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[ごめんなさい、ごめんなさい
それでも俺は――ヤコブの命が失われると
薄々分かっていても欲しかった手が、あった
もう、それを手放せない]
[幼馴染が泣いている理由は、問わずとも痛いくらい理解できていた。意図的に見捨てた命のためと。
昨日シモンを処刑するよう頼んだ時点で、こうなる可能性が頭にあったのに。
それでも、男はジムゾンを選んだ。そして、ジムゾンが欲する己の手を差し出してしまった。
この選択には後悔していないけれど、犠牲になって喪われたものは多い。全ては二度と元には戻らないのだ。*]
[ああ、よかった。君がいた
――そんな風に、”笑った”
彼を選んだことに後悔はない
喪った命への罪悪感はあるが――迷うことはない]
カタリナを起こしに行く?
それとも――……食堂で待ってた方が、いいかな
[今日のご飯何にしよう、といった口調で
問いかけた己の頬に、最後の涙が1粒、伝った*]
[ジムゾンが迷いを捨てたように、男だってもう迷いはなかった。だから幼馴染の隣で、以前と同じように笑ってみせるのだ。]
俺はこれから食堂に行って、いつものように暖炉に火を入れて珈琲を沸かす。
それからカタリナの部屋へ一緒に行こう。もう彼女は真実を知っている頃だろう。
[これが他の人間ならば、犠牲者を見ないうちはほんの一時でも甘い夢を見せることができる。ひょっとしたら本当にシモンが人狼だったのではないか、村に平和が戻ってきたのではないか、と。
だがカタリナは霊能者だ。その能力がもたらす結果を前に、一切誤魔化しが通用しない唯一の人物でもある。
涙をこぼすジムゾンへ、”お前、こんなときでも頑固だよな。”と苦笑しながら、鼻をぎゅっとつまんだあと。服の袖で強引に目元を拭った。*]
[以前と同じ笑みが、哀しくも嬉しいという
2つの相反する感情を、抱く]
そうだな。俺も今日は珈琲飲むか
[因みにこの神父、珈琲も淹れられないので
コーヒー淹れられるディーターは素直にスゲーと思っている
本人には言わないけど]
翌日にならないと見えない……と、言っていたからね
多分精神的と肉体的な疲労が原因と思うが
そろそろ見えてもいい頃間だ
[甘い夢が見られても。きっと彼女は望まないだろう
弱くとも強い子だから――と、考えていたら鼻をつままれた。ふぎゃんっ!]
頑固違うし。違うし わぷっ
[こしこし、服の裾で拭かれた目元は擦られて少し赤いが
もう神父の目に涙はなく。共に食堂に向かったか*]
精神的と肉体的な疲労、か。
言われてみれば確かに。ニコラスを処刑する前、子供の頃から霊魂見えてたって言ってたし。カタリナが昔内気だったのは、見たくないもんが見えてた影響があるかもしれん。ただの推測だが。
[ジムゾンにそう答える男は、”俺は事前にカタリナから霊能者だって教えて貰えたぞ!”と若干のどや顔。
尤もパメラの兄たる己に友人として、妹の潔白を証明したいとの思いやりが最大の理由かもしれない。カタリナは優しい女の子だから。
よっこらせと言いながら立ち上がり、ようやく涙とは決別した様子のジムゾンに移動を促す。]
とっておきの一杯を淹れてやる。
[という一言で。
あれそういえば、いつぞや”吹雪の中で残されたのがジムゾンと俺の二人だったら、真っ先に食事に困る。”とか言った覚えがある。やだーその状況が実現しそうじゃないですかやだー。
などと内心葛藤しながら部屋を出た。*]
ああ、それはあるかもしれないね
見たくないものを見続ければ
人は忘れるか、隠すかどちらかだもの
[自分の場合は前者であったが――……
どや顔に、俺も事前に教えてもらってるしと
ぺしぺしっと彼の背を叩いておいた
とはいえ、霊魂が昔から見えていたとは聞いていなかったので
ちょっぴりほっぺぷっくーであったとか。大人げないですね
移動を促す彼に次いで立ち上がり。出されると聞いた珈琲に喜ぶ]
お、それは楽しみだ
[と、笑ったはいいものの――
ちょっとディーターさん、仮定だった話が実現しそうですよ
今からでも遅くない。お料理覚えましょうそうしましょう?
