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苦ぇけど味わいある茶だった。
…次こそはちゃんと歩み寄る話が出来ることを願うぜ。
[クロードにそう告げて、クレメンスの後を追った*]
― 明朝・オプティモ西砦付近海岸 ―
しゃべらないでください、
今───
[今、どうするというのだ。
彼の身体に矢は深く突き立ち、
失われた血は地面を変色させている。]
[言葉を継げずにいる間に、彼が身を起こす。
細身の、瀕死のその姿に、気圧されていた。
影と称された男が秘める思いの強さに触れて、息が止まる。
これこそが、彼の選んだ道なのだ。
自分の信じる道を貫く姿なのだと。]
───貴方の命、いただきます。
[純粋な想いに報いるにはこれしかないのだと覚悟を決め、
剣を構えて渾身の力を籠め、振り下ろした//]
[飛行船までの間は、ゆっくりと歩いた。シメオンは既に異常に気づいていたか。気付いていたとしても、クロードには知られたくないのだとは察してくれたろう]
は…
[飛行船に乗り込み、その船底が地を離れた瞬間までが限界だった。ずるりと床に座り込み、男は顔を顰めて脇腹を押さえる。じわりと紅い染みが男の衣服を濡らしていた]
[それは、アレイゼル軍渾身の全軍突撃の際、護りの厚い本陣から風の娘を救うために本陣から出て走り駆け戻った、その途上で受けた流れ矢による傷。
内臓までも届いた矢傷は、すでに手の施しようもなく、男の命を刻々と削っている]
―――――……ありがとうございます
[>>311 その純粋で、燃えるような双眸は。
シュビドの空そのもののようで眩しかった。
剣の銀が、視界の端に映るとき、穏やかに微笑み。
地の英雄に、御礼を告げた。
影を―――――解放してくれたことへ。]
[砂上の楼閣の上。蜉蝣が、墜ちた。**]
― 飛行船 ―
シメオン…
[ゆるり、と男の手が探るように動いた。既に視界は失われ、ぼんやりとした灰色の闇が男を包む]
大使殿に…これを
[手渡すのは、一つの紋章入りの指輪]
放蕩息子への、形見、だ…
[シメオンは、彼が仮面の男として名乗った名を知っていただろうか?*]
でもきっと貴方は落ち着いていられないんだろうな。
ナミュールが開かれたら、一番に外に飛び出すでしょう?
その時は親父も誘ってやってください。
きっと喜ぶから。
[立ち上がるクレメンスにそう声を掛けて、天幕の入り口まで送る。]
[クレメンスと一緒に行くらしきしシメオンとは、
視線を交わし、小さく笑みを浮かべてみせる。]
おまえの言葉、ずいぶんと痛かった。
[痛いところを突かれたのだと、
素直ではない表現で伝えておいた。]
[二人が去っていくのを見送ったあと、
天幕の中に戻り、もう一度腰を下ろす。
茶器を片付けてしまおうと手を伸ばしたところで、
クレメンスが座っていた円座に、小さな染みを見つけた。
それはほんの小さな染みで、
でも、とても鮮やかな赤い色をしていて───]
───!!!
[はっとして天幕から駆け出し、ふたりの後を追う。
だがその時には既に、飛行船は空高く舞い上がっていた。]*
[クロードの天幕からクレメンスが死角になるようにシメオンは歩く。
途中、外で待機していた護衛も合流し、飛行船の場所まで添った。
ニールと顔を合わせれば、ハイタッチで意思疎通をし、自身も飛行船に乗るために、これまで護衛をしてくれた者達に乗ってきた馬を頼む。
細かい指示が無くともクレメンスの私兵だ、この先の行動はそれぞれで上手くやってくれるだろう]
[飛行船へと乗り込み、ニールに上昇を指示する。
ゆらりと浮遊する感覚を覚えたその時、クレメンスに異変>>312が生じた]
おっさん!
[声を上げ慌てて傍に寄る。
クレメンスが抑える脇腹を見れば、衣服に赤い色が広がっていた]
やっぱ怪我してたんかよ!
[匂いの元はこれだったかと、応急処置を試みる。
荷に詰めていた服を当て布代わりにして傷口を抑え、引き裂き繋げたものを包帯代わりに巻き付けんと]
[作業をする手が止まったのは、クレメンスが名を呼んだ>>315がため]
カナンに?
