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ハルト...生きておるか?
[ 目には敢えて入れずにいるが、氷華とハルトの放つ気は感じている。
一際強く、氷華の気の昂りを感じて、思わず問いかけた ]
・・・げほっ。大丈夫、まだいける。
[あれ?今誰に聞かれた。レンか。やべ、まとまらなくなってる。
我慢しすぎてるかな。だから喧嘩やなんだけど]
[己が大丈夫であるなら、と。
紡がれる言葉に魔は緩く首を傾ぐ。
自身を案ずる言葉など、向けられたのは遠い昔──それこそ、未だ幼き桜の怪異として、名を授けし者に懐いていた頃にまで遡るか]
…………。
[半ば無意識、左耳に下がる飾りに手を触れる。
ふと浮かんだものは言葉にならず、闇の淵に再び沈めて]
うむ。
そなたのように、真っ向から意を返してくる者と話す機会は、あまりなかったのでな。
[返る言葉に含む棘。
それに、笑って返したのは半ば故意。
これまでのやり取りに思う所があるであろう事は、端々から感じているのだが。
それらがここに基づくのは、変えられぬ事実であるから]
[名に纏わる話に返すは、頷きひとつ。
王になるために……という部分には、やや、複雑なものを感じなくもないが、その部分は飲み込んだ──というか。
質の変わった笑みに、飲み込まざるを得なかった、というのが正しいか]
……案ずるな、約は違えぬ。
[釘刺しに、返す声音は静かなもの]
此度の選は、俺としても格別の意を持っておるのでな。
[幾度となく選に加わってはいたものの。
そこに、特別な意を見出せた事は過去にはなく。
それが、『飽きた』に繋がる一因。
しかし、今回は旧知の参戦という、強く意識惹かれる要因があり]
……何より。
そなたの存在が、俺を飽きさせぬ。
……ああ。
[過去の選の事を問われた魔が返すのは、どこか気のない声]
飽いて引いた事もあれば、興醒めて降りた事もある。
……俺自身に、王華となる事への執着が薄いせいもあるが。
[ここで一度、言葉を切って]
……先がな。
見えぬと思うと、戦う意を見出せなくなる。
俺は元より、『狂い桜』と称されるような気質故。
それを見失うと、力を出す気になれん。
[飽きる、に至る理由はもう一つあるが。
以前、旧知たる雷華に零せしそれには触れる事はなく、紡ぐのは戦神、剣魔としての在り方に基づくもの。**]
[この話題はもう終わり、と。
言葉を続けることはなかったのだが、蒼月が首を傾げた後、左耳の耳飾りに触れるのを見て、ほんの少しだけ、ナネッテの首が傾いだ。
言葉にされぬそれを察することは出来ない。
故に何か言うにも言葉にはならず、続く言葉へと意識は移った]
あら、これまでの従華は随分と大人しい子ばかりだったのかしら。
[従華達に施されてきた術の詳細は知らぬためにそんなことを言って。
笑みは未だ棘の残るものに留められる]
相手が誰であれ、言いたいことは言わないと、自分の意思を伝えることは出来ないわ。
伝えて、相手の言葉を引き出すことで、相手のことも理解出来るようになるものよ。
尤も、方法はこれだけじゃないし、通用するしないもあるけれど。
[その性格のお陰で会社で浮く場合もあったが、これは信念にも近いため、変えられるものではない。
故にナネッテはどこであっても、誰であっても同じように接する]
[自分の言葉に蒼月が複雑なものを感じたなど気付くことは出来なかったが、紡いだ言葉に返る声が静かであることに、違うことは無いと感じ取った。
別格の意を持つと言う言葉からも、それが信置けるものだと理解出来る]
そう、それなら良いわ。
……私?
確かに貴方楽しそうではあるけど……。
そんな風に言うくらいなら、これまでは相当退屈だったのね。
[理由の一つとして挙げられて、ナネッテはおかしげにクスクスと笑った]
興醒めて…。
そう言えば、王になることの意義を見出せない、って言ってたわね。
[それならば、先程自分が言った言葉は蒼月にとって喜ばしいことではないのか、と思考が巡る]
先が見えないって、どっちの意味かしら。
予測出来ないと言う意味なら、それが当然だと思うのだけど。
未来が分かるのは便利かもしれないけれど、それじゃあ詰まらないわ。
未来は、自分の手で掴むものよ。
あぁでも……貴方の場合だと、長く生きているが故に先の予測が出来すぎて、って方かしら。
[推測を口にし、考え込むように右の人差し指を曲げて顎に添えた。
そのまま首を傾ぐと、耳飾りがしゃらりと鳴る]
『狂い桜』ってどんな気質か知らないけど。
先が見えないと思うなら、自分から拓きに行けば良いと思わない?
