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影の裡の光、光の影。
シュネーグレックヒェン、シュネーヴァイス。
[遠い木霊のように、響きがひとつ落ちる。
来る、と何かが囁いた。]
……主。
天の子はとても無垢に育たれている様子。
そして、よく努めていらっしゃる。
[そう、と声を送るは主たる光]
だが、そろそろ待ちきれなくなってもいるようですよ。
[送る声には微か、揶揄うような響きも乗って]
― 3年前 ―
[ロワール大陸の隣、島国アリシャスタン。
3年前、マチスは以前より交流のあるその国へ、技術交換のために訪問したことがあった。
ロワールの発達した科学技術は重宝されることが多く、国同士の取引材料になることが多々ある。
祖父も若い頃には技術指導などで他国を訪れることがあったと聞いている。
同じ立場になった誇りを胸に、任務を全うした帰り道、それは起こった]
空賊だって!?
[アリシャスタンでは同国の軍用機を狙う空賊が存在した。
帰路で乗っていた軍用機はアリシャスタン軍のもの。
詰まりマチスは隣国のゴタゴタに巻き込まれてしまったのだ。
当然拘束されることになり、軍用機は停泊を余儀なくされた]
[如何に軍用機とはいえ、送迎に使用されている輸送船であるため、囲まれてしまえば抵抗もままならない。
何より、客人であるマチス達を必要以上に危険な目に遭わせるわけにはいかない、と言う意識もあったようだ]
どーすんの、これ……。
[空賊側の目的が果たして何なのか。
率いている者はかなり若い人物のようだった]
……無事帰れんのかなぁ。
[不安がぽつりと零れ落ちる]
なぁ、俺らどうなるんだ?
[問いかけた言葉に返る声はあったかどうか**]
お前も見出したのだね、シメオン。
おや、待ちきれない……? ふふ、そうか。
それは困った。
羽根を広げて飛んで征くよりは、今少しの時が要るものを。
[揶揄う色には笑みで応じて、
返したこたえは、今より向かう先を告げるもの。
さしたる時は置かぬと、言外に告げ。]
− 教会からの帰途 −
よーそろー
コンラート君に再会したよ。”天使憑き”の噂も聞いた。
彼、”事故”の前後で性格が180度変わったとかあんの?
ないなら別にいいや。
おれはそろそろ艦に戻る。
[不在時の伝言機能ってあるのかな、と思いつつ、一方的に通信をしておいた。*]
− 3年前 −
[追っ手を返り討ちにし続けて2年。
いつしか空賊と認定されて、賞金までかけられてしまった。
それはそれで、と開き直って今に至る。
ダーフィトの前には、もう敷かれたレールはない。]
は? ロワール人だった?
[価値の高いものを専門に運ぶ小型輸送船とあらば、積み荷を確かめておきたくなる。
ところが、拿捕した飛空艇が運んでいたのは、金塊などではなく、隣国の人間だという。]
会おう。
[即決して、とりあえず軟禁してあるという倉庫を覗いてみれば、不安そうな面持ちの男がいる。
威張り散らすタイプには見えない。政府高官だの大企業の御曹司だのではないと判断した。]
これからどうなるかは、おまえ次第だなあ。
[ノックせずに入り、腕組みして扉を背に寄りかかる。
足下に、ドーベルマンっぽい姿のワァズがおすわりした。]
ようこそ、《シャドウ・パレス》へ。
艦長のダーフィトだ。
(――考えること)
[そうして降臨の場を整えている間も、黙示天使は心中にて大天使の言葉を反芻していた]
(私を、私たらしめるもの……)
[色なき光に与えられた、アディリエルという
その有様を確かなものとするように、黙示天使は思考し続ける*]
― 調整の合間 ―
コンラートか?
