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[――― 一ヵ月後、小鳥は無事に回復した。
痛々しい傷跡は目立つこともなく、食欲旺盛、
そして今にも飛び立ちそうに真っ直ぐに伸びた羽根を広げている。
名残惜しいとは思えど、鳥は空に羽ばたくものだ。
籐の弦で編んだ籠に大事に入れて、カークと共に空に放ちに行った。]
ああ、良かった。元気そうだね。
カークの包帯が良かったのかな。
もう落ちるな、達者でやれよー!
[その小鳥は若草色と黄色とのツートン。
チチチと鳴いて飛び立つ小鳥の羽の色が、
丘から見守る少年二人の髪色と重なって、空を幾度か旋回したのち、徐々に離れてゆく。]
[男の言葉は尚も続く。
その言葉に嘘偽りを疑う余地はなにひとつなかった。
彼なら言葉通り、しかとオクタヴィアスの行末を見届けてくれる。
それだけの信頼感は、剣を、言葉を交えたことで芽生えていた。
自身と彼と、同じ行動を見ても思うことは異なるはず。
だが、それでよいと思う。
自分とは違う彼がオクタヴィアスを見守ることで、またひとつオクタヴィアスが大きくなれると確信していた。
チャールズの誓いを、確かに胸に刻む。
言葉を返すことは出来なかった。
その代わり、誓いを受け取ったという風に、最後の力を振り絞り右手を差し出す]
[ディークへの手紙に多くを書かなかったのは、
多くを語らずとも通じ合えているとの信あってのこと。
誓った言葉がある。重ねた時間がある。
だから、
次に顔を合わせることが出来た時には、
男同士の約束違えず共に在ると決めていた。]
[サシャへの手紙を出せなかったのは、
紙に認めた文字などでは到底伝えられぬと思い直したがゆえに。
重ねた時間とは裏腹に、言えぬ言葉も増えていた。
だから、
次に顔を合わせることが出来た時には、
自分の声で、伝えようと決めていた。]
[カークへの手紙を出さなかったのは、
きっとまた近々会えるとの予感ゆえに。
その予感は外れてはおらず、彼は数年たたず姿を現した。
州都に故郷の風を連れてきてくれる唯一の存在。
次に顔を合わせることが出来た時には―――、
それが戦場とは思いもよらないが、
共に剣携え並び立てるものと、そう信じていた。]
― キュベルドンの森 ―
[人の喧噪で目が覚める。
緊張感はあれど、親しげな声だった。
森の中にある解放軍拠点のひとつに到着したらしい。]
…! 母さん! 来てたのか!
[炊き出しの手伝いに来ている女たちの中に母親の姿を見つけて抱擁する。]
[チャールズやマーティンへの手紙は、無事に届いている。
養子に入ることを決めるまでの経緯と、感謝。
また会いたい旨を丁寧な字で書いた短いものを個別に。
その後は、同胞に宛てた手紙の中のずらりと並んだ宛名の欄に、
必ず二人の名も含まれているのだった。]
― そして ―
[カークは、ディーンともまた違った男同士の友誼を結んでくれた。
時に揶揄い合い、時に盛大な喧嘩もし、時に勝負し、
忌憚なく言葉も剣も交わせる相手になってくれた。
伝書屋として、まるで平原と州都を繋ぐ風のように
双方の伝言を届け続けてくれた。
今際の祈りのふたつめは、
友に向けた、長い友誼への感謝だった**]
― サクソー川/橋の北側 ―
……ん、ああ。
そーいや、そうだな。
[コリドラスの進言>>320に、ひとつ瞬く。
いわれてみれば、というか、独自の風習というものには、色々と覚えがある。
そも、自身の父の弔いの時がそうだった。
今から12年前。
父リカルドが病に伏し、息を引き取った時。
周囲は辺境伯に従い、その道を支えた者として丁重にに弔う、と言ってくれたのだが当時まだ少年だった青年は、全力でそれを拒否した。
自身が死したなら、『一族』としての弔いを。
それが、父の何より望みだったから──色々と暴走気味に周囲の気づかいを跳ね除け、父の遺言を通したのだった]
……っかし、なあ。
そういう事にも気ぃ使う……ってのは、当然だけど。
予め、確かめなきゃなんないくらい、距離、あるんだな。
[医療班と、弔いを担当している班に向けて伝令を飛ばした後、は、と息を吐く]
……色々、多難だねぇ……。
ま、それでも。
……そんな距離も、埋めてかねぇと。
何度も繰り返す事になるだろうからな。
[それを思えば、厭う事ではないだろうから、と。
今はまだ遠い友を思いつつ、呟いた後]
……っと……おっちゃん、しばらくここ、任せていいか?
ツェルんとこ。
行ってきてぇんだ。
[橋の方へと視線を転じて、問いかける。//]
[ひとしきり再会を喜ぶと、グイと耳を引っ張られた。]
うお! なに?
湯をたててやるから沐浴して着替えろ?
