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― 「客」が来た日 ―
[外から戻ってきた男は、使用人から来客を告げられた。
客たちが通されている応接間をのぞき窓───本来は娼婦が客を見定めたり、用心棒が必要な時に現場を見たりするためのものだ───から覗く。
客の顔を確認すれば、意外な、という表情になった。
折々に外に出ていたのは、単に買い物していただけではない。
黒蝶を鳥籠から出すにあたって、後憂を残すつもりはなかった。
彼の出自と周辺の人物を調べさせ、然るべき処理の方策を練っていたのだ。
その途上、関係者として上がった人物が、そこにいる。]
― 応接間 ―
ようこそのおいでを。
御指名いただいた雛鳥の教育をしているものです。
[改めて応接間へ入り、挨拶を述べた。
客として現れた男は、尊大な態度で黒蝶を出せと要求する。
気に入ったら買い取ってやってもいいという言葉と態度に、
皇子を心配して迎えに来たという気配はない。
よほど巧妙に本心を隠しているのでなければ、
侮蔑と欲望が、あの体の中に詰まっているに違いなかった。]
───いいでしょう。
まだ雛鳥ゆえ、至らぬ処もありましょうが
それも含めてご確認されるといい。
[黒蝶とどこか似た風貌の男を、あの子の年を取らせて口髭を生やせば似るのではないかという相手の顔を見据えて頷く。]
ですが、あの子を損なうようなことがあれば
相応の対価を頂きますこと、ご承知願いましょう。
[「鳥籠」の中でなら、自分の目の届くところでなら如何様にもできる。
これはあの子にとっても有用な経験になるだろう。
例え、どれほど酷い結末になろうと。
そんな思惑を綺麗に隠して、一礼した。]
― 自室 ―
[一旦部屋に戻り、黒蝶を呼んで話をした。
「客」がおまえを求めている、という話をすれば、彼の方からオファーを受けるようにと頼まれる。]
彼らが何者か、おまえはわかっているね?
[気高い花の色をした瞳を見つめ、黒髪を撫でる。]
― 絵画室→ファミルの部屋 ―
[絵を完成させると絵の具を乾かす為しばらく放置し
遠目に眺めてみた。
それは上手くも下手でもない
とても普通の出来栄えだった。]
…まあ 私の実力なんてこんなものよね
[独りごちているとファミルの召使いがエレオノーレを呼びに来た。>>18
絵はまた棚へと隠し、浮き足立ってファミルの部屋へと向かう。
―――呼ばれた意味もわからぬままに。]
− 緋扇の間 −
[雛鳥の方から、あの「客」とセッティングしてほしいと言い出すことなど普通はないに違いない。
だが、緋扇君はベリアンの希望を斥けなかった。
ベリアンはいまだに彼に本名と身分を告げていない。
彼がそれを必要としなかったからでもあるのだが、「彼らが何者か、おまえはわかっているね?」という問いは、彼がすでに背後関係を了承していることを伝えていた。]
汝は──
[一緒に来て、ベリアンが叔父に決別を告げるのを見守るというかと思いきや、そこまで過保護ではないらしい。]
わかった、ひとりで行く。
自ら望む未来のために一戦してくるよ。
[「必要な時には、いつもそばにいる」と囁く声に頷き、毅然と顔を上げた。]
― ファミルの部屋 ―
[中から激しく扉を叩く音が静かな廊下に響く。
喚いているようなくぐもった声が閉ざされた扉から漏れる。
しかしそれらは暫くすると止み
廊下はまた元の静寂に戻った―――。]
― 回想 ―
ははん…
見たところフローラには、家族はいない。
僕を手なずけて、自分のいいような跡継ぎを作っただけじゃないか!
断るよ!
僕は指図をされるので側でなく、指図する側になるんだ!
「そう思ってくれてもかまわない。ただファミル君なら…
多くの多くの人を助けられると思うからね」
[人を思いやることを教え、人を助けることを信念としてたフローラ―
私はその信念を引き継いだ、ただ一人の…]
―ディーターの部屋―
[髪を撫でる仕草に擽ったそうに身を竦めて。
起きる気配のないまま、身を丸めてすやすやと――…]
……だって、そのほーが、楽しいし……
[そんな、寝言を零しつつ]
えっ、私を買いに…。
[>>21の少し疲れが見える彼の言葉を繰り返す。
ふと窓から外を見ると、彼の話した通りの男性が怒った様子で門の方へと歩いて行ったのがみてわかった]
ねぇねぇ、気分転換に一緒に森をお散歩しようよ。
[笑顔で彼に気分転換にと提案する。この後、予想もしていなかったことが起こるとはこの時は思ってもいなかった]**
―鳥籠の朝―
[鳥籠の朝は早い。遅い人もいるが。
そんな、朝の静寂に――――…
何やってやがりますか、このど変態?!