[探るように動くクレメンスの手を取る。
その中には紋章入りの指輪。
拾い上げ、握り込み、クレメンスの顔を見る]
放蕩息子……ああ、うん。
リリエンタール・バスタード・クレメンスに、渡せばいいんだ、な。
[形見、その言葉がクレメンスの行きつく先を示す。
治療具の無い空の上では、これ以上の延命は難しかった。
諾を返す声は、震えている*]
― 明朝・オプティモ西砦付近海岸 ―
[ざくりと鋼が肉を噛み、赤が散る。
幾度やっても慣れないこの感触を、
それでも大切なものだと記憶の中に刻みこむ。]
俺、先生の講義、好きでしたよ。
[彼にだけ届く/誰にも届かない言葉をぽつりと落とし、
彼が護りたかったのだろう人に想いを馳せた。
彼女は今、どこかで彼と最後の言葉を交わしたのだろうか。
なにを託され、なにを残されたのだろう。
───聞いてみたいと、思った。]
[指揮官を討ち取ったという声が戦場を駆け巡り、
騒々しかった戦場も、波退くように落ち着いていく。
やがて、ひとつの死を悼むような、静寂が訪れた。]**
― 遠い夢 ―
「お祖母ちゃんの故郷を見に行きたいの」
[そう言った少女は「それならこの国を出て行きたいのか?」と問うと「まさか!」と笑った]
「外には見た事無いものが一杯あるでしょ、それから美味しいお菓子もきっと。このプディングみたいに」
[材料がなかなか揃わず、一度しか作れなかったカスタードプディングは、彼女の知る唯一の外の国のレシピだった]
「そういうもの、沢山見つけて、持って帰りたい。みんなに見せてあげて、一緒に作って、一緒に食べて…」
[それが、夢なの、と笑っていた*]
― ブラバンド ―
[その日――――…。
王府の高台にて、天を睨むような巫女姫の立ち姿があった。
頬を滑り落ちていた涙は、乾いて痕を残すのみ。
今は此れ以上を落とさぬようにと、…強く、黎明を見据えている。
周囲は人払いされて誰も居ない。
ただ噂話によると、添うような影が…薄れゆく様が見えたという**]
― 飛行船 ―
[ シメオンに指輪を手渡し、リリエンタール・バスタード・クレメンスの名を聞くと、男は愉しげに掠れた声で笑った ]
は、は...
[ 男はすでに、何一つ持たず、けれど全てを持っていた ]
君達、は、息子の、ようだった、よ...
[ いつもの、喰わせものの顔ではなく、ただ慈しむだけの笑みを浮かべ、声を震わせるシメオンの肩を掴む ]
立たせて、くれ、シメオン...ナミュール、が見たい...
[ それが、男の最期の願い* ]
― 飛行船 ―
おっさん…。
[息子のようだったと、その言葉>>327に思わず涙ぐむ。
立たせてくれと言われて、袖で目元を拭ってからクレメンスの腕を取り、自分の首の後ろに回して身体を支えてやった]
ほら、おっさん。
一望出来んぜ。
[上昇した飛行船から望むナミュールの地。
美しい大地が眼下に広がる]
……すっげ、世話になったな、おっさん。
ありがとう。
俺、いや、俺達、おっさんのこと大好きだぜ。
[それを示すため、抱き締めるように支える腕に力を込めた**]
― オプティモ ―
[飛行船がオプティモに戻ると、全てを心得た様子の家令が、男の遺体を引き取り、一通の書状をシメオンに渡す。
それは、自身の死を、内乱終結までの間は隠してくれという遺言で、遺体は海に葬るようにとも記されていた]
[ 同時にもう一通アレイゼル領主ソマリ・フル・アレイゼルへの書簡も手渡される。
そこには、サシャ・ヘイズナイトを始めとした、アレイゼル領に侵入しそのまま消息を絶った私兵達の名が連ねられ、叶うなら、彼等の墓標に名を刻んで欲しいとの願いが書かれていた ]
― シュビト ―
[ そして、そこに最期の手紙が届くのは、全てが終わった、その後のこと ]
『俺の代わりに見届けてから、来い』
[ ベルサリス学館館長、ジョゼフ・ジェフロイ宛に届けられたその手紙に、差出人の名は無かった** ]
[夜陰に紛れるように、首都ブラバンドを出立する一団の影があった。
その数、400強。
かつて
当代巫女姫その人自身が。
人々の意識がオプティモに向けられている隙を縫い。
ナミュール北西に位置するドルマール神殿に向けて、密やかかつ迅速な移動を開始した]
[翌日。首都ブラバンドでは二つの動きがあった。
ひとつは、“重篤な病にて面会謝絶”となっているマチュザレム共和国大使カナン・リリが養生している宿>>4:340で起こった。
巫女姫シルキーからの公式な信書が届けられたのだ。
『先日の御提案いただいた件、折り良い返事をお返ししたく存じます。
御足労をお掛けしますが、どうか、ドルマール神殿までお越しください。
…もしかすると、貴方がこれを読む頃には近づき難くなっているかもしれませんが。
お得意の空の道はあいております
シルキー・カノエ・ナミュール――』
いつ、彼が見るかは知らない。
けれど巫女姫からすれば、空の風来坊と連絡を取る手段は、此処しか無かった]
[そしてもうひとつ。
ブラバンドの臣民へと、巫女姫からの声明が発表される。
『巫女姫シルキーは、皆様が暮らすブラバンドの街を、戦場にしたくは御座いません。
此処は古くからの営みが紡がれる、私にとっても愛しい場所。
されど解放軍と呼ばれる方々は、古き因習を壊さんと、王府の崩壊を目指して兵を向けてまいりました。
今、王府の一切を任されておりますのは、この巫女姫シルキーです。
古き因習と言うならば、私こそが其の象徴でありましょう。
であれば私さえ此の地におらねば、皆様の安然は保たれます。』
『ブラバンドに解放軍が押し寄せてきたら、どうぞ白旗をお挙げください。
貴方がた傷つくことは、私の本意では御座いません。
新しい時代の嵐は、確かに恐れも感じます。
けれど、…時間が掛かってもいい。それでもいつか、
臣民の皆様が、心豊かに、黎明を迎えられることを祈ります。』]
[ドルマール神殿は、長きに渡って巫女姫と宝珠を護ってきた、堅牢なる砦にも似た場所。
そこに巫女姫率いる400強がたどり着くのは、もうまもなくのこと**]
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