……どっちが覚えるんだろう。神父不器用だけど
皮むきくらいは覚えたほうがいい?なんて心中を察すれば尋ねたろうけれど
残念ながら此処にはエスパーがいなかったのでありました*]
俺は一人になるのが、怖かった
ずっとずっと怖かった
唯、それだけだったんだ
[だから、最初で最後、君に隠していた本音を告げる
時折零れていた弱さを君が悟っていたとは知らない
その弱さは君は、見ないふりをしてくれたことも
故に、蝕む孤独に怯え、溺れ。弱かった神父が縋ったのは。
日常に終わりを齎した死神の手であった]
……そう。
そうね、わたしじゃあなたを救えなかったのね。
ごめんなさい。
[最後の最後に自分から見せてくれた本当の姿。
わたしの声も、多少の揺らぎがあったことでしょう。
自分の生死など最早どちらでもいい。
死んだ皆の為に、そう考える一方
支えられるようになりたい、そんな気持ちだって理由の一つだった。
白い獣は救世主を語った
わたしの中の救世主は、嘆き悲しみながらも皆の為に前線に立つ人。
でも、彼が救世主である為には。生きているべきはわたしじゃなかったの。]
[揺らいだその言葉に、揺らぎかけた心を押しとどめて
泣きたいのはきっと、君だろうから
涙すらもう己には流す資格はなかった]
(ただ一言。助けてと君に言えたら)
(ただ一言、助けてと頼ってもらえていたら)
[だがそれは訪れなかった過去であった
自分が立っていられたのは死んだ者の為ではない
一等大切であったこの村の人たちである
”今、生きている人”を護りたかった
だがそれが減るにつれ―― 心の亀裂もまた深くなっていった
孤独を恐れる心が、過去を思い出し蝕んだ]
……謝らないで。俺が、許されないのに
謝ってしまいたく、なるから――恨んでくれ。頼むから
[憎んで罵ってくれ。君を裏切った男に
そんな言葉をかけないでくれと。ささめいた]
――ディーター
[言葉の、物理の刃で傷つかないで居て呉れれば良い、と
人間である己は、そう思った
何もかも背負おうとしている幼馴染
ほっとしている感情は――多分、人狼にしかわからないのだろう
その気持ちはオットーならば理解できたのだろうか
その広い背に庇われながら、
己は共に生きてくれると約してくれた彼が
傷つかないで欲しい、と。唯それだけを願っている*]
[ジムゾンの願いには気付けない。
傷つかないで欲しいと思う気持ちは嬉しいけれど、それを読み取り汲み取るだけの余裕は今失われている。
ただ、ジムゾンが怪我をしなければいいと考えるだけで精一杯だった。*]
[あなたは生きるのだろう。
何人も殺した人狼がこんな風に庇うのだから。
それを憎らしいとは思えなかった
その理由を、こう考える
心は生きている限り死になどしないのだろうと。
あの人狼は、あなたの助けになるのだろうか。
あなたを守るのだろうか。
負けたわたしは、そうであればいいと最期に願った。
決別を告げながら、死んでいった者たちを想いながらも
矛盾した気持ちを持つのが人間だ。
命が失われる苦しみの中、一時だけ微かに緩んだ口元は、人狼に心を向け自分などもうどうでもいいのなら
気づくことも、無いだろう。]
[その時の己は、何かに耐える様な
そんな目をしていたろう、けれど
君の瞳には何が見えたろう――
泣きそうな瞳からほろりと、雫が零れたのは
彼女の口元が最後、少しだけ笑みを浮かべたからだ]
(人間とは矛盾した生き物だ
捨てたはずだ。決別した筈だ。だがその時確かに
己は、彼女の死を悼み嘆き
――また1つ、心をひび割れさせた)
[二人で弱者をせせら笑って
わたしが死んでいくところを眺め
化け物のように楽しんでくれたのならば
どれだけ楽だっただろうか。
……本当に酷い人。
だから、彼は弱かったのだ。
最期にそう理解した。]*
カタリナ、さようなら。
[腕を回したまま、耳元で囁く。
パメラが亡くなるときは見送ることができなかったから、酷く心が残ってしまった。
だからこれは男なりのけじめのつけ方である。]
[自分の両手は犠牲になった多くの血で汚れている。それは一生拭えない。
けれどもただ一人、そばに残った幼馴染は、そんな自分の手を選んでくれた。感謝してもしきれない。]
お前との約束、果たさないとな。ずっとそばにいるよ。
だから俺のこと、支えて欲しい。
[ジムゾンだけに聞こえるよう、小さな声で囁く。*]
[彼が実際の血で両手を汚したなら
己は間接的にではあるが多くの血を流させた
カタリナが魂を見れば人間でありながら狂うた
そんな穢れた緋色であろう――実際はどうかは知らないが
それでも、直接人を殺めても
その不器用なまでの優しさを持つ男の魂は
きっと綺麗だと、己は思っている]
……うん。約束だ
支え続けるよ。俺が死ぬまで
[だから傍に居てねと、囁きに微笑んだ*]
[男は己の魂が綺麗だとは思わなかった。否、それ以前に考えたことがなかったのだ。
自分は自分がやりたいようにやる。それを見た誰かが下す評価はその人の感情であり、己が干渉できるものではない。
だから、綺麗だけでなく他の全ての形容詞を受け入れると同時に否定する、そんな複雑な心境だったのだ。]
もちろん、そばにいる。当然だろ。
[幼馴染に返事をしながら、ようやく微笑んだ。
ジムゾンの魂の色はどうだろう?きっと春を思わせる暖かな日差しの色だ、と男は思っている。]
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