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………………。
[触れる感触と、微か、届いた声。
聞き流してしまえばいいのかもしれない、けれど。
あの時に――魔獣の爪を受けながら、思っていた事だけは、覚えていたから]
……死んだら、絶対、泣かれる。
って。
そう思ってたから、死ねなかった。
……誰にか、とかまでは、覚えてねーけど。
[ぽつ、と落とす呟きは、ごくごく小さなもの]
[その痕に触れて落とした言葉は、どれも無意識のもの、だったから。
返る声があるなんてことも、思ってもいなかった。
だから、彼が紡いだそれには、驚きもした、けれど]
……そう、ですか。
[絶対泣かれる、と思った相手。
それが、自惚れでない保証など何処にもない、けれど。
彼の前では、私は、泣いてばかりだったから]
………そうですね。
[紡いだ肯定は、彼にどう響いただろう*]
[小さく落とした呟き。
それに対して紡がれたのは、肯定]
……ぁー……。
[ここまでのやり取りや、思い出せぬ事への苛立ちから、そうなんじゃないか、とは思っていたけれど]
……あのさ…………って、やっぱり、いい、か。
[ふと、自分にとって空白になってしまった時間の事を問いたくなったけれど。
直後に、安直に走るな、と思い直す。
神魔の試練がどこまで続くかはわからないが、勝ち残ればそこを埋める術も得られるのだろうから、と。*]
[私の紡いだ肯定に、返されかけた声は途中で切り上げられた。
彼も、私と同じように何かを感じているのだろうか。
今の彼に、私の中にある言葉を伝えてはいけないと思っているように、
彼も、私に聞いてはいけないと思う何かがあるのだろうか。
ならばそれを、私が聞こうとするのも、きっとダメ、なんだろう]
………ありがとう。
[だから、せめて。
この一言だけは伝えてもいいだろうと、小さく紡いだ*]
[問うて答えを得るのは、逃げ、という思いは変わらない。
一度決めた筋を通したい、というのは昔から変わらぬ気質のなせる業]
……ん。
[小さく紡がれた言葉。
それに返したのは、こちらも小さな頷き、ひとつ。**]
[私が紡いだそれに、返った言葉は短いものだった。
それでも、思いは伝わったと、そう思えたから]
あなたに、なまえをよんでもらえるの
まってるから、ね
[彼にも届かぬ小さな声で、願いを紡いだ**]
……隣に並んでみたいんだろう?
[先の戦いになる前の寂しげな言葉に答えるようにして、ならば受け取って使えるようになってみなさい。とそれが戦うものとしてか巫女としてのものになるかはわからぬが、そんな含み笑いを向けて]
[含み笑い交じりの言葉が届いてはっとする。
思い悩み、密かに望んでいたことではあったけれど、師にそれを汲まれるとは思っていなかったから]
それは……でも……。
[否定はし切れぬまま、あたふたと声を出す。
けれど師の言外の期待に気付いたなら、突き返すのも憚られて]
姉さまが飽きてないなら、それでいいのだけどね。
[ 無茶振りも楽しみ、と、軽く返される声に、魔人の声も柔らかく変わる。 ]
[成長するというのは嬉しさと寂しさも入り混じる。
なにせ少し前の記憶は再会する前こと十年前の記憶ではコニーリオとよんでいた子だ。
兎はあの頃の面影を残しながら大人の女性へと成長して、並び立つ意志を持とうとしたらしいが]
ふふ、大丈夫ですよ。簡単に追いつかせはしませんしね。
[楽し気に笑った]
[余裕ぶった師の囁きには歴然とした差を感じたが、同時にどこか安堵した心持ちでもあった]
――やはり、師匠はそうでなくては。
[並び立ちたいという思いと、それは矛盾しているかもしれないけれど]
みぃ、ちゃんとお仕事もしてるよ!
[囁く声には、エヘン、という響きも混じりつつ*]
そも、飽きるようなら最初からやっとらんしねぇ。
[柔らかさを帯びた声に、冗談めかして返す。
もっとも、飽きる飽きない以前の問題も多少はあるのだが。
わざわざ、言葉にする事はなく]
……なんか、あったか?
[首を僅かに傾いだまま、小声の疑問がぽつり、と落ちる。*]
[そんな中、小声で届いた問いかけに、少し、瞬く。
その響きは、今の彼自身から出た気遣いの色、だから]
……ううん。
ちょっと、きづいたことが
あった、
だけ、です。
[泣きそうになるのを堪えて、声を返した]
そう、お仕事「も」してるんだね。
[ くすくすと笑い声が溢れる。 ]
頑張りな。姉さまと一緒に見ているからね。
……気づいた事?
[返された答えは更なる疑問を呼び込むものの。
状況と何より、何かを堪えるような声音がそれ以上を問う事を躊躇わせて]
……ぁー……なんてか、その。
無理、するなよ?
お前、なんかこう、抱え込みまくってるみたいに見えるから、うん。
[その原因の一端は、自分にもあるんだろうな、という自覚はある。
だから、あんまり言うのもアレか、とは思うけれど、それだけは言いたかった。
口にしたのが、『だから心配』という一部分が欠けているだけで、昔言った言葉とさして変わらぬ事なのは、当然の如く無意識、無自覚]
本物の、愛と誠をもって──私もあなたを欲します。
[ そのまま距離を無にして抱きしめよう。*]
[語る距離はどんどん近くなり、不意に零となる。
回される腕の圧に、胸郭の奥で鼓動が高く響いた。]
そなたの愛と誠とは、貴重なものだな。
無論、そなたが私のものならば、逆もしかりだ。
[示された誠愛を受け入れ、ゆるく腕を回す。]
[私の答えは、彼にとって疑問を深めるだけだったようで。
続いた声は躊躇いと、変わらぬ気遣いに染められたものだった。
それは幼い記憶にも覚えのある、だからこそ余計、堪えなければならなくなって]
……ほんとに
かわって、ない。
[記憶が無くても、私の知っているそれが変わっていないから。
記憶を取り戻したとして、その記憶を今の彼がどう受け止めるのか。
私の知っている彼も、記憶が無かった間の自分を、受け止められるのか。
そんなことを、思ってしまったなんて、言える訳がなくて。
答えにならない言葉を返して、視線を正面、対峙する相手へと戻した*]
また、一緒に暮らして、旅をしよう。
あの時の約束を果たさせてくれ。
[幼い日の約束を口にする*]
……え?
[向けた言葉に返されたのは、意の繋がらぬ言葉。
けれど、その意を問う暇はないから。
浮かんだ疑問はひとまず飲み込み、対峙するべきへと意識を向けた。**]
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