情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
― フェストゥング家 自室 ―
[最近目を通す書物は、ここしばらくに起きた周辺地域の情勢について。
現在進行形で変化する事柄であるため、その記載量はさしたるものではないのだが]
どこもかしこも戦だらけだね。
[目を通しながら呟く言葉はどこか他人事のよう。
実際、現時点では戦火が及んでいないため、他人事と言えば他人事なのだが。
しかし、いつこちらに矛先が向くかは知れない。
辺境とは即ち、国境にも近いと言うことなのだ]
まぁ、戦が起きた方が私の本分を発揮出来るのだけれど。
[小さな笑いは周囲の空気に溶けていく]
─ ロートヴィルガー家別荘 ─
……それでは、私はこれにて失礼いたします。
[一礼しながら挨拶すれば、向けられるのは、どこか寂しげな微笑。
どうぞご健勝で、との言葉に返せたのは、はい、という頷き一つと]
……あなたもどうか。
お元気で。
[これから訪れる変化は、このひとにも大きな波を与えるのだろう、との察しはつく。
今は亡き、元相棒の母親。
この人がまた笑えればいいのに、と。
赤毛の戦闘機乗りが時折零していたのは、今でも覚えているから。
その言葉は、ごく自然に口をついていた]
― 過去の残像 ―
「おかあさん、これおいしいね」
『いいでしょ。昔取った何とやらのツテでね』
「なんとやら?」
『ふふ、ユーリエがもっと大きくなったら教えてあげるわ』
[けれど、私が母からそれを教わる機会は来なかった]
[母は元軍人だったということ。
あのケーキやCDは、実は帝国のものであったこと。
ヒューグに残されていた資料から知ることは出来たけれど]
[母がどんな思いでそれを取り寄せていたのかは。
最期まで知ることが出来なかった]
― レフ湖東岸、湿地 ―
……で、どうだい?
だいたい定刻どおりね――よし、次の予定日に決行だ、用意しときな。
[表向きの行動計画は建設地視察だったが、ここから先は賊の首魁としての役割。
レフ湖の近くに新都市を建設する以上、湖の治安性は必要不可欠である。
出没する湖賊とどう渡りをつけ、手を組むか滅ぼすか――新生セルベシアの性格上、後者は選択し難いが――どちらにせよ、賊である彼女こそ適任の話である。
アジトと目される岩場に出入りする船を湖岸の深い草に紛れながら監視させ、情報を蓄積させてきていた。
泥に膝をつき、身をかがめながら説明を受け、自分の目でも確認すると……決断のあとには、愚痴とため息]
―アーヘンバッハ邸―
[寝食を忘れるのは、まあ人によってはよくあることだ。
それだけ打ち込めるものがあるということだ。
しかも仕事――それも彼がいなければ回らない類のものである。
国は徐々にではあるが復興しており、
街を歩けば未来に笑みを浮かべる人々とすれ違う。
平和の礎の為であれば、つい力も入るというものだろう。
それは分かる。
分かるし……だから働くのは悪いことではない。
ないのだが…――――]
それにしても……ったく
あんたたちまとめてカタギにするって大口叩いたのに、このザマって……悪ィとは思うけど、それ以上に救えねぇ馬鹿ばっかりだわ――はぁ。
で、そんな愚痴叩いてるあたしを慰めてくれるのはいいんだけどさ……だからいい加減『お嬢』はやめろって言ってんだろこの馬鹿ッ!
[かつてマイユマート義賊団という名前だった子飼いの賊たちのうち大半が、新王即位によって足を洗う機会を得たにも関わらず、引き続き彼女に使われる立場を選んだ。
彼女が公人として活動する間はそのスタッフということで良いが、こうして賊の知識と経験を活かした隠密行動をとるときは彼らもまた賊としての彼らに戻った。
もっときっちりと日の当たる世界に出してやりたかったのだが――中途半端な状況に少し自責の念があった。
同時に、かつてに戻った今の自分もまた居心地の良さを感じているのがどこかもどかしかった。**]
でもさ、こうも毎日のようにだと
やっぱり問題だと思うんだ。
[腕組しつつ渋面を浮かべて、ジルは呟く]
こんな調子だと、そのうち倒れてしまうよ…ほんと。
[館の者は、慣れたものなのか
いつものことだと鷹揚に構えているが、
そういう甘やかし?はいけないと思う。
多少うるさく言うくらいじゃないと、
多分おそらくきっと聞いてくれないし]
[その世界は、今や荒廃しきっていた。
二柱の亜神が相争い、巻きこまれた世界は壊れていく。
そんな世界を見下ろす目があった。
遥かなる高みから視線は遍く注がれる。]
[やがて、視線は世界を突き抜け、別の大地に落ちる。
戦いの中に生きる、強き者たちが住まう場所へと。
程なくして、
あ、王国の道案内ですね。
承りました、皇帝陛下。
[口伝での通達>>37を、こちらも人を介して受ければ]
ダビ先生らのような方々にはうってつけの道があります。
[彼女自身だけではなく、前任者達が作り上げてきた
ルートを頭の中に並べ、相応しい道を探し出してから軽く頷いた]
あちらに聊か地位名誉を拗らせて、下の者達から受けの悪い忠義全開のお方が一人おりまして、その者の部下達から手引きを期待できると思います。
[軽装備のまま、使いの者に返事を出しながら自身は暴風の陣営の方>>43に向かう]
― メリオールの何処かの邸宅 ―
―――以上がセルベシアでの王位継承戦争の経過と現状です。
[故郷の地を踏んだのはどれほど振りだろう。
全てを見届けた後に帰投し、自宅に寄る間もなく報告に出向いたその内容は、相手の機嫌を損ねはしなかったが麗しくもないようだ。]
では、失礼します。
[赦しが出たので早々に退散することにする。
仕事を終えればこんな場所に長居は無用だ。]
― 某国 ―
[戦争はただの外交の交渉のカード。解釈はそれぞれであろうとも、納得がいくかといえば話は別である]
ここに儂の居場所はもうねーな。
[故郷を守る栄誉や愛着など]
劣るものしかここにはねんだからな。
[幾万の血肉を握りしめあう戦にはかなわない。
一人の老将は職を辞し、他国へと流れていった。]
?
