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―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[『大切でも何でもないただの道具』。
その言葉>>16を聞けば何故ここに家督を継ぐはずだった貴族の長男が居るのか納得した。これまでの後継者教育にかけた全てが無に帰することになっても、外聞が悪くても、家を継がせたい他の誰かがレティセンシア家当主には居るのだろう。
先程までの好戦的な態度も笑顔もすっかり消え失せた相手に近寄り、すぐ近くで真っ直ぐにその瞳を見つめる]
……君をレティセンシアに縛り付けるものって、一体なに?
自分は道具だって割り切ってる人は僕の言葉なんかに怒らない。
でも君は怒った。人前で憤る程度には割り切れてない……のに、家から逃げ出すどころか、相変わらずいい子でいようとしてる。
さっきの話とか、君の武器の使い方を見れば、君の元いた場所の想像はつくけどさ。
まるで、毒を飲むよりマシだって泥をすすってるみたい。
それって楽しい?
[どこまでも無遠慮で不躾な言葉を淡々と紡いでいく。
不思議だった。きっと仮面の下に潜むのは穏やかな人間では無い。それが何故大人しくしているものか、自分には想像がつかなかった]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
…俺からすべてを奪った奴が、どうしようもない程
[それが答えなのだと今まで口にしなかった叫びをこの男>>17に吐露した。
そう、家督を継ぐその弟は両親と違い、優しすぎるくらいの真っ直ぐな子に育っている。
血の繋がらない事を知ってもなお俺を兄だと慕うあの子。
最後まで俺に家督を継がせて欲しいと、まだ9歳のあの子は親に抗議をしていた程なのだ。
そんな子を誰が疎ましく思えるのだ。嫌いになれるのだ。
だから両親は弟を人質にこう言ったのだ。
『大切な次男の人生に汚れは付けさせたくないだろ?』]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[もはや答えを隠すことも取り繕うこともなく、足枷となっているものを打ち明ける相手>>18の言葉に静かに耳を傾ける。
生まれた瞬間からおそらく息絶えるその瞬間まで気分屋な自分には、理解はできても共感はできない話だ。それでも相手にとっては塗炭の苦しみを背負っても守る価値のあることなのだろう。
浅く、短く、溜息を吐き出した]
こんなありきたりな台詞、言いたくないんだけどさ。
君がそうやって生きてることを知ったら、その子は悲しむよ。
[自分らしくもない。こんな綺麗事を吐く日が来るとは思わなかった。でも、きっとそれは事実だろうと思ったのだ。
そっと相手の頭へと手を伸ばす。彼が許すのであればほんの一度頭を撫でただろうが、拒まれたなら大人しく腕を下げただろう]
……本当に守りたいものと守る方法は見誤らないようにしなよ。
後悔してから取り戻そうとしたって、人間の寿命は短いんだから。
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
それでもっ…今の私の最善がこれだったので…。
[こちらへ伸ばされた手>>19。
今まで暴力以外で大人に触れられた事が無かった。
―初めての感触だった。―
こんな事をしてくる大人は居なかった、知らない。
どうして?なんで?と疑問が浮かび上がるも、それを言葉には出来ない。
胸が締め付けられ、呼吸も上手く出来ない。
必死に何かを言わなきゃと口を動かすも、つっかえてしまう。
それでもいつもの様にと笑って見せた。
酷く不細工で情けない笑顔であったが。]
─2日目・AM10:00・第五訓練場─
[サバイバルと聞いてこの男が張り切らない訳がなかった。
実を言わなくてもハイネ・A・ゲルトという男は“外に出るのが好き”なのである。文字通り甘やかされて育てられた彼は自由に闊歩できるこの機会が嬉しくてたまらない。…つまりそんな彼に何が起きるかといえば、“慢心”である]
よ〜し、これは食べれるものだって教わったな…。
でも料理せずに食うのは気が引けるな…でも立派な軍人になるため…えいっ!
