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はぁ!?
ちょっ、 それって、どういうっ!?
[口調こそ冗談めいているが、向けられる瞳は常の様子ではない。
目は口ほどにものを言うとはよく言ったものだ。
それに気付いたが故に問う声は上擦る*]
[胸に手を触れ、押し止めるような仕種に紺青は緩く瞬く。
それにより、閉ざした感情は浮かび上がる事なく再び淵へと揺蕩う。
深淵に鎮められしは、小さき怪異を魔性に、そして魔神にまで高めたもの。
全ての眷属を喪失した事が齎した寂寥と、それから──絶望。
闇桜の根源にして、魔が最も厭うもの]
……どういうも何も。
[上擦る声に返すよに、笑う声がひとつ、落ちる]
言葉通りの意味しかないぞ?
……俺はそなたに惹かれている、と幾度も言うたはずだが。
[さらりと紡ぐ言葉には艶のいろ。
けれど、それは長くは続かず]
まあ、案ずるな。
……望まぬものに、無理強いをする心算はない。
だが、俺も己を偽る気はないのでな。
あまり無防備にされると、どうなるかわからぬ……というのは、忘れるな?
[く、と笑って紡ぐ様は、見た目は常と変わらぬ軽いもの。*]
──〜〜〜〜、
[笑う声に、艶の乗る言の葉。
確かに何度も言われてはいたが、手元に残そうとするまでとは思っておらず。
臆面もなくさらりと紡がれるのに言葉を窮す]
[あまり無防備に、と言われてふと思い出した。
碌に直していなかった白単衣の合わせを手で押さえようと身動ぐ]
……何か、急に安心出来なくなった。
[ぽつ、と零す頃には手は合わせを握り締めていた]
戻らなくても良いかな、って。
少し思ってるのよね。
[紡ぐのは、元の世界でのことを思い出しての思案の一端]
ずっと、向こうでの生活は詰まらないと思ってたから。
何やっても頭打ちばっかりで、それ以上高みを望めない。
下につく者が居るから、一人だけで先には進めない。
私はもっと、見たことの無い先に進みたいのに。
だから、ここに来てちょっとは楽しかったのよ?
貴方に力を与えられてだったけど、私じゃない私になれた気がしたから。
ここでなら、もっと何か、新しいことを見つけ出せるんじゃないかって思ったの。
[残るのであれば自分の意思で残る。
それを垣間見せる言葉を紡いだ*]
そこまで言う事はなかろうに。
[安心できなくなった、との言葉にぼやくような声を上げるものの、合わせを正すべく身動ぎするのを止める事はなく]
……でも?
[間を置いて続けられる言葉に首傾げ。
語られる思いに、紺青をひとつ瞬いた]
……なるほどな。
[戻らなくとも、という言葉に、ふ、と一つ息を吐く]
知らぬを求め、先に進む……か。
[選の前、途中放棄の意を問われた時のやり取りがふと過る]
……誠、歪みとは無縁であるな、そなたは。
……こちらに来て楽しかった、などと俺に言うたのは、そなたが初めてだ。
やれ、これで幾度目か、お初を奪われたのは。
[紡がれた言葉から、垣間見えるもの。
自らの在り方は自ら定める、との意思に、紺青が眩し気に細められる。*]
……いずれにせよ、俺はそなたを求めども、縛する気はない。
それは偽りない、と宣しておこう。
[本当に安心出来なかったら、体力の戻らぬ中でも振り解いて離れようとしていただろうというのはさておいて。
歪みとは無縁とナネッテを称するのには、にっこりと微笑んでおいた]
奪われたって、その言い方…。
[冗談めいての言葉だろうが、何となく、聞こえがアレ過ぎて突っ込まざるを得ない。
もぅ、と眉が吊りあがったのはそこまで]
ん……貴方のそう言うところは信じるよ。
誓い、 守って くれた し……
[笑んで紡がれた言葉が徐々に途切れ始める。
無防備を晒すなと言われても、体力回復のために身体が睡眠を欲するのは仕方の無いことで。
少しして、すぅ、と浅い寝息が零れ始めた**]
……ん?
何か、間違っていたか?
[突っ込みにけらりと笑って軽く返す。
けれど、その軽い笑みは途切れがちに紡がれる言葉に柔らかくなり。
浅い寝息が届くと、小さな息が漏れた]
……やれ、まったく。
[独り言ちつつ、そ、と燭と名付けた由来である髪を撫でる]
このような時、あなたはどう己を制しておられたのかな、命の父。
[問うた所で答えなどは得られない、とわかっているが。
つい零れたのはそんな呟き]
……万年生きても、わからぬものはわからぬ、とは。
あなたの口癖でもあったよな、確か。
[遠い記憶、幼き怪異であった頃の欠片。
無垢なる怪異はただ首を傾げたその呟きが、己が身に返っている事に苦笑を滲ませた後]
……この位は、赦せよ?
[小さく呟き、ほんの僅か、掠めるように唇を重ねる。
触れる事で共鳴が生じ、癒しの力が僅かに高まるのを感じつつ。
闇桜は、腕の内の燭の香にしばし、酔う。**]
[ 血の匂いがする... ]
...ハルト...
