情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
ジョーカーフェイス。
やっぱ君は昔から変わらないね。
[銃を大胆にも彼の目の前で懐に仕舞えばクスクス笑う。そしてこれまた大体に聞くのだ。]
演技、楽しい?
楽しいか楽しくないか、じゃなく
必要か必要じゃないか、だからな、俺は
この村では神父としてあることが必要だと考えたからあの仮面をかぶっているだけさ
[にぃ、と口の端を釣り上げる顔は穏やかな神父とは全く違い。
けれどどこか暗殺者への親近感すら感じられる笑顔で]
それで?
要件は
言っておくが、シェイは殺させないぞ
ははっ!まあ僕も似たようなもんだね。
僕も此処での立ち回りを考えたら医者だったしねー。…あ、でもちゃんと医療従事者証は持ってるし本物ではあるよ?
…その笑顔、久しいなぁ。
偶然暗殺予定の奴が君の手でヤられてるのを見た時は本当驚いたけどさ。
[楽しげに微笑んで、でも何処か詰まらなそうに。]
のんのん、殺すんじゃない。
情報漏洩を阻止したくてさぁ?
要件は≪僕が親を殺した≫と言うことを思い出しても外に漏らさない事。
あの子の情報改竄もしてるからさ。
[辻褄合わなくなると大変なのさ。
そうクスクスと。]
あ、あのね……
これ………
[そう言って店主の目の前に差し出したのは先程隠したタッパ。コロコロと何かが転がる音がする。]
今朝、爆発せずに、出来た、の。
でも、あんまり上手くできなくて……
どうしたら美味しく出来るかな……
[最初は嬉しそうに声を弾ませていたが、だんだんにその声は小さくなり。タッパの中にはお世辞にも綺麗とは言えない、チョコを溶かして固めただけのものが幾つか入っている。]
どうしたら喜んで貰えるんだろう……
[取り出されたタッパーを見て合点がいく。きっと手の怪我も、このチョコレートの作製で負ったのだろうと判断した。]
爆発しなかったのかい?良かったじゃないか。
ん。ううむ…そうだなあ…マリエちゃんからもらえるだけで、喜んでくれるとは思うが…
なんとかしたいなら…うーむ…おっさんその辺りは詳しくないが…
[考えるそぶりで呟くようにそう言いえば、チョコレートが置いてある棚の隣をごそごそと探る。次に彼女に顔を向けたときに持っているのは、カラフルなデコレーション用のチョコチップと、ハート型のピックス。]
この辺りでなんとかすれば、もらう人もさらに喜ぶんじゃないか?
こういうの、マリエちゃんは得意だろう?
[おっさんなりに必死に考えたようだ。]
うん……
あのね……えっと……
……やっぱり美味しいって言ってもらいたいの。
[視線を宙に浮かしながらポツリポツリと話す。]
テオさん、チョコレートくれた、し…
他に誰に聞いていいか分かんなくて……
[そうしているうちに、奥から沢山の可愛らしい型を出してくれる店主に、表情は明るくなる。]
テオさん、味はどうかな?
アドバイス欲しいの……
[タッパの中身を差し出してみるが、食べてもらえただろうか。]
………!
[アドバイスが欲しい、と言われて笑顔のまま固まる。なんの変哲もないチョコを爆発させる娘だ。食べて大丈夫なのだろうか。しかし、断ろうものなら彼女を傷つけるのは目に見えている。]
あー、うむ。それじゃあ…ひとつ、もらおうか…。
[そっと一つ手に取る。見た目はなんの変哲もないチョコレート。溶かして固めただけならなんの問題もない、はずだ。意を決して口に入れれば…2(2x1)]
1. うむ、おいしいよ!
2. 笑顔のまま何も言わず倒れて行った。
[覚えているのは口にいれる自分の動作。彼女のチョコレートを口にいれた瞬間…
それ以降の記憶はない。]
テ、テオさん?!
うぇぇええ?!
し、しっかりして?!
[チョコレートを摘んで突然倒れた店主に駆け寄り、肩を揺する。相手は25分後には目を覚ましただろうか。
その頃には傍にしょんぼりと肩を落として、絶望する女の姿があったことだろう。]
……………もう、時間、あんまり無いのに………
[やっぱりダメなんだ、と思うと本当に悲しくなってくる。あげたい、と思う人が出来たのに、此れではどうしようもない…]
あの子に手を出さないというのなら、記憶を覚めないようにすることは手伝おう。
暗示でもかけておこうか?
殺人の方が得意だが、暗示ができないこともない
まあ、そちらの手落ちだ
その分の見返りはくれると思ってもいいだろう?
う…うう…ここは…どこだ?私は誰だ?
