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…………私を信じるんじゃなかったのかな?
[安心させようするつもりで紡いだ言葉だったが、
効果のほどは果たして]
そうは言っても、傷を負ってるのは確かじゃないか……。
[いくら防御や治療の術があると言っても、今痛みが生じているという事実を消せる訳ではない。
案ずる眼差しで、ミリアムを見詰め]
[熱を出すのは、子供の頃からよくあった。
義体の影響が身体に返り易い、というのも散々言われていた。
それだけに、旅に出てからもそれへの対策だけは怠らなかったつもり、だった。
にも関わらず、あの時はそれがどこかに飛んでいた。
理由は物凄く単純で──そんな事をつい忘れるくらいに、楽しかったから。
初めて踏み込んだ場所への好奇心もあったけれど。
初めて会ったはずの相手から感じる安心感──絆石を手にした時に感じたのと同じものが、警戒をどこかに飛ばしていた、というのも理由の一つ]
[無事に回復して、状況を把握して。
色々知られた、と気づいた時にも、何故か、焦りのようなものは感じなかった]
……まあ……いいかぁ。
[なんでそんな風に思ったのかは、わからない。
旅に出てからの諸々で、『根拠なく他者を信用するのダメ、絶対』という持論を積んでいたはずなのに。
絆石の縁の作用、と言ってしまえば、それまでなのだろうけれど。
でも、それだけじゃないような、よくわからないような。
そんな気持ちを抱えていて、それが別れ際の『またくるねー』に繋がっていた]
[少し時間をおけば、抱えたものが何かわかるかな、と思ったけれど。
結局、わからないまま、思わぬ形での再会を果たして。
安心と、わからない事の不安、両方が大きくなる矛盾を抱えた状態は。
個人的最終ラインである『名前呼び』を超えるのを妨げる要因のひとつ。
それが不自然でないのはある意味、救い、かもしれない。**]
確かに派手にやられちゃったし、
これ、けっこう、……辛い……けど。
きっと……“先”に進むためには必要なことだと思うのよねえ。
そうかい。
……ミリアムがそう感じてくれているなら、全力を出して良かった、と思うよ。
[ミリアムと違い、壊すことしか出来ない力に歯痒さはあれど。
傷を負ってなお前向きなミリアムに安堵する*]
とはいえ、まだ竜との戦いが残ってる。
しっかり治しておかないとね。
―― ちょっと前 ――
も、もちろんしっかり治すわ。
だから心配しないで、キアラはその全力を今度は竜にぶつければいいと思うわ。
私も全力で手助けするから。
[声なき声にも驚きの余韻と、
ついつい好意に甘えることを選んでしまった歯痒さが滲むものの。
先を見据えた思いに切り替えはっきり告げていた*]
――苦無は手から離れているから、動きそのものを読まれているわけではないはずだ。
[苦無を飛ばして竜を牽制しつつ、心の中で独り言めいた思案をする]
見てからかわせる距離でもない……。
心の龍……読まれているのは――
[思索にふける声が流れ込んでくる。
声は状況を分析し、一つの結論を導きだそうとしていた]
そっか、心の龍ってことが最初から答えに―――
そいつは私達の心を読んでる!
簡単な話だったみたいだねえ、何せ心の龍だし。
だったらいっそ読めようと関係ないすっごく近い距離から一撃喰らわせた方が……
[だが、危険にさらされている状態のキアラにそれが可能なのか]
……そもそも、だね。
ボクは、きみにとって、『何』なんだい?
[絆石の縁が関わりないと言うならば。
余計にそこがわからない。*]
そ、うだ……心が……
心の、龍、だから……
[ミリアムの声にどうにか答えようとするけれど、明滅する意識によりその思考は散り散りになる]
[体が訴える苦痛から切り離されたように、一瞬思考がクリアになる。
それは月闇の絆石――感情と静けさを司る石の恩恵か。
何者にも干渉されない、心の龍すら入り込めない会話が、その一瞬の内に交わされる]
その通りだ。
でもこのデカブツの鱗を通すには、アタシ一人の力じゃ足りない。
――雷が何処で生まれるかは知っているね?
俺にとっての、お前、か?
[ 心に落とされた問いに、男は暫し、言葉を選ぶように、沈黙して ]
この世で一番大切なもの、だな。
[ 返したのはやはり、素直な答え、と、 ]
俗に言っていいなら、惚れた女だ。
[ するりと、そんな台詞を付け加えたのは、そろそろ色々誤摩化し辛くなってきたからに他ならない* ]
……ふぇ?
[ぽそりと投げた問い。
それに返ったのは、物凄く素直な答え]
あ、え、と。
…………え?
[今何聞いた、何言われた!?
そんな困惑を宿したコエが零れて落ちる]
大切、って…………ていうか、惚れた……て。
……ぁぅ。
[一生言われる事はない、と思っていた類の言葉をさらっと言われて、困惑が先に立つ]
ぁー……もう。
だからなんでそーやって。
こっちの予想を簡単に踏み越えてくるのっ……!
[想定外だ。色々想定外過ぎる。
言われた事も想定外だけれど]
……嬉しいじゃないか、ばぁか。
[そんな言葉がするっと出てきた自分にもちょっと──いや、かなり驚いた]
……!
[急に淀みないものとして聞こえ始めたキアラの声。
絆石――黒曜石の色合いを思わせるように静かに、静かに、
二人の心の裡だけに響いていく]
そりゃあもちろん知ってるけれど……、
[できるんだろうか、という心の葛藤は、
続く言葉によってあっさりと吹き飛んだ]
[ 男はどこまでも、自分に正直に心を伝えた。...が、本人もとい龍としても、これは初めての経験だった ]
(......親父の気持ちがようやく解ったな......)
[ 龍の身で、人の娘を妻にするために『命懸けで求婚した』と言った先代に、しみじみと共感したのも、仕方がないところ ]
......嫌がられたらどうしようかと思ったぜ。
[ どうやら、気持ちは違わず受け止められ、受け入れもされたらしいと、解って、心底から安堵の吐息をついた ]
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