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…… てめぇ…
[上空の男から返ってきた拒絶に、目を細くする。
色を変えた翼はもとより、鞭から氷纏う剣へと姿を変えた武器も驚くべきものだったが、そんなことは今はどうでもいい。
尊大な眼差しと相手を従わせるのに慣れた物言いは、あれだ。
生まれた瞬間から人の上に立ってきた奴だ。
そんな、
上等!
[振り上げられたハルバードが、紛う方なき殺気を孕んで振り下ろされる。
厚い斧刃の軌道は相手の剣へ向かうが、下手に避ければ槍の穂先が相手の身体を抉ろうというもの。
或いは、飛ばされた勢いと得物の重量を存分に乗せた一撃を受けきれなければ、剣ごと叩き切ってやろう。
もし相手が受けきったなら、ハルバードを振り下ろした反動に加えて、刃噛みあう衝撃を速度に変え、投げ上げられたのに倍する速度で当初の相手の方へと飛んでいくことだろう。*]
ううん、なんとも不思議な感じ…
[乳白色の羽根をふよふよ動かしながら、
とりあえず飛行訓練を兼ねて空を上下に巡ってみる]
ん。ん、
…一応慣れてきたかな。うん。
[自在に青空を散歩出来るというのは、
これはこれでなかなかに快適だ。
高い位置は景色もいい。
ただ残念なのは地上に生命の輝きが感じられないことだ。
どうにも無機物っぽい気配ばかりで、落ち着かない]
こん、の…馬鹿力、め…!
[ 咄嗟に力を殺そうと、翼を一瞬畳んで下降に転じたのが幸いしたか、青い氷を半ばまで砕け散らしながら、頭を割る寸前まで迫った刃は、そこで、氷の力と拮抗する。
こういう力の使い方は、今の己の唯一の臣下である男との手合わせの内で身についたものだ]
おおおっ!!
[ 気合いの声と共に、凍気が、押し返す刃に纏われ、反動を利用して身を反転させようとする相手の翼を叩きつけるような風となって押し寄せた。
飛行の勢いは増すだろうが、吹雪にも似た風は、おそらく相当に冷たい筈だ ]
やれやれ、腕が痺れたぞ。
[ 本来の対戦相手の元へと、赤褐色の翼が翻れば、抜き身の剣を手にしたままで、小さくぼやく。
が、その表情は、とても満足気だ** ]
足場がないとか、落ち着かねーなあ…なーんか、物騒な気配もするし…
[ 青年は未だ地表近くでぱたぱたしている。相当に離れていても上空から伝わる戦いの気配は、相当にやばげだった ]
つーか…もしかしてここって…
[ 少し不安そうに視線を巡らせたその先に、舞い降りてきたのは ]
[ガラスを砕くような音を伴って刃が噛みあう。
衝撃はかなりのものだったが、力は巧みに押さえこまれた、と感じた。
刃は相手の肉に届かず、ぎりぎりまで押し込んだ力が反発に転じる。
その一瞬、互いの笑みが交わった。]
やるじゃねえか。
[獰猛な笑みと共に翼羽ばたかせ、噛みあった刃を支点にして、身体を仰向けに投げ出すように飛び離れる。
途中で身体を捻って正しい向きに戻り、もともとの相手に向けて翼をひと打ちしたとき、背後から凍てつくような風が吹きつけてきた。]
[押された身体は、ぐんと加速する。
だが、翼の端々に霜が降りるほどの冷気は、いかがなものか。]
……てめぇ、後で一発殴る。
[唸るような声は、元凶に届いたかどうか。
身体を震わせ、微細な氷の欠片を軌跡に残しながら飛び、]
……これは
[彼の無事により悲鳴を上げるには至らなかったが、不可解な現象に口を覆い目を丸くすることになる。
戻ってきた相手にすぐに近寄って、あちこちに触れ怪我が無いか確認し。]
滑った、だけ?