未来は無限の可能性を秘めてるものよ。
[言葉の意味を知らないために蒼月の気質は理解に至らず。
人であるが故の、可能性を目指す考え方を蒼月に伝えた*]
─ 少し前・雷華の領域/浮島の邸宅 ─
あ"ーーーー疲れた。
もはや息するだけでも疲弊するわー…
[入り口に下げられた織布を潜ったガートルートが、こきこきと首を鳴らしながら長い溜息を吐いた。
大して働いてもいないのに不平を漏らすのは、いつもの事だと従華たる青年も直ぐに慣れるだろう。
入って最初の部屋からふたつ奥まで青年を案内する。
石造りの円形の建物は中に入ると思いの外広く、隣合う建物同士は様々な模様の入った織布で仕切られ、繋がっている。
扉が据え付けられた部屋が見当たらないのは、獣の身であっても行き来が可能なようにとの配慮であった。]
ルート、適当に座っててくれ…あっ、違う、適当じゃなくここだ、ルートの席はここ!
[茶でも飲もうかと隣室(どうやら廚らしい)に半身を突っ込んでいた男は、碗をふたつ引っ掴んで慌てて戻ってきた。
この部屋の足元には、床材の石の温度が伝わらないよう厚めの絨毯が敷き詰められ、ラグやクッションらしきものが並んでいる。
中央に蜂巣を模した形の硝子の卓があり、上には茶器と、小さな壺と、陶器が幾つか。壁に埋め込まれた暖炉が据え付けられており、向かい側の壁際は調度品が置かれている。
男が示したのは、暖炉側の床。
ふわふわと毛足の長い、灰味がかった白いラグが幾つも折り重なって敷かれている。その上に、質の違うファー素材のクッションが三つ、転がっていた。
たしたしとラグの上を叩いて、見るからにわくわくした顔で青年の着席を待つ。座ったら座ったで、目を輝かせて。]
どうだ?
座り心地は悪くないか?
これな、ヤクの毛皮で作ったんだ。今日の為に前以て準備しておいたんだぞ?
ルートは椅子のが慣れてるだろうから、足とか尻とか痛くなったらかわいそうだからな!
[言って床の上にどっかりと腰を下ろした男の顔には、これから戦に赴く緊張感など露ほどもない。
椀を卓に据えて、鼻歌交じりに芳ばしい香りの茶を椀へ注いでいた。*]
― 柊の護花の槍斧を受ける前 ―
ハルト、お前、好きな神はいないのか、と聞いたな?
[ 円環から螺旋に軌道を変えながら、凍気に耐える従華へと、まるで世間話のような言葉を送る。
意識を寒さに呑まれんとするハルトに、それは意味有る言葉として届いたかどうか怪しいが、花神は常の如く頓着しない ]
私が花神となる前、我が花を愛で、傍に置いた水神を、私は好きであったのだと思うよ。
[ だが、その水神に、冬の闇の中、取り残され ]
千年の冬に、私が枯れかけたのは、冬の寒さ故ではなかったのやもしれぬ。
永く、忘れていたが
[ 凍れる刃が胸を貫かんと迫る ]
お前に会って、思い出した。
[ 切っ先が届く瞬間の痛みは、伝えぬまま、声は途切れる* ]
[寒い、凍える程の冬のまんなかで聞こえたその言葉に。
また一瞬、誰ともわからない程に消耗した意識でそれを訊いたけど。
あっ…そうか… 。 と脈絡もなしにそんな言葉が俺の心に浮かんで]
・・・・・・じゃあ、俺は・・・ ・・・
[熱が咲き誇る、熱がともり、太陽が冬の雲間から出る様に]
大人しい……うむ。
確かに、荒事に向かぬ者が多かったな。
[容易く手折れそうに儚き者が多く、故に多くを制する必要が多かったのは事実。
だから、そこは否定する事なく頷いて]
……意を伝える、か。
確かに、言霊は紡がねば力とならぬ……か。
[語られる在り方は、自身の在り方に照らし合わす事で理解する。
多数と相対する事のない魔には、それに伴う事象は思いもよらぬもの。
故に、声音には素の感嘆が乗っていた]
……神格の中には、畏れ敬われるを望む者も多いが。
俺にとっては、それは退屈なだけのシロモノでな。
[笑う様子に、こちらも微かな笑みを口の端乗せて]
俺がなんであろうと意に介した風もないそなたとのやり取りは、常に変化がある。
故に、飽きぬ、という事だ。
[飽きぬ理由をさらり、告げる。
それから一つ、息を吐き]
……先が見えぬ、とは、文字通りの事。
俺の本質は──『狂い桜』は、戦神。
故、常に強者と対するを求める。
王華となり、頂点に立てば、
[淡々と、紡ぐ声音は一転ごく静かなもの]
とはいえ、強者を見出すべく、無為に争いを起こすも本意ではないのでな。