いや、以前のままだと思う。
[問われたこと>>!2にそう答えるも、何かあったかと首を傾ぐ。
しかしダーフィトが特に何も言わないなら、特筆することでもないのだろうと、それ以上聞くことはなかった]
そうか、気を付けてな。
[艦に戻ると聞けば短く言葉を返す。
彼らも来てるんだろうな、と3年前の出来事を思い出していた]
[尚、通信機はリアルタイム用であるため、残念ながら伝言機能まではついていない*]
― 3年前 ―
[拘束されていた倉庫に現れたのは、艦長と名乗る人物だった>>!5。
マチスよりも若く、けれど人の上に立つために生まれてきたような雰囲気を纏っている。
扉を背に寄りかかる姿と、その足元に座る犬らしき存在を交互に見た]
君が艦長なのか。
俺はマチス、ロワールの技術者さ。
…俺次第、ってのはどう言う意味だ?
[犬らしき存在を気にしつつ、今一番に知りたいことを問いかける*]
[邂逅の折に向けた呟き。
それへの応えは、僅かに時を置いて齎された。>>*1]
ええ、ひとの子の噂に、よく努めていると聞き、赴いた次第。
……俺はしばし、この場に留まりいとし子をお守りしながら、刻を待ちます。
[言外の意に、こちらもこの場で待つとの意思は言外に]
− 3年前 −
[マチスと名乗った技術官の視線は、ダーフィトとワァズを往復した。
あからさまに機械とわかる犬だ。
気になっているのは、機構か来歴か。]
ほう、技術者か。
ならば、筆記用具をやる。
何か、ここで役に立ちそうなものを設計してみるといい。
出来映えが気に入ったら、おまえの
[質問には、そんな答えを返した。*]
― 3年前 ―
[ダーフィトが連れる機械の犬。
動きを見るに自律しているように見える。
自動人形である場合は人型でなければ上手く動かない。
だからこそ不思議でならないのだ。
どんな構造をし、誰が作ったのか、気になって仕方がない。
とはいえ、そればかりに気を取られていられないのが現状である]
は? ここで役に立ちそうなもの?
……なるほど、対価ってことか。
[提示されたことに最初は呆気に取られたものの、意味するところを知って納得の声を零した。
けれど、その声も直ぐに小さく唸るものへと変わる]
うーん……。
役に立ちそうなものなぁ。
それを考えるために船の中を見て歩くことは可能か?
[どうせ作るなら必要とされているものを。
そう考えて一つ提案を向けた*]
− 3年前 −
[監禁場所から出せとの要求に、ダーフィトは腕組みを解いた。]
よかろう。
[マチスからは、こちらを騙して逃げようという気配は感じられなかった。
自分の才能を使うことに躊躇も不安もないのだろう。
なかなか天稟がありそうじゃないか。これはいい人材だ。]
おれが直々に案内してやる。
[扉を開ければ、機械の犬も立ち上がり、マチスを見上げて尾を揺らした。*]
― 3年前 ―
[願いは思いの外あっさりと諾が出た。
艦長直々の案内であるのは警戒されているからなのか、それとも別の何かか。
そこまでの機微は察せないが、随分と気風の良いことである]
よろしく頼む。
[案内の言葉にはそう返して、立ち上がりこちらを見上げる機械の犬にも視線をやる。
ダーフィトが指示を出していない辺り、やはり自律しているようだ]
…この犬は自動人形なのか?
[案内が始まって直ぐ、機械の犬についてをダーフィトに訊ねかける*]
− 3年前 −
[マチスの最初の質問は、ダーフィトが同伴している機械の犬についてだった。]
ワァズと呼んでる。
とある迷宮で見つけたアーティファクトで、おれに惚れてついてきたんだよ。
な、美人さん。
[そう呼びかければ、犬はマチスの目の前で妙齢の美女に変化してみせる。]
きっと古代魔法のナンカだから、分解したりしないこと。
[触れるくらいはいいわよ、とでも言うかのように、ワァズは繊手をマチスに向けて差し出した。*]
アディリエル、シメオン。
共に天の子に祝福を。
この子は地上における、最後の希望。
神の御心の齎せし、輝ける光の種子なのだから。
[そうして音によらない呼びかけは、
間違いなくこの場を見守る、二人の天使へと向け。
祝福を──祝福という名の絆を、信ずる者らに促して。]
……仰せのままに。
[音なき呼びかけに、短く応ずる。
己は祝福などとは縁遠い存在ではあるが。
死を告げるものであるが故に、授けられるものもある。
それを知り得たのもまた、光に沿うを選んだが故の事]
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