良かったけど、本当になんなんだろう。変なことばかりだ。
[もう離れまいと空いている手を握り、首を傾げる。
そういえば自分の時は地面に触れる直前で難を逃れた。もし同じように落ちていればあんな風になったのかもしれない。]
……そうだね、誰かを探したほうがいいのかも。
[少し考えた後に同意を返す。握る手の力を強めた。*]
[遠心力を充分に使って、”リンゴ”とハルバートを遠くへ放り投げれば、飛んで行った先の縄張りの主と意地の見せどころになった模様。
交わされる気合いの声と烈風の羽ばたきに、関節がウズウズする。
まとめて薙ぎ払いたい。]
[と、アクロバテッィクな反転を見せた”リンゴ”が、急降下してきた。
それは、先に自分が見せたものよりなお速く、のけぞるほどの暴風の後押しを受けているかのようだ。]
── …、
[投げた“リンゴ”が、ボールめいてこちらに戻ってくるのは偶然ではあるまい。
もっと欲しいという願いが通じていると思った。
嬉々として、迎え撃つべく上昇に移る。]
[疾駆する両者の距離は瞬く間に迫り、”リンゴ”が繰り出すであろうハルバートの軌跡のをギリギリ躱してカウンターの食いつきに持ち込むべく、わずかに肩に捻りをいれた瞬間、命じる声と名が叩き付けられる。]
── ッ !
(――ヴォルフがいい。 ヴォルフレイムを短くして、ヴォルフ。
おれはこれから、おまえのことをヴォルフって呼ぶことにする。)
[首輪を引っ張られたように、動きが固まった。*]
…………あっ。ちょっ、ダメです引き返しましょう!!
[距離が縮まるにつれて、刃と刃がぶつかり合う音や、何かが飛び交う様子が確認できて、慌てて踵を返した。
素人が近づいていいやつじゃなかった!!]
ああ、いきなり失礼。
貴方が天国なんて言うものだから
幽霊じゃなくて実体があるよねって
つい確認したくなってしまってね。
[そして相手の視線が己の背中に向いていると気づき]
ん?
これは、気がついたら、あったんだ。
[ぱたぱた四対の羽根を動かすと、ふわりと転がる花の香り]
貴方も翼があるね。
私のものとは、形が違うようだけれども。
[琥珀色の翼を興味深そうに眺める]
[ 四対の羽根をぱたぱたと動かす様は>>50自分とあまり変わらない不慣れな雰囲気を醸し出していたが、可愛らしさが圧倒的に違う。花の香りまで振りまく大サービス?に、知らず笑みが浮かんだ ]
ああ、俺にも知らないうちに生えててね。
人に羽根が生えるなんて、天国くらいのものだろうと思ったんだが。
[ よく考えれば、天国に昇れるような徳は積んだ覚えがないな、と、肩を竦めた ]
君みたいな可愛い天使が居るなら、天国も悪く無いかと思ったんだが。
[ 軽い調子で言ってから、ふと思いついた様子で、ばさりと羽ばたいて少女と目線が合う位置まで身を運ぶ ]
俺は、ダーフィト、ダーフィト=エイワズだ。
訳のわからん状況とはいえ、ここで会ったのも何かの縁だろう、よろしくな。
[ 自己紹介しながら、視線はちらりと上空へと流れる ]
(こっちにとばっちりって可能性は薄そうだが…)
[ 上空の闘気は、ますます鋭く強いものになっているが、拡大している風ではない。とはいえ、女性が一人でここに居る以上は、万一の護りを、と、考えてしまうのは、生きていた頃の名残か* ]
[名を呼んだ瞬間に、相手の動きが止まる。
ああ、あいつは、──あいつの魂はヴォルフのままだと、安堵がひとつ、胸の奥に落ちた。
けれども、内心は唇の端にも乗せず、戦士の本能は好機を掴むべく身体を動かす。]
おおおぉぉ……
[肚の底から声を上げ、全身に力を溜める。
おそらくは相手が予想していただろうタイミングよりはるかに早く、ハルバードを左から右へと大きく振り抜いた。]
……っらあぁぁ!!
[当然のごとくハルバードは空を切り、金属塊の重量に身体が持っていかれる。
振り回される動きは、今度は意図したものだった。
斧頭の軌跡を追うように、身体が半回転する。
蹴る大地のない中空で、重量物を支点として軸を生み出し、
さらに一段伸びるような回し蹴りを、相手の胴めがけて放った。]*
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