[ 神に流れる血潮は無く、故に届く匂いは対峙する雷華の僕のものであるはずだったが、花神は、揺れる意識の内に、己の従華の名を呼んだ ]
ハルト......
[ 励ますでもない、縋るでもない、ただ、そこに声が届くと確かめるように* ]
─ 回想 ─
『ならば、私も貴方に連なる者の一員としていただいたのですね。』
[静かに話を聞いていたルートヴィヒが言う。
ガートルートが口を開く前に、またシヴがピクリと頭を動かし、アイスブルーの瞳でこちらを見た。
あー、と笑み含む声で珍しく曖昧な返事。
興味を失ったように頭を伏せた狼を見て、男は少し眉を下げる。]
ルートの場合はちょっと特別。
雷華としての転身より従華としての性質が勝るからな、『今は』。
[ココが繋がってるから、父子というより、分身に近いんだ。
そうして指で叩いたのは、己の胸骨の上。
その奥にある臓器を指しているのは青年には伝わったろうか。
ルートヴィヒが狼達にのし掛かられたのは、そんな会話のすぐ後だったか。]
っははははは!
ホンッットに気に入られたなァ。
[顔中すっかり舐め回されべとべとにされ、眼鏡もズレたまま敷布の上にひっくり返りもはや無抵抗を貫いていた青年に男は笑い声をあげて労った。
膝立ちでにじり寄り上から覗き込むと、ひょいと眼鏡を外して清潔な布で顔を拭いてやる。
満足したらしい二匹のハイイロオオカミは、めいめい外や別の部屋に移っていった。]
…っく、ふふふ…
[未だ笑いの治まらないガートルートは、卓の上の陶器から三つ目の
ルートもたべるか?
[半身を起こしてやや憮然としている(気がする)青年に首を傾げて問うた。
しかし、それは問いの形をしてはいるものの返事を待つ気は無いらしく。
床に手をついてまるで先ほどの狼達のように青年の腹にのし掛かる。
下から覗き込んで鼻先を寄せて、彼の下唇をべろ、と舐めた。]
くち、あけて。
[反応が返るより先に唇の隙間から舌を捩込む。柔らかいあまいものを青年の口内に押し込んだ。
そのまま、溶かすみたいに舌先でその物体を追い掛ける。バターと砂糖のにおい。子供が好むような、甘さの。]
ルート、…………。
[小さく呼んだ名前は、互いの口の中のそれと同じ味がした。
狼達がしたのと同様に青年の腔内を繰り返し丁寧に舐め上げる。舌の奥、上顎、喉の方まで、漁るように何度も。
溶けかけだった
男はようやく身体を離して、ぼふ、と青年の腹の辺りに顔を埋める。
"獣が相手の口元や口内を舐めたがるのは、主や仲間に対する挨拶は勿論、親愛や好意を示すことが多い"。
先ほど自分でした説明を、こちらを向く青銀の瞳を見上げながら再度口にして。]
……まあ、俺のは、甘えてるだけだけどな。
[腰に腕を緩く回し、青年の腹に顔を埋めたままくつくつと笑って、言った。*]
[そこにいる事を感じれるだけで十分だ]
俺はまだいける、まだいけるよ。
[意識が揺らげばその声と蓮の香りが今は指針になってくれる
どこまで往けば咲けるか、どこまで登れば照らしきれるか]
……レン。
[ただ、此処でまだ声が届いているとあいつに返して奮う]
― 回想 ―
[一族より強固な繋がりを示唆され、胸の内に広がる悦び。
顔に現れたソレは、主にはばれていただろうか。
しかしそれを確認するより先に、狼たちの洗礼を受ければ、どこか茫然としている。
覗きこまれた金色を見返すと、顔を清められた。]
ん…ッ
どうも…すみません…
[力なく返した礼は、しかし決して嫌そうなものではなく。
ただ人の身をもつ男には、いささか強烈だったというのは見て分かったかもしれない。]
[半身を起して、少し頭を振り、しかしまだどこか悄然としていると、菓子を勧められた。
しかし、いただきます、と返事をするより先に、近づく顔。
…この体勢は、身動きができない。]
っは…あ…?
[大きな獣のような人だとは思っていた。
だが、“人”である。
少なくとも、姿かたちは。
突然の事に硬直している間に、口の隙間から押し込まれたのは…]
ん、は、ぁ…ッ!
[幼い頃から戦いに明け暮れ、まともな口づけ一つ経験のない朴念仁である。
そんな男にこの挨拶は、些か強烈に過ぎた。
獣の舌とは異なる、もっと明確な。
ぞくり、と背筋を駆け抜けた物の正体を知らぬまま、気づけば解放された口元から零れる呼吸音が、ぜぇはぁと煩い。]
は…は…
[腹に埋まった主が、説明のように口にした言葉には、ただただ頷いて。
その意味を考えるのは、また後の話である*]
[ 声が届き、声が返る ]
ああ
[ 対峙する獣は、共に一瞬の気も抜けぬ鋭き牙を剥く相手なれど ]
信じている。
[ 伝う声は蓮鈴の音に似て、涼やかに響いた* ]
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