いや、それは親父が帰ってきてからね。
一番風呂は一家の主の特権でしょ。
いつ戻るかわかんない? まあ、ごもっともで──
[南の戦況はどうなっているんだと、拠点の男に聞いてみるが、わからん、との答えだ。]
伝令用の馬を借りていいか。
様子を見に行ってくる。
[タッチ&ゴーな息子に慣らされている母が、せめて持ってゆきなさいと押しつけた野草茶入りの水筒を提げ、カークは馬上の人となる。]
ありがと、母さん。 行ってくるよ。
[いつもの挨拶。
守るべき者の前では屈託なく笑っていたい。]
― 回想・7年前 ―
[軍を辞めたとオクタヴィアスに告げたあの日。
ひょっとして煙たがれるのではと思っていた。
周りが口を揃えていうように自らの堅苦しさは多少なりとも自覚はしていたし、オクタヴィアスは実のところそれに辟易しているのではないか。
そんな不安は確かにあったのだが。
気恥ずかしさに目を逸らしてしまったがゆえの勘違いだったのだろう。
彼の表情の移り変わりさえ見ていれば、杞憂であったことはすぐにわかるはずだった]
[反応が気になりちらりと視線を元に戻す。
そこにあったのはオクタヴィアスの満面の笑み。
そして]
うわっ。
[嬉しそうに思いっきり抱きつかれた。
あまりの予想外の行動に、呆然として固まってしまう。
と同時に、オクタヴィアスの歳相応の姿に、顔が綻んでしまってもいて。
右手をそっと頭の上に差し出すと、ぐりぐりと頭を撫で回した]
[そういえば最後にもうひとつ]
[もう一度――オクタヴィアスのフルートが聴きたかった。
彼の奏でる、ふんわりとあたたかく優しい音色が、大好きだった**]
― サクソー川/橋の北側 ―
わからなければ森や平原の民の負傷者に聞いてもいいですし、教えてくださらないなら。いっそあちらに使者をたててもいいでしょうかね。
それぐらいのことで追い返す集団でもないでしょう。
[先ほどまで戦っていたというのに呑気とも肝が太いともいえる言葉>>336を返す。
理解のはやいことに、ああそういえば、と過去を思い返すのはさほど時間がかからなかったこと]
そうですね。知ろうとしない限りは繰り返すことになるでしょう。
個人個人は違うでしょうが、少なくとも今回の騒動には、知らなかったことが原因ともいえるかもしれません。彼らからすれば恩恵を受ける側というのは皆同じに見えるのかもしれませんからね。
[飄々とした態度がはほんの少し形を潜める]
― マーチェス平原へ ―
[兵を率い、先頭を行くオクタヴィアスが馬上で短く息を吐く。
戦闘で張り詰めた緊張が緩みかけ、ぐ、と顎を引いてそれを食い止めた。
南での戦闘も区切りがついたらしく、独立解放軍は進攻を止め撤退したと言う]
ひとまずは、…と言ったところか。
[あちらも休息は必要だろう、短くとも半日くらいは猶予が得られそうだ]
……でもだいぶ、やられたな。
[優秀な傭兵を失った。
慕っていた師を失った。
その他にも、地へと伏した者は多い。
何より、時間を一番削られた]
あの砦の規模を考えれば、詰める兵はこっちよりも少なかったはず。
してやられたよ、フォスターさん。
[歴戦の将が居た。
腕の良い弓の名手が居た。
神出鬼没の
最後の人物など、本当に化かされたと思う。
だが騙されたとは思っていない。
街道で彼に会った時の言葉は、偽り無いものだと思えたから]
[歩兵の速度に合わせた一軍の速度は緩やかだ。
時折の休息と、太陽の高さを確認しながらの行軍は続く。
順調に行けば、日が沈む前にサクソー川付近に到達出来るはず*]
― いつか ―
[ 傭兵となり、オクタヴィアスの友として助力をしてくれるようになったクロイツには、時折、他には出来ないような話題を振る事があった ]
ウェストマールの国力は、落ちて来てると思わないか?
[ それはもう、大概が唐突にではあったけれど ]
手当たり次第に版図を広げて、力任せに逆らう国を押しつぶす、そんなやり方も、長く続けば逆に、国の力を疲弊させ、貧富の格差を広げる元になってる。
俺には、そう見える。
[ クロイツはどう答えたか。答えなかったとしても構わなかった。その話そのものが主題ではなかったから ]
もしも、いつか、ラモーラルが...ウェストマールの支配を離れることがあったら、お前さんは、それでも、友でいてくれるか?
[ オクタヴィアスと、そして、自分と ]
[ それは多分、問いではなくて、彼への願いだった** ]
[周囲は奇妙に静まり返っている。
微かに、啜り上げるような音が聞こえた。
泣いている兵があるのだろう。
押し殺すような音が、奇妙に大きく耳に響く。
男は、支えていたクロイツの身体をゆっくりと床に横たえた。
既にこの男も、敵手と自らの流した血に染まっている。
いい加減血に塗れすぎていて、どこからどこまでが自らのもので、どこからどこまでが相手のものかも分からぬほどだ。
床に彼を横たえて、立ち上がろうとした。
一度上手くいかずに密かに歯を食い縛る。
視線を床に走らせ、己の槍を拾うとそれを杖に立ち上がる。
ゆらりと立ち上がる血塗れの男は、幽鬼の様だ。
傷だらけでよろめく癖に、目ばかりは爛と輝いている。]
……、
[馬上の人となり、彼の方へと目を向ける。
既にクロイツの周辺には兵らが集まり、その死を悼み、丁寧に運ばんとしているようだった。
その光景を最後に目に収めて、馬の腹を軽く蹴る。
阻もうとする者はなかった。
視線はあったかも知れないが、気に掛ける余裕はなかった。
馬は単騎、森を目指す。
その背を斜めに赤くなる陽が追いかけて*いる*]
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