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[お疲れ様。と寝させたままにしておくのがいいのか。それとも一緒の時間を過ごすような我儘という素直を行使すべきなのか。
未だ不慣れになる欲求に戸惑いながら、中途半端にジルの髪を優しくなでて、顔をしかめる]
(俺…何歳だよ。あの少年のことはいえないな。)
[ふと我に返ると、どうしようもない温もりに似た羞恥心が沸き上がる。
素直になるのは足掻かないといけない。あるいは……贖わなければならない。か。嘆息した*]
Take off!!
[ 蒸気エンジンのタービンの音が空気を震わせ、白い蒸気の軌跡を引きながら複葉機は空へと駆け上がる ]
んん、いい調子だな。
[ 常の訓練飛行なら編隊長として飛ぶ空を、今は一機のみで飛んでいる。
この機体は改良されたばかりの試作機で、こういう時のテストパイロットの役を、コンラートは他者に譲った事がない ]
(もう天使憑きじゃなくなったとはいっても...なあ)
[ どんな事故からも生還する天使の加護は、すでに失われた。しかし、別の理由で普通の人間よりは生存率が高いことに変わりはなかったし、何よりも ]
よっしゃ、高度記録更新!
マチス、いい感じだぜ。この調子なら宇宙船への搭載機としてもいけそうだ。
[ 間近に控えた新型宇宙船の緊急脱出艇ともなる搭載機として、この複葉機は開発された。武装よりも飛行性能を重視した作りなのはそのためだ。
嘗ての天使の軍勢との闘いで開発された武装重視の機体とは真逆のコンセプトの身軽な複葉機は、パイロットとしてのコンラートの気持ちを高揚させる ]
良く晴れてんなあ。
[視界に映る空は、どこまでも晴れ渡り、一点の染みも]
.........
[ 一点の染みも、今は無い** ]
『親しき我が師父さまへ
そちらの青空の下、ご様子は如何でしょうか。
なんだかんだ御元を離れてから
随分と経ってしまいましたね。
そろそろ一度くらいは、あの鉄面皮でなく
神父さまのお顔を拝見したいと思いますけれど
聞き及ぶ状況からしてまだ難しそうですね。
手厚い援助者のお力添えもあり幸いにして。
こちらは目まぐるくはありますが
日々、安定してきてはいます。
此方にいる子たちはみんないい子ばかりですしね。
ええ、まあ懸念事項はありますが、それでも。
(情勢報告はむしろ表情筋が死滅している墓守からの方が
詳細にお聞き及びかと思います)
いずれは、会いにいければと思うのですが。
お元気にしていらっしゃるでしょうか。 』
『追伸
送っていただいたエディゴナ商会謹製の木綿布
とても出来のよいものですね。
うちの子たちの肌着に使うには値がはりますけど
そちらの状況と生産量を考えると正解でしょうね。
『遠き隣人の助け』でしたっけ?
お名前提案なさったとお聞きしました。
利権に絡んで騒がしくなったりはしていませんか。
シメオンが問題ないか心配なら帰れしか言わないので
そこまでの大事にはなっていないのでしょうけれど。
今は一面白い綿毛が青の下で揺れるころでしょうか。
私がいたころと風景も変わったのでしょうね。
お返しにというほどではありませんが、
こちらで取り寄せた野菜の種と栽培方法を送ります。
低木ですが根が深く倒れにくい品種です。
痩せた土地でも育ってくれるといいのだけれど。 』
──施療院、事務室──
[インクをつけたペン先で紙をひっかき文字を綴る。
微かな音をさせている室内に、ぱたぱたと軽い足音が続いた。]
『せんせええ! せんせえええ! たいへん!』
[石造りの部屋に飛び込んできた齢10歳ほどの少年は、駆け込んできた勢いそのままに、部屋の主の椅子の背もたれをがっと掴んだ。この孤児院を兼ねる施設の事務室には入り口にドアを設けていない。
誰でもすぐ声をかけられるようにだ。]
はいはい、どうしたの?
[よってなんの作業中であれ来訪者があるのは折り込み済だった。
手紙から顔を上げて、修道女は椅子から降りて少年に向き合う。]
『みんなでせんせいにお茶をいれてね?
