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……兄。
大丈夫、ですか?
[かつて、魔精霊の眷属であったもの。
当時の本尊と彼は同一にして非同一である、というのは理解してはいるが。
やはり、眷属との戦いというのは嬉しくないのでは、と。
そんな思いを込めた問いを投げかけた]
大丈夫、って、なーにがだよ?
[案じられているのが何か、気づいてはいるが。
返す言葉は、はぐらかすようなもの]
……ま、こいつらの事は神祖のやり残しの一つでもあるしよ。
片付けられるんなら、ちゃっちゃとやっちまった方がいい。
……だから、大丈夫だよ。
……はい、はい。
わかりました、そういう事にしておきます。
[あ、これ以上言っても無駄だ、と。
物言いから覚れてしまったから、それ以上は言葉は継がず]
……実際の所は、どうなんですか?
[ふと、興味を覚えて意識を向ける]
当時、魔として恐れられていた存在に傾倒する事自体は、さほど珍しくもないとは思いますけれど。
ここまで、残り続けたのは……相応に理由もあるのでは?
んー?
さぁて、なぁ。
[飛んできた疑問には、軽い調子で言葉を返す]
当時のあいつらは、半分酔っ払いみたいなもんだったからな。
……ただ。
[ここで一度、言葉を切って]
……全部賭けたものを『喰われて』『奪われた』……それをやらせちまった事への悔いみたいなもんは、まあ。
あるんじゃねぇかな。
直接聞けるわけでもないから、知らんけど。
[知らんと言いつつ、語る内容はほぼ確信している事。
その辺りは、態度に滲んで伝わるもの]
……はぁ、そうですか。
[知らんけど、と言いつつも確信的な響きを帯びた物言い。
『守護者』となる以前の彼の来歴を思えばそこにこもるもの、その意は容易く知れて]
わかりました。
いずれにしても、彼らは祓い、眠らせねばならない。
……導なくただ彷徨うというのは、辛いものでしょうから。
……ま、そういうこったな。
[導なく云々の部分にこもるのは、王自身の心情か。
突然の内乱で親兄弟を亡くし、居場所も追われた末王子。
伝説だけを縁に黒焔狼の眠る地にたどり着くまでに感じていたものがそこにはあるようだった]
っかし、ここにこいつらがいる、となると。
……この先も相当、厄介な事になってそうだよなぁ……。
[眠れる狂気が目覚め、そして、鎮められた事。
その一連の流れがこちらにどれほどの影響を与えているか、と思うと色々と頭が痛かった]
……おいこら。
[騎竜師と、王のやり取り。
突っ込みを入れることなく聞いてはいたが、さすがに最後の部分には突っ込んだ]
そりゃ、一体、どーゆー意味だ。
え? 何か違いました?
[飛んできた突っ込みに、返す声音は全開えがおと言えそうなもの]
だって、ぼくが止めなかったら一人で突っ走ってきてたでしょ、兄?
……兄、大丈夫ですか?
[投げかけるのは短い問い]
いえ、彼らであれば大丈夫、だとは思いますが……その。
[事情を全て話す以上は、彼が何者であるかの話題は避けて通れない。
その時にどんな反応が来るか、は。
個人的には、案ずる所ではあった]
んー?
[大丈夫ですか、と問う声に、上がるのは気のない声]
あー……ま、何とかなんだろ。
13年前だって、理解した奴は理解してくれたわけだし。
どんな反応でも、それが自然な流れから出た物なら、否定する理由は俺にゃない。
気にする事じゃねぇよ。
[さらり、となんでもない事のようにそう告げて、それから]
…………まあ。
その辺り、お前にゃ余計な苦労かける事になるが、な。
[そこは悪い、とは思っているが。
ある意味、力得た対価という側面もあるため、こういうしかできなかった]
……苦労自体は、自分から買ったようなものですから、構いはしませんけどね。
[力を得るためには、苦労と苦難がついてくる、と。
それは、遠き日の盟約の際にも言われた事。
それでもなお、と力を求めた幼い自分に応じてくれた存在。
その存在を間近に引き止めているのは、果たして恩に報いているのか逆なのか。
それは、時折落ち込んでしまう思考の淵]
……兄。
やりすぎには、注意してくださいよ?
[いや、加減はわかっているとは思うのだが。
主に心配しているのは、相手の力を見たがるあまり、自身の負傷を顧みない事の方、だったりする]
あ?
だーいじょうぶだって、ここでなら俺も他者再生は使えるし。
[返す言葉は、微妙に意図を外したもの。
全力喰らう気満々というのは、その物言いが端的に物語っていた]
……そっちの心配はしてません!
ていうか、あなたが本気でくらうと、ぼくも痛いんですからね!
[さらりと論点をずらされたので、こちらも微妙にずらして突っ込みを入れた。
実際、黒焔狼が本質を揺るがす痛打を受けたなら、魂を介してこちらにも衝撃が来るので、笑い話にはなっていないのだが]
……んな、怒鳴るなって。
だーいじょうぶ、だよ。
[いったい何が大丈夫なのか。
そこに触れる事はないまま、黒焔狼は意識の会話を閉ざし、眼前の試練に意識を向けた]
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