、最強皇帝の名が泣きますからね!
[ あえてツンケンと言って、それから、覆いかぶさるようにしてファミルを抱擁する。]
これ以上は文句も泣き言も言いません。
…私には、隠しても意味がないってことだけ、覚えておいてください。
あなたは大樹、私は花。
まったく別物に見えて、繋がっているんですから。
[血を飲んだことで、ドロシーの怒りは収まったらしい。
最強皇帝の名なんて初めて聞いたけれど、ヘタっていたら名よりもドロシーが泣きそうな気がしたので、しゃんとしていようと思う。
まだ繋がるこころがざわざわしていたが、抱擁されれば気にならなくなった。]
―――覚えておく。
[神妙に頷いて、彼の背に手を置いた。]
リト。
リトはどうして、学園に入ることにしたの?
[そう問うたのはいつのことだったか。
少なくとも、帝国の脅威が遠く、まだ魔法の国が平穏に機能していた時のこと]
私はね――
[自分が問われたならば、それはいつかドロシーにしたのと重なる解答>>1:100となるだろう]
……リト。
[ふとそんなことを思い返したのは、これから自分の歌う呪歌に籠める想いは、きっとリトの目指す先と重なると思ったから]
あの呪歌を歌うよ。
[その呪歌を教えてくれたという人は、この中にいるのだろうか――自身に知る術はなかったけれど**]
[ 「おまえの喜んでいるこえを聞きたい」などとファミルが言う相手は自分しかいないと感覚的に知っている。
どこか、ひとの喜怒哀楽に無頓着なところのある彼だ。
それは、人が虫の感情を汲まないのと似たようなものかもしれない。]
望まれて光栄です。
たくさん、聞かせあげます。
[ 背中にファミルの掌の熱を感じて、目を閉じる。*]
ん、そっか。
[問いかけに返る声。>>=9
どうやら、あちらも順調に進んでいるらしい]
なら、そっちは頼むな。
……こっちは、偉いさんの登場らしい。
[入口の辺りから聞こえてくる声に、それだけ返して]
あの、って、フレイ?
何があった?
[聞こえた声>>=15に、戸惑いながら問いを投げる。
収容所の状況が聞けたなら、あー、と短く声を上げて]
やっぱり、そうなっちまうか……。
[予想はしていた。
だからこそ、『人を動かす歌』も必要かと思っていた。
とはいえ、自身が使おうと思っていたのは、心を強く縛る類のものではなく。
不安を取り除いて、言葉を届けやすくするためのもの。
その上で、言葉を持って動いてもらうつもりでいた。
それは、歌を教えてくれた人――養母が、無闇に使うものではない、と硬く戒めていたから]
フレイ。
……後で、俺からもちゃんと伝えるけど……そこにいる人たちに伝えて。
確かに居場所はないけれど、ないからこそ、俺たちはそれを取り戻したいって。
闇の中にうずくまって、目を閉じて。
それじゃ、何も変わらない。
変わらない闇に沈むのは楽だけど……もう一度でいいから、光を見て、って。
[深い絶望を取り除くのは、簡単にはできない。
けれど、ほんの少しでいいから、光の射す方に目を向けてほしい、と。
そんな願いを込めた言葉を託して]
あと。
今から外で派手に一発ぶちかますから。
せめて、それを見てくれ、って。
お偉いさん……?
[その言葉>>=16に少し身を硬くするが、そこはリヒャルトたちがうまくやってくれると信じるしかないだろう。
自分の目の前の状況こそ、重要な局面だった]
[最後の切り札は、リヒャルトに委ねることになるだろう>>=17――とは言え、彼の言葉が届く状況まで持って行かなくてはそれも不可能だ。
こちらの現状――収容者から上がった声などを伝えれば、リヒャルトから伝えるべき言葉が返る>>=18]
……うん。ありがとう。
[意識を割かせてしまったことに申し訳なさはあったが、反省は後に回して端的に礼を告げる。
不安や揺らぎが鎮まったことは、言外に伝わるだろうか]
どうにか、やってみるよ。
――そっちも、気を付けて。
[そして意識は眼前の状況へ向けられる*]
[伝わる声に、不安や揺らぎは感じられない。
これなら大丈夫かな、と。
そんな安堵はこちらも自然、にじみ出るか]
ん、任せた。
……だーいじょうぶ、心配すんなって。
[そう、軽い口調で返した後、こちらも意識を眼前に向けて。*]
――リト。
[状況が定まった所で、胸中にて言葉を紡ぐ]
こっちは、動いたよ。
――後は、お願い。
[信を置いていることを示すように、告げる言葉は短いもの*]
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