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[制止の言葉は、更なる愛撫を求める声だろう。
その証拠に、さらに陵辱を誘うような姿勢になって、腰を揺らしている。
中に挿れた指も当たる角度が変わって、新たな反応を汲み出していた。]
ここは、好きかい?
ここは?
それとも、こちらかな?
[彼の様子を見ながら動かしていた指がある一点に触れたとき、明らかに内側が緊縮する。
感じているのだ。これまでになく。]
ここだね。
[心得て、改めて指をそこへ差し向けた。
擦り上げ、かき回し、押し込み、なぞり、思うがままに蹂躙する。
彼の蜜道は、今やそれを受け止めるほどに慣らされ、血によって感じる力を引き出されているはずだ。
後は、快楽の場所まで、背中を押してやれば良い。]
案じることはないよ。
感じてごらん。これは良いことなのだから。
身体の声に、耳を傾けて。
さあ。耐える必要なんてないのだよ。
[囁きながら背中に唇を落とし、仄かな赤を散らした。*]
[ 指で爪弾き、唇で掻き乱し。
先ほどの性急さが嘘のように、檳榔卿は時間をかけてシェットラントを調弦してゆく。
それを凌ごうとするだけで、鍛錬よりも息があがっていた。
シェットラント自身も知らない場所を隈なく弄る指が、見つからぬようにと祈っていた一点を探り当てるのは時間の問題だったというより、頑なな騎士が熟れる頃合いを見計っていたとしか思えないタイミングだった。]
ああ、あ… よせ ッ そこ、は──
[ 触れられると、体の芯が疼く。
意思に反して溶け出してしまう。
これを快感と表現したくないれど、気が遠くなるほど狂おしい。]
何も 良くなど… ! っあ、 耐え…
耐え──て、 っく 、 っう──っ
[ シェットラントは必死の思いで、自分の腕を噛んで、声を殺した。*]
[純粋な騎士の肉体は、快楽のありかを素直に告白する。
その場所を指で捏ねてやれば、白い背中がしなやかにうねる。
しっとりと濡れた身体を指先で探訪し、未だ眠る快楽のありかを求めた。]
身体の声を否定してはいけないよ。
おまえは感じている。そうだろう?
おまえならもっと―――
[彼の背へ身を重ね、首筋へ囁いていた口をふと閉ざす。
乱れた金髪に指を差し入れ、強く引いて顔を上げさせた。]
やめなさい。
自分を傷つけるようなまねは駄目だよ。
噛むのは、私の領分だろう?
[耳朶を咥えて噛み裂き、薄く滲む血を舐める。
舌で転がす内に、そこもまた癒えていくのだ。
敏感な場所をまたひとつ生み出しながら。]
仰向けになりなさい。
足は開いたままで。
腕は身体の下にしまって。
おまえの姿が、私によく見えるように。
[一度指を引き、新たな指示を下す。*]
[ 魔物に翻弄されて、声をあげるなど、情けない。
たかだか、肛門を加虐されているだけのことだというのに。
だが、克服の努力を禁じられ、耳に舌啜音を注がれて、息は擦れた。]
離 せ… っ く、 っンぁ…
[ 乱暴に顔を引き揚げられて、ゾクリとする。呻く声はどこかおかしい。
夢の支配下だとしても、姫にこんな音を届かせてはならないと焦る。]
[ 笑って聞き流すばかりと思っていた紅の魔性が、不意に指を抜いて身体を起こした。]
──…!