[25分後、ベタな戯言を呟きながら体を起こす。ふと気づけば目の前にはこの原因を起こした少女。]
ああ…マリエちゃん…。そうか…私は…。
[倒れる前のことを思い出す。生きていて良かったと心から思った。
彼女の嘆く言葉を聞けば、そっと慰めるように春色の髪を撫でる。]
その…なんだ、マリエちゃん。
チョコレートというのはな、想いを伝えるきっかけにすぎないと私は思うんだ。
必ずチョコレートを作らなければならない、なんてルールはないし、チョコレートが無ければ想いを伝えてはいけない、なんてルールもない。
想いを伝えたい人がいるのなら、マリエちゃんの言葉で、マリエちゃんの想いを、伝えたらいいんじゃないかな?
[どこかへ行ってしまった相手に首を傾げつつ大人しく待つ
やがて戻ってきた相手からカップを渡されて]
え……
…あ、ありがとうございます……
[少し迷ったものの、受け取って口をつけた]
……暖かいですね…
[それでも固い表情は治らないまま
暖かいけれど、“美味しく”はなく。少女の心は解けない]
……嬉しい……
……そうでしょうか……
だって、申し訳ないじゃないですか…
[ちらりと親戚のことが浮かんで]
…私は可愛くないですよ……
[“美味しそうに”食べない子は、可愛くなかったことだろう。それで何度も冷たい目を向けられてきたから
だが、続いた言葉にはじっと相手を見て]
え……で、でも………
[迷って、また俯く]
良かった……テオさん…ごめんなさい……
[目を覚ました店主に申し訳なく頭を下げる。どうしてこうなってしまったのか、静かに相手の話を聞きながら、項垂れてゆく。]
うー……
それでもチョコ……渡したいの……
[勿論そうなのだ。気持ちが一番なのだから。そうは思いながらもやっぱり、チョコレートを渡したい。]
………………………。
[今の私に出来ることは何だろう……ぼんやりと考える。あんまり時間は残っていない気がして。
──と、目をパチリと瞬かせ、パチンと手を打った。]
ねぇ、テオさん。
大きめの板チョコないかなー?
あと、チョコペンとアラザンとスプレーチョコ!!
[これなら…と思うものにたどり着いたらしい。あれば、それとラッピング用品をお願いしたことだろう。]
うん、頼むよ。
記憶ってのは時間が経てば薄まるけど、
怖い記憶は永遠に蔓延るものだからね。
[そういえば男はその場をくるりと回って笑う。
楽しげに黒いマントをはためかせて、
人の絶望を舐めとるように舞っていた。]
へえ!暗示なんて出来るんだ!
僕は窃盗とか潜入とか変装類しか無理だもん
…自身の手落ちはぶっちゃけ認めるけどね。
暫く相方いなかったのもあるし。
見返り?そりゃね。
今回の一件で一体何百万円使ってるのか分からないけど金が無いわけではないしねー。報酬なら当然だすよ。
[≪堕天使≫の名に掛けて、裏での肩書きを名乗れば微笑んだ。]
ああ、そうそう。僕の相方…イングリッドとマリエッタに手出ししたらヤっちゃうからね?
これで仮にフィオンが僕にチョコ渡してきたら悩んじゃうけどねー…あははっ!あるとしてもお縄くらいか!
[そもそもレディに手を出すのは間違ってるけどね、と男はそう言って微笑んだ。]
[にこりと微笑む彼女に口を指で塞がれたと思ったらすぐ後、綺麗なピンクが近づいたと思うとふわりと香るかのじょの香り。目の前いっぱいに広がる手放したくない人の姿、そんな彼女がたまらなく愛おしく…触れるだけのそれを深く、彼女を抱きしめる腕に力を込める]
…………ん……
[そっと触れただけの唇。そのまま強く抱き締められれば、自らも離れたくないとその身体を寄せる。甘い香りと大好きな温かさに包まれて、自らの頬が熱を持つのが分かる。心臓の音が伝わってしまいそう、と思った途端、唇はまたその熱を上げる。
おでこをくっ付けたまま、そっと唇を離せば、限りなく近い場所に大好きな人は居て。それは夢でも幻でもなくて、手の届くものであることが、またその小さな胸を締め付けた。]
……このまま時間が止まればいいのに、ね…?
[そう呟き、笑う。]
「時が止まればいいのに」
[彼女の放った言葉が胸に刺さる
それは2人の共通の願い、とてもとても素敵な…願い
でもそれが叶わないことくらい、もうとっくにわかっている。自分も彼女もそんな夢物語を追いかけるほど子供ではない
…はずなのだ]
そうだな、このまま止まって…マリーとずっと一緒にいれたらいいのに
[そう願わずにいられない、終わりの時は…刻々と近づくのだろう]
[ホットチョコレートに口をつけた彼女は「暖かい」と言うが、その表情は冴えない。自分の言葉に、彼女は顔を上げたが、「でも」と逆説の言葉を口にし、また俯いてしまった。]
でも、なんだい?
ああ、こんなおっさんに頼るのはいやだって?
確かになあ。年頃の女の子が父親ほども年が離れている他人に頼るのは難しいかあ!