何処かの部屋の窓を震わせ、そんな大声が響き渡った――――…]
ー鳥籠の外ー
[彼と手を繋ぎながら鳥籠の森へと向かって歩いている。]
今日は天気がいいね。外に出てよかった。
[満面の笑顔で彼に言った。いい気分転換になればと提案してよかったと内心思った。
門の付近に近づいてから、彼がふと立ち止まった]
―鳥籠の外―
[門への道をレクシスとリーリエは並んで歩いている。道の端の花壇には色とりどりの花が咲いている。
知らない人が見れば、二人は恋人同士に見えただろう。]
お、あんなところに…
リーリエちょっとそこで待っててくれないか
[少し離れた所に彼女に似合いそうな花を見つける。彼女を驚かせるため、そこで待つように指示して自分は1人でその花が咲く場所に駆けていく。]
うん、わかった。
[>>39の彼の言葉に素直に従い、その場で彼を待っていた。]
あうっ‼︎
[すると、鈍い痛みをうなじの辺りに感じた後に視界は真っ暗になり、私は意識を手放した。]
なんてことだ、ちょっと目を離した隙にこんなことになるなんて。
[全力で館に戻る。館に行けば猟犬と馬、それから武器があるはずだ。]
「どうしましたか、モーガン家のご子息が肩で息をして…」
[と、問う給仕人に]
僕の雛鳥がさらわれた!急いで猟犬と馬を用意してくれ!
[そう叫ぶ。]
僕は彼女の匂いがついているようなものを持ってくるから、早く!
[急いで自室に戻っていく。]
[急いで、部屋から出て、館の玄関に戻る。
小脇に抱えいるのは、本来は狩猟用に用いる銃とリーリエの着ていた肌着だった。]
馬と犬の準備はできているか?
「はい、こちらに…」
[見れば、大きく黒い毛並が美しい猟犬と白馬が待機していた。
猟犬の方に彼女の着ていた肌着を嗅がせ、その匂いを覚えさせる。]
この匂いを追うんだ、いいね?
[自分は白馬に飛び乗るように跨り]
では!準備ご苦労!
[というなり、馬を駆ってその場を去る。]
悪いが、まだ仕上がっていない。
…――――もう少しだけ、待ってくれ。
[その場は断り、伝令を返した。
そうしてマリーへと、雛鳥として指名が来た旨を伝える。
けれど、一度は断ったものの、
何処かから情報が漏れたのだろう。
マリエッタを求める指名は、軍を中心に更に複数舞い込んで。
そんなある日、マリーが一人でいる時を見計らったかのように、
メイドが彼女を迎えに来た。
複数のメイドが少女を水色のエプロンドレスに着替えさせ。
抵抗する間もなく連れて行かれたのは、
雛鳥が客を相手にする為の一室だった。
生活感の無いベッドだけのそのあつらえは、
知識が無くともある種の異質さを少女に伝えただろうか]
[――でも、それはもっと先の話だと思っていたのに。
出掛けるディタにおねだりしたおみやげを想像しながら、
この国の言葉を完ぺきにすべく絵本を読んでいたある日の午後。
突然なだれ込んだメイドたちの狼藉にただ茫然としながら、
ふわりと広がるエプロンドレスの裾に複雑な表情を滲ませる。
読んでいた絵本の主人公のようなその服は、
自分では似合うのか似合わないのか、ちょっと想像がつかなくて]
……えぇ……と。
お客が来たってことでしょう、か。
[丁寧になりはしたけどむず痒さの残るその口調で、
ベッドだけの部屋を見渡し出た感想がそれだった。
メイドが何も答えないのは知っているけれど、
でも、何かを口にしなければ耐えられない――そんなふうに]
……こんな時に何でいねーですか、あのバカ……。
[ベッドの端に座って思わず零した愚痴は、
いつも通りの、たどたどしい響きではあるけれど]
……どうしよ。
[不安を滲ませてそわそわと]
[思えば、いろいろと無茶なことを要求した気もする。
実際に軍と庭師がどの程度の関係性を保っているか――…
それを知らないまま自由を求めることの無茶苦茶さに、
その背景はともかく、良く応じたものだ。
今さらながらに、そんなことをしみじみと思いながら]
……客って、誰ですかね。
[諦めるのも、運命を待つだけの人形になるのも、
全力でお断り申し上げる激しい性格ではあったけれど。
あの日、自分を捕らえた将校の姿を思い浮かべ苦笑する。
あの精悍ながら滲む厭らしさを持つ将校が客ならば、
きっと、暴れてもどうにもならないかもしれない。
そんな思考に諦めるのとは違う溜息を零して。
閉ざされた扉に翠の双眸を向け、来るべき時を待つことにした]
―鳥籠の中で―
[>>49天使の鳥籠の最深部。
客と雛鳥が秘め事を成す為のその部屋には、
たった一つだけ、高い天窓が設けられていた。
その窓から差し込む明かりの中、
桜色の髪の少女が佇んでいる。
その装いは、鳥籠に来た時に身に着けていた
黒の首輪と軍服とは一変していて。
裾のふわりと広がった、水色のパフスリーブワンピース。
たっぷりのフリルで飾られた白のエプロンドレスがその上に重ねられ、
首元もまた、水色の大きなリボンが彩っていた]
…――――よく、似合っている。
[部屋へと姿を現したマリーの
…――――そのまま彼女を、ベッドの上へと押し倒した]
疲れた……!
めっちゃ疲れた……!
いやぁ、似合うかなぁと思ったが、想像以上だな!
[彼女を腕に抱いたままごろりと横になったのは、
マリーにとってよく見知った――――…彼女の庭師だった]
さっきな、お前への指名を全部断って、
ついでに俺が買い取ってきた。
もう、ケツの毛までむしられる勢いだったが、
なんとかな。
…――――というわけで、だ。
マリー、愛してる。
一緒になろう。
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