[軽く土を払い除けたキノコ(のようなものに見えるナニカ)を思い切り口にする。咀嚼、咀嚼、咀嚼──嚥下。どうしようもなくそのキノコ(のようにみえるナニカ)の味にうっとりと目を細めた……が、次の瞬間全身から、力が抜けた。
全身に駆け巡る痺れるような感覚、目の前の景色が七色に光り出した]
あぇ……、…なんだ、こえ……?ふへ、なんか、ちかちかする……んはは、おもしろ、へへ……あれぇ…?体、動かね…っ、…
[チカチカと虹彩が煌めく視界の中気付けば地面に体が倒れていた。上手く動かない身体、虹色の視界、そうだとしても妙に冴え渡る思考の中彼が思うことはただ1つ──これは珍味のマツノタケではなく、幻覚を見せるマツノキノコという一種の麻痺毒を持つキノコだったのでは?という取り返しのつかない
―2日目・AM10:00・第五訓練場―
[サバイバル講習というのは簡単に見えて意外と難しい。まず山地は街中ほど歩きやすくないというのが一点。『食べられる動植物』というものは見つけにくく判別が難しいのが二点。
かといって、やらなければできなくなる分野であるのもまた事実。下草を分け入り兎の足跡を見つけ、集落めいた場所を確かめて一度道へ戻った。貴重なタンパク源である肉は同時に火を通さねば凶器と化す。キャンプ地を作ろうと道に戻ったところで倒れた人影>>21を見つけて目を見開いた]
……は、おい、いきなりか!?
おいお前、大丈夫か!? 意識は!?
[マツノタケとマツノキノコはよく似ているが、根に毒を持つ鈴蘭の近くに生えているのは後者だ。緊急召喚魔法でミネラルウォーターを引っ張りつつ、意識の有無を確かめようと声をかける。意識があるなら原因となっているキノコをとりあえず吐かせるつもりで防御魔法を片手に纏わせ]
─2日目・AM10:00・第五訓練場─
う……、ぁ…?んは、へ…へへ、
[どれくらい時間が経っただろうか、正確な時間はわからないが多分半刻も経っていないだろう。そんな最中重く響くような声の主>>22が視界に影を落とした。
助けを乞うにも声は出ない、唇を必死に動かそうとするが漏れ出るのは変な笑い声だけだ]
っ、…!あ、んた……っふ、はは…
[視界の端に魔力を感じ相手が助けてくれるだろう、と淡い期待を抱くがその視界に映る顔が歪み誰だか認識できずにいた。
…だが、その人物に助けを乞わねば軍人になるどころか生死すらも危うい。完璧にはいうことを効かないが、何とか気合いで声の主へと必死に手を伸ばし助けを求めるように服の裾を軽く引いた]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
……それなら、これから次の最善を探しなよ。
人間の寿命は短いって言ったけど、何もしないでいるには長いんだからさ。
[予想に反して拒まれることの無かった手は亜麻色の髪を撫でた。文句の一つも無く、ただ戸惑いと苦しげな笑顔を浮かべる相手>>20を見ると複雑な心地がして目を細める。自分より幾つも幼いはずなのに、泣き方さえ忘れてしまったのだろうか。
下ろしかけた手をするりと相手の顔に添え、まるで涙を拭うよう、乾いた頬を指で撫でて]
言っただろ。肩の力を抜きなよ、って。
なにも、親を裏切れとか、一夜にして状況をひっくり返せなんて言ってない。
好きなものを食べて、好きな本を読んで、好きな所へ出かけて、好きな人間の隣を選べばいい。
そうやって自分を守るところから始めなよ。
ここに、君を道具だと思ってるやつは居ない。
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[先ほどからずっと胸が苦しい。
彼の行動>>24一つ一つに心臓が高鳴り、彼が触れる所がまるで火傷するかのように熱くなって、彼の声がずっと頭の中で響き、まるで自分が自分でない気がして、体がいうことを利かずにずっと彼を見つめている。
あんなに昨日は彼の事が好ましくなく、関わりたくもなかったのに、嫌でも意識してしまう。
どうして貴方は…アンタは俺を見つけてしまったんだ。]
す…好きなものって、味を感じなくなってしまってるのにどう見つけろと言うのですか。
[精一杯の
ああ本当に
―2日目・AM10:00・第五訓練場―
ああ……分かっている。
[裾を引く力がある>>23、ということは命に別条はないらしい。その上救援を要請する意志があるというのは思考までやられているわけではない。不幸中の幸いとはこういうのを言うのだろう、防御魔法を纏わせた右手を相手の口元に添えて、可能な限り優しい声を耳へと落とす]
これからお前の変調の原因になっているキノコを吐かせる。
落ち着いたら救護室に運んでやる。
優しくする余裕はないが、覚悟は良いな?
