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[すごい、と言われれば、そんなことはない、と、今までのウェルシュなら否定しただろう。けれど、今届いたコエは、ただ素直に心に沁みる]
ありがとう、星司もだよ。さっきの一撃はびっくりした!
[戦うことを忌避していた時とは明らかに違う、弾むようなコエが返す風に乗った]
[風にのせた声に返るのは、今までとは違う響きの声]
へへ、あんがとなー。
[それがなんだか嬉しくて、こっちも素直に賛辞を受け止める。
今までは凄い、と言われるとこそばゆかったけれど、今はそんな感じは全くなくて。
それも、上手く言えないけれど嬉しかった]
ベル、ごめん。
あいつの動きを止められそうにない。
[水珠を確実に当てるためには、
オヴニルの動きを止めなければならない。
けれど「輪をつくるもの」は高速で飛び回り
『剣の百合』の穂先を当てることさえ難しい有様だ。
玲緒の声に焦燥が滲んだ]
くそっ……! 僕は馬鹿か!?
なにが相性が悪かったな、だ!
相性が悪いのは、僕の方じゃないか!
[沸き起こる怒りに任せて、内心でぶちまけた思いが声になってしまう。
アイルリートの多用する障壁魔法は、耐久の限界値が存在する>>1:189。
特に矢や槍の様な、その威力と重圧を一点に集束させる様な、『突く』武器、『刺す』武器が、一番障壁を突破されやすい。
ましてや、ゴーインの地蛇よりふたまわりも、『贅肉』をそぎ落とした俊敏な相手だと、その相性は…]
[失敗した。この大蛇への戦い方を、後すこし早く気付けばよかったが。
毒を受けて膝をついた以上、どうしても自分ひとりでは捌ききれない]
…… ……この僕が…… …… …… ……。
……トオル、僕はいいから安全な場所までいけ。
耐えて逃げるくらいなら、この僕にもできるだろう。
だけど……今お前にいられると……庇いきれん……。
[自分の戦力がガタ落ちた今、トオルひとりにこの大蛇をまともに相手できるとは思えない。
だから出した結論は撤退だ。
ここで死闘を演じるわけにも行かないのだから、逃げる。
まずトオルを行かせて、それを確認してから、自分も。
少しばかり、身体に無理を利かせる事にはなるかも知れないが、その位なら、今の自分にも何とかできなくもないだろう。
そんな計算を、蒼褪めていく表情と、口ずさむ解毒詠唱の中でたてて…*]
そっかあ。
今じゃ随分日本人離れした外見だもんなー。
[アイリの髪の色をまじまじと見る。
そこで彼が口にしたのは、今更こちらの姓を認識したかのような発言で]
あー、そうだ。カジ、加地だぜ。
こっち来てからは苗字で呼ぶやついないんだもんな。
[『フラクシヌス』は外国っぽい雰囲気だから、ファーストネームで呼ばれること自体は当然と受け止めていたが。
高校ではほぼ全員に苗字で呼ばれていたので、比重のギャップに驚かされた]
[それからしばらく後、治療が終わる頃。
背中に2発目の叩きが入って、思わずしまったという顔になる]
そうだ! 思っただけで別に口に出してなかった!
[更なる墓穴を掘りそうな発言であったが、幸い神官長の声が響いたお蔭で、この辺りは有耶無耶になった。
と思いたい]
魔力?
……んー、なんかじわっと温かくなる感じ?はあるが……。
[アイリにより大地の力の薄膜を張られるも、出て来る感想はかなりぼんやりとしていた]
目に見えないものを操れとか、そうそう出来るもんじゃねーって。
[反論はするも、ステファンのような例外がいることも事実で。
となるとやはりイメージが重要、となるだろうが、残念ながらそちら方面にはかなり疎いのだった]
でも、前よりは体が頑丈にはなったし、力も筋肉量以上に出せてるとは思うがな。
[最低限としてアイリに叩き込まれたことは、少しずつではあるが身に付いている。
その辺りが僅かな光明だろうか]
攻撃……魔法……。
[そうは言われても、男にはやはりピンと来ない。
土で攻撃だとか、脳筋らしいと言われた所で想像出来ないのが本当の所だ]
つーか、脳筋じゃねえ!
一応特待生取ってんだぞ!
[それは私立高への進学を希望した男に、両親が課した第一条件であった。
野球部目当ての志望というのは目に見えていたので、まず無理であろうスポーツ推薦を念頭に提案したのだろうが、野球の苦手な野球部員は成績上位者になることでその条件を満たしたのであった]
[速度を上げつつも、アイリの顔はどこか思案げで。
彼の内心は読めないまま、不安定な枝の上を進んでいく]
……いや、なんでもねえ。
[声を掛けられればそう答えつつ、こちらも思考を巡らせる。
魔力の循環――攻撃魔法――アイリに一人でいいと言わせないため、次なる段階に進むことを**]
ありがとう、星司...ボクに、自分と戦う勇気をくれたのはキミだ。
[ 囁くコエは、どこか気恥ずかしそうに、けれど真摯な想いを込めて伝えられる ]
……つか、なんだよ、それ。
俺、特別な事はなんにもやってないぜー?