[ 異変か。救援か。
反撃の機会があれば、逃さないつもりだった。
這うことを強制されていた身体を横ざまに倒して、わずかな解放を得る。
攻め手を止められても、触れられていた場所が名残のように熱くひくついていた。
そればかりを意識してしまう。]
[ 檳榔卿が手を止めたのは、仕上がり具合を見るためだったのか、あるいは嗜虐の手管なのか、いずれにせよ外因による中断ではなく、シェットラントに次の指示がくだされる。]
──…っ
[ 慎みのない姿勢はもとより、恥辱に染まる顔を見られることがいやだ。したくない。]
そんな、もの… せずとも、 できるのだろう。
[ さっきは背後から襲って目的を達したはずだと、苦しい理屈を述べてみる。*]
[身もだえする彼の声が甘くなる。
身体が快楽を受け入れ始めている印だろう。
いずれ、心もそうなることを疑いはしない。
指を引いた瞬間に、彼は身体を横に倒した。
辛かったのだろうと思う。長時間続けるには向かない姿勢だ。
それにやはり、視線が合わないのは惜しい。
横倒しになった彼の太ももに掌を添わせる。
掴んで押し開きたくなるのを、今は止めた。]
[仰向けを命じれば、拒絶が返る。
真っ向から拒否するものではない。
だだをこねるような、ささやかな抵抗だ。]
おまえの顔が見たいのだよ。
もっとおまえを感じさせてやりたい。
おまえが喜んでいる姿を見たいだけだよ。
[優しくあやすように告げて、手を伸ばす。]
わたしを喜ばせようとは、笑止。
[ 引きつった笑みを頬に押し上げる。]
あなたは、脅迫紛いの言動で己の望むことを押し通しているだけだ。
[ そんな批判を投げても、彼は動じないのだろう。
触れてくる手は、ベルベットの優雅さを失わない。
「私を、見て」と、命令よりは柔らかな懇願を思わせる囁きに、上目遣いに紅の魔性を見上げた。]
──…、
[ 檳榔卿は、彼自身が主張したように、初めから「おまえが欲しい」と言い続け、問答無用でシェットラントを殺さないよう、たいそう手間隙をかけているのは事実だ。]
そんなことをして何の得があるのか。
夜が明ければ、立ち去るものを。
おまえは素直ではないから。
[脅迫紛いという非難を、一言でいなす。]
おまえが欲しいという思いに、偽りも欠けるところもないよ。
理屈ではない。愛に理由は要らないだろう?
いずれ別れが来るからといって、
求める気持ちを止めることなどできない。
[頑なな騎士の上に身をかがめ、顔を傾ける。
引き結ばれた唇の上に、小鳥が止まるほどのキスを。]
さあ。身体を開いておくれ。
私が脅しなどせずに済むうちに。
心配することはない。
おまえを傷つけるつもりも、穢すつもりもないよ。
ただ、愛しいているだけだ。
[顔を離し、再び要求する。
動きを促すように、そっと手を添えた。*]
愛 ? これが ?
わたしに愛のなんたるかを語る資格はないだろうが、それでも、まるで共感できない。
[ 反論のさなかに唇を盗まれて、目を見開き、顔を背ける。]
わたしが、あなたを忌避する気持ちも止めることはできないようだ。
[ 脅さずに済むうちに──とは脅していることに他ならないのをわかっていてやっているのか。]
あなたに、そのつもりはなくとも、人間は傷つく。
痕跡を残さなければいいというものではない。
[ 顔を背けたまま苦言を呈す。
檳榔卿が催促するように手を伸ばしてきたが、仰向けになれば、否応なしに刺激に反応している器官を見られてしまう。
それを揶揄されるのが嫌で、シェットラントの動きは鈍かった。*]
[明らかな拒絶も、かわいらしい。
もっと、したい。]
なにを忌避しているのか、わかっているのかい?
[横を向く彼の背中側に、身を横たえる。
頑なな線を描く肩に触れて、軽くひっかいた。]
残るのは傷でもなければ、屈辱でもない。
おまえは、豊かな世界を知ることになる。
[身体を丸めるのは、身を守ろうとしてだろう。
あるいは、羞恥だろうか。
ならば、自ら開くように促すまで。]
それほど嫌なら、このままで続けよう。
まだおまえは、なにも見ていないのだから、
[――― 感じて。
息だけの声で耳元に囁き、耳朶を舐める。
さきほど、敏感になった側を。
そして、彼の体に闇を流し込んだ。]
[背後から抱きしめながら、先ほど指で蹂躙した場所に闇を忍ばせる。
指より柔軟かつ複雑な動きをする闇は、彼が感じる場所を的確に撫で、擦り、圧迫して刺激した。
闇はさらに、彼が隠そうとしている場所、血の集まる茎に巻き付き、締め付け、あるいは緩めて螺旋に滑り、細く伸びて先端より潜り込みさえした。
下を闇に任せ、両手を彼の体に這わせる。
隠された水脈を探り当てるように、肌を撫で、爪で軽やかにつま弾く。]
おまえの身体はとても感じやすいから。
きっと、すぐに喜んでくれるようになる。
ほら、ここに触れれば、どうかな?