[問いかけの形を取っているが、その実問答無用だ。相手が了承の意志を見せれば即座に手を突っ込んで吐かせる気でいる]
(えっ……えっ?待て待て待て、なんか雰囲気変わってない?
なんか…なんかこう……桃色っぽく見えるんだけど……???)
[しかしなんだか事態は予想しなかった方向に舵取りされていったらしい。
なんだか見てはいけないものを見てしまった、ような気がする。
何も見なかった、何も聞かなかった。そういうことにしてこの場を離れるが吉だろう。
君子危うきに近寄らず、だ。
僕は足音を立てないように気を付けながら、そっとその場を辞したのだった。*]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
え? ああ、だからあの草も食べられたんだ。
[味を感じないと聞けば少し驚いた様子で目を丸くした。成程、味覚が失われているのなら平然と野草を食べていたのにも合点がいく。
手が押される感覚に抗いはせず、大人しく腕を下げる……が、その手で先程食べていた砂糖漬けの花弁を取り出せば、相手の口元へと運んで]
これ、僕の魔力で作った花。
自分では何も味がしないから砂糖漬けにしてるけど、君が食べれば甘く感じるはずだよ。
[この花を食べて生じる甘さは舌の機能によるものではない。己の魔力が溶け込む際に生じる副作用のようなもので、どちらかといえば幻覚に近いものだ。それでも確かに甘みを感じられることだろう。
口を開けて、と、指の背で相手の唇を軽くつつく]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[これで熱が冷めるだろうとホッとしたのもつかの間、唇に慣れない感触>>29が触れていた。
いったい何が触れているのか理解できず、目を見開き固まっていれば相手の言葉にさらに驚いた。
彼の言葉を考えれば今触れられてる感触は…
顔が真っ赤になっていることが嫌でも分かった。
違う、こんな筈では、これは違う!と何度も己の中で叫ぶも、根底に潜む甘ったるい何か弾け続けている。
ああダメ…そんなの認めない、認めてたまるものか。
これ彼の気まぐれなんだ。どうせ飽きてしまえば野良猫の様にどこかへ行ってしまう。
なのに、なのに。
唇は求めるかのようにゆっくりと開いていた。]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[先程から相手>>30の様子がおかしいことに気付いてはいたが、徐々にその頬が赤みを帯びるのを見ればひとつの可能性が思考の隅でちらついた。
男女問わず――とはいえ、ほぼ異性から――そういう感情を向けられた経験はそれなりにある。そして、たった一度の例外なく、感情を向けて来た相手とは距離をおいてきた。人をからかって遊ぶのは好きだが恋愛感情ほど後腐れして面倒なものはない。
相手とも距離を置くべきだ。そう思うのに、開かれた唇の間へ花弁をそっと差し入れると、己の指は彼の口端についた砂糖を拭っていて]
味を感じる手段なんて色々あるよ。
君が知らないだけで、さ。
[いつもの気まぐれなのだろうか。
この男が本当の自分を取り戻すさまを見てみたいと思うのは]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
…変な感じ…です。
[口に広がるねっとりとした独特な感覚。
久しく感じなかった“甘み”がそこあった。