[いつだって自然体で突っ走ってるだけだから、と。
囁く声の響きが真摯だからこそ、逆に気恥ずかしくなって、早口にこう言い放った]
ボクには特別だよ。星司の存在そのものが。
[ 早口の意味は判ってるくせに、さらっと言いました ]
[さらっと言われて、あ、こんにゃろわかっていってんな、と思いつつ]
……その言葉、まんま返してやるよ。
[ぽそ、と返したのはやたら遠回しな一言だった]
トオル。空気は無色透明なのに毎日吸い続けてるではないか。
[魔力を操る事はそんな簡単に済むワケではないけど]
まあ、ステフの様にあんなに早く順応できる方が特殊だと考えたほうが良い。
どうせ、魔法の詠唱や操作などややこしい事を覚えても
意識しすぎて時間がもたつくなら逆効果だしな。
[だから、身体の中で魔力が循環して、無意識に筋力も耐久力もあげられている。
そんなトオルの今の状態は、かなりの良コンディションだともいえたが]
そうだ、攻撃魔法だな。当然大地属性にも存在するぞ?
とはいえ、残念ながら小技はともかく、中技大技は僕にも扱えん。
まあ、どうせ脳筋のトオルがそんな術式を扱えるとは……
…… …… ……
…… …… ……
…… …… なに??
[完全にピタりと足を止めたアイルリートが
こしこしと瞼を擦りだして、米神をくりくりともみだした]
[大蛇戦の疲労も完全に癒えきらないまま、強行軍で疲れたのだろうか。
まずい、幻聴が聞こえるなど、まさかまだ毒が身体に残されていたのだろうか。
そう思い込みたいアイルリートは、真顔でトオルを真正面から見つめて]
…… …… …… …… …… …… な に ??
[異世界人が魔法をみた瞬間、あるいは理解不能な神秘をみた瞬間の
白昼夢だろうか、え、嘘だろう?本当にいっちゃってるのか?と
そんな言葉を万言より雄弁に語り尽くした様な表情がそこには浮かんでいた。
大事な事過ぎて二度確かめる程度には]
[正直アイルリートにも異界の学力がどれほどかはわからないが
彼らの異界での話を聞いている限り、フラクシヌスより水準も高そうな気がする。
そんな異界の学園にて、トオルが(このトオルが!?)特待生?]
…… …… …… …… ……さあ いくか。
[この無礼野郎の馬鹿太郎の癖にかしこいだと?
いや、まさかこの僕より上という事はなかろういやありえて堪るか天地がひっくりかえり、世界樹の枝から牛肉やシルクや城が実として成ろうともそれはありえてはならん、そうか特待生こいつは馬鹿の癖にかしこいのか口を開けば『ヤキュー』『ヤキュー』と運動の事ばかり聞いていたからてっきり、これが人間の神秘というやつなのだろうか…。
そんな脳内で渦巻く万言の言葉を、ちょっと乾いた笑みに詰め込んでいた]
僕僕言ってんじゃねえ。
失敗したのは俺も同じだ。
[アイリの口癖を咎めたのは、この時ばかりは気に食わないからではなかった。
敵の戦法をもっと早くに見抜けたなら、あるいは魔法を展開するための時間稼ぎを自分が担えたなら。
彼の代わりとはいかないまでも、出来ることは自分にだって多くあったはずだ。
悔しさに顔を歪めた所に、アイリが告げた指示は]
――出来ねえよ。
[自分はいいから先にというアイリへ、きっぱりと拒否の意志を告げる]
その状態から逃げ切れる保証なんてないのに、置いていける訳ないだろうが。
[歩くことすらままならない様子、無理に動けば余計に毒が回ることにもなるだろう。
アイリの計算を信じて最善手を取れるほど、冷徹な頭も持ち合わせてはいなかった]
[先に交わした魔法に関する会話を思い出す]
空気……。
[目に見えぬけれど、確かにあると感じられるもの。
確かに地の魔力への印象は、徹にとってそれに近しいものだった。
暑ければ手団扇で煽ぐように、空気を操る術もまたある訳だが]
うん。無理だなそれは。
[しかし詠唱だの操作だのと、複雑に動かすイメージは、やはり全く湧かないのだった]
[そんな男が告げた、特待生であるという事実に]
なんだよその反応は!?
[二度聞き返された挙句、盛大に乾いた笑みを浮かべられた]
いや、特待生っつっても私立だし、そこまで滅茶苦茶頭いい訳じゃねーけどな?
[それこそスポーツ目当てでもなければ、私立より公立の人気が高い地域。
地区全体で見た成績で言えば、中の上程度といったところか]
ほら、好きなことのためなら努力も苦にならないって言うだろ。
甲子園に行くためなら、勉強くらいなんてことないぜ。
[と言って、中学の部活引退後急激に成績を上げた徹を見て、両親と教師が盛大に溜息ついたのは余談である]
レオ、オヴニルから離れて下さい!
[二つ目の魔法を完成直前まで練り上げた少女は再び相棒に聲を飛ばす。]
わかった――後はお願い!!
[デッドライン寸前、裡へと飛ばされたベルティルデの聲に
此方も聲を飛ばした]
ふざけるなトオルっ!
これは冗談で言っているのではないのだぞ!
こいつの毒に侵されて倒れてからではもう遅いのだぞ。
死んでからでは回復魔法は利かないんだぞ!
僕はいいから早く… …… ……っっ!
…ここで成功させなくてどこで成功させるというのだ
世界の盾としてあれ。
高く聳える守りの巌であれ。
誰より前にたつ闇への障壁たれ。
それが、大地の勇者が残した教えだ。
…だから成功させて当たり前。
…僕は大地の守護者、マガーネルの直系だ…
星司、どこにいても、何があっても、ボクは、キミのパートナーだよ。
[だから、と、続けられる言葉は、まだ...]
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