[髪の生え際を唇でついばみながら、笑いを含んで囁く。
伸ばした手は、彼の胸の突起を捕らえ、柔らかくつまみ上げていた。*]
[ 紅の魔性は再び背後をとって、堕落への誘いを囁く。
離れろ、といちいち言葉に出してやるのも、相手の手の中で踊らされているようで、シェットラントは押し返す動きだけで意思表明をした。
檳榔卿はそれを抱擁で拘束しながら、息で、唇で、指で ── そして得体のしれないものを駆使して、全身でもつれ合う。]
[ 股間へ伸びてきたものは、指よりもずっと深くまで到達して、しなやかにのたうった。
頭髪と同じく淡い金色をした陰毛の中を、掻き分け、包み込み、貫く。]
── っな… くッ
[ その間も、檳榔卿の玩弄は止むことがない。
首を、背中を、胸乳にいたるまで同時に愛撫されて、どこを守ればいいのか。
爆発しそうに熱いものが堰上げてくるのに、逃げ場がない。
シェットラントは身を捩り、足で蹴り除け、苦悶を緩和しようと──気持ちよくなろうと──焦れる身体を開いた。*]
[彼の拒絶の仕草は、言葉ほど強いものではなく、
実際、肌を触れあわせれば、身悶え擦りつけて感じる場所を示してくる。
未だに快楽をほとんど知らぬらしき身体だ。
そろそろ絶頂に達していてもおかしくはない。
それだけの快楽を注いでいる。
けれども、彼の勃ち上がった陽根は出口を塞がれているのだ。
内側に押し込められた熱に耐えかねた風情で彼が身体を開く。
膝を立て、腰を揺らすさまは陵辱を求めているようにしか見えないと、彼は気づいているだろうか。]
欲しいのかい?
[防御の緩んだ足の間に手を差し向ける。
秘洞に潜り込んだ闇をかき分け、指を深く沈める。
内側は、熱く滾るようだった。]
欲しいのだろう?
こんなものでは、物足りないだろう。
もっと、ここにぴたりと収まるものを、
おまえは知っているはずだよ。
[指をねじ込み、壁を刷り上げる。
それでもなお、長さも質量も足りない。]
いれてください、と言ってごらん。
[存分に彼へ性の技を施しながら、耳元に囁いた。]
拒否できないのはわかっているだろう?
おまえの言葉で、私を求めてごらん。
そうすれば、おまえを"解放"してあげるよ。
[耳朶に触れる唇は笑みを描く。
言えばどうなるか、わかっていても彼に拒む術はないのだ。
そして、結果は彼の想像など軽々と越えるだろう。*]
[ 檳榔卿の指が深く分け入ってきた。
それまで蠢いていた無機質なものとは違う感触に、陶然として痺れたようになる。]
んッ う… は
[ 欲しいかと問う声に、頑なに首を振った。
全力で拒んでいるというのに、どうして身体は花開いてしまうのか。]
[ 切れ切れに喘ぐ中で、紅の魔性が唇を寄せてくる。]
…──ッ
[ 彼を求める言葉を口にしろと、そんな勧誘に目眩がする。
この上、まだ辱めようとするか。]
そんな ことを、する くらい ならッ
[ 歯噛みするが、彼の言うことを聞かなければ、姫の身が危険にさらされるのだ。
彼は莞爾として笑い、何も言わなかったが、いつでもそのカードを切れることを散々、チラつかせてシェットラントに忍耐をしいてきた。状況は今も変わっていない。]
…くッ
[ 睨んで灼き殺せるなら、とうに灰になっているだろうに。]
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