彼>>31の魔力がそうなのか、酷く甘ったるく蕩ける様な錯覚を覚える…もっと感じてたいと思えてしまう位にどうしようもない感情を自覚させていく。
気づきたくない、知られたくないと片手で口元を隠しながら感想を述べた。
そうしなければ彼の指に舌を這わせていたかもしれないからだ。]
感じさせる手段として、ご自分の魔力を相手に食べさせるとか常人ではなかなか思いつきませんよ。
…そういうことは他の方にもしてるのでしょうね、きっと。
[この感情は絶対に知られてはいけないと、既に手遅れなことも気づかないまま普段通りを演じようと一呼吸置いた。
彼の噂は嫌というほど聞いてきた、その中で浮ついた話などは一切ないことも知っていた。
無いということは“そういう事”なのだろう。
そう勝手に己で決めつけつつも、やはり相手の反応が気になってしまっていた。
僅かばかりの期待を抱いてしまう愚かな感情を…許してほしい]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[相手>>32が口元を隠そうとすればすっと手を引き、その様子を観察する。予想通り、魔力での干渉なら味を感じられるらしい。
他の人にも同様の施しをしているのだろうという予測を聞くと、僅かに首を傾げた。
確かに、己にとってこの花を分け与える行為はそれほど特別なものではない。湯水のように使うことはないが必要があれば使う。その程度のもの。
こくりと頷いて相手の言葉を肯定すれば、素直にそのことを伝えて]
お礼や交渉材料としてこの花を使うことなら、たしかにあるよ。
それに、シェーンベルク家の軍人はいつも緊急時の魔力供給源として使われるから、僕もいざとなればこの花を皆に配る。
でも、それは不快だって感じの言い方をするんだね。
[一歩、相手の方へと踏み出す。
――ああ、やめておけばいいのに。
自分が相手の痛みに触れようとするのも、らしくない綺麗事を紡ぐのも、道を示すのも、親切心や慈悲によるものではない。素顔が見たいという、ただその一心。
近くに第三者>>28が居るのには気が付いていた。もう近くには居ないようだが、相手以外には聞こえない程度に囁いた]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
え?不快に…?
[魔力供給の重要性や交渉材料になりえることは本で読んだことはあった。
それに関しては大切なことだとも理解していた。
だが彼>>34には私がその行為に不快感を抱いてると言ったのだ。
何故その様にと思えば口からは否定の言葉が続いていた。]
ちがっ…魔力供給の事では無くて……っ!!
[そう魔力供給の事ではなく、俺が嫌だと感じたのは…]
……貴方の指が他の方の唇に触れることが…嫌…みたいです。
[まさか自分の中にもこんな浅ましくも、粘着質のような感情があるなんて知らなかった。
言葉にすれば鮮明に自覚させられる。
今この瞬間、少しでも長く
―貴方に触れられたいー
―貴方の声を聴きたい―
―貴方に見つめられたいー
―2日目・AM10:00・第五訓練場―
───いい子だ。
[実質の許諾を含んだ返答>>33を受けて、躊躇なく喉奥へと手を突っ込んだ。舌根を押し込んで嘔吐中枢を刺激、キノコの吐き出しを促す。吐瀉物は地面の防御魔法で包みそのまま消去。ある程度落ち着いたら膝裏と肩甲骨に手を添え持ち上げて訓練場を後にする**]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[魔力を配る、という行為自体に思うことがあるわけではないのだと、相手>>35の否定の言葉を聞けば自分の予想は確信に近付いた。指で触れるなんて益の無い行為に価値を見出す理由は限られてくる。執着が生まれるなら、なおのこと。
