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── 回想 ──
[世界の切れ目から見つめ焦がれたあの世界より、招かれたのは遥か昔。
女ひとりを拐す為だなんて、理由を聞かされたときは失笑したものだったけれど。
それでも、この世界に在ることができるのならば、それはとてもとても素晴らしいことだと思えたのだ。
吾を殺しその力だけを手中にし、世界の王となろうだなんて、
彼らの身の丈に合わぬ野望さえなければ、吾は彼らの望むまま件の王妃を手に入れていたことだろう。
しかし、裏切りは起きたのだ。
故に吾は逃げ出して、王妃へとつき彼らを討ったのだ]

[そうしてめでたしめでたしなんて、悪が滅べば物語は大団円と向かうはずではなかったようだ。
拐わされはしなかったものの、拐そうとした時点で、火種としては十分だったのだろう。
諍いは戦火に成り代わり、陣取り合戦の延長を燃料に急速に燃え広がって収拾がつかなくなってしまった。
そんな時勢である、異界の怪物は当然戦力として求められるようになり。
また相対する国からは、抹殺または封じるべき対象となったのだった。
吾の前にあの女が現れたのは、国家間の板挟みで二進も三進もいかなくなったときであった。
元の世界に還すとの申し出を拒否すると、あの女は吾の額に手を当てて──…それからの記憶は吾にはない。
次に目を覚ましたときには、吾はすでに小物の中にいて、小物が為すことをただ見守るだけであった]
── 回想・了 ──
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