なんか空気が変だな。
[その際、軽く鼻を蠢かせながら怪訝な表情を浮かべた]
まさかダビ先生のやる気が竜巻になってなんてこたぁないだろーが。
[天候の変化のような、そうではないような違和感。立ち止まって空を見上げていた]
― 猫屋敷 ―
…ぐぅ…
[すやすやと健やかに、毛布につつまれ、猫に埋もれて眠る青年。
そろそろ遅刻じゃないかい?とばかりに顔をなめる茶トラのトラオム・・・・・・の嫁猫のネモの行動も、未だ睡眠足らずとばかりに眠っていた]
― ディルクレム内宿屋 ―
あの者…ちっ。
虫が好かぬ。
[大分前にエレオノーレの去った後、こちらは異変に気付く事無く、杯をあおっていた**]
― フェストゥング家 自室 ―
────………
[不意に、自室の窓から風が入り込んでくる。
いつもとは違う感じのするそれ。
何が違うかまでは感じ切れぬまま、切れ長の瞳は窓の外を見遣った]
[辺境の地より望む夕日は、いささか色あせている。
と思うのは、都市での暮らしが長いからだろうか。
白い漆喰に映える夕日は、美しかった。
こと、モアネットの城壁を染める紅は。]
……そうそう時間はないな。
あちらが片付く前に、私も中央へ戻りたいものだ。
[あちら、とは自国のことではない。
かの美しい城壁の中にいるだろう、友の面影が思い浮かぶ。]
― 執務室 ―
うーん……やっぱりベストはこれなんだろうけど、
[大真面目な顔をした青年が行っているのは、執務ではない。
ある意味、執務より真剣な作業であるが]
うん…。やっぱりこっちにしよう。
[机上には、ずらりとブランデーの瓶が並んでいる。
最高級のものもあるそれらの中から、
最後に手にしたのは、一番上よりもほんの少し若い酒だ。
一番ではない。というところが、ほんの少しのポイントで]
[今はまだ遠く、隔てられたかの国の人。
戦後の別れは慌しいものとなってしまって、
多くの言葉は交わしてはいない。
けれど戦後の彼の振る舞いを見れば、
その話を聞けば自ずと通じるものもある。
過去のわだかまりが、すべて溶けて消えたわけではない。
そのようなことは、恐らくずっとないのだろう。
けれど越えることは出来る。
その意を、この小さな贈り物へと添えて]
…いずれの機会に。
[遠い宙の向こうへと送るのだ]
……ん?
[ふ、と細められるはしばみ色。
どうしました、と副長が問うのには答えず、空を見上げる]
……妙な……風、だぃな。
[ぽつ、と。
零れるのは、独り言めいた呟き、ひとつ]
君のためには、ここの空気はとてもいいのだろうが。
[傍らの美しい妻へと視線を注ぐ。
その表情はとても柔らかい。]
―――その子のためにも。
[視線の向く先は、いまだ目立たぬ彼女の腹部。
手を伸ばし、しなやかな腰をそっと抱き寄せた*]
───さてと。そろそろ、お茶の時間かな。
[贈り物を選び終えた青年は、執務室を後にする。
”彼”は、そろそろ昼寝から目覚める頃合だろう。
ならば紅茶を淹れに行くのにも丁度いい───とは、
慣れすぎていて最早毒されているといったレベルかも知れないが]
起こさないとね。
[そんな事情もある。
さて今日はもう起きているやらいないやら。
暢気なことを呟いて、緩やかな歩を
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新