もってこうってしたんだ。
でも、ざーっていれすぎちゃって、
コップから溢れそうであつあつで、
持ってる奴が動けない……』
……はい、なるほど。状況把握したわ。
報告、よくできました。えらいえらい。
[どうやら事件は台所の方で起きているらしい。預かり子の一人の頭を撫でてから、そのまま修道服の裾を引く手に案内されることにした。
手紙はひとまず横に置くことにする。
戻る頃にはインクもきっと乾いているだろうし*]
― いつかどこかで ―
張り合いがないな。
余興にもならん。
[たった今、打ち倒したばかりの魔物を踏みつけて、つまらない、とばかりに爪先でぐりぐりと捩る。
哀れな魔物は、半ば溶解していた。]
どこぞに我を楽しませるものはないのか。
せめてうまい酒でもあればな。
[酒―――…酒。
何処かで噂を聞いたか飲んだかした気がする。
曖昧な記憶を頼りに、魔はのんびりと歩きだした。*]
─ 執務室 ─
[さらさらと書類にペンを走らせる音ばかりが静かな室内に響く。
本日目を通して署名をしたのは、さて幾通だったか、そのうちの一通、ランヴィナス公国のとある鉱山を巡る取引に関する書面に難しい顔で視線を落とす部下───教え子に、男は書面から顔を上げて柔らかい笑みを向けた。]
………納得がいきませんか?
[その書面には、取引相手の商会の名も記されてある。
そこに記された名は、エティゴナ商会の名ではない。
もっと小さな別の、条件としてはエティゴナ商会に劣っていた者の名前だ。]
そうだな……、
[男は手を止めて、背を伸ばすように椅子の背もたれに背を預けた。
若草色の瞳には面白がるような、そしてどこか教師めいた色がある。それは生涯の半ばを戦場にかけてきた男の本質であるかも知れなかった。]
確かに現状選ぶのなら、エティゴナ商会が妥当でしょう。
あれは安定しており条件もいい。
儲けは些か減ろうが損をすることもない。
我が国にとっては願ってもないことだ。
[エティゴナ商会。かの戦乱を経て大きくなり、更には義息子たる男を得て更に勢いを増した商会だ。今やランヴィナスの経済の随分多くは何らかの形でかの商会の影響を免れずにいる。
彼らとはジークムント自身、縁も深い。
彼らが求めるのは当然に彼ら自身の幸福と利益、されどランヴィナスの幸福の追求が彼らの幸福と対立をせず重なる限り、彼らはランヴィナスの幸福にも多く手を貸してくれるだろう。
その程度の信はあり、その程度には頼っていた。…けど。]
………が。
一つに頼りすぎては、やはり危うい。
例えば彼らが倒れたならどうします?
我が国が共倒れになる、それは避けなばならない。
…が、あまりに結びつきを強めていてはそれは難しい。
[初歩の初歩。それを音にしながら男は僅かに首を傾げる。]
なに。彼らはさして以外とも心外とも言いませんよ。
いや形ばかりの不平は言うかも知れませんがね。
彼らもこの程度は予測していることだ。
その上で恐らく、次は更に売り込みを掛けて来るでしょう。
その時は受け入れれば良い。
取引相手は多ければ多いほどに強みとなるもの。
それを彼ら自身とて良く承知していること。
私たちが───ランヴィナスが、
そうした「強い」取引相手と彼らに認識され続けている限り、
彼らが我らに背を向けることはない
おう。
なら、こちらから ……行くぞ!!
[一声吼えて、大地を蹴る。
直進。小細工もフェイントも一切なしの突進。
白刃の前に、怖れの欠片もなく突っ込んでいく。
得物のリーチならばハルバードの方が長い。
だが敢えてその利を取らず、斧頭を右後ろに構えたまま懐に飛び込むのを狙った。
石突で相手の身体の中央を突きに行く。*]
―公国 猫屋敷 ―
……殺す気か!
[のそりと起き上がり、足りなかった酸素を補給する
あーれーとでもいうようにのんきに肩や頭から落ちていく猫たち。こいつらは俺を生き埋めにすることを望んでいるのだ。
…しかし、何か遠くに夢を見ていた気がしたが、なんだったか。いつも通りの朝の衝撃ですっかり忘れていた]
『あ、起きたんだ、ゲルトさん』
[そして声をかけてきたのは…家族―――でもなく、使用人――でもなく、近所に住んでる一般人である。普通に不法侵入ともいえる。]
あー…今日はどうした?