[彼女の心が晴れるよう、努めて明るく振舞ってみる。ならばどうしような、とコーヒーをちびちび飲みながら考えたりもして。]
私、ずっとカレルの傍に居る……
だって、今までもそうだったもん。
これからもずっと、そう……
[だからそんな顔しないで、と笑おうとすれば笑顔が歪む。幸せなのに苦しいなんて。こんな感情があるなんて、知らなかった。]
ねぇ、カレル。
私、カレルのお嫁さんになりたい。
[小さい子どものお願いのように、ニッと笑ってそう言う。昔から見てきた彼がこんなに切ない表情をするなんて知らなかった。これからもっともっと知っていくのに。]
大丈夫、明日も明後日も、
次の春も次の冬も来るよ。
………来る、絶対。
[天使の力も神の力には抗えない、そう言ったのは誰だったか。終わりが見えない怖さが心を侵食してゆく。]
謝らなくていいよ。おっさんは元気だ。気にしなくていい。
[うなだれて謝罪の言葉を紡ぐ彼女に優しく声をかける。]
うん?大きめの板チョコ…?おそらくあるが…。
あと、なんだって?うーん、ちょっとわからん!マリエちゃんも一緒に探してくれ!
[そう言えば、先ほど探していた棚を探し始める。彼女が手伝ってくれたなら、あまり時間もかからず、目当ての物を見つけることができるだろう。
ラッピングは、この時期、チョコと同じく何故かバカ売れするので種類は豊富だ。おそらく、彼女の希望に沿うものを準備することが可能だ。]
えっと……これと、これ……
あと、これ………
このくらいの大きさの板チョコ!!
すごくいい!!
[店主と共に棚を探せば目当てのものは程なく見つかった。最後はラッピング。時間をかけてあれでもないこれでもないと悩んだ結果、一つを決めて、ニコリと笑う。]
テオさん、本当にありがとう。
お金、これで足りる?
[おそらく十分に足りる金額を出したことだろう。そうして、店の店主にお礼を言った。]
── 回想 ──
[気付いたのはいつだっただろう。覚えているのは絵筆を持って、何を描こうか街中をウロウロしていた時。池の傍の芝生を通りかかった時にそれは頭の上に飛んできた。]
───ぺちゃり。
……つべ……たい…………
[頭の上に柔らかいものが落ちてきたと思えば、顔を水分が伝う。それは、甘くてべたりとしていた。と、駆け寄ってきたのは金糸の少年。少年は慌てた様子で私の髪を拭いて頭を下げる。
私の頭に飛んできたのはプラムだった。彼はここでジャグリングの練習をしていたらしい。]
見せて!見たい!
[ベタベタの髪を気にする彼をそっちのけに、私はその芸に見せろと求め、それに魅了された。今から思えばまだたどたとしく、お世辞にも上手とは言えない出来だったけれど。それでも幼い私の目には魔法のように映り、拍手を送り、その姿をスケッチした。私のスケッチもまた、褒められた出来ではなかった。
それから私のスケッチブックには、金糸の少年の成長が描かれる。腕を上げ、暖かくなれば街を離れるようになる。冬が苦手で秋には旅を終えて帰ってきて、家に引きこもることを知ったのもプラムの出来事からそう遠くない未来。
私の画材と作品が増えると共に、彼の技の数と出て行く日数も増えていった。そう、それはその手を取り合う何年か前の話。]
[彼女が楽しそうに商品を選ぶのを眺める。どの客も、商品をあれでもないこれでもないと選ぶ時間は本当に幸せそうで、その時間を自分が提供できることが非常に嬉しかった。]
いいのは見つかったかい?ふむ、ならよかった。
[満足そうな彼女を見て微笑む。代金をもらえば御礼の言葉を伝えて。]
頑張ってな。おっさん応援してるぞ。
ところで、チョコレートをどうしてもあげたい人が誰なのかは、おっさんには教えてくれないのかい?
[少し気になったので尋ねてみる。親心だ親心。しかし、教えられないのならば、それは仕方ない、とすぐに身を引くだろう。]
テオさん、にだけ、だよ?
[そう言って、照れながら店主の耳元に口を寄せて告げたのは旅芸人の幼馴染の名前。]
そうか!それは、うん、お似合いだなあ。
ほお、マリエちゃんとカレルくんがなあ。うんうん、いいなあ。
[うん、うん、と何度も頷きながらその表情は満面の笑み。]
いやー、頑張ってな!二人が幸せになるのをおっさん全力で応援してるよ!
[上機嫌のまま、彼女を店の扉の前まで見送る。年に似合わず、頭上でぶんぶんと大きく手を振り見送ることだろう。それほどまでに嬉しかったのだ*]
── その日の真夜中 ──
──カタン。
[その音がその家の持ち主の耳に届いたのは日が変わる頃だろうか。
もし、明日を迎えられれば扉の先には鼻先を真っ赤にした女がニコリと微笑んでいたことだろう。
もし、明日を迎えられなければ扉の先には可愛らしくラッピングされた一つの箱が置いてあるだろう。
中身は大きな板チョコに色とりどりのチョコペンで描かれた、桜の下にいる旅芸人と画家の絵。そして小さなメッセージ。]
── 大好きなカレルへ ──
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新