……故に、王華となる意義は見いだせずにいたのだが……。
[ここで一度、言葉を切り。
また小さく息を吐いて]
……まあ。
此度は、それを模索するも含めて、階を駆け上がるもよいか、と思うておるがな。
[常の軽い調子に戻り、けらり、と笑って見せた。*]
……結構ギャンブルね、それって。
貴方は王華にご執心ってわけじゃなかったから、そこまで問題じゃなかったのだろうけれど。
戦いのために呼び出したのに、荒事に向かないなんてねぇ。
……いや、私も向いてるわけじゃないけれど。
[否定無く頷かれた言葉についそう言葉を漏らす。
自身の在り方についての反応は、蒼月にとっては新鮮だったようで。
感嘆が乗る声色に、こう言うところは素直よね、と心中のみで思った]
変化…そうね。
貴方と話していると、私の常識では測れないことが沢山出てくるわ。
貴方もそんな感じなのかしら。
[告げられた飽きない理由に、似た感じなのかもしれないと賛同を向け。
彼が感じているものについての説明を自分なりに咀嚼しようとしながら聞く。
戦神でありながら、戦乱の世にする気が無い様子に、彼がそれ以外の質を持つだろうことを推測した]
良いんじゃない、それで。
貴方の本質は戦神かもしれないけれど……私と話している時は、そう言うのはあまり表に出てない気がするのよね。
だからきっと、違うものを見つけ出すことが出来ると思うわ。
[軽い調子で言う蒼月に、ナネッテもまた笑ってみせた*]
……最も重要なるは、桜花に触れられるか否か故にな。
必ずしも、戦向きの者が呼べるとは限らぬ。
[内心思われている事は知る由なく、さらり、と返して]
……そうさな。
そなたの語る事は、俺の知らぬ事が多い。
故に、惹かれる部分が多いのは、確かだ。
[返る賛同にこちらも同意を返しつつ。
向けられる言葉に薄く笑んで]
……普段から戦気質を出していては、疲れるのでな。
[何がどう疲れるのか。
それが示されるのは、もう少しだけ先の事。*]
─ 少し前・雷華の領域/浮島の邸宅 ─
[主の零す、気だるげな声に、密かに笑みを零す。
百獣の王たる獣とて、腹がいっぱいであれば日がな一日眠って過ごしたりもするらしい。
この主も、飢えにあてられてない時はそんな調子なのだろうか。
まだ主の事を良く知らぬ男は、そんなことを推測してみたりする。
連れて行かれるまま、主の示す部屋へとたどり着くと、ぐるりと辺りを見回した。
男にとっては、やや珍しい光景がそこには広がる。]
…は。
[示された場所は、他と比べて随分と居心地がよくしつらえてあるようだ。
本来は誰が座る場所なのだろう、と内心で若干不安に思いつつも、誘われるままそちらへと腰を下ろす。
ふと振り返れば、何やら子供のような表情をした主の眼差しと出会った。]
え…あぁ。
私の…為に。
[予想外の言葉に、やや戸惑いつつ。
どれだけ甘やかされているのか、と眩暈がしそうになる。
…ダメだ。
眩暈なんぞしたら、この主はもっと騒ぎそうだ、と若干何かを学習しつつ。]
とても…心地の良い場所です。
[ありがとうございます、と、素直に礼を述べた。]
こういった建物は、新鮮に感じられます。
[二頭の狼が、後からついてきて部屋へと顔を出すと、仕切りの意味もおのずと知れる。
本当に、獣と共に生きるのが常らしい。
建物自体はもちろん、調度品も材質に至るまで物珍しく感じられる男は、どうにもそわそわしていた。
居心地が悪いのではない。
元々、探究心が強い方なのである。
知らぬ文化に触れ、やや高揚しているらしかった。
そんなことをしている間に、辺りに良い香りが漂えば、主の手ずから淹れらえた茶に気付く。]
あぁ、申し訳ありません…
[恐縮しながらも、差し出されたそれを受け取って。
その瞬間、鼻孔をくすぐった香りに、表情が緩んだことには気づかれただろう。*]
桜花に……相性が良くないと、ってことかしらね。
[力を与えられる者でなければ呼び出しても意味がない。
それを重視している、と言うことなのだろう。
惹かれると言う言葉には、どこかこそばゆいものを感じつつ]
……ずっと気を張り詰めてるようなものなのかしら。
[疲れるとの言葉はそんな風に受け取った*]
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