こちらの質問への静かな返事。
それを受け取れば、じっと相手を見つめて]
……君、やっぱり不思議だね。
もっと穏やかな道だってあるのに。
[自分は誰かに安定を与えられる人間ではない。その自覚はあるし、噂を耳にしていたなら相手もそれは分かっているはずだ。
分かったうえで求めるのなら、逃がしはしない。
そっと相手のうなじへと手を添え、自分の方へと引き寄せれば軽く唇同士を重ねた]
――……いいよ。
僕も、君の行く末を見てみたい。
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[時間にすればほんの数秒。>>37
だが自分にはそれの何倍、何十倍にも感じられた。
頭の先から痺れるような、甘く蕩けてしまう感覚に思考が追い付かない。
胸の奥がじんわりと温かく、同時に不安を覚える感情に酔ってしまいそうだ。
穏やかな道…きっとそれは確かにあったのだろう。
でもそこに貴方は居ない。
ならばそんな道は要らない。貴方が欲しい。
たとえ貴方の気まぐれだったとしても、私は…俺は囚われていたい。
それの証明として、こちらからもお返しに唇を重ねた。
相手よりも長く、離れる時も名残惜しそうに軽く吸い付いてから]
…そちらこそ、見逃さないで下さい。
─2日目・AM10:00・第五訓練場─
────ん、ぅ…ッ?!
[躊躇いなく咥内へと手を突っ込まれ、一瞬怯んだものの処置の為だと即座に頭は理解する。──だが、刺激されたことにより込み上げる嘔吐感に、ぐるりと視界が揺らぎチカチカと先程以上の火花が目の前を散った。
手が引き抜かれると同時に先程食したキノコと共に胃液を吐き出す]
げほ、…!ぅ、おえ、…っ、かはっ、……は、…ぁ、…、あ、なた…は……────、…
[胃の中の物を全て吐き出すも、薄らと残る輝く視界に映る彼>>36は見覚えがない。名前も知らない誰かに助けられた事に羞恥を覚えるが例を言おうと口を開くも言葉になることなく、ふっと意識を手放した**]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
[相手>>38の今まで抑圧されてきた欲求が解き放たれる日は来るのか。来るとして、その先に何が待つのか。それを見てみたいという気持ちが、彼から自分に向けられた好意と同じものなのかは分からない。
それでも相手との口づけに不思議と悪い気はせず、向こうからも距離が詰められると大人しく受け入れた。この男の未来が、柔らかな唇が、自分の物になったのだと思うと何故だか充足感を覚える]
なら、さっそく僕の生き方を教えてあげる。
ロゼ。
[名を呼べば相手の背後の木立から魔獣が飛び出し、彼の足の下を無理矢理くぐってその背に跨がせた。
己も魔獣に跨れば相手の背後で楽しげに笑う]
講義、飽きちゃった。
昼まで散歩に行こう。
[もし相手が躊躇いを見せるようであれば抱き締めてでも下ろさせはしない。染まると言ったなら問答無用だ。
軽く魔獣の背を叩くと炎を纏う四肢が地面を蹴り上げた。普段よりは遅く、それでも馬よりは速く、二人と一匹の影が訓練場から遠ざかっていった。**]
―2日目・AM9:30・第五訓練場―
は?ちょっとま…っ!!