『ちょっと桶が壊れたんで借りようとおもって』
パクるなよ
『へへっ‥…』
[少しジト目を向けた。色々プライベートとか、物品がこういろいろと勝手に持ち出されたり、盗難しそうになったらふんじばったり、公共物というか共有物がいっぱいあるような。どうにも形容しがたい暮らしをしているのがゲルトの暮らしであった]
― 何処かの森の出口 ―
[構え取らぬは、如何なる手が来ても応じるため。
何をやってくれるか、どう魅せてくれるか、という期待感を抱えつつ、呼吸を整える]
……ぁー……やぁっぱ、違うなぁ。
[これだから『最上級』は、と。
張りつめる空気に、落とすのは小さな呟き。
戦場で感じるものとは違うそれが心地よいと。
過る思考は、笑みの内]
─ 執務室 ─
おわ………っ
[遺言のような哀れなる絶句のような。
そんな一言と同時に、男の顔がべしゃんと書類の山の上に落ちた。彼の手元にあるのはこの数日間、常にも増して多くあった様々な仕事の書類の山で。]
[思えばそれに遡ること、数週ほど前。
副官の───今は元、とつけるべきなのかも知れないが───タクマ・ナギがモルトガット帝国を訪問するというのにかこつけて、どうにか休暇を捻じ込んで共に行けないかと画策したものだったが。]
(……まあ、な。)
[案の定無理であったそれを一旦はため息と共に諦めて、些かやさぐれていたのが少し以前のこと。
あまりにやさぐれている中年を見かねたのか、船では厳しいだろうが飛行機を使うのならば少しの休暇とささやかな旅行は叶うのではと提案を受けたのがそれよりも数日の後。
それから更なる画策を重ねて仕事を集中させることに成功し、どうにか休暇をもぎ取ったのが、つい先週のこと。
───そして出来上がったのが現在の中年の抜け殻である。]
もう少し若ければなあ………
[うじうじと言ったところで変わりはしない。
とにかく目が乾いて痛い。視界がしょぼつく。
背も肩も腰も痛い。げっそりとした顔をどうにか上げた。]
時間は……、うむ。間に合うな。
[艦上であればもう少しはマシなものを。
そんな愚痴を内心に押し込めて立ち上がる。迅速に動かねばならない。急ぎの用件とやらが持ち込まれてしまうより前に。]
───── 出るぞ。
[タクマに今のところ連絡は取っていない。休暇をもぎ取れたのも、既に彼がかの国へ向け立ってより後の話だ。
…いきなり追いつけば驚くだろう。そんな顔を見てやるのも、きっとたまには悪くない。浮き立つような心でそんな子どもっぽいことを考えて、男は少し軽くなった足取りを執務室の外へと*向けた*]
[それは、オズワルドの近辺にいたりいなかったりする黒い狼であった。
オズワルドは、いつも同じようなのを飼っている、との噂である。
そういう血統の狼なのだろう、と思っておくと無難だ。
真実はさておく。*]
[そんなこんなで、少し遅刻しながら働く。]
地に足がついてねーんだよ…
[今日は一般の知識人を交えての会議であったが、どうにも心もとない。
民に力をつけさせる。国政にかかわらせる。それは「思想家」だったのかもしれないが、長い間「不平家」であったせいか、いろいろと極端すぎる。]
まあ…おかげで地道に改革はしていけ。ってのはわかっただろう。
[極端をもって極端を制する。開き直ってそういう気持ちでいることにした]
− OROCHI世界 −
…────、キアラ?
[その名を最初に口にしたのは。
己を呼ぶべき者の名として、最も相応しいものと思われたから。
呪の紡がれた先、その共鳴を手繰り寄せるようにして辿る。
ふと視界が開けるようにすれば”門”がある。
それを語る声>>42には覚えがあった。
つと傍らを見遣る。
───目が、見開かれる。]
―施療院 ―
やっほー。ナネッテ姐さんー。新しい紅茶の味見にきたよー。
[定期的にお土産つきでやってくる、弟分が訪れるのであった*]
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