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……いやもう、ホント。
なぁんで、バレるような食べ方しちゃったのかなぁ……。
[ぽつ、と。
他者には聞き取れぬ囁きにぼやきが落ちたのは已む無しか。*]
どこの人間も、似たような対策を取るものなのか。
[淡々とした呟きは、同類や注意深い人間にしか聞こえない。
幼い頃に人狼騒動を生き延び、
16で目覚めてから必死に理性で抑えていた本能は
村の封鎖、狩るに容易い獲物という条件が整った途端
あっさりと羊の皮を脱ぎ捨ててしまっていた。
この村が好きだった。
過去形になりつつある人の心に動揺を隠せないものの
条件が整えば化けて出る。人外なんてそういうモノだった]
……宴のマナー……ねぇ。
まあ、そこは否定しないというか、ぼくには『純血』の狼さんの美学はわからないから、突っ込みは避けるけど。
もうちょっと、こう隠すとかさあ……今はこういう状況なんだし。
[とはいえ、ここでぼやいたところで始まらないから、それ以上は言わず]
……不運……か。
まあ、そうだねぇ。
[そこの所にだけ同意を返し、それから]
ところで、きみのお名前は?
ああ……表の、じゃなくて、『こっち』の名前。
ぼくは、ノイモーント。
『こっち』では、ノイって名乗ってる半端ものだよ。
[問いの後に告げるのは、人ではないけれど、狼にもなれない半端な混血児として自身の名前。*]
……?
[自分と月に捧げられた血肉をどうして隠すのだろう。
首を捻ったが、もはや些細な問題だ。後にしよう]
……エク。
『こっち』では、エクリプセと。
生みの両親と育ての父に授かった名です。
[ノイの名乗りを心に留め、こちらも名乗りを返す]
ああ……ぼくは、ね。
狼になり切れてないというかなんというか。
こうして、月のコエは使えるけれど、爪も牙もない。
ひとを食べなくても、生きていく事ができる。
だから、そういう衝動はないんだ。
[向けられた問いに、苦笑めいた響きを持って返した後]
『薔薇』、か。
……今すぐ、は、さすがに待った方がいいと思うけど……。
[とはいえ、衝動は抑えられるものでもないのだろうから。
遅かれ早かれ、覚悟は決めないとならないかな、なんて。
思ったことは、今は意識に沈めておいた]
なるほど……。
俺は気が利かないので、デリカシーについて
辞書を引くべき時は遠慮なく仰ってほしいですが、
……俺よりよほど
夜に潜むにふさわしい在り方だと、思ってしまった。
[意図のズレも含む響きも理解できない事が複雑だ。
ずっと分かりたいと思っていた。
同類さえ理解できないなら希望はないのだろうか]
時を選ぶべきなのはわかります。
わかるけど――月光に供える薔薇がないのは耐え難い。
[特に楽観する者は平和な夢を見られるうちに
華やかに眠らせてやりたい、と。
行商人アルビンに母への贈り物を相談した時と
変わらない温度で、じっと考え込んでいる]
……いや、なんでそこで辞書?
[少女とのやり取りを知らぬ身には、その単語は唐突で。
思わず突っ込みを入れた後、続けられた言葉にふ、と息を吐いた]
そう、かな。
……正直、半端者扱いされる事の方が多かったから……そう言ってもらえるのは、嬉しいかな。
[旅の途中ですれ違った人狼たちからは、様々な感情を向けられた。
どちらかというと好意的なものは少なかったから、そう、呟いて]
……耐え難い、か。
[いつか、贈り物の相談を受けた時とどこか似た空気。
彼と自分の間には認識の相違や隔絶は確かにある、けれど]
……きみは、きみの求めるままに駆ければいいと思うよ。
[ぽつ、と落としたのはこんな呟き。
止めた所で止まらないのならば、その躍動を魅せてほしい。
それもまた、偽りのない願い。
狼が狼としてあるがままに生きる姿を間近で見たい、という熱はずっと持っているものだったから]
いや……まあ、知識も必要だとは思うけど、知識だけじゃ空回る気が……。
[思わず真剣に呟いてしまったのは、行商人としての修行中の実体験から来るあれこれ。
うっかりやらかして売り込み失敗した過去からのものなのだがそれはさておき]
月の眷属だからって、みんな同じって事はないよ。
それぞれが、いろんな考えを持ってる。
半端者と蔑む奴もいたけど、きみみたいに認めてくれた同胞もいた。
[だからこそ、と。
浮かんでいた思考は、続けられた宣に、確たるものへと変じていた]
そっか。
じゃあ、ぼくもぼくの思うままに。
きみと共に駆ける事はできなくても、可能な限り沿うていこうかな。
[それが見知った人々を裏切る結果になったとしても悔いる事はないから、と。
紡ぐコエはしずかなもの]
居合わせたのが、世馴れたあなたで良かった。
置いて逝かれるのはもう御免ですから。
[しずかなコエがゆっくりと胸に落ちる。
独り黙り込む時間は二度と味わいたくない]
ノイモーントはノイモーントのままに。
その上で道が重なり合う事があるなら、…嬉しい。
[裏切り、か。小さく呟く。
この場の誰かを確実に喰らうつもりでいながら
なんとか日常に踏みとどまろうとする皆の顔を眺めた]
ずっと、思っていたんです。
母は父への愛に狂い人間を裏切ったのだろうと。
でも、彼女も人狼であったのかもしれない。
あるいは、あなたのような混血だったかも。
まだ狼の本性が目覚めていない俺を生かすために、
亡くなった両親の真実を知る事はできませんが……。
…………。
人でない俺がノイに裏切られたと感じるとしたら
それはあなたが人の手で命を落とした時だけだ。
それだけは、覚えていてください。
[男にしてはだいぶ言葉を割いて、自分が足を
引っ張るようなら切り捨ててくれるよう伝えた]
[やはり仁義に厚いひとだ。
駆け引きの具にせず、本当に銀を遠ざけるのだろう。
聖別されていない銀は伝承ほどの効果はないだろうが
面倒であるのは確かである。
ひとつ、頭の中に情報を書き加えておく。
狩りは事前準備が重要だ。土壌なしに花は咲かない]
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