[いつの間にか彼の魔獣>>40に跨っていれば風を感じた。
講義をサボるとは思っていなかった事で、慌てて抗議しようものなら抱き締められ逃がさないつもりなのがひしひしと伝わった。
背に感じる体温の心地よさと、彼の魔獣の美しさにたまにはこんな日もあってもいいかなと思えたから既にだいぶ毒されてるようだ。]
…散歩以外も期待しますからね。
[相手に聞こえてるかは分からないが、耳まで真っ赤にしながら含みがある呟きをし、そのまま相手のサボりに付き合った。**]
―2日目・PM4:00・第三訓練場―
…………。
[訓練場の隅、建物の壁際にぐったりと座り込む。
対人戦闘訓練は魔法特化型の自分には地獄のような訓練だ。ペアになった名も知らない男と相性が悪かったのもあり、多くない体力のほとんどを削られてしまった。
速度向上、耐久力強化、重力操作、目くらまし、その他諸々の補助系魔法をかけていたが、相手が防御魔法に優れていたが故に減退系魔法のほとんどが弾かれた。これが特に痛かった。
小賢しく逃げ回って相手の体力を消耗させ、無駄な動きが増えてきたあたりで攻撃を入れて辛勝したものの、何も嬉しくない]
……魔力を込めなくても魔獣が呼び出せるような魔法陣、考えとこう。
[素直に『体力を増やそう』とは思わない。
ディーク・シェーンベルクはそういう男であった]
―2日目・PM5:30・シャワー室―
[午後の対人戦。
先日での討伐での戦闘スタイルを見てたからか私の相手は騙し討ちしかできないと思い込んでおり、盛大にこちらを煽り倒してきた。
以前の私でしたら何も感じなかった事でしたが…]
まさかあそこまで簡単かつ、綺麗に顎への蹴りが入るとは思いませんでした。
まぁ彼もとっさに腹に一発当ててきてましたしお相子ですね。
[あえて相手の挑戦を受けて立とうと裏路地仕込みの急所狙いでしたが、綺麗に入りすぎお相手の血を浴びてしまった。
なお彼は速やかに運ばれて行きましたよ?]
はぁ…早く血を洗い流しましょう。
[服を脱げば腹に大きな痣が出来ていたことに気が付き、流石に痛みも感じないことに焦り、急いで救護室に向かったのは言うまでもない。**]
―2日目・PM5:00・第三訓練場―
も、……むり…………
[対人訓練とやらは散々だった。
当たり前だ、僕は頭脳労働は得意でも肉体労働は得意じゃないんだから。
ろくに逃げ回ることすらできず、正しく秒殺されたと言っていい。
地面に五体投地したままぜぇはぁと荒い息を繰り返す。]
だいたいさぁ…ぼかぁねぇ……
じぶんでたたかうつもりなんか……ないんだよぉ…
[疲れすぎてこのまま目を閉じたら寝てしまいそうだ。
なんとかよろよろと起き上がって、兵舎へと戻って行った。**]
―回想・2日目・PM4:30・第三訓練場―
[対人訓練、私は相手との試合をどうやってやり過ごそうか悩んでいた。
私の愛用している武器は主に暗器。
相手の油断や不意打ちにて隙を突く戦い方が主だ。
まぁ、主にですが。
裏路地では上記の事は基本で、さらに純粋な力量や技術も必要なのだ。
なので結果を言ってしえば…]
あー…教官すみません。
相手の歯が折れてしまったかもしれません。
[急所を的確にやってしまったのである。]
お腹に良い蹴りを受けてしまった気もしますが…痛みもないですし気のせいでしたかね?
―2日目・PM3:30・第三訓練場―
……あ、武器駄目だったな。
[対人戦闘訓練と聞いて思わず持ってきた愛剣を近くの武具庫に預けた。それも必要な場面があるが今回は違う。素手とそれに準じた魔法のみというルールを再確認の後改めて対戦相手と向き直った。一礼、構えを取るより相手の速攻が来る]
っ、と!
[お手本のようなトゥーキックにピンポイントシールドが応じた。元より本領は防御魔法───すなわち、この戦闘訓練で十全に使える分野だ。ゆるく合わせて撃ち落とす程度に留め、カウンタースタイルで応対。速攻で仕留めに来たということは消耗戦に弱いを踏んで泥沼に持ち込んだ。十分も受け続けていれば相手の方が体力が切れる]
ほい。
相手が悪かったな。
[そのまま顎を殴って脳震盪を誘発、昏倒させる。恙なく終わらせられたことに胸をなでおろしたのはここだけの話だ**]
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