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― 領主たる男の思惑 ―
――置いて行かれるのは何時だって、俺の方だ。
[諦観にも似た呟きは、心奥で呟いた声。
誰にも届かないと知りつつも、小さく小さく溜め息をつく。
先代領主から、領主を譲り受けたその日から。
クレステッドの外見は変わらない。
ある程度髪も爪も伸びるが。ある程度を境に止まる。
心臓は、動いている。
血液は、循環している。
なのに体の”時”が止まっているのだ。
今はまだ。童顔だとか、若作りで済むが。
そろそろ限界だろう――。]
[忌々しきは>>1:178の領主の証たる指輪
オニキスに、銀細工が施された黒き指輪。
今でこそ、立派な装飾の単なる指輪に過ぎないが。
――先代領主を死に至らしめた、呪詛の媒介だ。]
『クレステッド。――クレス。
すまない。
おまえはこの為に……この為にだけに育ててきたんだ。』
――呪いを断ちきるために、育てられ
呪詛を一身に受けるためだけに育てられた。
育て親とも呼べる先代から。情と呼べるものを与えられたのは確かだが。
それが果たして親たる者の愛情だったのか、それとも罪の意識ゆえの憐憫だったのかは定かではない。
クレステッドにとっての真実は
彼にとって先代領主は紛れもなくたった一人の親であり。
この呪いこそが親の仇であるということだった――。*]
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